機動戦士ガンダムSEED 赤い瞳の少女   作:くまたいよう

19 / 59
 第一章完で続きは未定。

 サブタイトルの私作展開、そして?な回。


ブレイク・ザ・ワールド

【リンがいてくれて良かった】

 

 キラがヘリオポリスの時から思っていたのはこれに尽きる。

 

 ストライクを動かした時、アスランと顔を合わせた時のショックを軽減してくれた。

 

 妹を守る為だけに戦うリンには相手を殺すのも自分が泥を被るのも一切の躊躇が無く怖いくらいだった。

 

 そうして戦いを何度か繰り返したが、リンがいなければどうなっていたのか想像するのも怖い。

 

 密かに可愛いと思っていたフレイにコーディネーターだからと言う目で見られるのも怖かったが、途中からキラを見下すように、良く言えば気弱な学生と見なすようになったのはリンと比べて頼りないからがキッカケでもある。

 

 キラは決して戦いたいから戦っているのではない、コーディネーターなのも本人が望んだからではない。

 

 そして、ユニウス7付近の正体不明機や砲台に対してストライクで出撃したキラは敵機体から聞かされた。

 

『何も知らない愚か者めがっ、その機体が造られた場が襲われた理由を知らんのかっ!?』

 

『あの白紫の機体にリン・アスカを乗せるのが狙いだ!』

 

 衝撃だった。リンがMSに乗った経緯はキラと違って成り行きではないのは知ってはいる。そして、敵機が襲い掛かりながら次々と声を聞かせて来たのだ。

 

『貴方は討たねばなりません』

 

『貴方は【自分が強いと思う者】を』

 

『それが貴方の宿命なのです』

 

『さあ、討ちなさい・・・・キラ』

 

 引き込まれて行った。聞き覚えがある声で誰のかは・・・・とキラが考えた時にリンが来てくれた。目標を撃破して帰還しようとした時だ。

 

『さあ、討ちなさい・・・・キラ・・・・【キラ・ヒビキ】』

 

【ヒビキ】

 

 キラは何を言っているかわからなかった。自分の名前は【キラ・ヤマト】だと気を取られた。

 

 何度も響く聞き慣れない声は、キラに自分が違う誰かなのだと言っているようだ。そして意識が暗転した時。

 

「・・・・え?」

 

 キラは横にいたミラージュ・フレームの持っていた複合兵装にアーマー・シュナイダーを突き刺していた。

 

 

 

 -------。

 

 

 

 

「な、何をやってんだアイツ!?」 

 

 CICを担当しながら叫んだムウの台詞はブリッジにいる全ての者の代弁だ。

 

 大気圏突入中だけではなく艦の調整もクルーの錬度も足りない状況でローングリンを撃ち込みながら正体不明機と砲台の驚異、それが取り除かれて帰還間近な味方MSまでは良かった。

 

 ストライクの不意討ちで兵装を破壊され、その爆発で弾かれ、コントロールを誤ったのか飛ばされて行くミラージュ・フレームの図は全く理解が及ばない。

 

「やはりだ。あいつは完成品なんかじゃないんだ!」

 

 意味がわからない台詞を叫ぶカナードに他が気を取られるが、ストライクがミラージュ・フレームを追い掛けている映像に関心が逸れた。訳がわからない、最悪と言える味方への不意討ちをしておいて何のつもりだと思うがマリューは叫んだ。

 

「次のローングリンを発射後に二機を救助します!」

 

「艦長、しかし・・・・」

 

「異常な状況だって理解してるわ、どの道ストライクは回収したいでしょ」

 

「そうだぜ、どちらにせよ次で限界だ。後盤に乗せてりゃ少しはマシだぜ」

 

「艦長、ストライクに照準を合わせとけ。何をするかわからんぞ!」

 

 最後に出たカナードの台詞は尤もだ。いきなり味方を攻撃した理由次第でキラを撃たねばならない。この状況での最後のローエングリンが発射され、掃舵手のノイマンは全力で艦を向けた。

 

 

 

 

 ------。

 

 

 

 

 キラは生きた心地がしないままストライクのバーニアを吹かしていた。自分にとっては一人で戦わないでいられる状況だった理由そのものな存在だ。あの正体不明機から聞こえた声は二の次にして、今はリンを救える可能性に賭けるしかなかった。

 

 

 だが?

 

 

「え?」

 

【黒いミラージュ・フレーム】

 

 そう見える機体が大型の航空機のようなものに乗ってリンの機体をソレに乗せた。そのまま安定した姿勢にさせている。ワケがわからないままに通信が来た。

 

『この機体とパイロットは【余】がいただいて行こう。誤った【王道】を正す為にな、心配はいらんよ、マユ・アスカがいる限りリン・アスカは必ずアークエンジェルに戻る』

 

【マユがいるから必ず戻る】

 

 それは絶対と理解するが受け入れられはしない、正体不明機がミラージュ・フレームを支えながら離脱するが、追えるような推力も無いとした時に巨大な反応があった。アークエンジェルがストライクを追い掛けて来たのだ。

 

『キラ!事情は見ていた。一先ず艦の後部に機体を着けろ!』

 

「カナードさん・・・・でも、リンがっ!」

 

『見ていたさ、お前が攻撃したからだろ!事情を後で全て話してもらうぞ、リンがどうなるかは知らんが、お前はケジメとしてマユのいる艦を守れ!それがお前がすべき事だっ!』

 

 わかりやすい言い分に従うキラにカナードは歯噛みした。リンがいたからにしても戦士としての覚悟も何も無い。メンデルでデュランダルから渡された資料に記されていたのが真実とせざるを得ない。

 

 やがて、地球に降りたアークエンジェルはストライクを収容する前に凄まじい衝撃波に襲われた。砕かれたとは言え大きな隕石となった破片が落ち、その衝撃波が地球を一周して届いたのだ。辺りを見回すと位置を特定する事も難儀する程の惨状、録に調整が済んでない艦ではザフトの存在やユニウス7落下が無くても迂闊に地球上を飛び回れもしない。

 

 

 この日、C.E(コズミック・イラ)71の年。

 

 

 後にブレイク・ザ・ワールドと呼ばれた事件は限り無く最悪の時期に起きてしまった。




 アークエンジェル、原作より各要素が一長一短だらけな状況で地球に降りました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。