「ふむ、妙な具合にはなってないか」
リティリアに帰還したリンはナーエにしてもらったにしても念入りなと言うよりお医者さんごっことするべき治療をミナから受けていた。持って来た医療器具を試しに使ってのものだが蜂をけしかける訓練をしておいて何だとリンは思ってしまうが、劾やシニストからしたら構いたがっているように見えた。
「しかし、過剰報復の件はさておいてリンさんにこのような仕打ちをした理由は何なのだ・・・・っ」
「プライドを傷つけられたからだろうな、シニスト殿に説明したが火星は遺伝子レベルで能力に見合った人材を配置をする制度を敷いておるのだ。リンが聞いた事を合わせるとリーダー格がアッサリと負けて思うところがあったのだろう、下らん・・・・金持ちが平民の子供に学校のテストの点で負けた時に良くやるような範囲の低俗さよ」
「半分は当たっているかもしれないが・・・・そんなので良いのか?」
「半分当たっているというだけで充分であろうに、それで済ますべき事よ」
劾も口を挟むが、ミナには意にも介されないとわかる雰囲気だった。どのみち小惑星を止めたいならアグニスが内部でデルタフレームを核爆発させれば良いだけ、リンが何故か小惑星の事を知っていた事については言及はしない。何が起きてるにしても使えるものは有効に使うべきだ。別に自分達は傭兵学や論理を超越したものを否定するような立場ではない、だからこそ説明不可能な超越感覚を備えるそリンがここにいるのだから。
後日、火星に向かう小惑星は内部からの核爆発で軌道だけは逸らせた。まんまとリンの意識に潜伏した存在による揺さぶりと知っても意には介されない。
そしてプラント。
「何、リティリアの探索に行きたいだと?」
アスラン・ザラは撃破された際のコックピットの損傷で重傷であったが、漸く身体は動くようになっていたので父パトリックに対面して申し出ていたが、パトリックは呆れ混じりな冷ややかさであった。意図はともかく、何故ミラージュフレームに仕掛けたかはキラ絡みの私心としているが悪いところが若い頃の自分にそっくりだとしながら改めて一つ一つ話を進めた。
何故、リティリア付近にいたか。
そもそも、アレが本当にヘリオポリスやユニウス7にいた機体なのか。
パトリックは知っている自分がいうのは狡いと思うが、抑えられない私心に釘を刺す事にした。
「アスラン、率直に聞くが【友達】と【身内】のどちらが大事だ?」
それがアスランの問題点だった。ユニウス7落下の事態でキラを自分なりに救いたいどころではなくなった。ラクスも最近はデュエットを重ねて新境地を探っているが、それを気にする余裕すらない、辞任準備を始めている父に頼る程にだとした時。
「国防長、一大事です!【ボアズ】が占拠された模様です!」
「何だと!?」
難攻不落の宇宙要塞、これがあるから本国も安心としている兵士すら多い要塞がと声を粗げてしまった【フリ】をしたパトリックだが、二時間後に声明が届いた。
『我々は決起する。正当なるザフトとして!』
【ハリ・ジャガンナート】
「ほう、口だけでなく実行力のある男ではあったか」
アスランも知っている。国防委員所属の男であり自分の部下である男がクーデター紛いの事を起こした事に対する父の冷ややかさより近くにいる兵士達に目を奪われた。
【イザークにディアッカがいたからだ】
イザークは何やら顔に大きな傷があり、以前より狂暴さを滲ませる顔をしていた。
「ふん、エザリア辺りが手を回したかな。停戦後に睡眠措置が解かれてからも周りが大変だったからな・・・・むっ、何だあの幼女は?」
時代錯誤な格好で隅に座っている金髪の幼女の存在を仄めかすが、アスランは関心が行かない・・・・恐らく何かの協力者低度だとしている事にパトリックは呆れた。存在を知らないだけでなく、袂を分かったであろう同期に目を奪われるがままだったからだ。
―――――――――。
「一体、何が・・・・」
スカンジナビアに潜伏するマリュー達はザフトの一部におけるクーデター紛いの情報に戸惑うが、やはりNJの影響で電波が悪いらしく映像の一部が漸く入った。ニコルはイザークとディアッカ迄加わっていた事にどこか冷めた気分であった。リンに言われたように会ったら殴ってやるの心構えで良いのかどうかとしてたが、イングリットが震えを堪えているのを集まったメンバーが気付いた。
「イングリット・トラドール、ユーラシアにいたコーディネーターだから色々あるのはわかるが。軍に所属した者がそれで良いのか?」
ナタルの指摘は尤もだろうが、地球側の軍に所属していた経緯はカナ―ドに近いものと説明はしたが割り切れてはいないと見ている。能力があるのは事務仕事でわかっているがエクステンデットに近い精神状態と見なされているのだが、イングリットの関心は声明を出しているメンバーの隅に映っている【母】にのみ奪われていた。
マユが医務室にいるのでラクスと会う機会は増えたが、今日のは【同胞同士】としてなのでイングリット表情が暗かった。あるがままを伝えたがラクスはため息を一つ出すだけだ。
「あらあら、アウラは何故かジャガーナート国防委員の元ですか・・・・表情からして以前のままではないとしているようですが・・・・【怖い】のですか?」
見抜かれているのはわかっているがどうにもならない、以前のようでなくてもイングリットの元に何かの指令が来かねない、例えばマリュー達を皆殺しにしてラクスを連れて来いとする指令が来るとしたら自分はやろうとしてしまうだろうとして、その光景に吐き気を堪えるのが精一杯の最低な表情になってしまう。だがラクスはそれを尊いものに見ていた。
