機動戦士ガンダムSEED 赤い瞳の少女   作:くまたいよう

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 一応、主人公捕らわれ回。だが?


蛮行 ~せいさい~

「あいつが・・・・あいつが、リン・アスカっ!」

 

 後方から慌てて巡洋艦と言えるサイズの宇宙用輸送艦で駆け付けたナーエ・ハーシェルは帰還したアグニスに向き合っていた。デルタフレームは【核動力】である事をリティリア側に思わず告げてしまったのはミスかもしれないが、鹵獲されて調べられそうになったりな有事の際は自爆をするよう仕向けられていると聞かされていた故だ。知らされてなかったアグニスには彼の口癖の【我満ならん】の範囲を越えすぎている。

 

 一番の不安については【NJの影響が無い場なので核を使える理由は詮索はされないハズ】としている。それを除いても今のアグニスをリンに向き合わせるのはいけないとして何とか宥めた後にナーエは拘束をしたリンに面会する事にしたが、向かった先で見た光景に激怒した。

 

「誰がこんな事を許可したんだっ!?」

 

 拘束されたリンに殴る蹴るな暴行を加えたのが明らかな光景。何故こんな事をするか、自分達はこんな事をする為に今日まで研鑽を重ねたワケではないとしてナーエは羞恥心に身を焼かれながら室内にいた三名を叩き出してリンの手当てをしたが、リンは気にする気配が無い。

 

「死に化粧でもしてくれてるんですか?」

 

「わ、私達は火星で・・・・その」

 

 自分達の同志が流石に女性にこんな仕打ちはとして謝罪しようとした時に口に出せない自分に気付いた。この場にいない者が地球に住む者より火星に住む自分達の方が上だと優位性を示したがるとは知っていたが、それ以下の者達を見落としていたとして消え入りたくなる程の羞恥心が秒単位で膨れていた。例えば、交戦したアグニスが自分を引き渡せとか言ってたが、その真意は何だとすら聞いてすらもらえないので恐ろしい沈黙が続く、漸く話を始められたが、アグニスは負けたのに勝ったなんて図が我満ならんらしいから煮え切らない内容ばかり言ってしまう辺りがナーエの立場を現していた。

 

「貴女は、何者です・・・・アコードを完膚無き迄に打ち負かすなんて・・・・アグニスは、自分の機体ならば負けないとしたが、結果はこの通りです。地球でどう育ったのです?」

 

「何者で、どう育ったかって・・・・二世代目に分類されるコーディネーターで・・・・何か外が騒がしくなり始めてますね」

 

 何故アコードを知っているか聞かないのも気にしながら次の質問を考えるナーエだが、連絡に慌てて話を後にしてくれと退室した。リンからしたら、どうやら近くに来たアグニスが荒れ始めたとしたがどうでも良かった。

 

【此方は時間を稼ぐのが勝利条件だから都合が良い】

 

 そして、ミラージュフレームを解析し始めたメンバーは内容に頭を抱えていた。OSから何までパイロットを度外視した殺人的な仕様であるのはアークエンジェルのクルー達も思っていたが、GGユニットを接続して以来はリンしか解析出来ない仕様になっている。無理に進めると目次の無い学書が億単位で乱立しているような書庫に迷い込んだようになっている。

 

 ナーエは、リンへの蛮行を行ったメンバーに理由を問い質したが要領が得ないものばかりであった。

 

(おかしい、宇宙漂流でもした者が原因となった対象に過剰反応するような流れだ)

 

 ナーエが事情を問い質して出た答えはソレだった。決して粗暴とは言えないメンバーばかりだったハズだが、リンを目の当たりにして何かが刺激されて拷問紛いな手段に独断で及んだようだ。

 

【それが、今の時点では正しいが見落としを更に深める結論とはナーエですらではなく、ナーエだからこそ気付く術は無い】

 

 とにかく上層部がリン同様に機体も所望しているから自分が火星に着くまでは注意するしかないとして二日が経った。

 

 

 

 

 ――――――。

 

 

 

 

(捕虜の扱いなんて言える立場じゃないしな)

 

 リンは、最近はクルーゼにもらった櫛で髪を解かす程度は始めたからか、変に気を使う部分が増えた気がするとした。そろそろとした時に扉が開いた。

 

「万事、予定通りに」

 

「わかった。お前は・・・・シネ!」

 

 入室した男がナイフで喉元を突き刺したのを尻目に、持って来ていたノーマルスーツを着てリンはミラージュフレームに向かった。

 

(おい、殺す事は無かったろ)

 

(案外と甘いな君は、私は嫌いな事は多いと気付いたが上位に入るのは事情はどうあろうと無抵抗な女を殴るヤツ等だ。まして、君の中は居心地が良いのだよ。連中には鉄槌を下してくれよう!)

