「ロンド・ミナ・サハク・・・・あの機体に何をした?」
「知らぬ、整備と微調整程度の域を念入りにしただけなハズだがな・・・・【エリカ・シモンズ】め、本当にカガリをアレに乗せてやりたいのか?」
叢雲劾の疑問はミナにも尤もなので話を逸らした。敢えて口を滑らすように知っている名前を出すのは誘いか否かを判断させるのを含めていた。
リンに襲い掛かる敵の正体をミナは知っているので非常手段を取るかとしたが、アレでは寧ろ相手が気の毒だから無用とした。
(せめて、殺して貰えれば良いのかもな)
結果の見えた勝負等つまらぬと断じるのは驕り高ぶりとすべきで油断大敵とすべきとはミナも多少は心得ている。しかし、例外もある。そもそも?
【見通せる結果を覆す為の力を代償にした者達等、取るに足りない】
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【貴様等なんかが(貴様等なんかが)】
リンに襲い掛かる者達には彼女の心の声が聞こえて来たし読めた。だが、その声色には何故か複数あるが、共通するのは心底の落胆、軽蔑、失望。
それが自分達の根底を全て覆して行く事を本能で必死に抗ったが、相手には容赦が無い。漸く与えられた黒い騎士を模した機体すら路傍の石のような扱いをされているとした次の瞬間。
【コーディネーターであるものかあっ!(コーディネーターであるものかあっ!)】
自分達はそれを超越した存在、アコードと名付けられた存在なのに、コーディネーターですらないと言い放たれた。反発するように戦意を取り戻すが、それは相手からしたらある程度歯応えがある方がやり易い形、狩りや訓練をした際に勝って当たり前な対象に感じた事が自分達に向けられたのだとは知る術は無かった。
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多少、盛り返したのか。自分に向かって来る連中はフォーメーションが取れ直してきた。だが、かえってやり易い!ミラージュ・フレームを振り回しながらカウンターを要所で当てるが装甲がアークエンジェルのようなラミネート装甲なのか、効き目が薄いので武装や機体の関節に次々と見舞う。ここは?
『味方毎ですか?』
援護が来たが、相手の比較的理知的そうなのが一瞬戸惑う形でミサイルが次々来るが、他は異にかえさない・・・・まあ、NJの影響下では追尾性が期待できないからだが?
『きゃあああっ!』
『な、何ですってっ!?』
散弾でしただ。他にも電磁パルスや煙幕その他諸々を用意してたが、何故か艦のCICにもどの種類を射出してるかわからないくらいにランダムに撃てるのを用意していたらしい。
やられた連中は此方に構い過ぎたせいか、かなり当たった。動きが鈍ったので、リーダー機らしき奴の肘から下を切り裂いて離脱。大体半分は戦闘に支障来てるが、列を組んでそれ程でもない速度で近づいて来ただと?
『行きますよ!』
『終わりだ・・・・【闇に落ちろ】』
ドクンっと感覚がブレた気がする。何だか知らないが・・・・【闇】だと、そんな児戯が。
(ここは任せろ!)
声が聞こえた。その【闇】は俺も事前に見た。
【完璧な失敗】
そもそも、何故コーディネーターは生まれたのかと言うより世界規模で生まれるようにされたか?
カナードさんが言っていたが。例えば、宇宙怪獣から地球の地下にでも眠っていた神話に出るようなのが予想されて、それと戦うのも想定した為とするのがまだわかる。俺みたいのもグレーゾーンだが、コイツらは既存の者に優位に立ちたいからと作られたようなものだ。だからこそ?
【復讐の対象内】
その意味を理解したのか、連中は悲鳴を上げ始めた。
『嫌あああっ!』
『嘘だっ!嘘だあああっ!』
アホらしい、聞くに絶えないとして損傷だらけな連中に駄目押しするように最大速度にした起動で撹乱するが、何だか見えてはいけないのを見てるような反応してやがる。
コントロール誤った奴の脇腹にある損傷部分を斬って一つだが、それに動揺をして他が乱れた。
次はサーベルを突き刺して、そのまま離脱で二つ目。
ライフルに対してビームコーティングされた実体剣をシールド代わりにしてるが、乱反射したビームが視界を遮ったせいで生まれた隙に背後のパックを斬りさいて三つ目。
何か恐怖したのかで動きが鈍ったようだから密着したゼロ距離ビームをコックピット付近の損傷部に見舞って四つ。
爆散か大破した四機を見上げつつデブりにしては巨大な浮遊物に着地して次を索敵したが?
「もう終わりか?母艦らしきものが確認出来ないけど・・・・」
『リン、どうやら相当に驕った連中のようだったな、未だに確認出来ない母艦か何かが来る前に退散と行こう、生存者はおるか?』
「脱出ブロックは・・・・働いてるようですよ、四つ共確認出来ます」
『ほう、全員引き立てて来るが良い】』
注文が多いが、捕虜からの情報があるに越した事は無いな。しかし、何だろな。こいつら尖兵や使い捨てじゃない気がする。
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「皆、皆が・・・・」
宇宙にいるハズの仲間達が全滅した。死んではいないようだが、これでは再起が出来ないとイングリットは理解したが、何故わかるのかと混乱していた。幾らなんでも地球から宇宙の状況なのにと。
「あらあら、うふふ・・・・お仲間がリンさんに不用意に喧嘩を売って負けたようですわね。駄目じゃないですか、複数で掛かる程度では勝てませんわ・・・・どうしますか、リンさんを【確実に倒せる手段】を使いますか?」
落ち着いたからとして、艦内を歩いていたイングリットを気遣うラクスだが、何が起きたかは会話に出た通りである。近くにいるとは知らないサーペントテールの傭兵やロンド・ミナ・サハクくらいしかリンには勝てないだろうとしている程にリンの評価は高いと同時にこう断じている。
【アコードは特にリンには相性が悪い】
だが、イングリットは泣きながらラクスの言葉に抗った。指で示された方向にはマユがいるのだ。つまり?
「マユ・アスカを人質に取ればリン・アスカを倒せると言うのですか、私はやらない!私にもアコードの【誇り】があります!」
「あら、それは結構ですわね。では、わたくしの目を見て答えなさい・・・・【母やオルフェがやれと言ったら?】」
涙が更に流れた。恐らく近い内にラクスが言う内容の指令が来かねないと理解している。それに自分が抗えるか?と。
「今はお泣きなさい、アコードと言えど人だとされる証ですわ・・・・人は泣いた分だけ強くなるか、そのまま潰れるか・・・・助けて欲しいなら、誰にそうして欲しいか自分で答えをお出しになるのですよ?」
意地悪だが、これがラクスの答えでもある。アコードには自分がどんなに遺伝子操作を施して特殊な力を与えられても人だと自覚してもらわなればならない、泣き崩れるイングリットを子供のようにあやしてあげながらラクスは笑っていた。
(貴女が来たのは幸いですわね、わたくしが貴女をナチュラルと変わらないからこそ尊い人間に戻してみせます。それが実母に対するわたくしの誓う【復讐】にもなるのですから)
泣いたりメンタルやられたりな担当が完全にイングリットになってるが、ラクスは決してイングリットを悪く扱ってるワケではない・・・・姉や母に付くのは【毒】と【鬼】のどっちがマシかになりかねないが。