ルナマリア・ホークは実はプラントの中で稀有な存在だ。それなりに優秀でザフトのアカデミーに入れば恐らく【赤服】として卒業出来る地力はある。難点は見栄っ張りでミーハー気質なのが玉に傷で下手をすれば妙な流れになる少女だが、良く言えば一般人の思考で下手なあら探しをしたがるような偏見がそれ程に無く社交性があるのだ。
加えて、シーゲル・クラインやギルバード・デュランダル辺りに注目されている点は。
【家庭状況】
プラントに住めてる一家の娘で妹がいる=出生率に難のあるコーディネーターの中で生殖能力が良い方な両親の遺伝子を継いでいる。
だからこそデュランダルはクルーゼの手駒確保の為にを兼ねているがルナマリアをプラントから引き離す流れに協力した。彼女には外の世界を見て欲しいのだとしたが、クルーゼの思惑は既に逸脱をしていた。
―――――。
「あら、何か荒れる寸前ねえ。」
休憩室に入ったエリカ・シモンズは言ったような状態のルナマリアはバリーが連れ帰ったジョージ・アルスターがどんな男なのか興味半分で近付いた。
【それが不運であり転記だった】
『ふ、フレイィィっ!生きていたのかフレイィィ・・・・っ、パパは信じていたぞぉ!』
『は、はぃぃいっ?』
【アルスター外務次官は髪の色でルナマリアをフレイと見間違える程に精神を病んでいた】
これはクルーゼすら予期しなかった誤算であった。
妻を失い、残された娘を蝶よ花よと溺愛していたアルスターは、娘が住んでいたヘリオポリス崩壊に生きた心地がしなかった。ユーラシアのアルテミスに協力を頼みに行った際に軟禁されてしまった間に精神を病んだと居合わせた者達は徐々に理解した迄は良かった。
『フレイ、あのクルーゼに・・・・【裏切り者】にヘリオポリスが破壊されたと聞いた時に・・・・』
裏切り者とはどう言う事か聞き捨てならなかった。一方的な発言に聞き入ったが状態が危険域に入る程に表情も何も異変が起きた始めたのでアルスターに麻酔が撃ち込まれた。当のルナマリアは妥当ではあると思った。娘を溺愛していた故なのは疑いようが無い、ルナマリアの親も流石に溺愛とは行かないが自分と妹に愛情を注いでくれたので真剣さは伝わっていた。それがシーゲルやデュランダル達の期待を早期に開花してしまうか否かのキッカケとなった。
――――――。
「クルーゼさんが実は【ナチュラル】だったなんて・・・・」
「出生を偽って、プラントに行ってコーディネーターのフリをして知られての成果を叩き出してました。そしてプラント行きを進めたのはアルスターを始めとした大西洋連邦のお偉いさんってねえ・・・・一大スキャンダルよ。白紫のパイロットが実はユニウスに核を撃ち込んだパイロットなんて情報出回ってるけど、ソレに比べたらマシかってレベルなね。アルスター外務次官は一旦は麻酔撃ち込んで眠ってもらったけど、目覚めたら今度はどうなるかしらね」
「不祥事って・・・・シモンズ主任みたいにナチュラルでありながらXナンバー開発したオーブで凄い成果を出してた人だって【私はコーディネーターよ】・・・・へ?」
「隠れコーディネーターってやつね。地球上ではオーブ以外にも沢山いるでしょうね。けど、プラントじゃ違う・・・・仮にプラントに今回判明した事が広がったらクルーゼに世話になってる貴女の両親と妹にどう影響するかが心配なんでしょ?」
図星を突かれた。その不安が溢れそうだからどうにかしてしまいそうだった時に何気無くクルーゼが近付いて来た。まるで亡霊のように気配を消していたが、二人からは何やら妖気が漂っていたように見える。
「私の身の上について思うとこがあるようだがクサナギのクルーはワケありばかりで一番マシなのはルナマリア君くらいな状況さ、それについては質問があるなら正直に来るよう広める。それより提案がある」
提案の内容はアルスターが目を覚ました後もルナマリアを娘と間違えているなら聞き出せるだけの事を聞き出して欲しいとする事だった。あの男の年代と立ち位置でしか知らない事を少しでも聞き出したいとするのは尤もだとするがルナマリアには気になる事があった。
「あの、そんなあこぎやってたと知れたらリンに怒られますよ」
「私らしくない事をやっても怒られるさ」
上手い返しだとエリカは思った。リンの名を使うのがそう何度も通用するとは思えないが、聞き出せた話次第な予感というより期待があった。エリカは決してクルーゼに全てを任せているワケではない。
