そして?
無力化されたゲリラ達はデッキ内の広場に集められて包囲した兵達に銃を向けられていた。パイロットスーツのカナードが近付いたが、先程に目にした金髪のお転婆そうな娘が声を荒げていた。
「責任者を出せ、砂漠の虎と組んで何を企んでいるか弁明しろ!」
「ほう、威勢が良いな。誰にどう吹き込まれたかは知らんがやめとけ」
やはり踊らされていたのかとしながら意地悪に振る舞うが、微かな驚きと落胆をカナードは堪えていた。
偉そうなだの誰だか知らんがだのな事も喚いているが、カナードは実は心当たりが事前にあるのだ。
【それに、もう一つ聞きたい事があるなとしていた】
「何様か知らんが、何処かのお偉いさんのお転婆な身内のような言動だな。俺みたいなはみ出し者だからこそわかる事で、悪評は広まりやすいものだから静かにしていたらどうだ?」
多少だが言葉に詰まったので、カナードは次のカードを切り出した。
「そう言えば、戦艦やMSの機銃に先手を取られてはお仕舞いだが、お前達の持っていた武器は・・・・この辺りの者が手に入れられるには不自然なくらい出来が良いものだったが?」
「だっ、黙れ!」
周りは少し驚いていた。ランボー姿の男が声を荒げたが、反応からして普段は理知的とされているようだとした。
「ほう、当たりか・・・・おい、コイツらが捨てた武器を回収して調査をするように申請しろ!何処がコイツらを支援しているかわかるかもしれん」
「ふん、いちいち面倒な事をしなければ動けないのかっ!」
「軍とはそう言うものだ。皮肉を言いたい理由はさておき、この艦はそれでも割と上手くやっているのさ。良い例かもしれない場を罵倒するのは【反】が付くような事をやる組織にとっては最悪かもしれんぞ・・・・いや、だからこそ狙われたのかもしれんがな。倒すと決めた敵勢力を倒す為に一番邪魔なのは敵方の良心とやらとする論もあるからな」
何やら跳ねっ返りっぽい少年もまるで意に介さないカナードが何気に艦内の事を高く評価するのをクルー達は驚いていた。
最後に乗り込んで直接目の当たりにしてない身だが、マリューが最初にリンに脅されたせいにしてもムウとナタルに雷を落として以来は頼りないようで要所毎に指揮官に相応しい胆力があると広まった事とユニウス7で墓荒らしをした事で奇妙な連帯感が生まれているのを聞いていたのだ。
但し、ラクスの件はまだ不干渉である。
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そして、帰って来たマリュー達は艦付近に転がるジープ類に目を丸くしていた。
「な、何があったのバジルール少尉?」
『盗聴防止の為に着艦後に話します!パイロットは着艦後に中で待機していてくれ!』
言う通りにして事情を聞いたマリューはバルトフェルドから聞いた事が本当だった事に唖然としたが、責任者としての勤めを果たさざるを得ないとして、捕虜として集められた者との対談を試みた。
「・・・・私がこの艦の責任者マリュー・ラミアス大尉です」
「俺達は【明けの砂漠】・・・・そして、俺がリーダーのサイーブ・アシュマンだ・・・・」
髭を蓄えた屈強そうな男だが意気消沈しているのが明らかだ。マリューは何やら性格や見た目の違い以外は自分の嫌な部分を見ているようだった。全て理解はしていないが自分なりに思考をした間、仮にヘリオポリスの襲撃で残ったのが血の気の多い部下達ばかりだとしたら、部下の無茶を止められない年長者として、良くてこうなったのではないかと思える姿と重なっていたのだ。
「事情は聞きました。何故、こんな無茶な真似を?」
「無茶っ!?無茶だと!」
話に割り入った少女が喚くのは、自分達が勇敢に戦っていると主張しているが、それなりに学んだ者からしたら。
