「そもそも・・・・『プラント』ってのは何なんです。コーディネーターが宇宙で住む場所と考えてるワケじゃないでしょ?」
『プラント』
そうだ。プラントとは何なのだ?
カナードは考え始めてしまった。それに対してのリンの言葉は。
「『住み込み寮』です」
「何?」
「ほう・・・・」
「理事国が整えた宇宙での工場、それの寮に雇われて寮に住まわせてもらっている従業員、プラントとコーディネーターの実態はそれです」
「い、幾ら何でも乱暴過ぎだぞ!そもそもコーディネーターは・・・・っ!その、好きで?」
「好きで宇宙に行ったワケではない、知ってます。では何故宇宙に行ったんです?」
「ち、地球から追われた・・・・」
「何故?」
「それは・・・・」
ーーーーーー。
「『僕はこの母なる星と、未知の闇が広がる広大な宇宙との架け橋。そして、人の今と未来の間に立つ者。調整者。コーディネイター僕に続いてくれる者が居てくれる事を、切に願う』」
フレイが、休暇中のキラを含めたヘリオポリスの学友達に語ったのはファースト・コーディネーターたるジョージ・グレンが木星に旅立つ際に自分の出生の秘密を明かした後のセリフであった。
「で、その後にどうなったのか勉強とかで知ってるでしょ、ブームよ『遺伝子操作ブーム』そこら中の金持ちとかが自分の子供に遺伝子操作を頼んだ。けど、結果は無残なものだった」
「む、無残って?」
「ピンからキリってやつだったのよ、誰も彼もジョージ・グレンにはなれなかった。提供されたデータはやるだけで皆がジョージ・グレンみたいになれるようなものじゃなかった。それだけじゃないわ!例えば『目の色』をブルーに注文したのに注文通りブルーじゃない程度で捨てられた子供までいた。更に研究に研究を重ねた結果、結局はこれよ!」
親指と人差し指で輪を作る。それは即ち?
「お金・・・・」
「そう、発表から十数年で違法とされても裏で研究されながら極秘裏に生まれた。そして、何故かナチュラルに混じって暮らした。カレッジでのキラのように都合良く使われるならまだマシな方だわ、学校の賞を独占して我が物顔をする。大きくなってからは優先的に良い条件での進路を優先的に回される。犯罪行為をやっても地力から財力にものを言わせて揉み消し当たり前な連中、それを可能にするのはやっぱり『お金』!これのどこがジョージ・グレンの言葉に従ってるの。遺伝子操作優位誇示を促してるだけじゃない、全人類を遺伝子操作した人間のみにしても落差が生まれるわね」
『全人類を遺伝子操作』
行き過ぎた発想だが、今の時点でいさかいを無くすには行き着く答えかもしれない。
「そして、知っての通りに追放から言いくるめられたでコーディネーターは全体の一割に満たない数がプラントに行った。ここからは行き過ぎな推論になるばかりな危険あるからプラントに住んでいる人間に何が起きたか聞く方が良いけど、自分達が核を撃ち込まれた被害者だとしか言わないかもね・・・・何せ、それ以前からやらかしまくってるのに一にも二にも『血のヴァレンタイン』だし」
「フレイ、君は何でそこまで・・・・」
「サイ、私のパパの名前は?」
「『ジョージ・アルスター』・・・・っ!『ジョージ』!?」
「そう、当時の時代じゃイメージされるのはアメリカの初代大統領とかじゃないわよ、何が起きたかは少ししか聞けなかっなけど、相当な事が起きたようね、パパは半ばブルーコスモスみたいに認定されて地位を高めたわ」
『ブルーコスモス』
地球の各地でテロリスト同然にコーディネーターや関連者を殺し続けている組織、その組織の全容は知る術は無い。
(アスランは・・・・何か、聞いてるのかな?)
