機動戦士ガンダムSEED 赤い瞳の少女   作:くまたいよう

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 無印のようでデスティニーでフリーダムな展開の産物な一つ。


血吐 ~せんげん~

 プレアを連れ帰り、マリューにナタルにムウを加えた取り調べが開始された。

 

 何故カナードは知っていたのかについては、最初に聞いた生い立ちで探った成果だとはマリュー達も予想出来るから敢えて聞かなかった。ソキウスやエクステンデットの時もそうだったが、自分達が今の時代に起きている現実を見てないだけとするべき程度は考えている。

 

 クローンという生い立ちにも唐突なので驚いたが、公開な遺伝子操作等に食い付いて半世紀弱経ち、とっくにコーディネーターを億単位に生み出した世界で今更クローンくらいで驚く事もないとカナードは冷静だった。

 

「確かにだが何故生み出された次第だろうな。答えてもらえるかプレア・レヴェリー?」

 

「僕は、フラガ大尉のような空間認識能力を持たねば扱えない武装を使いこなせるパイロットを養成する為に【元になった人物】から製造されたクローンです」

 

「ほう、確かにエンデュミオンの鷹と呼ばれ出すような成果を叩き出した大尉のようなパイロットが大量にいてくれればクルーゼが乗っていたようなシグーを開発した場合、大きな戦力となるな」

 

 ナタルの問いからのやり取りを聞く側の中では、ある疑念が浮かんだ。ならばムウも何らかの手段で元になるものを何かしら取られてクローンが生み出されてるかもしれないと。それより聞くべき事をムウが切り出した。

 

「で、何故に君はキラとニコルに襲い掛かった連中と一緒にいたんだい?」

 

「僕は、その・・・・」

 

「話せないのなら吐いてもらうぞ」

 

「ま、待ちなさいカナード君。捕虜でもないしキラ君に何かを仕掛けてたところを待ったを掛けてくれたんでしょ?」

 

「キラが動揺したせいで口に漏らしてたが、リンを攻撃させたのと同じ手段でニコルを襲わせた奴等と一緒にいたとしてもか?」

 

「り、リン?そ、誰の・・・・」

 

「知ってると声色に出てるな、何を話せないのか大抵は想像つく、丁度確信は持てたから俺から何もかも言ってやる。個人的にウンザリしてたにせよキラの【試作品】な俺がな。二人揃って目を覚まさせてやる」

 

 カナードの言い分は聞き捨てならない内容が含まれているが、キラも覚悟を決めた。少なくともニコルに迄攻撃してしまう自分は向き合うべきだとしたのだ。

 

「い、言って下さい!僕はリンだけじゃなくてニコルにも攻撃してしまった!あんな事はもう嫌なんです!リンの時に聞いた事を隠してしまった非難も罰も敢えて受けます」

 

「隠して・・・・いえ、それだけの事のようだから後にするわ。カナード君、この際に全部言いなさい。貴方について気になる事が多いからだけど、私達は貴方を信頼してる。リンさんと同じで個人的な事しか考えてないにしても私達を守ってくれたのは事実とわかるわ」

 

「わかった。先ずキラについてか、お前は今の両親の実の子供ではない、最高のコーディネーター。スーパーコーディネーターとでも呼ぶ存在を生み出す研究を続けていた【ユーレン・ヒビキ】が開発した人口子宮、それにヒビキ博士の子供を身籠った実母の子宮に宿った受精卵。つまりお前を移され、その中から産み出された存在だ」

 

 周りがいきなり衝撃的に過ぎる内容に愕然とするがニコルはやはりとした。キラの細かい事情を聞いたが、例えば大気圏突入をした際にコーディネーターでも訓練してない一般人だった者が推測出来る負荷に耐えられると思う程に愚かではない。だから先程の戦いでヒビキと聞いて推測が急速に立てられたのだ。

 

