「大丈夫か?」
帰路に着く中で青い顔をしたルナマリアにレイは声を掛けた。覚悟したとは言っても十五の少女の初陣にしては酷すぎる。地上の惨劇は生身で近くにいたら軍関係者の死体の焼け焦げる匂いで充満していただろう、MSのコックピット内から見てたからと割り切れはしない。
「くっ、悔しいけど。リンに言われた事がわかったわ。確かにこんなんじゃ、やっていけるのかって、言われたって・・・・レイは強いのね」
実は違う、レイからしたら敵だからで自分なりに見た弱点とは種類が違う。無関係な人間を死なすのと敵を死なすのは全然違うからだ。
どう取るか以前にルナマリアは行く理由があった。今回の経緯はシーゲル・クラインが密かにドレッドノートをオーブのマルキオと言う導師に送ったのが原因である。寄りにもよって。
【NJC(ニュートロン・ジャマー・キャンセラー)を搭載した機体を】
それにより核エンジンで動いているドレッドノートの奪取以外に施設や関わった人員全ての排除が必要なのだ。再び核を撃たれたくない元プラントの民としてやり遂げた形だが、オーブをああした程度で済む保証が無い。内通したと聞くエリカ・シモンズ達についても細心の注意が必要だ。難しい問題だらけだが、今はクルーゼに頼るしかない。
――――――。
「此処までする必要あったのかよ・・・・」
「ある。NJCが地球側に渡ったらプラントに核を使うだろう、地球のエネルギー問題をどうにかしようにも次に何かされたらどうする。今は地球側の核を封じているからこそな状況なのだ」
ロウに言い聞かせるギナの言い分はロウには理解が出来ても納得は出来ないとしたところである。
「ギナ様、予定通りの来客が参りました」
通すよう促されて入って来たのはロウが縁がある人物とその上官の妻であった。
【アンドリュー・バルトフェルド】
「ようこそ砂漠の虎よ、この一応は休戦な状況で会えたのは嬉しく思うぞ」
簡単な挨拶を交わしてショートケーキとバルトフェルドが持参したコーヒーで会見が始まったが、ロウからしたら何やら場違い感が凄かった。
「例の【お転婆】についての資料には感謝するが・・・・我々としてはそちらの好きにせよだ。体よく使われる筋合いは無い」
「そうか、我々もオーブがやっていた事には辟易しちゃったからねえ。それより本題だが、例の【白紫のパイロット】について何か知らないかい?」
「ふむ、白紫のパイロットが少女とはそちらの占領した街にも広まっているからこその話題、長い話になるが丁度良いか・・・・」
そう言ってギナはコーヒーを飲んだ。喋るのは喉が乾く行為だから潤す必要があるとした時だった。ギナの側に座るロウはギナの様子が何かおかしいとしていた。必死に平静を装っていて手を衣服のポケットに伸ばそうとしていたようだが・・・・【解毒剤が間に合わなかった】・・・・口からスウッと血が流れ出して倒れ付した。
「お、おいどうし・・・・い、いやっ。そんな事はねえ!そうだよなダコスタ!」
バルトフェルドの側に座る旧知の男に呼び掛ける。そもそも自分達もコーヒーを飲んだハズとしたが、入室して来た者が否定した。
「コーヒーではなく、カップに塗る手があるでしょう。コーディネーターとはいえ【毒】を完全に無力化は出来ない、しかし我ながら古典的な図ね。ギナ様は自分の遺伝子操作を過信したにしてもね」
「た、タリアさん。まさか、俺以外グルだったってのかよ!デュランダルのおっさんはどうなんだ?」
「さあ?少なくとも義理が付いていても【父殺しの罪】はどんな立場でも免れない。意義があるなら法廷なり何なりに申し立ててみなさい」
言う事も一理はある。クルーゼを向かわせた事でギナの養父であるコトーも死んでいた。ジャンク屋の名物男として知られるロウだが、このような事態には一人では対処が出来ない。当たり前のようにギナ急死についての後事を担い始めるアメノミハシラの住人達を止めようとも出来なかった。ロウはこの類いの世界を知らなすぎるのだ。
