機動戦士ガンダムSEED 赤い瞳の少女   作:くまたいよう

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 今回、電光石火回。


落日 ~ゆうやけ~

「バカな、何故あの白紫のパイロットが我が国の民だとっ!」

 

「しかし、アークエンジェルにいたという事は少なくともヘリオポリスの民では?」

 

 オーブに送られたのは大西洋連邦から会談の申し込み、心理戦や搦め手とわかってはいるのは何名かいるが、その中で静観を貫いているのは五大氏族と呼ばれる者立の一人である【コトー・サハク】であった。彼は表向き代表の座を辞したウズミの弟であるホムラを冷めた目で見ていた。アドバイザーになっているウズミがやはり実質指導者であり、例えば連合かザフトが攻め込んだりすればウズミが取り仕切る。その際に何かしらの不備があっても口を挟めはしないだろうとしている。

 

(ふん、ジャンク屋ギルドか傭兵部隊の関係者とか言い出さないのは上手いな・・・・彼等の背後にいる者が問題なのだが)

 

 大人しくしているコトーの気配を探るウズミだが、まるで動きが無いのは何故なのかを知る術が無い。何故なら養子の片割れが半身である存在の影である事すら度外視した行動に出たので自分なりの算段を停滞させているのだ。今はホムラと自分がひたすら応対するしかない。

 

(ミナよ、本当にこれで良いのか・・・・?)

 

 会議が終わって、私室でコトーはあの日を回想していた。

 

 

 

 

 ――――――――――。

 

 

 

『何だと、ギナとは別に行動どころか新天地へ行くのか?』

 

『その通りです。私は素晴らしい拾い物をしたのです!サハクを継ぐのはギナで充分、その後に来る問題を解決したい』

 

 解決するべき問題とは何かとする時にミナの目の光は変わっていた。そこからミナは熱弁を振るう。

 

『父上、コーディネーターは種族として何年もつとお考えか、半世紀程度だと思いますが?』

 

 出生率の問題からコトーとて頭に入れてはいる問題だ。これはコーディネーターを自分の養子としているコトーには他人事でないので聞かざるを得ない。

 

『では、その時に世界を導くのはコーディネーターか否か、例えばシーゲル・クラインが考えるようにナチュラルと融和を進めつつ交わりつつの回帰する為には寧ろナチュラルに近い者が良い。遺伝子操作の度合いから来る格差等が緩和される可能性がある』

 

『例の【リン】と言う少女のような者か?』

 

『アレは異端過ぎるとおっしゃりたいか、確かに無調整に等しく自己流で学んだのに能力的に突然変異の位置付けとなった女。【繋ぎ】には悪くないと思う。私はそのような候補が欲しいのです。誤った王道に対する当て付けには私は相応しくないのでな』

 

『ふん、そのような存在は今の情勢ではミラージュフレームのモルモットにされなくとも体よく抹殺されるか利用されるのがヲチだからお前は守ろうというか、傲慢ではないのか?』

 

『傲慢、結構ではないですか。私は自分の願望を満たす才能がある者に惚れ込んで愛してしまった。少なくとも無駄にすり減らす事はしたくないと願ったのです』

 

 

 ー―――――――。

 

 

 

 回想を終了したコトーだが、まだミナの真意を全て聞き出せはしていないとしている。リンと言うイレギュラーに対してだけなのか否かとする時に、それに踏み込めなかった代償を支払う時が来た。

 

 

 ー―――――――ー――――――――――――――ー―――――――。

 

 

「何事だっ!」

 

 凄まじい爆音と震動が行政府にまで響く。まるで落ちなかったユニウスの破片でも落ちたかの如く。

 

「通達来ました!【オノゴロ】の方面に未確認の物体が落下!上空から更なる未確認物体が降下して来て・・・・機種は【Xナンバー】に酷似したタイプ!」

 

「しゅ、襲撃だと言うのか。迎撃は?」

 

「だっ、だめです。システムがダウンしてM1の部隊が地上に出せません!」

 

 漸く形にはなったMSの数は決して多くは無いのだが、それでもシステムダウン等とは理解出来なかった。それが下準備の成果と政治家達には知る術は無かった。

 

 

 ――――――――。

 

 

「れ、レイ。指定された場所に何とか降りられたけど、シミュレーション通りにすれば民間私設とかに被害は出ないわよね?」

 

「嫌なら帰れ。何処かでシャトルに乗り込めば帰れるだろう」

 

「何よ、私だって覚悟はして来たわ!少なくとも今回の件はね!」

 

 レイとルナマリアは出自不明な兵器による先制攻撃後に贅沢だとする機体に乗って降下した後に一つ一つ指定された場を攻撃していた。

 

【カオスとガイア】

 

 複合兵装ポッドを装備したバランスの取れた紺碧の機体がレイ、バクゥを参考にした四足獣型に変型出来る格闘戦に優れた機体を調整により赤いカラーになる機体をルナマリアが操縦している。今回の任務はプラントに住んでいた者としてやらざるを得なかった。

 

【オーブに密約で渡されたMSを奪取する】

 

 それに関して、対象となった機体が問題に過ぎるからこそ二名は唐突すぎる初陣に志願したのだ。

 

