機動戦士ガンダムSEED 赤い瞳の少女   作:くまたいよう

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 改編故な回。


ユニウス7

『物資が無い状態で孤立』

 

 戦場でこれ程恐ろしいものは無い、更に?

 

『無くなる以前に無くなっていく過程における心理的不安も問題』

 

 仮に、これ等を見抜かれては時間が経つ程に不利。

 

 宇宙という僅かなミスすら許されない場で、非戦闘を大量に抱えてしまっては。今のアークエンジェルは、古来の戦で言えば兵糧攻めを開始された城より不利だ。脱出しようにも、逃げ込む場所の宛が無い。

 

「あなた達が出撃直前に決まった作戦を説明する間も無かったに加えて、不慮の事態ね・・・・寧ろ新手が奪取されたXナンバー全機だった事に慌ててコロニー内で主砲まで使った私達に非はあるわ」

 

 マリューの弱気だが自分の非に向き合う台詞にナタルは何か言いたそうにして、ムウが避難民の扱いについて口を開いた。

 

「なあ、艦長・・・・ここはどうするかを決断をするべきだぜ?」

 

『決断』

 

 即ち、ポッドの中にいる民間人達をどうするのか?

 

「食料はそこそこだけど襲撃された際の混乱で『水』の備蓄状況が不味い。ここは宇宙でどこかに下ろす港の宛も何もない・・・・敵が追撃をして来たら・・・・」

 

「まさか・・・・『切り捨てる』と?」

 

「やむ無しでは?仮に上手く友軍と合流出来ずの状況になったら、賄う食料にも事欠きます。古来より物資の無くなってきた軍が勝てるようなケースは、敢えて物資を捨てて兵達の危機感を煽らせるような形を始めとして、あるにはありますが?」

 

 ナタルが冷たく言いながら周りを見渡す。この艦は普通に編成されたような状況では無いから手段が限られている。

 

「ま、待って下さい!救助したポッドを口減らしに放り出すとかですかっ?」

 

「お、落ち着けよ」

 

 ノイマンを落ち着かせようとするチャンドラも、旧時代の歴史ものを多少読むくらいはしている。名君とされても民間人どころか友軍を切り捨てた事もあるのはざらである。

 

「それは非常手段だ・・・・パイロットの二人も戦闘をしたのだからわかるだろ、最悪の場合。物資が尽きて飲まず食わずの状態で、準備を整えたXナンバーが追撃して来たらどうする。最悪の事態を考慮しなければ・・・・その?」

 

 流石のナタルも言い淀んだ。民間人を切り捨てるのを決定した場合はどう切り捨てるのかでリンかキラにポッドを捨ててもらう手段を考えたが、言い出せなかったが?

 

「わかりました」

 

 言わずとも広まってしまった事を当然のように肯定する声にブリッジ内の空気が凍り付いてしまった。

 

「やるなら俺がミラージューフレームで放り出します。ヘリオポリスの方に放り出せば、運良く救助艇にでも拾って貰えるかもでしょうし」

 

「ま、待ちなさい!」

 

「何か?」

 

「え、えぇ・・・・と。そ、そうだわ!まだ乗組員が確認されてないでしょ?貴女か、キラ君の友達の知り合いや身内だっているかもしれないじゃない!?」

 

「そ、そうだ・・・・リン、それは待ってくれ!君だって、マユちゃんにそんな事をする姿は見せたくないだろっ!?」

 

「平気です。例え両親がいたとしても」

 

 リンの危険性を知っている側のキラはマユの名まで出してしまったが、全く動じていないのに青ざめた。リンは普通に答えるだけだ。

 

「そもそも他に嫌な事を任せる姿を見せるのも本意じゃありません、俺はマユに最低な姿を見せるしか助かる手段が無いならそうします」

 

「お、おい・・・・何でそこまでやるんだ?」

 

「『姉』だからです。俺はマユの姉なんです。後で知られて『何で止めなかったの?』とか言われるくらいなら、自分でやって。悪党として拒絶されるなら受け入れますよ」

 

「そ、その前にだな、やれるかもしれない手段くらいは・・・・おっ!?」

 

「どうしたんです」

 

「不可能を可能にする男かな・・・・俺は?」

 

 藁にも縋る思いでデータを見たムウは、違う意味で恐ろしい発案をしたが、何故かリンに嫌な役を押し付けるよりはマシと感じてしまっていた。それは?

