「勿論、デタラメよ。アイツは女子生徒の間じゃ昔風の女番長扱いされたりとかで、そこそこ有名だから把握してたわ。血のヴァレンタインの時は普通に数日前から頼まれてヴァレンタインチョコの作り方を教えてたわよ。当日は同姓から貰ってる始末だった」
どのみち近い内に耳には入るだろうと集められた主要クルーと学生達を集めた場でフレイは言い放った。キラは時々すれ違う程度でマユは身内だからとして客観的に言える人選だ。尤もマユは普通にリンと一瞬にヘリオポリスにいたので呆れすら混じった顔をしている。
「で、でも・・・・」
「何だよカズィ!この状況でも本当にそうかなとか言うのか?」
「違うよ、トールだって聞いたんだろ。リンがミラージュ・フレームに乗ったのはキラと違って仕組まれた流れだって・・・・リンじゃないって言ったら済まされる問題じゃないとか考えたってまだ全然足りないよ」
「ま、まあそうだよな。幾ら強くても女の子を殺人的な負荷が掛かるマシーンに乗せるような根回しされてたんだから・・・・今回の件も単にデタラメ広めた程度じゃないよな?」
「カズィ君とサイ君の言う事は尤もね。次の心配は撃ち込まれた側なプラント側がどう判断するかね。リンさんがまだプラントにいるとした場合、仮に正体が知れてたら危険って点ね」
「大丈夫、あの姉は悪意には特に敏感だから。何かあったら自力で何とかするわ、それより私達の艦と言うより共闘してたストライクがある場にミラージュフレームが隠されてるって思われる可能性が問題」
マユの返しは冷徹さすらあるが、実妹がこうも毅然としていては異論は出せない。情勢についてはハルバートンからの任務で隠密に近い事をしているだけとすべきな一部隊でどうこう出来ない。次に考えるべき事について、MSに乗る前のカナードのように戦術面での参謀を勤めるムウからはスカンジナビアから紹介された場を訪ねて次の戦いに備えるのが優先とされた。
「スカンジナビアと今回二人が出くわした機体見りゃわかるが、元々はXナンバーはハルバートン提督と言うか派閥の一つの判断からの産物扱いだ。他が開発成功してるとしたら俺達は良い目で見られないかもな」
「ま、まさか。リ、いえ・・・・白紫のパイロットをあんな風に広めたりしたのは」
「そこは迂闊に言い出しなさんな艦長、一番大変なのは嬢ちゃんだろうし。それより俺達がそんな内部抗争に巻き込まれないようにとして貰えてるとしたら、訪ねるかどうかなとこはもう一つあるぜ。一番危険な国だが行ってみたら嬢ちゃんが来てたな展開あるかもな国がな、一応両親がいるし」
「オーブですか・・・・確かに。聞いた通りなリンさんなら既にオーブなんて事があるかもしれませんね。それより問題はやはり記事の情報がプラント側にも情報が流れていた場合、どう反応するか」
「そうですね。特に・・・・いえ。言うまでも無かったです」
冷静さを少々取り戻したイングリットは敢えて避けていた国の名を出した。リンに関してオーブが絡んでいる可能性が高い、話題には出していないが、リンを連れ去った機体はXナンバーより寧ろミラージュフレーム寄りなのはユニウス落下の際にキラとブリッジにいたクルーは見ていたのでオーブとは近い内に何かある覚悟をした。
そして、ニコルが危惧して他が立ち入らなかった事は既に実現していた。
「本国に連絡を取れ!直ぐにだ!」
「お、落ち着いて下さい隊長!」
アスランはボアズを占拠したジャガンナート率いるクーデター派に会談を申し込む前段階の為にパトロール部隊と接触する任務を父から受けていたが、地球にいるニコルが危惧したように白紫のパイロットがユニウス7に核を撃ち込んだ者だとする記事が出回っていると接触した者達に言われて荒れていたが今までよりは同情的だ。
ヴェサリウスクルーにもユニウス7で知人を失った者がいた。まして母親ともなればとしたが、本国にそれを伝えるとなれば妻を失ったパトリックの耳にも入るとする流れは心配とは違うものだった。
【無能なナチュラル側がやりそうな事に惑わされるなバカ者】
パトリックが送って来た返答だが身も蓋も無い言い方であり、アスランですら頭を冷やしたようだ。
推測によると、今の情勢では送られた内容が地球側には戦争再開になるか否か、それにプラント側への揺さぶりになりそうだが、どちらかと言えば損害が少ないプラント側を結束させる事になるとしている。どう取ろうと考えが足りないとしている。
