プラントではユニウス7が地球に向かっているとする事態に評議会を開くまでもないとしていたが、その理由は至極簡単だった。
「シーゲル!貴様、何のつもりだっ!?」
「間に合わない、それだけだ。それにパトリックよ、部隊を行かせてどうするのだ。鉢合わせた地球軍を殲滅させる気か?それが狙いだったのかと言われたら厄介だ」
妻が眠るユニウス7を巡る事態に激昂するが返しには沈黙せざるを得ないパトリックに生じたのはある疑念だが、それを言うのを躊躇ったのを見て取ってシーゲルは先手を取った。
「言いたければ言ったらどうだ。メテオ・ブレイカーを万単位で使ったのはこれを見越した作戦か?とな」
予想外過ぎる内容、パトリックはあくまで妻の眠る地だからとして感情的になっていた事とシーゲルの冷静さにまさか今回の件を仕組んだのは・・・・と疑念を抱いたのだが、そこまで計画的とはしてなかった。
現場に駆け付けられた場合であるが、ありったけのメテオブレイカーを使えば地上に落ちる前に粉々になり燃え尽きさせる事も可能かもしれないが、ほぼ使い切った状況になったのはエイプリルフールの件が原因であるので主張したシーゲルに掛かる疑惑はそこまでの域だ。
「私とて冷静になりたいのだ。計算させてみた結果、どう足掻いても無理だ・・・・『スカンジナビア』に大きな影響が出る形に落ちてしまう可能性もあるのにな・・・・」
スカンジナビアはシーゲルの故郷だった。パトリックは親友が堪えているのだとして沈黙したが、それを見たシーゲルは内心羨ましく思っていた。良く言えば情の深いとなる心が自分にはもう無いのだ。妻が眠る地に対して感情的になれる部分がだ。
(『妻』・・・・か、この後に起きる事で気付いてくれるかパトリックよ?)
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『ユニウス7』
そもそも、理事国の物を勝手にコーディネーター側が食料生産用として改造したのだ。借家を乗っ取りる形で自分達の物とした中の一つを勝手に改造した弁明を月のコペルニクスで行うハズが現議長であるシーゲル・クラインはシャトルの故障による遅刻をした結果、コペルニクスで起きたテロから命拾いをしたのだ。
「不可解なところは【地球側がその点を主張しない事】ね」
フレイの言葉にヘリオポリスの学友達は返す言葉が無い、プラント側のように開戦のキッカケは血のヴァレンタインしか思い浮かばなかったが、開戦は3日前に行われていた地球連合による宣戦布告に伴うもの。
【プラント側の血のバレンタインへの反攻が始まりというのは、間違い以外の何でもない】
「で、でも今は地球に落ちるって問題だけどその後にどうなっちゃうのよ?」
「地球は滅亡よ」
「そ、それを防ぐ為にこの艦は・・・・」
「向かってるんでしょ、どうやって?」
言葉が無い、ありったけの艦砲射撃を撃ち込んだだけで破壊出来るならそもそも他に任せている。
「もしかして、今回の件って証拠隠滅を兼ねてるかもねぇ・・・・『お互い』不味い部分を連想させられるし」
「お互い・・・・つまり、片方だけの仕業じゃあないって事?」
「そうよ、連合からしたら細かく砕いた隕石雨くらいで地上のザフトを殲滅出来るかもしれないし、ザフトからしたら戦意を高揚させられるかもしれない」
冷淡過ぎる。フレイが何故こうなっているかは婚約者のサイにすら把握出来ていない、プラントのコーディネーターに対する英才教育でも受けたのかと疑念を抱いたが、それに深入り出来ない事に向き合う気概は無かった。
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「おい、どういう事だ!」
現場においては高速の連絡艇等で先攻した部隊がユニウス7に到着していたが、工作兵達が困惑混じりの悲鳴を上げていた。
【何故動き出したか】
それに関しては、軌道を外させた原因が何かを調べたいが痕跡は無い、全て破壊されているとしてもだ。
