「これが、貴女達の目的でしたか」
「そうだ。他にも施設に残っているもので貴公等のコロニーには有益だから、宿代程度にはなろう」
他にはカプセルの中身を見せてはいないが、話題に出てる物だけで有益どころではない、まだ一部しか運び出せてない空調器や食料生産用のものを安全確認している段階だが、正にオーパーツやオーバーテクノロジーで数十年の物と信じられない物ばかり、これだけでリティリアは独立国家となり得る代物ばかりだ。
シニストからしたら宿代程度ではない、提案者から発見者としての権限だけでリティリア程度は二人のものとなるだろうが、劾から見たら互いに誰がリーダーになるか等は興味は無いようだ。
「流石はジョージ・グレン。元々地球圏にあるコロニーも彼の恩恵だが、これは良い」
身体を手に入れられたとまだ知らないが、あのカプセルはリンとミナ以外が接触は不可な仕様となって調べようは無いとした流れで打ち合わせが始まるが、リンからしたらノリには追いていけない。学校の教室みたいに飾った場にリンとシニストと劾が机に座りレディースーツを着こなした教師姿のようなミナが入室して授業のような時間となる。
「さて、ジョージ・グレンについて気になる事は暗殺した少年についてだ。宇宙飛行士を夢見ていたがコーディネーターでない為に不合格となり夢破れ、後にジョージを襲撃して殺害。この時点で気になる事があったのだろ?」
「ジョージ・グレンが、それくらいでわざわざやられる人かどうかです。周りにいた子供達を庇ったからとか・・・・だけじゃ済まされないのは【その状況を仕組まれた】からであり、襲撃犯は贔屓で無罪放免ではなく、実行者だけ処分では済まされない問題だったとか」
「うむ、それも諸説あるがキリが無いので保留だ。では少年について。飛行士の夢をコーディネーターというだけで不合格となったのが動機のようだ。では不合格とした側は【どう説明したか】?」
リティリアのある施設のモニターが写る。
【筋力トレーニングをしている住民達】
屈強だがナチュラルなシニストには良く理解出来る。これは必須、無重力に多少関わる場で怠ると衰える一方なのだから。
「宇宙飛行士は古来より問題があった。無重力で長時間過ごすのは恐ろしいものだよ、衝撃の無い環境で汗を流し続けるような生活をすると簡単に言えば【誰でも骨粗鬆症一直線】だ。地球にあるスポーツで【ロードレースな自転車競技】辺りがわかりやすいか」
自転車ロードレースのように体重や衝撃の負荷が無い状況で長時間大量に汗をかいてしまうと宇宙に長時間滞在する飛行士=骨粗鬆症に悩まされる状況になると判明していたのだ。つまり、多少宇宙開発が進んだ程度=一世紀以上は前から危惧されていた。
「次にこれだ。宇宙食は研究されては来たが安全が第一、カロリー必須でも安易に甘いスナック菓子類か近いものでやるとする。含まれる成分の問題で汗や尿と共に益々カルシウム等が流れてしまうのだ」
成分とはリン等だ。自分の名前ではなく成分のリンだとしたからリンには覚えやすかった。
「だから、予めそういうのの対策兼ねて頑強にしたコーディネーターを使う方が良いワケだ。宇宙開発と言っても、年中無重力ではない施設を経費なんだそれは?とするレベルに安定させ完成させなければならん、そうでないならコーディネーターなんか産み出すまでもないし地球人類はコロニーに行く割合が激動する」
「当時の関係者は、そんな事迄考えてはいたのかどうか。真摯に説明してないのだとしたら暴発を誘導したともなりかねん」
仮に当たってたとしたら一発で元凶から黒幕が出そうだとした時。
『シニストさん、属不明機接近です!』
何かは知らないがMSの準備をとする前にミナからリンにやってもらう事があると提案が来た。その事についてリン以外は半信半疑だったが切り出しだされた。
