「つまり、マルキオはキラを呼び出して両親のいる場で出生の秘密を公開して不安に押し潰されているとこを籠絡しようとしたワケだな、哀れな子羊を導いて高いとこにいたがる類いな宗教家の典型ではないか」
キラが帰還した後にミーアとイングリットを加えて再開されたプレアへの尋問で漸く聞き出せた事をカナードがまとめたがマルキオは味方か否かとすべき事で否に偏っている推論混じりなのはプレアは否定できない、自分が思わず待ったを掛けた手段でキラに同士討ちをさせかけたのが理由であるし、聞いた限りで少なくともマルキオは完全に計画倒れとなっている。下見から帰って二日で音沙汰が無いのだ。
【それに、キラを両親に再度近付けては危険と判断した。無理矢理に連れて来るべきだったかもしれないが、二人を使う以外の手段で何かをされては厄介だ】
更に考案を重ねたが、要するにナチュラルとコーディネーターの争いに疑問を持つ者達が集まる場でマルキオの言う【SEED】と呼ばれるものを持つ者が云々はわかったが、当の対象が何の事かとした時。
「確か、Superior Evolutionary・・・・次は・・・・ Elemen Destined-factor・・・・キラ・ヤマトがストライクを起動させた時に出るOSの頭文字を取ってガンダムと読んだ事があるな、それと似た略し方で【SEED】・・・・まさか、これの事か?」
ナタルが唐突に聞き慣れない事を述べた。プレアもそこまで詳しくはないので反応は無いからナタルが知る事を話してもらう。
「自分の家は代々軍人の家系、その実家の教育で聞いた事があるのです。以前に学会で発表されたが泣かず飛ばずで取り合われなかった。まあ、内容は眉唾物でした。優れた種への進化の要素であることを運命付けられた因子とか、ナチュラルやコーディネイターは同胞で、その中からやがて現れる、人と世界を融和する存在であると提唱したとかです」
「マルキオ導師は、それを掲げてナチュラルとコーディネーターの融和を図っています」
「だとしたら、名指ししされたキラが双方を融和させる役になるのかだが、こいつがそんなになると誰が思える。第一に融和とやらをやるのは調停者とされるコーディネーターの役目だったハズ。SEEDを持ってない側に分けられるとしてもコーディネーターが融和をしてもらう側になってる思想は完全に看板倒れではないか、ニコルみたいのは除いてプラントに住んでるコーディネーター市民に聞かせたら暴動が起きるくらいに怒るかもしれんぞ?」
本人すらカナードの呆れを隠さない言い方を否定できない、そもそもキラ自身はリンにカナードがいてくれなかったら一体どうなっていたか考えるのも怖いのだ。寧ろ怠け者な自分より名を出した二人が責任ある立場になってくれるか、どうしてもやるなら自分は二人に協力してもらわないと駄目だが現実的な考えとして、途中からのは更に尤も過ぎて言葉も出ない。
「まさかと思いますが、マルキオと言う御方はヒビキ博士の関係者なのでは?」
ミーアのフリをしたラクスからの当たらずとも遠からずになる白々しい言い方だが、知らない側からは仮にそうだとしたら自分の生み出した者を頂点にした世界を作りたがる男とはなるので決して不誠実ではない、プレアはマルキオの言う存在が一人だけとは聞いていない。
「けどよ、仮にナチュラルとコーディネーター関係無く出たとしたら逆効果じゃね?」
ムウが思うのは、出る者がナチュラルに多ければコーディネーターが何かする。逆にコーディネーターに多いとしたら今の風潮を肯定するだけと簡略にまとめるが、ナタルは次を切り出した。
「そもそも、原理が火事場の馬鹿力とやらか良く言って集中力の極致。昔からスポーツで言えば【聖域と書いてゾーン】と読むような域に達していた者を指しているとされたりしていました。戦で言えばフラガ大尉が出来すぎだと言いましたかが、月の戦いでメビウスゼロでジンを五機も撃墜した時のような戦果を挙げたように古来より戦士やパイロット達が極限に能力を出したような例、それだけなら良いが脳内にある成分の・・・・悪く言えば脳内麻薬が引き出されてとかも」
「何だよソレ、そのスポーツかニコルが好きらしいピアノで神憑りな成果出すか、リンが片っ端から食材を旨いもんに調理してくれてた時みたいな状況だけならなあ。それに、その類いって乱発すると脳や精神が身体と一致しないで疲労や周りとの隔離具合が深刻らしいってのも昔から言われてるが、そういうマイナス部分に目を背けてるマスコミや理論家かっての?」
ゾっとするが、確かに昔から知れていた能力を知識だけはある者が都合良く大げさに持ち上げているのかとしたムウやナタルの言い分は正しいかもしれないと集まった者達は認識し出したが、ラクスは内心で笑っていた。悪の黒幕とされる者が自分の思惑に都合良い流れを目の当たりにした時に調子に乗るのもわかるとしていたのだ。自分こそが悪としても大いに構わないと笑いを堪えて、イングリットはそれを察していたが何も言えない。
「改めて、無害な分野ならともかく戦争やっちまってるキラを引き入れて何やる気なんだ?」
「それは、ミーアさんの言うような事から考えるにキラ君を何かしらの象徴として、覇権から政治面での競争に踊り出すとかでしょうか?」