そして、一連の流れでエリカの頭の片隅に浮かべた存在に試練が訪れていた。
「艦長・・・・ザフトがいるかもしれねえ」
刺された傷のせいで良く言えば参謀役に徹するムウが緊張感を増した表情で述べたが、ナタルはある事に気付いた。
「大尉、かもしれないとは?」
「お、おう。前に言ったが、月で戦った時からな既視感があって、ヘリオポリス付近で相手がクルーゼだってわかったんだが、何かが違う。だから、かもしれねえって言っちまったんだが・・・・」
確かにヘリオポリスでは何故か相手がクルーゼとわかっていたのは戦場で命のやり取りをした間故な直感としていたが、フラガ家は代々勘の良さで知られているしリンのような例もあるのでムウが気になった方向に向けキラとニコルに何度目かな偵察をマリューが命じた。
――――――。
「何か、僕達ばかりな組み合わせだよね」
氷の大地を進むストライクとブリッツ、唐突なキラの発言の意味はニコルとて気付いてはいる。カナードが最近は単独行動ばかりでとしたが、自分やキラは情けない言い方をすれば積極的に組む側では無い気がしていた。自分はともかく、キラは一人で背負い込みガチになるので気負わせてはいけない以前に何かが足りないとしていた時に違和感があった。ストライクとの足並みが乱れているが、キラが疲労で操縦に支障を来している風でもとした時だった。
『に、ニコル・・・・逃げ、て』
「え、キラ・・・・うわ!」
ストライクのビームライフルがブリッツに向けて放たれた。狙いがブレているので百メートル程度な距離でも外れたが、キラの様子がおかしい。サーベルを抜いて襲い掛かるが、いつもの俊敏さが無い上に数回のシミュレーションで気付いていた事があるのでパターンが読めた。
「ブリッツの左腕狙いばかり・・・・」
キラは丁寧に武装を狙うようなパターンを優先させがちなので読みやすい。加えて丁寧さが売りな操縦が崩れている。跳躍してはエールストライカーの推力がある分不利なので回避に専念しながら得意な分野な通信を念入りに繋げて呼び掛けていた時だった。
『な、さい・・・・』
「え、この声・・・・」
キラに呼び掛けている声が聞こえるようになったが、声には覚えがあった。キラは本能で避けていたのかもしれないが、ニコルは実は【気付いていた】側だった。表向きはファンとて振る舞ったが、音楽を愛する者として最初から違和感を持っていたのだが、それを認めなかったのは信じたかったからだ。
『討ちなさい、キラ・・・・キラ・【ヒビキ】』
「ら、ラクス・クラインの声を【合成】している・・・・それに、ヒビキって・・・・【ヒビキ】?」
ニコルには覚えがあった。父から聞いた事もあるし、その名はプラントの極一部に知られていたのだ。回避が遅れてストライクの斬撃をシールドで受け止めた。好奇として通信出力を全開にしつつ、必死に意識を持った。
【下手をすると自分も飲み込まれる】
「キラ、聞こえますか!貴方はキラ・ヒビキなんですか・・・・年齢からして、貴方は貴方はまさか【ユーレン・ヒビキの息子】なんですか?」
それを聞いた瞬間、キラの何かが崩壊した。推力を全開にしつつシールドの打突でブリッツを弾き飛ばして倒れ付したブリッツに向けてサーベルを振り下ろそうとした時。
『~~めて下さい!』
別の声が響いた。ニコルとは違った中性的な声だが、それによりキラの意識が戻ったと同時にニコルは通信が聞こえた方向にライフルを撃った。ザフト兵ならではな非情さだが、狙いは逸れたのが幸いである。
「ニコル・・・・僕は」
「話は後です。向こうに【元】があります!」
向かった先にあったのは中破した武装トレーラーのようだったが、正に直撃だけは逃れたような惨状であった。乗組員が死亡者二名に軽傷者が一名だったが、意識を失った軽傷者は何処かニコルには既視感があった。
「意識はありますか?貴方がキラを止めてくれたのですね・・・・」
「ぼっ、僕は・・・・」
そうしている内に後方からインパルスが合流してカナードはニコルが手当てした少年を見て酷薄な笑みを浮かべた。
「ほう、顔からして貴様がプレア・レヴェリーか・・・・資料で見たぞ【地球軍産のクローン】だとな」
思わぬ言葉に混乱し掛けるが、この場にいるのが自分にとってのパンドラの箱の鍵と中身の真相であったとキラは知る事になる。
プラントのコーディネーターの中で妹持ちで一般人思考なルナマリアって、稀有なのは確かだと思うな回でフレイ父は精神かなりやられてたが?な回。