―――――――。
その頃プレアは、破壊され尽くしたオーブの施設は元よりマルキオがいた場を探したが人影が無かった。唯一虫の息だった者から聞き取れた場に一般人に紛れて向かうしかなかった。
(この先にマルキオ様が・・・・けど【南極大陸】は身を隠すには良いかもしれないけど、引き取っている子供達は大丈夫なんだろうか)
尤もなようだが、プレアも自分が見ていない暗部には立ち入れなかった。
「か、艦長。俺達は何に巻き込まれてるんですかねえ?」
「わからない、けどハルバートン提督からは連絡が来ない・・・・不規則な事態には臨機応変に当たられたしは事前にあったわね。何よりスカンジナビアにはもう居られないわ。ここは虎穴に入らずんばとかよ!【南極】に突破口があるなら行くまで!」
「しかし、こんなのを用意するとは流石は【シーゲル・クラインの母国】ですか?」
ナタルが苦虫を噛み潰したようたように述べる気持ちもわかる。開戦時にプラントが用意していたMSから艦船にNJの事を考えればこのくらいで驚いてはいけない。
【空母アマノムラクモ】
密かに建造された空母を使用させて貰っているがサイズはアークエンジェルが海上移動しているのと変わらない上にステルス機能まで備えている。ネーミングからしてオーブ辺りに流そうとしていたのかとしていた疑惑がある。少なくとも核パルスが不安なアークエンジェルよりは地上や海上を移動するにはマシなのかもしれない。
そして、多少落ち着いたイングリットの提案で実現した事があった。
「う、うぇ・・・・い」
捕縛したステラはエクステンデットと判明した。以前捕えたアウルやソキウスに所属不明部隊は余裕が無いのと聞き出せはしないのでカナードが放り出したが、今回はスカンジナビアに置きっぱなしにするワケにいかないので同行させたは良いが全く進展が無い、ムウとマユの聞いた事が事実なら【親父と赤い瞳】がブロックワードとは違う禁句。これはどうするべきかとした時にミーアが面会した。ラクスの影武者故にスカンジナビアで顔が効いたので発言権は増している。
(赤い瞳が・・・・もしや?)
そう言ってステラにイングリットの時と同じように【リンの赤い瞳】を見せた。アコードとは違うが見える類いなのだとした時、やはり最初は恐慌状態になり掛けたが?
「違う、ステラ・・・・怖くない・・・・この赤い瞳、ステラを・・・・助けてくれ、る」
「ふふ、そうですわね。どうですか、一緒に甘えて遊んで、面倒を見て貰うよう頼んでみませんか?」
「する~っ」
ラクスの予感は当たった。恐らく、リンへの刺客にするハズが予定が狂ったのだろうと。しかし、やはり勝負を早める必要はあるとして一計を案じた。その第一段階で丁度良かった事があるのでと実行したが、とんでもない誤算が生じた。
「ら、ラミアス艦長ならば諦めが着いたのですが」
バンッ、バンッ、バンッ!と、凄まじい効果音が響いたように感じた。
「わかりますよミーアさん、マユちゃんなんか将来有望ですしね・・・・」
ミリアリアが正直に言った。平均かそれ以下からしたらフレイにイングリットにステラもだが、言った通りなマユ相手でも気圧されてしまう。
【天使の湯】
何故か艦内にある温泉施設は本来はオーブの姫君でも迎える気だったのだろうとした。せめて相手がリンならとした時にフレイが何かを察して見下した目を向けた。ステラと殺し合いの激闘を繰り広げたマユが大人しくしているのだから大人をやらねばならないとして、裸の付き合いを催したミーアはイングリットが目を丸くするのを振り切って自分の正体を告げて明日への手応えだけは掴んだのは事実であるが、周りの目から下は見れなかった。
アークエンジェル×タケミカズチ÷2なオリ設定空母登場な回でした。