 その頃、壊滅状態になった地下私設で必死に対象となった機体の元に向かう少年の姿があった。

 

【プレア・レヴェリー】

 

 柔らかい金髪をした柔和な顔立ちな少年は自分を受け入れてくれた国が突如襲撃された程度は理解したが、途中から凄まじい悪寒を感じていた。まるでソコに向かってはいけないとばかりのものだが、この事態に何もしないではいられないとした結果、感じた悪寒の正体に向き合ってしまった。

 

「ほう、コレが・・・・」

 

「そ、そこの御方。どこの所属ですか・・・・!」

 

 オーブの者ではなさそうな男に声を掛けてしまうが、振り返った男は黒い髪とサングラスをしていた。だが、何故かプレアには目の周りに酷い火傷をした金髪の男に見えた。

 

「ほう、私を感じられるようだが。今の私には響かんな」

 

「あ、ああ・・・・」

 

「どうした。私が誰かを聞かないのかね?」

 

 プレアが向き合ってしまったのは変装をしたクルーゼであった。今回の作戦の為に単身で先行をしていたクルーゼは事態を察した。

 

(レイ、やはり君は私にはなるなよ)

 

 プレアの正体を看破したクルーゼは何事も無かったようにハンガーにある機体のコックピットに入った。強奪を想定していないのはらしいと言えばらしいとしながらプラントから密かに持ち込まれた機体。

 

【ドレッドノートを起動させた】

 

 PS装甲を立ち上げてトリコロールに染まる機体を地下私設の一部が爆破されて開いたルートから地上へと出したが、M1アストレイと呼ばれた量産機体が同じく地上に出ていたので後ろからビームライフルで撃ち抜いた。

 

『な、何をするのだ!パイロットは、プレア君ではないのか!』

 

「申し訳ありません、やはりこの機体はオーブには預けられない」

 

 変声器でプレアに近い声にして応えたが、それに対する答えは期待通りである。

 

「こ、この【作り物】が・・・・マルキオ様の恩を忘れたか!」

 

 やはりとしながらシールドを掲げて突撃、M1からのビームを弾きつつ懐に入ってコックピットを貫いた。やはりパワーが本来想定していたフリーダムに近い、時間が惜しいので性能任せに戦わせてもらった。

 

『お、おのれ!マルキオ様には決して!』

 

 跳躍しつつビームを撃ってくる機体にも突撃しつつサーベルで横薙ぎにして斬り裂いた。どうやら口に出したマルキオを守ろうとしているようだが宛てが外れてるとクルーゼは笑みを浮かべた。

 

「残念だったな、あの坊主は【膿】を出してもらう役割があるので狙いの内ではない!」

 

 その後もクルーゼは、性能もそうだが漸く出てきたMSが迂闊にドレッドノートを攻撃出来ない気配を感じてオーブ行政府にドレッドノートをジャンプさせた。中にいる者達を確認したが状況は願ってもないものだ。

 

「ほう、逃げ出さぬか・・・・逃げ出さずにいるのは義務感か、若しくはチェックメイトを認められないのか!?」

 

 呼び掛けに対して機関砲で応えて崩れた部分からウズミ・ナラ・アスハを右のマニピュレーターで首だけ出る形に掴んだ。流石のオーブの獅子と呼ばれる男も激痛に悲鳴を上げ続けた。クルーゼもこの男の【裏】を知ったので抹殺の対処であったのだ。出来れば生身で手応えのある形に葬ってやりたかったが、今はコレが良いとしていた。

 

「ウズミ・ナラ・アスハ・・・・貴様の涙と悲鳴は新たなる争いの狼煙となる!だが、早目に死ねるのは幸せだ。晒し首にしてくれる!」

 

 そう言って握り潰した事によりウズミの首は瓦礫に落ちた。駆け付けた者達はウズミの首を回収するであろうとしながら別の事も考えていた。

 

「はは、フハハっ・・・・ハハハハ!【核動力搭載機】を遠回しに!密かに受け取ったオーブの獅子がその機体に命を取られるか!傑作だ。傑作だよ!」

 

 そう言って、指定された場に次々と飛ぶクルーゼの機体は漸く出撃出来た場から出てくる機体をモグラ叩きの如く破壊し尽くした。レイとルナマリアは機体性能もパイロットとしての腕も違いすぎるので立ち入る余地は無い。唯一の心残りについては極秘の通信を入れた女性が告げた。

 

『ご苦労様、要望通り【リン・アスカの両親】は無事です』

 

 別に気にする気配も無かった。仮にリンの両親を殺してもそれなら将来にリンが自分を殺すだろう、それは自分には幸いだとしていた。

 

『では、行こうか【エリカ・シモンズ】・・・・私の【死神】が帰って来てくれる日の為に』

 

 エリカは、その台詞に呆れを含めた視線を向けていた。死神ではなく女神になってくれる発想は無いのかとしたが、決して芽がないワケではない、今回の件はリンがいてドレッドノートの件を聞けば自分がやっていた範囲に過ぎないのだして当たり前のようにマスドライバーに用意された戦艦にクルーゼ達を乗せて夕焼けの空に飛び出した。

 

 この日、南海の宝珠ともされた国は自ら育てたと知らない闇に喰われた。




 クルーゼさん、暗躍はしないワケではなかった回。
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