「それから、この後に読む事を心して聞けアスランだそうです。これを伝えてなかったのは、飽くまで話し合いたしの意を伝えたいが為だそうで」
その内容は自室にいるアグネスは教えられていたが、高笑いなものであった。
「あっははははは!凄いよシュラ。これ知れ渡ったらボアズに集まった連中って頭おかしくなるんじゃないの?」
「だろうな、ジャガンナートがボアズを占拠した際にザラ国防長が冷静だった理由はこれかもな」
シュラは、アグネス同様に学徒動員兵としてヴェサリウスに乗り込んでいた。潜入した間に別場所の仲間達が敗れて思わぬ頓挫をしたとしているがボアズに母がいるとして任務を続けた甲斐があった。何故か暫く連絡を経っていた母の策はアグネスに吹き込んだ事を内部から徐々に広める事で見事なものだったとしている。今は地球側が不利なのでバランスを整えねばならない。
「とんでもない話よね。ユニウス7がああなったのってさ・・・・今から向かうボアズにいるジャガンナートが関わった部隊が防衛網をメビウスの一機か二機がすり抜けられる程度に穴を開けちゃったから・・・・一応は非武装コロニーに起動兵器が近付いた事になるんだからね。アレコレ防衛を整える大義名分は成り立つって算段?」
「そうだ。メビウスの一機だけではコロニーには象に対する蟻の一噛みとやらだ。おかしいのは【一発だけ】核を持ち込んだのがブルーコスモスだとしても撃ち込んだのは何故かだ。不当に占拠したコロニーを奪い返すか奪われるくらいなら壊してやるで済まされたらどうなるのかな?」
「さあねえ。そもそもナチュラルに知られたら道理でユニウス7を撃たれた事ばっか騒ぎながらエイプリルフールみたいな事でド派手にやるワケだとか言われるわよ!自分達の自作自演で寄りによって核を撃ち込まれた結果でしたとかになる。シーゲル・クラインがコペルニクスで一芝居打ったとかキリが無いのに【ユニウス7撃たれた】を連呼してるけど、そいつらはどうして撃たれたか無視してる理由次第で立場無いし」
「うむ、その最たる例なザラ隊長殿は冷静にやれるかどうかだが」
「無視して片っ端からぶちのめしたがるの方がまだマシかも、あの隊長さんはインテリ気取りしたがる割に頭がはつかねずみみたいになっちゃう典型だから心配、私から見ても複数考えながらやる仕事適正は無いしね。昔のお武家さんには【ハゲネズミ】なんて呼ばれるのがいたけど、そいつって実は弟に社交性問われる部分を支えてもらわないと駄目なのだったそうだし。今のままじゃ行き着く先が御愁傷様な予感」
アグネスは決して全てを把握したワケではないがアデスが見たように聞いた限りなニコルのように都合良いのに支えて貰えなければまとめ役にはなれないのは見抜いている。
シュラからしたら見下せる対象が大いに増えた事を喜ぶアグネスの歪んだ思考も性根も毒虫と最初から例えていた身として僥倖だった。まだザフトでやるべき事があるのだし、アグネス同様に滑稽なものを見る楽しみが出てしまったのでフラストレーションの流し場があるのは歓迎だ。
(普通のコーディネーターにしては能力で充分なハズがニコル・アマルフィやミゲル・アイマンがいてくれた時の姿からして、絶対にあってはならない【最強】になってしまうのがアスラン・ザラと言う男・・・・母上がそう言っていたが確かにな)
密かに連絡を取っていたアウラの評は当たってはいたが、アウラが何故そうなれたのかシュラはまだ知らない、それがアスランと変わらない失敗とも。
そして、パトロール部隊の後に接触して来た顔見知りとのやり取りをアデスは呆れを通り越した目で見ていた。
「貴様は、ミゲルがやられた時に何をしていたのだ!?」
「ニコルを捕らえさせたお前達が言うな!」
「白紫に騙し討ち喰らった奴の言う事かよ!」
状況が落ち着いた後にまとめた事を罵詈雑言交じにやり取りをするアスランにイザークにディアッカ、ジャガンナートからしても最悪な人選だが【知っている】ので痴話喧嘩としてる。
退室してゼルマンと話すが沈鬱手間な声色である。
「アデス艦長、やはり若者・・・・いえ、子供を戦争に出すのはいけない事でしたな。目的の為には手段を選ばないではなく、手段を忘れてますよ」
「見抜けなかった我等が言えた義理ではない、アスランはユニウス7で母親を失くしているからまだわかるがな、あの二人は何故ザフトに入ったのだろうな?」