 

 

 

 

 

 

―-―-―-―。

 

 

 

 

 内容が内容だった為に、リンとキラには部屋で寝ているように告げた。少なくとも体力を回復させておく必要はある。マリューもポッドにいる避難民達への対処の為に出向いてもらって、ブリッジに残ったメンバーは漸く一息付けていた。

 

「いや、参った・・・・おっかねえ嬢ちゃんだよ、他が嫌な事を言い出して欲しいようで欲しくないでいるのを見抜いてたな。見ただけで心臓止まりそうなオーラを宿した眼をしてたから間違いねえ」

 

「では、敢えて自分が言い出す態度だったと?」

 

「いや、艦長がやると決めたとしたら、本当にやってただろうぜ」

 

 それは否定出来ないとして全員が更に寒気を感じ、示し合わせたように何とか次の話題を開始した。

 

「しかし、民間人達を乗せたままにする場合も問題が多いのは事実でしょう?だからこそ、ラミアス大尉がこれからやる作戦を考えたのです」

 

「あ~、そうだな。少なくとも水や食料は足りねえし『俺の案』が上手く行かない場合も想定しとかねえとな・・・・んで、バジルール少尉は、何か案があるかい?ノイマンにチャンドラも、思い付いたら遠慮無く言ってくれ」

 

 沈黙だ。何も言えないとする空気を変えたくてムウが発破を飛ばす。

 

「おい、俺が言えた義理じゃねえが何か考えとかねえと不味いぜ?建前だけを不満丸出しで喚き散らしてるだけじゃ、民間人がイメージする駄目な軍人そのものだぞ」

 

 ムウは、何とか少しでもマシな流れを求めていた。自分で自覚はしてないが、このまま行けば将来、過去を悪い意味で振り返りたくない自分になる未来を垣間見た気がしたからだ。

 

 

 

 

 

 ―-―-―-―。

 

 

 

 

「では、お願いね?」

 

「は、はいっ!」

 

 

 やはりブリッジに残った者が上手くいかない一方で、リンとキラは念の為に最初に宛がった部屋に戻ってもらったのを確認したマリュー達は打ち合わせた『茶番劇』を開始した。

 

 マリューは、避難民達に騒がれては不味いとしてムウが提案した作戦の指揮を取った。

 

 救命ポッドは、実は幸いにも外の様子までもわからないようになっていた。

 

 あこぎだが、いきなり逃避行に巻き込んだとすれば騒がれるので取った策は、やむ無しだったと見せかける。実際に推進機関が壊れていたので、全て嘘ではない。内部に支障が無いように軽く推進機に火の手を上げる。その拍子に?

 

「火が上がっちまった!ハッチを強制解放!消火を急げ!」

 

 開いたハッチから避難民が次々と出て来た。全員出て来た辺りで芝居が開始された。

 

「早く此方へ!説明は後です!ポッドが爆発したら危険ですよ!」

 

 

 

 小賢しいし普通なら自らやるまでもない内容であるとマリュー自身も思っていた。しかし、他に任せられる者はいない、ナタルは固過ぎて向いてないし、ムウは何か口を滑らせかねない。

 

 

 

 とにかく、後は物資対策でムウの発案が上手く行くように祈るしかないとして、ブリッジに戻ったのだが?隔離した場の見張りをさせた兵士から連絡が来た。

 

 

『艦長!ラミアス艦長!』

 

「ど、どうしたの?」

 

「詳しく報告しろ!」

 