「ザフトの仕業としたら有り得る話だろ、それより予定された場に有りったけの爆薬を仕掛けろ!」
「りょ、了・・・か・・・っ!」
「ど、どうし・・・た、ん・・・」
工作部隊の幾らかは何者かに毒を塗ったナイフを始めとした『暗器』とすべき武器で殺害されていた。この件を仕組んだ者はユニウス7が粉々になり過ぎては都合が悪いからである。
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「提督、間も無く爆発します」
「うむ、その後にありったけの艦砲射撃で少しでも粉々にするのだ」
そうして、確認された爆発を目にした者達の目には悲壮感が漂っていた。予定より少ないからだが、どのみちやるべき事は一つとしてハルバートンは射程内に入ったのを確認して檄を飛ばした。
「一斉射開始!地上からの援軍は?」
「応答がありません!中立のオーブからすらです!」
「ぬう・・・・周りの警戒は続けろ!有事に備えてな」
やはり、何かがおかしいとハルバートンは感じた。例えばアラスカで氷の海を眺めてばかりと揶揄している者達も幾ら何でも無策に過ぎるとした。今の状況では亀裂に対して少しでも攻撃を加えるしかないとしても事が済んでだ後の不安が頭に過った。
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悲壮感を堪えながら何とかユニウス落下前には攻撃出来そうだとしているアークエンジェルも思わぬ事態に見舞われていた。
「艦長、本艦と間も無く並行する形でナスカ級です!通信が全周囲に発せられています」
「ナスカ級・・・・回線を開いて」
『此方は、ザフトのラウ・ル・クルーゼ率いる隊だ。交戦の意は無し!』
クルー達は緊張した。ヘリオポリス壊滅の件はつい先日の事なので簡単に信用は出来ないが映ったのは噂に聞くように得体が知れない仮面を被った金髪の男だった。
『ヘリオポリスの時の艦かっ!今はお互いに不干渉をお願いしたい!我々はお互い側面からユニウスを短時間攻撃出来るかどうかだっ!』
クルーゼの言い分は尤もだ。ローエングリンを一発でも多く撃ち込みたい今は構っている暇は無い、しかし本当に信用して良いのかと判断に窮した。
『返答はいらん!私の勝手でやっている事だからな!』
「本当に・・・・か?」
ブリッジクルーも勤めているムウが一言口を挟んでしまった。それに対してクルーゼはわからんでもないとしたが、溜め込んだものを吐き出してしまう。
『ムウ・ラ・フラガかっ!貴様、わざわざ実家の不幸を機に軍隊に入ったようだが、そのザマは何だっ!大人の悪いところだけを見ていて染まりでもしたかっ!?』
「何をっ!貴様ごときが偉そうに言うかっ!?」
『ごときだとっ!顔も合わせた事のないハズな相手に何を言い出しているっ!やはり庶民と混じると立場も忘れるかっ!』
お互いのブリッジでは目を丸くして異様なやり取りに気を取られてしまった。月で交戦して以来の因縁とは聞いていたが、いきなり片方の家に関して触れて何故か即時に反論するやり取りには理解が及ばない。
『他と分け隔てなく育てられた割には柔軟性も洞察力もなっておらんな!こういう時は優先順位を決めるのが先だろう、軍人になったからには自分の立ち位置でやれる事で自国の市民を守るのが第一だろう、私等に構わず市民を守れ!貴様は私が殺してやりたいところだが、市民を守ろうともしないような男に用は無い!消え失せろ、二度とその顔を見せるな!』
通信が切れた。ムウは口惜しさに震えるが他はやはり呆気に取られている。
【まるで自分と袂を別ったバカ息子を縁切りしながら叱り付けるような言い方】
クルーゼの声色は真剣な色しか感じない程に自然に怒りと苛立ちが浮かんでいた為に最後まで口を挟めなかった。
少なくともアークエンジェルは地球にいる自国の民、ヴェサリウスは同胞を救うのが第一なのでクルーゼの言う通りにしながら地球に最大戦速で向かった。
ムウとクルーゼの関係故なやり取りだが、つくづくつくづく誰なんだよお前?なクルーゼさん(汗)