「良いか、奴等はこの艦の左舷の非常口や脆い部分を爆破したりで入って来るだろう!狙いはMSデッキのようだ。作戦は?」
迎撃を任されたカナードの作戦説明に周りは青ざめた。当人は的外れな心配でまとめたので、やはり胆力が違いすぎるとしつつ行動を開始する。
艦内にアラームが響き、ヘリオポリスの学生にマユとミーア(ラクス)のような非戦闘員が所定された場に移動していた。食堂でバリケートを作りながら待避していた一方?
「なっ、何だ?」
「侵入者らしいな」
営倉に入れられていたカガリとキサカは水と食糧こそ与えられてはいたが、状況がわからなでいた。
「敵かっ!何をやっているんだっ!誰かいないのか?私を此処から出せ!」
「落ち着け、そもそも誰か来て出してもらえたとして・・・・何をする気なのだ?」
「それは・・・・私が戦『誰とっ!?』・・・・!」
【誰と】
それに対して即座に反論出来ないカガリを見るキサカは最近頭が冷えたので冷静になれていた。
自分は故郷がタッシルだから戦っていたが、カガリは要するに?
【戦いたいのだ】
何故かと言われたら、もしも公的な場で言いでもしたら最後とすべき内容でだ。しかし、カガリの父を信じるキサカとしては、カガリの跳ねっ返り振りへの関心がお転婆娘に対する域を出てはいなかったのだ。
そして、非戦闘員の避難場所となった食堂では?
(【マユ?】)
(お、お姉ちゃん?)
「どっ、どうしたんだ?」
「ここは危ない・・・・【お姉ちゃんから聞いた事ある】・・・・安全と判断した場が実は一番危険な事あるって」
「そ、そうなの・・・・」
衛生兵はマユの目に気圧されていた。何やら光が無くなっているようだが、真剣さは感じたたのだ。そこにミーアが便乗した。
「・・・・図にすると、近くにザフトの兵隊さんを【保護】している部屋に近いですわね」
その言葉にトールがハッとした。仮にもそれなりな場で学生をしていたワケではない。
「っ!そ、そうか!もしかして狙いはその兵隊かもしれないぜ!ほら、赤服のエリートって事はお偉いさんの縁者とかで救出に来たとかあるじゃん?」
「じゃあ、そいつ人質にでもしてれば良いんじゃない」
「ふ、フレイ?」
「何よ、他に手があるっての?だったら早く言いなさいよ。大西洋連邦の外務次官の娘やその婚約者ともあろう者が非常時にあたふたしてるだけなんて知られたら大恥よ、汚い手段でも何でも良い!こういう時にプロと同じか顔負けな案を出してこそな身分じゃない」
苛烈な言い分に対してサイを黙らせた言い分は尤もだ。確かにお偉いさんと言われる立場やその関係者は無策でいれるような身分ではないのだ。
「ま、待って・・・・そもそも、相手がザフトとしたら助けに来るとかならこんな事はやらないと思う、この前に停戦交渉した砂漠の虎って人が代価として兵士を返してなんて言えば簡単だったハズよ」
「あら、お姉ちゃんみたいに鋭い事を言うわねえ・・・・そうなると、この状況は敢えて派手にやりながらか・・・・若しくは、狙いが兵士を助けるとかではないでしょうね。だとしたら、それに有効な手段を考えれば有利。カナードやブリッジに伝えると大手柄かも」
~~~~~っ。
「な、何だ?」
爆音が響く、暫くして足音が近付いて来た。
「無事、ですか・・・・」
ニコルだった。敵兵が艦内を歩いて来たのには全員が目を丸くした。
「・・・・状況を話します。僕の軟禁された部屋の近くにいた兵士が襲って来た所属不明兵士と刺し違えました。逃げると見せ掛けて爆弾を投げて来たようで、どうやら僕の部屋を爆破しようとしたようです。それを逃げた者の方に蹴ったけど、爆発に巻き込まれたようで。僕に逃げろと言い残して」
近くで虫の息な兵士が必死に呼び掛けたのをニコルは思い出した。
【か、勘違いすんじゃ・・・・ねえぞ。お前を助けた・・・・嬢ちゃんが、妙に気にしてた・・・・から、だ】
それを告げた姿に偽りは無いようだが、フレイは問うべき事を質した。
「逃げようって・・・・思わなかったの?」
「停戦してるらしいのは聞いていますし、此処に連れて来てくれた白紫の機体の人の恩を・・・・僕は裏切れません!」
「艦内に放送は流せますか?」
誠意を示したニコルの姿に、明らかに違う様子となったミーアに周りが唖然とした。
「あ、貴女は・・・・【ラクス・クライン】?何故、此処に」
「いえ、私は影武者です。声が似ている影武者ですわ・・・・アマルフィさんには意味がわかりますね?」
「は、はい」
周りは意味がわからないが、ミーア自身はニコルのように一瞬戸惑わせられる事が狙いとして、調理場にある放送施設を使った。
【艦内に入った皆様に告げます。わたくしはラクス・クラインです・・・・わけあって、この艦にお世話になる事になりました。直ちに戦闘行為をお止めなさい!】
ブリッジでは何をしているのかと思ったが、各ポイントで交戦しているクルー達はある事に気付いた。
「か、艦長?報告によると、何故か敵に乱れがあるようです・・・・」