『は、はいっ!避難した民間人の中に、自分を『大西洋連邦の外務次官』であるジョージ・アルスターの娘『フレイ・アルスター』と名乗る少女がいまして?その関連の事を捲し立てて騒ぎになってしまっています!至急、責任者を呼べと・・・・父親の権限を始めとした危険発言を今も繰り返してます!』

 

「あ、アルスター外務次官の娘ですって?」

 

「さ、最悪かもしれない噛み合わせだ!ジョージ・アルスターはブルーコスモスかは知らねえがコーディネーター嫌いで?そんな御方が何故かコーディネーターが住む中立国コロニーのカレッジに溺愛する娘を通わせているとかで、俺のいた艦の中で妙な噂があったんだ!」

 

 ムウの発言は、確かにと思う内容だ。

 

 その前に軍属は政治家関連に弱い、シビリアンコントロールとは政治家次第でベターではあるが最悪にもなる。特に身内に妙な事を吹き込まれたからで騒ぎ出すようなのは厄介極まりない、これでは生き延びた後におかしな流れとなるとムウが考えた時、ノイマンとチャンドラが妙案を出した。

 

「待って下さい!ヘリオポリスのカレッジに通っていたと言う事はリン・アスカとキラ・ヤマトの同級生達に顔見知りがいるかもしれません」

 

「そ、そうか!艦長、先ずはそいつらの中に知り合いがいるか確認は如何です?いた場合、我々よりは上手くなだめてもらえるかも」

 

「わ、わかったわ!バジルール少尉、またになるけど、席を外すわね?」

 

「は、はい!」

 

 艦内を次々と移動する艦長と言うのはあまり誉められたものではないが、適任者がいないのだからナタルもやむ無しとしている。

 

 

 

 そして。

 

 

 

「話が上手すぎるけど『サイ・アーガイル』がフレイ・アルスターの『婚約者』だったらしくて、何とか宥められたわ」

 

「お疲れ様です艦長・・・・後は、フラガ大尉の発案通りに行くかどうかですね。もしも、敵が来たら?その時は正面突破あるのみです」

 

 流石のナタルも、この流れは慌てたようだ。過干渉な上役の恐ろしさを知らないワケではないからである。

 

「えぇ・・・・警戒を続けて、本艦はこれより・・・・『ユニウス7』に向けて進路を取ります」

 

 

 

 

 

 ―-―-――-―-―。

 

 

 

 そして、慎重に慎重を重ねる航路が続き、リンとキラにとっての試練の時が迫っていた。

 

 

 

 ―-――-―-―。

 

 

 

 

 

 

『・・・・け、て』

 

 俺は・・・・その光景を金縛りにあったように目が話せなかった。MSのコックピットにいたから助かったのとは違う。崩壊して行くコロニーの中で、次々と死んでいった人達・・・・それだけではなかった。

 

『何名かが知っていた』

 

 幸い、建造された物自体は・・・・そう思えるのは?

 

 

 

 ―-―ちゃん?

 

 

 

 

「・・・・マユ、時間か?」

 

「うん、そろそろブリッジに来てくれって」

 

 戦闘を想定して待機と整備と仮眠を繰り返す流れ、今回の仮眠を済ませた俺達はこれからユニウス7の近くに着く辺り。

 

 ポッドの中にはサイさんの婚約者らしいのがいて騒ぎになったらしいのと、俺とキラさんがコーディネーターだって、カズイさんが漏らしてしまったらしい。それ以来、キラさんは気まずそうだ。

 

 

 

 そして、ブリッジのモニターに映っていたのは。

 

 

 

「あれが、ユニウス7・・・・」

 

 地球軍が核を撃ち込んだコロニーの成れの果て、ヘリオポリスもあんな風になっているんだろうな・・・・。

 

「さて、これから『墓荒らし』を始める」

 

「フラガ大尉・・・・」

 

「良いか、俺達は生きてるんだ!という事は生きなきゃなんねえって事だ!」

 

 敢えて現実のみを言うフラガ大尉を誰も悪く言えはしない、特に俺みたいに身内以外はどうでも良く考える奴にはな。

 

 使えるように出来る設備があるにしても真空の空間で氷となった水を使ってでも生きなきゃならないんだ。

 

 回収作業が終わり、次はせめてもの行為!