【勇敢と無謀を履き違えた者の見本】
そう思える言動だ。自分はもしかしてとんでもない強運だったのではないかとマリューは考えてしまった。やむを得ず艦長になって以降に何のかんのでそれなりの連帯を取れたのは、戦術的な事を自分に提案してくれた者を始めとして肝心な部分が近代戦をやる上で頼りがいのある者ばかりだったのだ。尚も熱くなる少女にどうしたものかとした時。
「か、カガリ!」
先程にカナードになじられた少年が名前を呼び、ランボー男が慌てて口を塞いだのを好機としたカナードはトドメを刺すことにした。名前を漏らしたのはミスだ。相手のミスを利用しない手は無い。
「カガリ・・・・【カガリ】だと?む、その歳で特徴が聞いていたのと、お前・・・・まさか!」
キサカが改めて全力で口を塞いだ。カナードはその光景に内心でほくそ笑んだ。意地悪であるが、これからが本当の地獄なのだ。
そのまま、明けの砂漠はカナードの提案によりしばらく銃を持った兵達に囲まれて放っておかれる事になった。去って行くカナードに尚も喚き散らすカガリの姿を見た兵達からしても以前にリンとキラがコーディネーターと聞いて銃を向けてしまった事を省みる機会ともなっていた。衝動的なものを抑えきれないのがどうなるのかな見本だとしていた。
そして、ブリッジではキラをストライクからのモニター通信で交えた会議が始まった。
「放り出そう」
カナードからは身も蓋も無い意見が出されていた。何やら気付いているようだがとして詳細を聞こうとした時。
「艦長!砂漠の虎から通信です!ゲリラの潜伏する場らしき地点が所属不明の【ザウート】と【ディン】に襲われているそうです!意図が不明なので此方は不干渉を推奨すると」
「何ですって・・・・」
「タイミングが上手すぎるな、こりゃ陰謀の匂いプンプンってやつだぜ。艦に入れてる皆さんは事情を知ったら何を言い出すかだ」
ムウの意見に全員が賛成した。誰でも滞在している場を破壊されては怒るに決まっている。だが、正に自分達にその類いを味合わせたキッカケであるクルーゼと共闘してしまったので複雑な心境であるが。
『あ、あの艦長・・・・陰謀とかがあるのはわかりますが、リンがクルーゼと共闘したのが広まっているくらいだから、何もしなかったら・・・・しなかったなりの何かがあるかもしれません』
「そりゃ、考えてるがな」
ムウはキラの言う事も尤もだとはわかっている。自分達が目の当たりにしたバルトフェルドのイメージを考えて彼が何かしているとは考えにくい、そしてマリューは決断した。
「わかったわ、エール装備で先行して。艦も向けるから無茶はしないように・・・・それから、あの時のような事が起きそうなら即時に撤退しなさい、これは命令よ!軍において命令違反は極刑とされたりまでする意味を考えなさい?」
「キラ、言った事は忘れるな。お前はマユのいる艦を守るのが第一だ!俺も機を見てブリッツで後詰めをするから一人で無茶も勝手もするなよ」
『はいっ!』
マリューが言うのはリンを攻撃してしまった時の事だ。キラはパイロットの立場上で最後通告を受けているのも受け入れている。その上でエール・ストライカーを装備したストライクが発進した。戦術的には正しいだろうが、半信半疑にならざるを得ない。未確認の敵が周囲にいるとして警戒しながら発進準備を整えたアークエンジェルが離陸した。
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エールの推力を活かした連続ジャンプで現場近くに到着したキラは、何やら洞窟のような場が崩れているのを目の当たりにした。生き残りはいるのかと思って索敵を開始したが、襲撃犯がいないのに気付いた。
(もしかして、狙われている?)