 

 何の事かわからないが、リンはまんまとミラージュフレームの中に入った。ノーマルスーツ姿で油断しきっているらしいが、経験がやはり足りなすぎなのだ。それに、先程死なせた者の有り様で確信した。

 

【アウラが目指した措置】

 

 火星のコーディネーターに分類されるものはリンの中にいる者に絶対服従を遺伝子レベルに組み込まれている者が存在するが、その内の一名がミラージュフレームのコックピットに入ったのが運の尽きである。

 

【一番手っ取り早い展開になった】

 

 そのお陰で此方に都合良く進んだが、後でおぞましい要素に向き合わねばならないとしてリンは示すままに行動を開始した。

 

『な、何だ。ミラージュフレームが動いているぞ!』

 

「艦内の方々に告げ・・・・~~~~っ、私に従いたまえ。私はこの少女の身体に【脳を移植した存在だ】・・・・私に従うのだ」

 

 実は全て間違いと言うワケではない、リンの方も言い過ぎじゃないかと戸惑うが利害は一致してはいる。

 

『何だ。どうしたのだ!?』

 

「アグニス君か・・・・【地球にいるお姉さん】に会いたいようだが、部下の躾がなっていない君には相応しい裁きを受けてもらおう。表に出たまえ、君は惨敗に我満ならんと喚いているようだから早速に再戦しよう。先に行くから着いて来い、断るなら艦内でライフルを使う。さっさとハッチを開けろ」

 

 何故こうなってるかわからないが、艦内でビームライフルを撃たれる事だけは避けたいクルー達は開けざるを得ない、発進したミラージュフレームを追うべく修理したデルタフレームで出撃しようとするアグニスはナーエに止められていた。

 

「アグニス、待って下さい!」

 

「何を言う、このままでは我満ならん!」

 

「我満ならんって・・・・それは、自分の部下が女性に暴行を加えるような事ですか?ならば、お行きなさい」

 

 アグニスは目を丸くしていた。何かがおかしい、リンの言動が豹変していたのはわかるがナーエも何かが変わった。姉の事を何故知っているかも聞き出したいが、それではいけないと言われている。

 

「ナーエ、今さらだがリン・アスカには何かがある。それを確かめに行くから、後を頼む」

 

 そう言ったアグニスを見送るナーエは不安しかなかった。勝てないとしているのではなく、リンには関わるべきではなかったのかもしれない。せめて、自分が最初から丁重にもてなせば時間さえあれば火星に連れて行けたのだ。

 

 

 

 ―――――。

 

 

 

 

 リンに着いていきながら暫く移動し続けたアグニスの目に入ったのは資料で見たザフトのボアズ要塞程度の小惑星が浮遊する場であった。

 

「では、この辺りで始めるか・・・・異論はあるかな?」

 

「質問がある。何故、こんな事をする!どうやって機体に乗り込んだか知らんが、わざわざ戦わずとも艦内を爆破するか乗っ取るかすれば良いではないか?」

 

「簡単だよ。私はね・・・・私は、ナーエ君を殺すのは気が進まなかった。彼はコーディネーターとしては頼りないが正しい在り方をしてくれている子だ。彼を含めた知っている例外は除き、あの輸送艦にいた者達のような・・・・今の時代に悪い意味でコーディネーターと分類される遺伝子操作を受けた者や関係者達をね、自分なりなやり方で皆殺しにしてやりたいのだっ!」

 

 凄まじい殺気を感じて身構えるが、正面から突っ込んで来たのでライフルを撃った瞬間にモニターから消えた。動揺した隙に背後に回ったようで推進部を蹴られたと理解した。

 

(ぐっ、落ち着け!奴の動きに対応出来なくても・・・・攻撃の一瞬を!)

 

 いくら推進力が遥かに上でも直線的なだけでは対処出来ない。ヒットアンドアウェイを繰り返されてダメージが重なるが、コックピットさえ貫かれなければ勝機はあるとして耐えた先、敢えて動きを止めたアグニスは正面からの攻撃が横に逸れた。虚を突けたので勝機として先日使わなかった実体剣で斬り掛かろうとした時に何かを投げたと思った次の瞬間。

 

「何っ!?」

 

 機体の脇腹をビームで抉られてしまった。

 

【ビーム偏向】

 