「そして、俺はお前のように基準は満たせなかったが一応は生まれる事が出来た存在だ。失敗作と言われたが一応は試作品にはなれるような内とやらか、だからヒビキ博士は自分の子供となる受精卵を人口子宮に入れて生み出したようだ」

 

 キラも周りも既に足元が崩れたようになっていた。自分達の顔が似ているのは親族か何かの受精卵を使ったのかもしれない、人口子宮とはメンデルにあったようなカプセルと語られた。カナードはメンデルを知っていた事を敢えて口にはしない理由がある。そもそも何故人口子宮等と漸くな質問が出来たマリューに返した。

 

「簡単だ。コーディネーターの産み出される迄の最大の不安要素とされたのは母体だ。どう遺伝子操作をしても、その後に母体に僅かにでも影響されては予定通り行かなくて目の色が違う等という下らん理由で捨てられる子供が生まれて捨てられたり依頼された側に抗議が来たりする事態になるから【商売】として成り立たん」

 

「しょ、商売だぁ?おい、幾らなんでも・・・・」

 

「今更何を言う。ジョージ・グレンの告白とやらで起きたブームに飛び付いたのは金を持つ側だ。金が飛び交う時点で商売になってるさ、それにやりまくれたからには誰が主導していたかはともかく下地は整っていたとするべきさ」

 

「か、カナードさん。貴方はそれをどう知ったんです」

 

 カナードはメンデルでデュランダルから渡された資料を足して今まで自分がまとめたものの一部を出した。言うような事に加えて、カナードを含めてどれだけの犠牲を出して自分が生まれたかを知りガクガク身体を震わせるキラは発狂しかけるが、以前にフレイに言われた事が頭に過る。

 

【それが甘えだって言うのよ!】

 

 フレイの一喝を思い出して持ち直す。連想させる事もだが、実はキラにはそうできる理由も他にある。

 

「か、カナードさん!それは決して僕絡みだけで済ませられる話ではないですよね!?」

 

 周囲は目を丸くするし、カナードは感心したので話を切り出した。ここはキラにも手を貸してもらう絶好の機会だからだ。

 

「そうだ。例えばそんな研究していたような場が一つや二つでない保証は無い、更にはプレアのような方向で生み出された存在迄いる。これだけでお前が完成品なのかどうかだけで済まされない、更には研究過程で捨てられたか逃げ延びて、俺みたいに連れ戻されられずにいれた連中が仕返しや悪巧みをしてたり、更には【製造側が次を考えていたら】益々だな」

 

 キラはやる事が示された気がした。仮に自分の出生に何故とか言い出すならカナードが言うような事に幅を広げなければならない。そしてカナードは当面の問題でキラに都合が良い事を述べた。

 

「お前がリンやニコルを攻撃したのは、生まれた辺りで何かを刷り込まれてたせいかもしれんが、そこから行き着く問題はリンだな。ヘリオポリスで偶然でなく仕組まれたりして戦い始める事になり、ユニウス落下の際に決死隊紛いな事をさせながら妙な事して攻撃させた方が重要度は遥かに上だ。何をするにしてもリンに悪さしようとしてる連中の事も調べないとならん、でなければ事態を解決したつもりで黒幕には逃げられるのが目に見えている。お前には悪いが単に重い設定とやらが増えた程度に済ませろ」

 

 キラについてはまとまった。ニコルは口を挟まないでいたがキラがユーレン・ヒビキの子供としたのは正しかったしラクスの事を言い出さないのはカナードに考えがまだあるハズだと。キラからしても、そんな流れではニコルのような要人の息子が何か知ってたとしてもおかしくはないと理解した。

 

 次はプレアだが、何故か信じられないようにしているのはキラの秘密を知ったからとした。

 

【しかし、真相はキラが生い立ちを知った後に自力で持ち直したのが完全に想定外だったからだ】

 

「プレア、話を戻すがお前が知ってる事を全て吐いてもらう。何故こんなとこにいて、キラにちょっかい出した連中と一緒にいたのかをな」

 

 これは荒事もやむを得ないとマリューすらが思っていた時にチャンドラから緊急の呼び掛けがあった。衛兵に任せてアマノムラクモのブリッジに戻るが、キラにとっては更なる苦難の始まりであった。

 

「プレア君の属した連中からの呼び掛け電文よね・・・・暗号が連合のもので・・・・解析は?」

 

「はい、これで解け・・・・っ!?」

 

「な、何だって!?