カナードが簡単な雑学を語った事があるが、戦術上で相手の姿が見えない時はと考えて、周囲を索敵した時。
「っ!」
遠目に何かが光ったので、ジャンプをしたが側面から飛んできた攻撃をストライクの横を通過した。実体弾なのは幸いであったとしながら見つけたのはディン。羽根を生やした人型が機銃と散弾をランダムに撃って来る。
PS装甲でも辺りどころが悪いとどうなるかはブリッツの件でわかっているので過信は禁物として回避しながら地上の敵機を索敵するが、射程外のようなのでディンから対処すべくビームを撃つ。まだ明け方にもなってないので熱滞留からの支障が無いが、やはり宇宙とは違うので回避されてしまう。
「え?」
【停戦】
上空にその意思を示すべく撃ち出された類いな信号弾の照明が輝く。集中し始めた矢先に意表を突かれてキラは固まってしまう、攻撃をしておいて何をと思うが
ディンが離れて行った場にはザウートが位置していた。そして様子見をする為に二分経った時。
【ディンが離脱し、隣接していたザウートが自爆した】
奇妙極まる光景にキラは何も出来なかった。どのみち深追いしたくても言われた事があるから厳禁である。
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「思ったより冷静だな」
「確かに、だが追撃しなかったのがどうなるかまでは読めているのかな?」
ディンのコックピット内で独自のパイロットスーツを来た二名はこの後にアークエンジェル内で起きる事を見透してほくそ笑んでいた。
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「何で奴等を倒してくれなかった!?」
「深追いしたところを狙う作戦だったのだろうさ、引っ掛かる義務は無い」
現場に到着したアークエンジェル内で事情を知らされたカガリを筆頭に明けの砂漠の者達は心底憤っていた。カナードは特に流れが読めていたので冷ややかに返していたが収まらない。
襲われたのは明けの砂漠の身内が潜伏する場であり、食糧等の必須品が貯蔵された場を破壊されたのだ。様子をモニターしているメンバーも理解したが、やはり陰謀に巻き込まれた。このまま彼等を抱え込んでいて内部で暴れられでもしては危険だ。かと言って普通に降ろしたりしても状況を仕組んだ者達にどうされるかわからない。
MSで敵を倒せば良いワケではなく、身動きを制限される心理戦に持ち込まれたのを理解して暗鬱たる気分になってしまった。
そして、宇宙では違う形に身動きを制限された者がいた。
『クルーゼ隊長、貴方とヴェサリウスのクルーを拘束します!』
ガモフからイージスで発進したアスランはそう告げた。地球付近から離脱したヴェサリウスに対して評議会はそうするようにとの指令が来たからだ。
今はガモフと共に周囲を警戒しながら本国に向かっているヴェサリウスの一室では。
「ふむ、噂によると砂漠の虎が現地で手に入れたコーヒーに凝っているらしいが、今の私には其方の方が向いているな、今回の件以前に知っていたと思うが私は地球からの流れ者でね、たまにはプラントに無いものが恋しいようなそうでないような気分になるよ」
ラウ・ル・クルーゼは艦の自室で軟禁されつつ悠然としながら食事終わりの野菜ジュースを飲み干して気まずそうに見つめる少年に向き合う。
「どうしたアスラン、処罰待ちの男に腰が低いな」
アスランはクルーゼに面会を申し込んだが、気まずさが出ている見本みたいな表情だ。
イザークとディアッカを救助した後に事態を知らされ、母の眠る地が地球に落ちた事に憤っていたが、ゼルマン艦長を介して評議会から言い渡されたのは自分の権限でユニウス7を破砕する為にヴェサリウスで現地に向かったクルーゼを拘束するようにとの指令だった。
今回の件はやむを得ずで静観を言い渡されたクルーゼは権限としてはね除け、地球に落ち行くユニウス7付近で地球側と組んで大立ち回りをした画像までが拡散されていたのだ。
立場上のけじめとしてもアデスを始めとしたクルー達はアスランに非難の眼差しを向けていた。指令を出したのは評議会でありアスラン本人ではないので複雑にやりきれないもの混じりであるにしても言い様を考えて無いのはマイナスである。
【本人がどこまで考えてるかは周りは知らないが、アスランがパトリック・ザラの息子であるのも影響していた】
成り上がりと揶揄されるクルーゼの実力を認めて重用しているパトリックは家柄を初めとした俗な事を重んじてしまう思考からは何気に遠いと認知されていたのに、その息子が・・・・とする意味で。