それはゼルマンすらが避けてた事だ。家柄の立場上に加えて英雄になりたい思考だったのではとした。自分なりにザフト所属の大人としての矜持を重んじたい者からしたら目的が不鮮明な者には顔をしかめる。
「しかし、クルーゼ隊ち・・・・いえ、クルーゼさんはどうするのでしょうな。何故か白紫の機体の少女にご執心と、これも元が不明な情報が出回っていましたが」
【少女】
少なくともクルーゼが自分に少女相手のプレゼントの相談をしたのは事実だ。あの時のクルーゼは冷徹さ等が一切無かった。俗っぽいと言うのは簡単だが、良く言えば人間味がある。
アレは知人の引き取った子が同年代に送りたがっている為にアドバイスしたかったからとしていたが、ハッキリ言えば嘘だとわかってはいた。だが、クルーゼが仮に自分達の考えた通りに変化するなら最も望ましい、自分達にはそうなったクルーゼが必要なのだ。
そのクルーゼが知っている場には既にいないと知らないが、知ったら喜ぶ事をしていたともアデス達は知らない。
「これが、リン・アスカのデータか。手書きのみとは用心深い事だな」
「はい、オーブ本国にいた頃に密かに集めていたもの。見ての通りに風邪を引かない程度の遺伝操作を受けたかすら怪しいレベル。プラントに住むコーディネーターに言わせれば【安物】で【無調整】ですね。発育は良いですから男ウケはしそうですが」
艦長室で渡された資料を見るクルーゼにエリカは敢えて下衆な言い方をしたが意に介されない。食い入るように見詰めているとした時にクルーゼは憤怒の色を滲ませた。
「貴様、この事を知っていてリン・アスカをミラージュフレームに乗せたのか!?」
「えっ、ちょっと何のこ、と?」
「感応波染みたものが実在して、それの理論通りだとしたら、ミラージュフレームのリミッターは彼女の戦意が高まれば簡単に破壊されてしまう・・・・そうなれば、余計な過負荷でどうなるかわからんではないかっ!」
「そっ、それは知らない。私はデータ通りにしたわ!言ったでしょ、アレは元々はカガリってお飾り娘用のMSの試作品よ!私達は開発に関わらされただけ!」
「そうか、私の考えが正しければ彼女はモルモット等ではなかったな」
クルーゼの次の言葉に注目するが、艦内には警報が響いた。
「むっ、海賊か何かか?」
「シモンズ主任、暗礁空域に反応。MSのようですが・・・・」
「クルーゼさん、話は後にして出れますか?」
「待て、この【クサナギ】はそんなに索敵能力は強くは無いのに引っ掛かったのか?」
そう言えばそうだとエリカは理解した。わざわざ引っ掛かって位置を特定させたのは囮か誘いの可能性が他界。
そもそも、ザフトならわかるが地球側だとしたらMSを実用化して間もないのに小惑星帯付近で仕掛けるかとした時に作戦は決まった。
「レイとルナマリアを先行させろ、深入り厳禁としてな。ドレッドノートを使わない場合な私の機体は【彼】に任す」
クルーゼの言うようにしてデッキでは組み上がった機体が用意された。
【ストライク・ルージュ】
ストライクとほぼ同型であるが、本来のとは根本的に違う仕上がりな機体だ。それを宛がわれた男は正直戸惑っていた。
『突然は承知だけど、貴方だって【弟子】を毒牙に掛けようとした連中に思うとこあるから切っ掛けは欲しかったでしょう。大丈夫、その機体はフレームをPS装甲にする機体の試作品として製造したから、貴方のファイトスタイルには合うハズよ』
「よかろう、この【バリー・ホー】・・・・面倒を見た者の責任は最後まで取る!」
短髪の鍛え上げられた男は肉体以上に精悍な気を纏って発進準備に掛かるが調整を進めるレイとルナマリアは既にコックピットの中であった。
「ね、ねえレイ。海賊な場合、どんなのだと思う?」
『知らん、どのみちラウのやる事に間違いは無いだろう・・・・何しろラウは・・・・』
「ラウラウって・・・・あんたいずれ【ラウハラスメント】とか言う言葉作りそうね」
本人が聞いたら背中が痒くなるような事を続けるレイに歯が浮くようだとしていたルナマリアは溜め込んだものを出したが、それに反発するレイに更なるカウンターが飛ぶ。
「そりゃわかってるわよ、怪しげな仮面だってワケありだったしで立派な人よ。あれで【ロリコン趣味】じゃなければね・・・・」
「待て、何だそれは?」
「十歳は下にご執心ってだけでそれでしょ、ましてリンみたいな中身がガキな奴じゃね」
レイは、何故ルナマリアがリンを子供扱いしているのか聞くのは止めた。ペースが乱されてしまうと直感した。
だが、それはブリッジにいる当のクルーゼに聞こえていた。