 

【我々は、先日にオーブが何者かに軍施設の大半を破壊される形な襲撃を受けた際に南極に逃れて来た者達だ。その際にキラ・ヤマトの両親も保護してある。二名を引き会わせるのを条件に指定された場の会談を要求したい】

 

 内容が内容なのでブリッジクルーには一旦退室してもらった。流れからしてカナードからの話を聞いた側だけで考えた方が良い。

 

「オーブがそうなっていた理由も気になるが、これではな・・・・どうするキラ、お前の両親が人質に取られたようなものだぞ?」

 

 どうするかと言われても、二人はキラにとって良き両親だった。カナードが言う事が真実だとして・・・・そこから急速に思考を回転させた。

 

(僕は物心ついた時から父さんと母さんに普通に育てられた。最近はオーブで、リンみたいに努力家じゃなかったけど・・・・リン?それに・・・・それに僕は)

 

 急速にまとまって来た。仮に自分がそんな身の上ならブルーコスモスに狙われたりするだろうし、何より。

 

「か、艦長。突っぱねて下さい」

 

 キラは全身を震わせて涙すら流していた。仮にだが、仮にだがとしながら。

 

「僕は、オーブは信用出来ない。あの国は連合と繋がっていた!それに、コーディネーター絡みを受け入れていたなら・・・・オーブの首脳陣や脱出した人々は・・・・【僕の出生を知ってるかもしれない】!それにユニウスが落ちる際の戦いで僕は聞かされたんだ!ヘリオポリスがああなったのは【リンをミラージュ・フレームに乗せるのが目的だった】って!それに、僕にリンを討ちなさいって呼び掛けたのは【僕にリンを討たせたかったから】なんです!自分が強いって思う相手を討てって!」

 

「何だと、君については尤もだが。ヘリオポリス絡みがリン・アスカ絡みが原因だったと言うのか!?」

 

「それに、リンさんをキラに討たせたかった理由も気になりますね、僕も同系統な手段でやられ掛けたから・・・・」

 

「し、しかしだな。坊主の両親がどうにかなっちゃお仕舞いだぜ?」

 

 尤もだ。ならばどうすればとした時。

 

「良い案がありますわよ」

 

 ミーアがイングリットを連れていつの間にかブリッジに入って来たが、その瞳は色を無くしたようになっているのを含めて笑っているが目は笑ってないの見本である。

 

 

 

 ーーーーーー。

 

 

 

「キラ!」

 

 指定された場にあったのは南極にある地下シェルターだった。ストライクで入って格納庫に降りたキラを出迎えたのは言葉通りにキラの両親である。

 

【髪をオールバックにした温厚そうな顔立ちのハルマ・ヤマト】

 

【紫のかかった黒髪をやや波打った髪にしたカリダ・ヤマト】

 

 二人はキラの生存を喜んでくれたが、キラはミーアに言われた事を問い掛けた。

 

「父さん、母さん・・・・オーブで何があったの?トール達の家族は無事なの?」

 

「え、いえ・・・・私達は【マルキオ導師】に連れられて来たのよ?」

 

 カリダの言うマルキオは後方からゆっくり近付いて来た。盲目のようで子供達に手を引かれているが、考え通りなら。

 

「君がキラ・ヤマト君・・・・【SEED】を持つ者と会えて嬉しいですよ」

 

「【SEED】・・・・いえ、待って下さい!僕はオーブが何故焼かれたのかとトール達の家族が無事かを知りたいから来たんです!」

 

「いえ、君は私と来るべく来たのです」

 