地球付近で明かした身の上で今までの疑念が表向き晴れたクルーゼは、最近の戦いにおいて得体の知れないようでその実は同胞や部下を守る為には自分の身も地位も厭わない猛将として映り、能力だけでなく人格に対する敬意を集めていたのだ。そんな部下達を宥めてされるがままのクルーゼを本国付近に送っていたアスランは自分の乗って来た艦のクルーからすら非難されて針の筵である。
「私は、貴方のやった事は決して・・・・」
「ふん、私のやった事は【ヒーローごっこ】とでも揶揄されるべき事だ。たとえ同胞が対象でも所属する国家の実利を優先する為に見殺しにする事もしなければならない、それも軍人と言うものだ。それに耐えられなかったとは・・・・冷酷だの泣く子も黙るだのな言われような私が地に落ちたものだな。見苦しい顔を晒してまでやる価値があったか後悔し始めているよ、後から来る波の方が大きいらしいがバカな一例だ」
そう言って仮面を取ったクルーゼの顔は一部に酷い火傷痕があった。
隊に配属されたばかりの頃からフランクに接してくれたミゲルがクルーゼの仮面の下を都市伝説のように語ってくれたが、その時に酷い火傷とも噂されたとも言っていたが。まさか、本当にそんなのだとは思わないでいた。
それ無しにしても愚痴を言っているようで潔すぎる。クルーゼは今回の件は徹頭徹尾に自分の独断で部下達は命令に従っただけだと言っている。最初から責任を取る気だったのだとしか見えない。アスランはどうにか聞きたい事について話題を移した。
「貴方が、あの白紫の機体と共闘した映像も見ましたが」
「その事か、何か聞きたい事でも?」
「そ、それは・・・・自分なら知っていたらニコルは無事なのかと聞きたかったので」
「天に祈るしかないが、あのパイロットみたいなのばかりならヒドい仕打ちは受けてない気がするよ」
「何故、そのような事を?」
「ふむ、共闘した間と去り際に感じた事が根拠だよ。しかし恐るべき【少女】だった」
「っ、少女・・・・あの機体のパイロットは少女なのですかっ!?」
アスランは特に考えてなかった。言われてみれば以前に声を聞いたが、通信状態は良くないしその後の事で気は回らなかったと気付いた。
そんなアスランの心情を見通して内心でしてやったりと思ってクルーゼは整えていた算段を開始した。ニコルだけではなく、イザークとディアッカに対する暗鬱な思考から逃げ出したがっている事も見抜いたからだ。
「うむ、共闘の終わりに礼を言われたが、声からしてそうだったな・・・・それに、戦闘力以上に良い感性をしていた。真っ当に育てば誰の手にも負えないかもな・・・・奇縁となってしまったが、出来れば平和な時代になって会えたらチェスか酒の相手でもして語り合いたくなったな、いや・・・・こんな顔した年上では失礼か・・・・」
アスランはクルーゼの俗な言い方に乗せられて一部当たってはいる事を考え始めてしまっていた。
【クルーゼはあの機体のパイロットに何か吹き込まれたのではと】
実際、落ち行くユニウス7を目の当たりにしていた時のリンに目を付けてはいた。
何よりキラも何かを吹き込まれたのではと。
ヘリオポリスでエイプリルフールを引き合いに黙らされた事からの歪みでもあると考えられはしないのがアスランの難点でもある。
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(やれやれ、あの少女には悪い事をしたか)
イザークとディアッカは怪我はしていないのか?と問うても上の空なアスランが退室した後に、抱いたのは対面していた者への呆れより奇縁な少女への後ろめたさだ。
けしかけたのだ。
あの少女は自分の感じた事が正しければ誰よりも高みに行けるだろうが、まだ必要な事があるとしている。それは?
【強敵】
今のままでは対等な条件では、かのサーペント・テールの傭兵くらいしかそう呼べる存在はいない、自分では今のままでは体力面の問題で勝ち目が無いとした。途中から感じたが、あの少女は唯一無二と言える芯がある。そのままでいれれば良いが、ただ敵無しなままでは井の中の蛙になりかねない罠がある。
尤も、クルーゼの懸念は一つ致命的な見落としがある。何故ならクルーゼはそれを自覚していないのだ。
【レイを助けた時に感じた事】
戦ってるだけでは得られない強さを与えてくれる存在がいる大切さと、それを与えて貰えている故の弱点を。
ヘリオポリスの民間人抱え込んだ時みたいな苦闘開始でもあるか否か。
長期だとしたらホワイトベースとかと比べたらどうなるかな?
クルーゼさんがそれなりに考えてるが、違う場で見た事あるように原作みたいに頑張った結果やること為すこと自分が英雄視される結果招いてしまう系になるか否か(汗)