「何ですって・・・・『艦長!』は、はい?」
「こいつは、俺の勘だ。あの影武者さんには何かがあるぜ、俺達には関係無いが今は後回しにした方が安全なのがな」
「と、とにかく。この隙に例の作戦をやるチャンスです!」
「わ、わかったわ!作戦を開始!」
カナードが提示した作戦はこうだ。ブリッジ内で新手の陸戦部隊や外に警戒しながらで驚愕したが、確かにとすべき内容。
敵の狙いは艦内を破壊か制圧をするのではなく、ミラージュ・フレームをどうにかする為な作戦と踏んだ。例のクルーゼと共闘する映像が出回ったせいで、例えば両陣営のタカ派や過激派とすべき輩にはミラージュ・フレームを破壊してしまいたい者がいてもおかしくない。だから、最終的にMSデッキを目指すだろう、ならば無理に応戦はせずに逃げに徹するよう艦内の兵には指示したのだ。これから起きる事に持ち込む為に。
「おのれ、だ、が・・・・」
潜入した者達が目の当たりにしたものは艦内のシャッターが空いて行く図であった。爆発音が響いたが。
【ついでが失敗したと理解しただけだ】
残りも先程のラクス・クラインと名乗る者の声で同様が広がって行くが、目的も入手した艦内の図も忘れてる程ではない。
「彼方は囮だ。奴等はシャッターを開けてデッキとは別方向に誘導する気なのだ!」
「そ、そうか!ならば、閉じている先に」
レーザーで切り裂いた先には宇宙戦艦デッキに有りがちな光があった。そこに防弾措置を施したノーマルスーツの兵十名が突撃した。決死隊ではあるので生身でXナンバーとやり合うのも辞さないとして走り出したが?
「待っていたぞ!」
開いていたシャッターが閉じて、デッキに続くルートは一直線だ。ブリッツに乗り込んだカナードは、侵入して来るよう開けたルートに向けて。
【訓練用の赤いペイント弾を発射した】
狭い道なので逃げようは無い、艦内でMSの武器を使うまいと踏んでいたミスである。幸いか否かなのは直撃は避けていた事。
【後処理が大変と、心配どころが間違ってはいないが的外れなカナードの秘策】
だが、艦内を爆破されたりデッキに侵入されるよりはマシだ。
再びシャッターを閉めつつ、赤いペイントの海で阿鼻叫喚となった潜入兵達に今度はストライクの予備のサーベルを向けて降伏勧告を出す。
幾らMSからのでもペイント弾等にしてやられる恥辱で心を折る事に成功し、軽くビームを出すだけで皆殺しに出来る状況なので後は慎重に慎重を重ねて捕縛するだけになった。
そして、外に出ていたストライクは冷静に撹乱であり囮であったディンを撃墜して、レセップス級も冷静さを失わないでいられたアークエンジェルとの正面からの砲戦に屈して撃沈されてしまう。
「て、撤収だ!ルート・・・・は」
非常口から脱出しようとした二名はストライクの両手に潰されない程度に捕らえられた。キラは正直気が進まないが、自分には失敗が許されない。カナードに言われたからであるが、何よりも?
(僕は、決めたんだ・・・・そうだ。自分でやるって決めた!リンが戻る迄にアークエンジェルは絶対、僕が守るんだっ!)
自分なりに覚悟を決めたキラはカナードの立てた策。
【一歩間違えれば、人間をMSで握り潰してしまう策に従った】
それだけリンを拐わせてしまった責任は重いのだとして。
そして、プラントでは?
「アマルフィよ・・・・【エザリア達】の拘束は終わったぞ」
「そうか、すまないなパトリック」
「いや、良いさ・・・・それにしても思いきったものだ。足つき内に工作部隊を送る動きを見せれば、息子に屈辱を与えたエザリアを始めとした者が何かをやる。例えば、お前の息子を消すような事までやるとな」
そうだ。敢えて極秘にしては多少漏れる形に足つき内への潜入を指示したのは内分を不穏分子を釣り出す為、ユーリからすれば苦渋の決断だった。パトリックにしても差し向けたメンバーは今後に邪魔な者ばかりを選んだ。
「息子に悪いと思えるなら、身内を危険に晒された怒りがどういうものかも理解してよう・・・・我等はこれからそれと向き合うのだ」
【~~~】
形にならない電子音が響いて来客の到着を確認した。アマルフィ家の書斎には有り得ないハズの来客が二名、私服で訪れた。
「ようこ・・・・いや、いらっしゃいませな場面だな【ロンド・ミナ・サハク】・・・・っ」
バゴォッ!
鈍い音が部屋に響く。ミナの傍にいた人物の鉄拳を左頬に受けて吹き飛ばされるユーリ、パトリックもケジメと聞いていたので口を挟まない。ダメージで膝を震わせながら立つユーリは放った人物に真っ正面から向き合った。
「殺しさえしなければ、好きにさせて良いとの伝言は伝えたからだ。暫く固いものは控えよ」
「構わない、私に対してだけとしたお願いを聞いてくれたのを感謝するよ【リン・アスカ】」
「マユが死んでいたら殺して良いともあった。それも真意のようですね」
仕組まれた出会い、リンの新たなステージを整える流れも動き出していた。
艦内でのMS武装使用する場合の私的な答え。