イングリットが言った事はキラには否定が出来なかった。マルキオはいけない存在だとしたし、両親も毒されているかもしれないと。
「そんな風にして何かやるようで人類って進化すんのかねえ・・・・まさか、スペシャルやスーパーな力持つの中心な活動をやり続けるのが人類の進化ってか?」
「本当に何か有り難い事にしてくれる存在だとしたら戦争を無くして欲しいし、起きないようにして欲しいです。それならユニウス7絡みのような悲劇は起きないハズです」
ニコルは怒気を含んだ声を挟んだ。深く考えずに選ばれた者を選出か、された側がソレ気取りで何かに介入等はもっての他だ。調子に乗ったイザークやディアッカやアカデミー内の悪童より始末に悪いとした。
リンに助けられた経緯を知っている周囲は何となく心情を察して一旦は解散とした。後はマルキオに直接聞き出さないといけない域と、オーブが何故か焼かれた事。
「問題は【どう吐いてもらうか】だぜ。マルキオとどう知り合ったかだが、義理堅いようだから非常手段であった場合な自白剤なんかから拷問やってもなあ」
「あの類いはニコルが弱そうなやり方が向いてると思うが?」
ラクスは手段に口を挟まなかった。自分は影武者として動いているにしても、仮にリンとマユについてを取り引き材料にしようにも駄目だとした。
【高貴や特別か、近い存在の血筋や生まれでなければマルキオは納得はしないだろう】
(俗物・・・・っ)
内心で吐き捨てた。結局は女王気取りか宗教家としての違いを除けばアウラと変わらない、ラクスとて何故名家等が重んじられるか考えない程に軽薄ではない、せめて遺伝子操作されてはいないならとしたが思い当たる人物は振り払った。
【一方でラクスやエリカが思い浮かべていた者は閉じ込められたと気付かない場にいた】
「な、何だと【ガルナハン】がザフトと手を組んだだとっ!?」
「な、何故だ。この辺りの皆は勇敢に戦っていると言うのにっ!」
カガリ達が入って来た情報に慌てているが、実はザイーブやキサカしたら一理はある。戦いは終戦を迎えて表向きら沈静化したのだから交渉程度は有り得る。
だが、本国やウズミと連絡が取れないのは気になる。
【まさか、しかし?】
物資が流れて来てくれる状況が続いてはいるが、それも既に起きている事実に発想が近付いている。慎重に徹したいが動いていた方が楽とすべき思考になってしまう。
ザフトはザウートならともかく、バクゥや砂漠用の機体で防衛を固めているのでMSでもなければ歯が立たない構図が繰り返されて牢獄に閉じ込められた方がマシな状況になり欠けている。そして、カガリに【父の遺言と知らない手紙】が届く。
『カガリよ、これは今のお前にしてやれる最大の譲歩かもしれん。世界を知らないとお前に言ったが、その世界を知る為の最大の鍵をお前に託したい』
【世界を知る為の最大の鍵】
それに食い付いたが、カガリには受け入れられなかった。その理由は鍵がある場へ向かうには時間が掛かるし今の仲間を見捨てる事になるのだ。
そして、ウズミですら自分の示した場に既に向かった者がいたと知らず。まして辿り着いたとは夢にも思わなかった。
「ほう、これか?」
ホルマリンや冷凍設備特有な匂いと空気が漂う施設で空気もある。ここに着くまでに得体の知れない機体をリンに劾と共にどれだけ屠ったかなミナは黒髪を靡かせて。
【リンに自分の手を取らせてエスコートさせていた】
「付き添うくらいで良いだろ」
「気分の問題よ、余も怖いのだ・・・・余とてコーディネーターの・・・・いや、仮に余が母となるなら絶対に使わない手段で産まれた者、故に何が起きるかわからぬし、何よりも【かの者】の意識を宿したお前に何が起きるかな・・・・」
ミナはリンに対しては思い入れがある。骨がある娘として見ているので手元に置きたいのは偽り無い本心、意識を宿したについては見てわからない程に愚かではない。
メンデル以上な広さの施設がミラージュ・コロイドとは違う迷彩で地球から離れて火星に近付く場に隠された。それはコレから目にするだろうものがある場に無難として最後の扉らしき場に着いたが、二人は扉の傍にあるものを見つけた。
「掌の認識器か、やるが良いリン。お前は指名されたようなものだ」
言われるままにリンは触れたが、放置されたと思えないくらいにスンナリ開いた先にあったのはリティリアにあるのより遥かに大きいカプセル。リンは知っていると言わんばかりにスイッチを押して中身を隠すカバーが開いた。中にあったのは冷凍か何かにしては原型を留め過ぎた男性の身体。
「ふむ、射殺されたと聞いたが。撃たれた跡だけは誤魔化せないでいたかな。しかも脳天に当たる部分が・・・・やはり【無い】」
「痛かったと言ってますよ・・・・」
「だろうな、リン。殺人が絡む事件は【死体に聞く】手段が解決の鍵の一つ、今の世には少なくとも身内を割り出すくらいだが、それが全てよ。当時はダミーが使われたらしいので頓挫したが?」
「はい、鍵が手に入りました。この人に世話になってる俺は、これが本物ってわかります。これがファースト・コーディネーターとされる男の・・・・【ジョージ・グレンの身体】です」
【この日、少女は見果てぬ夢を求めた男の真実を掴む鍵を手にした】
第三章のタイトルにあるのはコレでしたな回。