「此方、諸事情で呼び掛けを任されたリティリア所属パイロットのリン・アスカだ。皆、そのまま聞いて欲しい。敵らしき機影が近付いてくるのでコレから多分だが戦いが始まる。ロクでもない、いやそもそも戦い自体が無い方が良いものだが、それだけに無駄な犠牲無しで勝たないと後が大変だ。勝つためには平静を保つのが第一だから何があろうとそうしてくれ。原則として、白旗を掲げてない場合の呼び掛け以外には応じないスタンスを取る。掲げてた場合でも先日の件で慎重に徹するスタンスを取るので従うようにが決定事項と決まったのでそうするように。以上」
「ふむ、面倒だなオーラ全開とはこの事。だからこそ良い」
ミナも待機しつつ予想通りに来たのは有り合わせ部隊である。この辺りの海賊か何かとシニスト達は想像したが、通信が来て繋いで見た瞬間に音声が掛かった。
『リティリアの皆様。わたくし達との会談に応じて下さい。戦いを止めて道を探しましょう』
何度も同じ言葉、リンからしたら【編集されたラクスの声】だが、それに対してシニストがコロニーに着けておいた対空砲を指定された場に撃つよう命じた。
『な、何だと!バカな!』
「むう、これはミナ様の言が正しかったのか」
劾が言うように、何故か相手側からしたら自分達の狙い通りになる算段は【権利を手に入れていた】リンに崩された。隠れてリティリアの推進部等の主要部分を狙う為に移動した部隊は来るハズの無いとしていた先制攻撃に晒される形になり、慌てて開戦の流れだが、それも読めていた。リンとミナと劾の機体が最大戦速で旗艦らしき艦と僚艦をすれ違いザマにライフルを見舞って爆発しない程度な損害を与えた後に部隊はミスを犯した。
【ミラージュフレームを始めとした敵部隊の武装は決定打に欠ける】
だからこそ堅牢な艦で固めた部隊を派遣したのだ。減速して戻る前に敢えて全MSをリティリアに向けた。ジンを組み合わせた有り合わせばかりにしてもMS戦では部が悪いのでリティリアを占拠とする案だが、飛んで来たミサイルは全て電磁パルスを含んだものであり二十を越える機体が全て死に体の的になって勝負は決まる。
白旗を掲げるが、リティリア内で自爆でもされたら困るとして武装を破壊するか取り上げられて放置された。
「会談をしたいのならば、双方安全な場だ。救助に来た者達にそう告げるのだな」
ミナの呼び掛けに対して、してやられた側は聞くに絶えない喚きっぷりだとして都合良い状況に持ち込まれたとは知る術は無い。
「さて、何やら我等の戦利品に言い出せない事があるので早速に攻め込んで来たとも取れるからシニストに話を通した。いよいよだぞ!」
悪ノリが過ぎるが、安全も兼ねた手術着を着込んでミナとリンはジョージの異体が入ったカプセルを保管した一室に入る。こんな格好をして遠回りにとしたがリンとて何の反応も無いのがおかしいとしていたのだ。正にパンドラの箱か何かを開く心境だ。パスワードも何もわかるので、ジョージの異体から一部の組織を慎重に取り出した。これだけで鍵の使い先がわかるとは知らず。
――――――――――。
「ふ、フハハハハ!ファはははは!うわっはははははは!」
衝撃と言うば衝撃であった。まさかこんな事がとしてミナが高笑いしているとリンは見てしまったが、思わず待ったを掛けた。嫌な意味で笑い死にしかねない危惧を抱いたからだ。
「リンよ!これは素晴らしい!素晴らしいものだなあ、ジョージ・グレンに着目したお前の勝ちだ!」
「落ち着いてくれ!貴女がそん、な・・・・っ!」
ガシッと身体を壊されそうになる力で抱き抱えられた。血涙すら流すミナは堪えながらリンに怒鳴るように語る。
「リンよ、言わずともわかるぞ。貴様、私を指導者として認めてるな。だからしっかりしてくれと思っているな・・・・尤もだよ。私は影でもリーダーなのだよ、それに見合うべきだから、どんな時でも教科書や戦史書に乗るべき姿であるべきだ。そうしないと周りがバラバラだ!誰かがやらなければならない事をやるべきなのだ。妹の前では格好付けたがるお前はわかるだろうに」
確かにとわかる。マユがいるからリンはヘリオポリスでやるべき事がわかった。