「良いのですよ、人が死ぬのを怖がっているのではなく、怖いと感じられる。ふふ、貴女には近い内にリンさんのところにわたくしを連れて行って欲しいですわ」
「あ、貴女は・・・・いずれリン・アスカの傍に行くだけで良いと言うのですか?」
「そうですわ、デスティニープラン結構。アコードのような改造も結構。しかし、世の中を良くしたい場合に大事なのは真っ当に家族や隣人と向き合いつつ地道な努力をする事です。それ以外に何が必要だと言うのです?遺伝子操作の優位性に酔った側にはそれは望めません。ですが、わたくしはリンさんという手本になる御方と出逢えました。それを大事にしたいのです」
イングリットは何を青い事をと言いたいが、自分にはそれが無いと気付いた。理由はまだわからないが吐き気を堪えるのが精一杯になってしまった行為を重ねるような事は。
【 】
その単語を浮かべた時に、イングリットの心は一気に決壊した。オルフェに抱いた感情が原因かはわからないが、思えばアークエンジェルに降りた時に感じた事がキッカケとはラクスに見抜かれていた。リンがいなかったのは幸いだったのかもしれない、マユの【闇】を感知したのが今までの彼女には致命的だったのだ。
「・・・・っ、だ」
「何を?」
「・・・・だ。私は【 】だ!私は、あんな事を!民衆を敢えて大量に、殺して・・・・それで、やっていた事があの女の、自分に従順な者だけを猫可愛がりされてた内の、一人なんて・・・・そんなのも、あんなのが母なの・・・・も。絶対に、絶対に【嫌】だぁぁああっ!」
イングリットが思い浮かべたのはアウラが言った事のような図で自分達を愛でて悦に浸っている図だった。あれでは自分好みな異性達を侍らすような者の方がまだマシだと全力で泣き叫んだ。
「良く、言えました・・・・本当に良く言えましたわ」
膝から崩れ落ちて、ひたすら産まれたばかりの赤ん坊のように泣くイングリットを見下ろすラクスの目は歓喜だけではなく、憧憬すら浮かんでいた。泣きたい時に気取った泣き方しか出来ないであろう自分には不可能な事。
自分が逃げ出す為の協力者以上に嬉しい存在に変わったイングリットにはこれからが本当に厳しい運命が待ち受けている戦いの始まりであろうが、今だけはとした提案をした。
「一緒にシャワーでも浴びましょう、リンさんには怒られましたが。年齢に相応しい女学生同士のスキンシップでもやってみません?」
手を差し出したが、一人で立てるとしてイングリットは泣きながら同行した。これでラクスは【復讐】の一歩目を踏み出せたのだ。イングリットは最適過ぎたが、それを気にする事も無かった。
――――その翌日。
「か、艦長・・・・じゃない。ラミアス大尉!」
チャンドラからの慌てた声が酒を飲んでしまったマリューの頭に響いた。マリューとて酒でも飲んで不安を沈めたかったのだ。何事かとしたマリューは見せられた光景に一気に酔いが覚めた。スカンジナビアの国境近くの難民キャンプと化した町が火の海になっている。
「まさか、中立に・・・・しかも・・・・い、いえ。とにかく状況把握を!」
病院を装った場に設けられた指令部とすべき場に焼き払われた町が映るが、映っている機体が問題であった。
「ストライク・・・・色が違うけど。発展型のようね」
部隊の中核を成しているだろう機体は戦車等の旧時代兵器を潰して行く戦い方はまるでとした時に通信が来た。
『ラミアス大尉!迎撃に出てくれ!』
スカンジナビアに受け入れてくれた議員からの連絡が来たが、マリューは躊躇してしまっている。確かに見過ごせはしないが、自分なりに理解しているのだ。あの戦い方はキラをぶつけるわけにはいかない類いだ。民間人に被害を出したくない迎撃隊の心情を察して有利な位置取りを行う手腕には相性が悪いとした時に今度はカナードから通信が来た。
『艦長、俺が行く。アレには俺が最適だよ、キラとニコルには待機させておけ』
「わ、わかったわ」
―――――――。
「星は・・・・まだ見えないな」
町を壊滅させた機体のパイロットは上空を見上げるが、時間がまだだとしている。
『スウェン、これで炙り出せると思うから。警戒を怠らないで、ノワールはまだ調整中なんだからね』
【スウェン・カルバヤンと、その乗機であるストライク・ノワール】
早期に完成した機体の実戦投入であるが、難民キャンプと化した町を破壊は後味が悪いが、彼等には了承すべき理由があるとした時、接近してきた戦闘機らしきものから放たれたミサイルが近付いたが距離が有りすぎるとしたが、照明弾だったようで目眩ましになった。そして、僅かにレーダーに映ったのは複数の戦闘機が一ヶ所に集まる図だが、自滅をしたワケではないと理解した時にソレがスウェン機の射程近くに着地した。
【インパルス】
スカンジナビアに送られていた試作機において、ストライクのエールを小型化したようなユニットを背中に装着したトリコロールのガンダムタイプが降り立った。
『此方は、不詳の傭兵部隊所属の者だ。貴様等の蛮行の理由を述べろ』
カナードは、飽くまで芝居掛かった言い分で通信を送るがスウェンは何となく理解した。本能であるのかもしれないが、それを気にする理由は無い。
『返答は、これだ。消えろ、コーディネーター共』
一言だけ述べてビームライフルを撃って来たのでシールドで防いだ。やはり自分が来て正解だったとして、まだ名前を知らない敵にカナードは向き合った。
詳細はまだ続きでだが、カナードのインパルスは書いたような状態なので原作ストライクとインパルスの中間ってとこです。
そして、イングリットのあんな母は嫌だ!な叫び。