 リンがレイとのシミュレーションで発案した技、ビームコーティングされたナイフをライフルのビームで撃って軌道を変える奇策、コックピット内での爆発程度で済んだが、右半身が血塗れになった。小惑星の亀裂に逃げ込むが、激痛から気が逸れる事態が起きた。何かの光学迷彩施されていたようで奥深くにある異様な場に辿り着いたのだ。

 

「な、何だ。まるで放棄された戦艦の中・・・・」

 

「ほう、運が良い」

 

 追撃して来たリンを警戒するが、やはりおかしい。迷彩があるのを知っているような自然さだ。それを聞こうとしたら機体の背中を踏みつけられたようで凄まじい衝撃に呻く。接触回線でアグニスへの制裁が告げられた。

 

「ここは、ある男が嘗て自分の夢の為の中継地点として小惑星を改造したものが残してあった場だよ、システムだけでなく放置しても大丈夫な推進装置が生きている。それに火を着ける」

 

 どうやったのか知る術は無いが、言われたように外見が小惑星な後方にあった推進装置に火が着いたのがわかった。目的地を計算した図が周囲に無数に出たが?

 

「ば、バカな!このままでは時間は掛かるが、【火星に落ちる】ではないか!」

 

「おぉ、火星が心配なのはわかるが心配なのは火星の民か・・・・それとも?」

 

 画像には火星の画像があるが、場所が問題であった。

 

【オリンポス山】

 

 これは理論上であるが、数十から数千トンの岩塊を撃ち出し、火星から地球に対する超距離上毛用兵器にまで改造する案がある。地形まで使うのは戦いの基本であり、ただの巨大隕石に見せ掛ける事も可能。

 

「ナンセンスだな、棄民のように扱われた側の地球への無差別な報復ならわかるが、宇宙開発が夢に数えられた時代だったのではないか?」

 

「貴様、貴様ごときが言うか!それを言う資格があるの・・・・は」

 

「ほう、誰が言う資格があるのか理解しているようだね、結構。では、君は【無力】と言うものを学びたまえ・・・・私に身体を貸してくれた少女への蛮行の軽い制裁を兼ねてな」

 

 喚くアグニスに構わずに飛び出した。後は帰るだけだが、他に聞かせたら非難の的だであろうが?

 

【アグニスがデルタフレームを内部で核爆発させれば良いだけだ】

 

 そのままリティリアを探すが、前方からブルーフレームが接近して来た。

 

『ご苦労、どうやら心配無用だったようだ』

 

 欬のお陰で手間が省けた程度であるが、リティリアに帰還した時に次の騒ぎが起きた。リンの顔と身体の所々に残る痣を見たミナがリティリア内を震え上がらせる程の殺気を出したのだが、それだけではない。

 

「ぬあっ、今から・・・・【仕返し】に、行くですと!?」

 

「当然よ、あやつらには余の拾い物を傷物にした報いを与えねばならん!」

 

「傷物って言い方はヤメろ」

 

「そ、そうだな。リンさんもリーダーを叩きのめしたのだから・・・・って、アレ?」

 

「行ってしまったよ、リンも仕返しに乗り気なようだな、ミナ様はブルーフレームを借りるぞと目で語ってた。視線を逸らすだけで勝敗が決まる場合もあると覚えておけ」

 

 欬の淡々とした忠告にシニスト呆気に取られるしかない、女達が強いのではなく自分が弱いとする事に決めたのだ。

 

 

 

 

 ―――――――。

 

 

 

 

「アグニスは、あの小惑星の内部か!早く救出を!」

 

「後方から接近する機体を確認!リティリアからの脱走者だそうです!」

 

 慌てるナーエは、火星への小惑星落としに反発してリティリアから脱走した者と嘘をついて救難信号を出すブルーフレームを受け入れはしたが、内部でコックピットを開け様にミナとリンはスタングレネードから前時代的な爆竹を乱用した。そこからナーエ以外は無力化されて徹底的に撲殺手前に痛め付けられてしまう。

 

「なっ、何の真似なんですか!リンさんへの仕打ちに対する報復は私は敢えて受けるつもりですが、我等の星にあんなものを落とすような仕打ちまでする必要は無いでしょう!?」

 

「それは結果が出てから後の心配をしてくれ、手当ての御礼代わりにあんたは仕返しの対象外ってとこだ」

 

「そう言う事だ。では有りがちに・・・・へ~い、また来るぜベイビ~!」

 

 ヤンチャな暴走族紛いな言い分でブルーフレームを発進させた。リンは自分が言えた事ではないが、敢えてはっちゃけるミナが楽しげにする理由が未だに計り知れない。どのみち、火星は目当ての地では無いので敢えて流されるままである。




 火星のはオリンポスキャノンみたいのが考案中設定。
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