【お姉ちゃんが妹を守らないでどうする】
どんなに恐れられても強大であるべきだからリンは自分なりに鬼となって戦えたのだ。その思考パターンから考えられるミナは【半身】を見捨てているので自分が恐れていた域にある。マユが死んだ後に自分が見てきたミナのようでいられる自信なんか無い。
「だから許せ!一時でも何かに縋らねば立ってすらいられぬ余を許してくれぇぇえ!」
何もかもわかる。自分なりにジョージの復讐の意味がわかった。
これでやる事が決まった。
どれだけそうしていたかわからないが、その後のミナは一応は元に戻った。
「では、極上の土産を用意できたとして一件落着か」
「しかし、帰った後にどうやってコレを活かすんですか?」
説明されて、やはり足元を震わせて漸く立ち直れた劾の意見は尤もだ。これは正に今の世界の根底を崩してしまう。
「そうだな。先ずはオーブに帰ってやるか、そこでいずれ世界中に知らしめてくれるよ!【今の世界になった元凶はジョージ・グレンではなかった】となあ・・・・ふははは!」
多少狂ったようになったミナをリンと劾も責められなかった。辛い時には笑えとすべき例だとした。これはクルーゼの秘密等は生易しい域だ。
その頃、アメノミハシラ。
「・・・・【ロゴス】だって・・・・?」
漸くギナの暗殺から落ち着いたアメノミハシラでは軟禁されたロウが世界を裏から牛耳る組織についてデュランダルから説明されていた。
「ソイツらが、わざと戦争起きるような事を仕組んで、だから、あんたらはロゴスと組んでいるロンド・ギナ・サハクを毒殺したってのか」
「許さんと言うならそうしたまえ。但し、君=ジャンク屋ギルドの実力者を外に出したら【ギガ・フロート】の件も一因でオーブが焼かれる程度では済まされない結果になりかねないので軟禁は続ける」
【ギガ・フロート】
海上を移動出来るマスドライバーのある施設で建造にはロウが所属するジャンク屋ギルドが関わっていたが、持ち逃げしたと身も蓋も無いが間違いではない言い方で経緯を説明されてもいた。それが一因でオーブが焼かれた。マスドライバーのあるオーブを連合が狙う一因でもある。
「それと、ロゴスについて面白い事が実現するかもしれん。例の白紫がだな?」
「待て、白紫白紫って。あんたら白紫村の村人かってくらい話題を白紫の機体に移したがるけどよ、共闘したりしたクルーゼなら話題に出しちゃうのわかるが。何か知ってんのかよ!?」
「うむ、彼女は指名されたのだよ。この世界の破壊者となるし解放者になる権利と証明書代わりのものを持つ御方からな・・・・ある意味、指名されなければ健全に長生きは出来た。今の世界はな・・・・」
「回りくどいな。ハッキリ言え・・・・よ」
ロウはデュランダルの目が危険な光を宿した事に気付いた。デュランダルがロウに目を付けた理由は尤もで聞かされた事に衝撃を受ける。聞かされた実物を持ち帰られたら宇宙クジラの時のような衝撃が世界に走りかねない。
「じょ、ジョージ・・・・グレンが、ジョージ・グレンが【ナチュラル】・・・・単に見た目が良くて勉強も運動も子供の頃からエンジョイ教育の見本でパーフェクトに育ったナチュラルで、木星に行く直前の放送がジョージを嵌めつつ遺伝子操作を世界に広めるようにした連中が、偽の画像や音声で作ってジョージがやった事にした真っ赤な大嘘!暗殺されたジョージの肉体は火星近くに保管されていて例の白紫に乗ってるリンって娘が取りに行ってる!そして、そろそろ手に入れて帰るの考えてる頃だってか!?」
「わかりやすいまとめを有り難うだロウ・ギュール。さて、これを知ってどうするかは君の善意とやらに期待しよう。彼女を地球圏に帰らせないなり協力するなり自由にしたまえ、改めて機械の心とやらを重んじる君なりの善意に期待しよう」
流石のロウも一言も発せられなかった。ロウは突き付けられたのだ。
【戦争がジャンク屋好みに再開をしてくれるキッカケになる真実を】
地球側で指名されたのはロウでした。何故かは続きで一旦は引く。