 カリダとハルマがマルキオは少々疲れてるし目が駄目になってから少々、悪く言えばズレているとしたがキラはミーアに言われた事がわかった。

 

 彼女が知るオーブやプラントの暗部の中で考えられる可能性にマルキオの名があった。

 

 両親はマルキオが立ち上げた宗教に嵌まっている可能性があるし、それと同じレベルにいるべきだと。その宗教対象に【SEED】という単語があるのだろう、危険と感じたら言うべき事を言ってコックピットに帰りなさいと言われたが、そう判断出来たのは耳に着けた小形マイクだ。何故かミーアの鼻歌程度な歌が流れているが、それが自分をあの時のようにしない為と説明されて理由はわからないが正しかったと確信した。

 

「母さん・・・・僕は、一つ母さんに言わなければならない事があるんです。僕は【イングリットさん以外のアコード五名】を一人で叩きのめした子にお礼をしたい」

 

 カリダは目を丸くした。それでキラは全部確信した。何故言わなかったのかは知らない、だが言いたかった。

 

 オーブに来る前、ブルーコスモスによるテロの最大の標的とされている自分を引き取って育ててくれた。だけど、そのブルーコスモスの工作員が潜伏しているだろう月面都市コペルニクスで生活していたからには何かしらのコネが沢山あった。極論かもしれないが言いたい、何故自分をコーディネーターにしたのと言いたかったと仮定したのとは違うが。

 

【なら、何故それをアスランのお母さんや他の人々の為に使ってくれなかったの?】

 

【何故、地球圏で暮らしたがったの?】

 

 まだまだ言いたい事はあるが、カリダの表情に打算が浮かんだのを気付いた。それはそうだろう。キラは自分とは違う形に研究された存在程度の説明しかされてはいないにしても、言った事を母の立場で考えた場合の結論。

 

 

【キラがアコードと戦う必要が無くなった】

 

 

 親のエゴと迄はいかないが私心を出してしまう事を責められはしないが、自分の友達や恩人を二の次にしたがるのに近い思考をしているのは見たくないのだ。

 

「じゃあ、一旦帰るよ。僕はあくまで下見に来ただけなんだから」

 

 そう言って呆然とするカリダと事情がわからないハルマはキラを見送り、マルキオは自分の算段が完璧に崩壊して子供達に支えられてもらわなければ倒れ込む迄に自我を無くしていた。ストライクに乗って帰路に向かうキラは短時間で涙が枯れたようだ。そんなキラを有事に備えてと言うより探りを入れたいからコックピットに隠れていたミーアが労った。

 

「これで安全ですわね。あの御方にはまだまだやって欲しい事がありますし、後はリンさんが帰る辺りが勝負ですわ」

 

 悪戯っぽく笑うミーアには酷薄な色が宿っていた。キラは自分のもしもを見ているようだとして目を合わせられなかった。仮に両親が知るのと逆なエゴイストだったらこうしてしまったのかもしれない、影武者である内でしか聞かされてないがミーアも同じなのだ。母にこう言ってやりたいのだろう。

 

【選択の自由があるのに、わざわざ子供を戦争なんかに巻き込まれるに決まっている環境で暮らさせる親なんて大嫌いだ】

 

 カリダは把握してないだけと言いたいが、ミーアの親は酷すぎたのだからと。

 

(リンだったら、自分が身体を張るし泥を被るから・・・・早く、帰って来て欲しいな)

 

 当のリンがプラント周辺にいるとしか考えられない状況故だが、このままだとミーアが何かを始めた場合に止められる可能性があるのはリンだけだとキラは痛感した。

 

 そして、更に事態は加速する。




 キラのメンタルが原作と比べて安定しまくりな故にアスランではなく両親に友達がいるから宣言出したような系統とすべき回。

 そもそも、一例として無印時代のマルキオみたいに半死半生なキラをプラントに連れてく事にキラの両親は何も思わなかったのか?な視点からの一幕な回でした。
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