 

 避難民にも事情を話しながらマリューさんが必死に頭を下げて協力してもらって、紙とかであるだけ造った花を添えても舞い散るのを見るしかない。

 

『花を植えても人は・・・・』

 

 宇宙服を来てMSから降りた俺は、自分の分の花を添える。これで、最後だ・・・・。

 

「では皆、黙祷を・・・・」

 

 マリューさんに従って、黙祷を開始した。こんなのはこれっきりって思っても・・・・俺は、ザフト兵を。つまり、このコロニーにいた人の身内かもしれない人を既に何人か殺している・・・・やらないよりはマシだけど。と振り切ろうとした時だった。

 

(それなら・・・・)

 

 俺は、息を飲んだ。

 

 ほんの数人なようで、死んだとされる二十万を越える人達のように見えた。

 

 皆が怒っているようで悲しんでいるような顔をしているけど、何を・・・・言いたい?

 

「言って・・・・くれ」

 

 恨み言で良いんだ。その方が・・・・と思っていたら、皆が首を振っている。

 

(『   』・・・・を)

 

 それは、集まった人の家族だったり、友達のようだったり。その人達を?

 

 

『助けて』

 

 

 そう聞こえた。

 

 何故、俺に?と考えてたら、マユの呼び掛けでハッとなったら、大勢の姿が消えて艦に帰った。この事は忘れてはならないとしながら。

 

 

 

 そして、悪夢の序幕が始まった。

 

 

 周囲を警戒して、離脱をしようとする艦のブリッジには、強行偵察型のジンの接近が確認されてた。先程迄の行為を撮影でもされていたのか?と、出撃準備中の俺とキラさんにフラガ大尉、ブリッジにいる全員が抑えきれない羞恥心で顔を歪めていたが?

 

「『白旗』・・・・?」

 

「はい、接近中のジンは白旗を持って接近中です。通信が来ています」

 

『所属不明の艦へ・・・・応答を願います』

 

「そうか、まだザフトに本格的に認知されきってはいないのね、回線を開いてみて?」

 

『此方は・・・・プラントにおける『追悼慰霊団』の護衛役として同行した者、戦闘の意は無し、応答を願います』

 

 その言葉に聞いていた者達は、やはり消え入りたいくらいな羞恥心に打ちのめされた。

 

 

『追悼慰霊団』

 

 

 戦線が膠着状態なのもあるけど、そろそろやる時期と判断したのか?

 

 しかし、墓荒らしと言われるべきな俺達が言えた事じゃないけど、余りにも無防備じゃないか?そう考える間もなく、事態は進んでいる。

 

 

 

 

 

―-―-―-―。

 

 

 

 

「接近を確認しました!」

 

「うむ、情報が広がる前の艦がいたのは気になるが?どのみちプラントの関係者では上手くは立ち回れまい、戦闘準備!『コペルニクス』以前から欺いてくれた報い、先ずは貴様から受けてもらおうか・・・・『ラクス・クライン』!」

 

 追悼慰霊団としてユニウス7に向かう部隊は誰もが憤怒に染まった表情だった。彼等に言わせれば『誤解の象徴』である地で始まりの為の戦いが迫る。




 漫画とかで、アルテミス辺りがカットされたりした場合に有り得た可能性=早目にユニウスに来たらな展開って、これだったのでは?な回。

 小説で墓荒らしと文にされた行為の最中か直後にプラントの追悼慰霊団と遭遇。

 アークエンジェルの大人達は、四苦八苦。

 リンのは、元のキャラが死者と交信可能キャラだったのを含めた展開。

 そして、最後のは?で続きます。
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