キラの思い付くのはそれだけだ。推論も行き過ぎてはいけない、プラントの実態を知らなければならないとしたフレイのまとめに感謝していた。
ーーーーーー。
「関わった年数が長いプラントの方が詳しいのでは?」
「ブルーコスモスの全容か、仮に初期からだとしたら相当な数の財団から国家が絡んでいるだろうね」
「そいつらを全員始末したとしたら最悪ですよ、仮にも財政を担う者達をゴッソリ消すから舵取りが出来なくなる」
カナードからしても、難しい話だ。だが一つ聞きたい事を思い当たれた。
「リン、お前は何故そんな考えに行きついた」
「気になる事を少しずつ調べて、何年も掛けたお陰ですよ。プラントでは無理だった」
「何故無理だと?」
「聞いた限りでプラントは、地道にコツコツではなく、一を知って十を知るのを重んじます。俺みたいのは落ちこぼれに分類されて勉学にすら勤しめないでしょう」
「手厳しいな、それで君のレベルに迄至れるならそれは価値があると思うよ・・・・結論として、真っ当に考える程に過去を見つめ直さないと何をして良いかわからない、それがお互い都合悪いのならどちらかが戦争で勝利して都合良く過去も未来もねじ曲げるしかない、困ったものだよ」
「貴方は研究員、俺は精々が現地徴用兵。勉強しても消されかねない立場ですしね」
「だがね、良く言うと武官と文官の協力が成されるに越した事は無い。歴史上でそれをやれば上手く行ったのにやれずに滅んだ例は数多あるのだ。では、今日はこの辺で失礼する。平和な時が来たらまた語り合いたいものだな」
カナードは待ったを掛けるのは止めた。お互いにこれ以上は用件は無いし、違う事への興味もある。何より、テーブルの上にわざとらしく置いていったものが気になるからだ。
結論として、知りたい事はプラントや地球上層部の事を知らねばならない。
ーーーーーー。
「あ、お姉ちゃん大変だよ!」
報告を済ませたリンにマユが掛けよった。リンとカナードは何事かと思ったが?
「『冷凍マグロ』・・・・ヘリオポリスで積んだのに加えてジャンク屋の選別か」
「補充した食料にこんなのがあってねぇ、大西洋連邦出身者の俺達には解凍して生はちょっとなあ?」
「オーブは日本の流れを組んでるから生食経験はあるけど、私達も・・・・ねえ?」
「しかし、食料を食い伸ばさないといけないから何とか頂きたいとこです」
マリューにムウにナタルまでも慌ててる。所帯染みているが、扱える経験者がいないので地味に難題だ。
「揚げ物用な油や粉は大量にあるか、仕方ないから細かいのから片付けちまおう、半舷休息をしてるに近いんだから食わなきゃ戦どこじゃないしな」
「へ?」
そうして、リン主導でマグロを片付ける策が行われた。切り落とし系のを塩を加えた湯で解凍。こうすると汁が出ない解凍が可能になる。キャベツや玉葱と一緒にみじんに斬ってハンバーグ状に纏めて、衣を着けて揚げる。そうすると?
「『マグロメンチカツ』を主体にした定食ってワケか。あっさりしてるようで野趣味のある食い味だぜ!」
食堂に出されて、交代しながら何日か振りの真っ当な食事を楽しむクルー達はリンの提案した料理に舌鼓を打っていた。
「塊の方は下味つけて『唐揚げ』にでもすれば良いでしょう」
「いやはや、すげえな嬢ちゃん!良いお嫁さんになれるぜ」
「貰い手がいればね」
「余計なお世話だ。ほら、ソースで口周りがベタベタだぞ?」
瞬く間に冷凍マグロを片付ける策を提示し、自分が鮮やかな仕事で作った料理を何故か不機嫌に食べるマユの口を拭いてあげるリンの目はパイロットとしての彼女しか知らない者達には信じられない程に優しく暖かいものだった。
地球軍に何故か連絡すら通じず。メンデルの潜伏が長くなる間、次第にリンは周囲に受け入れられていったのだ。
ーーーーーー。
「お願いします隊長!奴等を追わせて下さい」
回収されたイザークにディアッカは更なる足つきへの追撃を懇願して来た。それに対して上層部が判断を決めかねている理由を滑稽さと厄介さの混じった目を向けていたが、入って来た連絡にほくそ笑んだ。
「わかった。間も無くアスランとニコルが合流するから君達は彼等と共にゼルマン艦長の船を母艦にして捜索部隊を結成したまえ、隊長はイザークに任せる。一番厄介そうな白紫の機体に一番縁があるからな」
「っ、ありがとうございます!」
喜色満面の顔を浮かべるイザークだが、その中には気に入らないアスランを部下にしてやれる歪んだものがあったのをクルーゼは見抜いていた。そう、これで良い・・・・名前も知らない白紫の機体には負けなければ良いという発想から遠くなるからだ。
キラ、アスランに聞きたい事が増える。
イザーク隊長。
これ等はともかく、映画のせいか揚げ物やら生食やらが小ネタで多いから、私的に料理。
自衛隊とかでお国柄に合わない食材の扱いは割りと難しいらしい。