「操縦訓練ばかりやいきなり実戦で、通信繋がってるかが確認出来てなかったようだけど・・・・ですってさ・・・・」
「私は・・・・初めて他者を修正してやりたくなった。寄りによって女か・・・・」
「やれるものならやってみなさい、リンさんに会えて知られたら【そんな大人修正してやる】って言われながらやられるわよ。あの細身で握力百オーバー、ヒュペリオン体質に近い身体能力のパンチなんてアコードでも一発で殺され兼ねないわよはともかく。聞いた限りでルナマリアさんはリンさんの事をかなり子供扱いしてるわね」
「事実さ、あの娘は大人には大人をやって欲しいと言う願望がある・・・・子供らしい思考をしているよ」
「だから、酔っぱらいに冷や水を見舞われたってワケね」
クルーゼなりに気付いた事は正しい、ルナマリアにはリンがホームシックなのを他に言わないように釘を刺したがどうなる事か知れたものではなく道化を演じるしかないとした。
そして、レイとルナマリアとバリーが反応があった空域に出撃をしたが、やはり気になる事があった。
『あの、一回しか実戦やってない私が言うのもアレですが。いきなり大丈夫ですか?』
「し、心配はいらない。拳は剣に通ずとする言葉がある」
刃物ではなくMSを剣として良いのかは知らないが、女には弱いのかとすべき声色なバリーの機体は起動自体は無難であるがとした時に訓練で良くあるパターンだったので機体を剃らした次の瞬間にビームが通過をした。自分達の機体では射程外な上に戦艦並なビームであってルナマリアは慌てた。
「何よ、戦艦らしき反応は無いわ!」
「落ち着け、噂のストライクのような高出力ランチャーかもしれん!」
レイが言うのも尤もだがとした時にMSとは違う反応があった。紫色のメビウスタイプが三機程度としてしまったが、起動が並ではなく知識のある武装が展開された。
『ガ、ガンバレルってやつのようだけど、ビームじゃないの!』
ルナマリアは知識にあったガンバレルがビーム兵器として発展させた武装として実用させていたのは驚いた。自分達の機体はPS装甲をまだ実用していない技術で改良予定だがビームには有効ではない。
【エグザス】
ムウを含めたメビウス・ゼロを発展させた紫色のMAが編隊を組んで襲い掛かってくるがバリーには一案があった。
「レイ君、確か君のカオスにも・・・・どっ、どうしたのだ?」
『あ、ああ・・・・』
バリーとルナマリアはレイの異変を感じた。バリーがいけないとわかって、カオスを抱えて横に飛んだ後に先程の高出力ビームが通過して行った。尚も狂乱するレイにバリーは自分の算段が崩れたとした。カオスの複合兵装ポットはガンバレルに近いのだから知識のある者中心のフォーメーションをとしたが、これではいけない。ルナマリア機に庇われながらではとして回避していたが、いつの間にか小惑星郡に誘き寄せられてバリーの目の前には一際大きな隕石があった。これに正面衝突してはMSでもとした時。
「え、えっ!?」
バリーのストライクルージュは何やらバーニアとは違う起動でエグザスの側面に回って。
【殴り落とした】
再度、小惑星を挟んで別のエグザスと対峙したと思った時に何をやったか見た。
「・・・・【三角蹴り】ってやつよね」
ストライクルージュは隕石を思い切り蹴ってバーニアとは違う起動をしたのだ。確かにアーマーやMSの起動を予測しては虚を疲れるだろうとしていたら、今度は蹴りで撃破した。
「危なっ!」
更に砲撃が来たので思わずカオスを手放したが目の前には隕石郡があったので我武者羅に操作をしたらガイアがバクゥのような四足歩行型に変形したので連続で隕石を蹴り、バリー機同様な変則起動同然となった事に戸惑ったエグザスに両翼に装備されたビームブレイドで切り裂いた。
「や、やった!私って結構土壇場に強いのかもね!」
――――――。
「・・・・ビキナーズラックって奴かしらね」
「バリーは規格外だからともかくルナマリア君はかなりな曲者だよ、それよりレイを回収に行かせるんだ!」
プレアの件でこのような事態が起きるのを考えてなかった自分をクルーゼは恥じた。エグザスに乗っているのは間違いないだろうと。
(レイのような者ではなく、ガンバレルのような兵器を扱える人間のクローンを【大量に造った】・・・・どこまで愚かなのだ!)
そう憤る自分をクルーゼは滑稽とした。何故なら切っ掛けを造ったのは自分であるも同然なのだから。
バリーさんも出した(汗)