マリュー、ナタル、フラガは緊張感を増しながら事情聴取を行う事にした。名乗らずとも見た目は多少は知られてる事と、追悼慰霊団等のような重要な役割を担っている事で推測はできた。
『ピンクのお姫様』
地球軍では、そう揶揄されていたからだ。何よりも彼女は『怨敵の身内』・・・・プラント内のアイドルとして、開戦前からある程度は聞いていたのだし取り扱いに慎重にならねばならない理由があるとして、向き合ったが?聞かされたのは意外な一言だった。
「何です・・・・って?もう一度、聞かせていただけますか?」
「はい、わたくしは『ミーア・キャンベル』と申します。プラント現議長『シーゲル・クライン』の娘である『ラクス・クライン』の影武者として選抜された者の一人です」
思わぬ一言である。ラクス・クラインと向き合うべく事情聴取に望んだが、ハッキリと返されたのは自分が影武者である事、しかし?真偽の程はわからない、その点を含めてムウが話を再開させた。
「ふむ、聞いた事があるぜ?プラントの全ての人間に愛される『平和の歌姫』さん・・・・言った通りに君はその影武者、それは真実で良いのかい?」
「はい」
マリューとナタルは判断がつかないでいた。実はエンデュミオンの鷹としてプロパガンダに使われたせいで『ムウの生い立ち』を多少知っているのだ。ビジネス界での話であるが?
【フラガ家に従えば間違いは無いとまで言われた家の跡取りであった男】
その男が何もわからないでいるのは少なくとも『薄っぺらな嘘ではない』とした。それは事実ではある。
「まあ、プラントの現議長と来たら?穏健派として知られてるけど?『コペルニクス』と『エイプリルフール』の件で、現国防委員長のパトリック・ザラよりナチュラル側からの憎悪を集めている存在だしな、自分だけじゃなくて娘の為に影武者の一人二人用意していてもおかしくねえ」
「ご存知・・・・なのですね」
「いや、こりゃ・・・・あの、J?」
「大尉?曖昧な事は言わないで下さい」
マリューとしても、敢えて彼女の父が行ったとされる部分を絡めた探りはしたかったが、リンの事を逡巡させる内容は後にしたかった一方で、ミーアと名乗る少女は聞き逃さなかった。
『嬢ちゃん』
そう言い出しそうだったのを見て、考え通りだったと安心した。リンが関わっているようだが、その上でこうしてくれているのは喜ばしいからだ。
「では、質問をさせて頂きます。貴女を助けた『リン・アスカ』ですが?名前も機体名もプラント側にはまだ知られていないハズ、なのに?託せる可能性があるのは君しかと、名指しで救助を願う通信が来ました。これに関して何かを聞いてはいませんか?」
「聞いていませんわ、わたくしは・・・・その?ただの影武者で、何故か強行された追悼慰霊に安全の為に送られた者です。戦時中に行われる意味がわからないまま・・・・」
「・・・・っ!艦長、確かに意味がわからない流れです。もしもですが?我々を含め、連合側がクラインの娘が乗っているような艦を見つけたら、事情がどうあれ?その場で撃沈か捕獲を試みるでしょう、プラント側はその・・・・ユニウス7に核を撃ち込まれた事件である『血のヴァレンタイン』の件で、自分達に義があるとしていますが?」
意味がわかったナタルだが、流石に言い淀んだ。本質的に良く言えば生真面目な彼女は墓荒らしをした直後に上手く舌が回るようにはなれないのだ。
「それ、なのです・・・・わたくしは・・・・その?気付いたせいで、捨て石にされた側です。恐らく、自爆した艦と撃破されたジンに乗っていたから・・・・死んだ方々同様に」
「捨て石?」
「はい、連合随一のアーマー乗りでエンデュミオンの鷹とまで唄われたフラガ大尉に率直にお聞きしますわ。貴方はユニウス7に核を撃ち込まれた時に?直前まで行われていた戦いに連合兵として参加していたとして?『核を搭載したメビウスで、ザフトの防衛部隊を突破して核を撃ち込めますか』?」
「無理だ・・・・」
「その辺りは、まだ調べようが無い事なようですが、恐ろしいのは?【プラントも連合もかなりの人が血のヴァレンタインが開戦の原因だと誤解している点】なのです・・・・その?プラント内でも、その辺りを考える者への仕打ちがひどくなっているのです」
話が進む程に三人は引き込まれていた。そして機を見てミーアが見せた物は?
『避難民を抱える自分達には僥倖』
事情聴取が一旦は終わり、クルー達にミーアは亡命を希望する者として扱うとマリューは説明した。コーディネーターを信用出来るか否かと言う問題はリンとキラが既にMSパイロットとして存在するから今更だ。
―-――-――-―。
「で、安全を考慮して俺とマユの部屋に預けられる事になったワケですか?」
「はい、わたくしも自分より少しと更に年下の同性であるコーディネーターと同室等とは何年か振りですわ、宜しくお願いしますわね。其方はマユさんですね?」
「は、はい・・・・宜しく、ミーアさん」
そう言って握手をしている。まあ、悪意は無いしな。
「はい・・・・あ、リンさんも」
「宜しく」
「あら、パイロットをしているとは言っても?固い手ですわね・・・・それに、細いようでしなやかな筋肉が然り気無く付いている腕、肌もわたくしより白いのに・・・・何かおやりになっておられたのですか?」
「武道は大抵」
「そうなんですよ、他にはガリ勉ばかりで家事全般は?特に料理は出来るけど寂しい女一直線で・・・・」
「いけませんわね、女性はもっと風流?とやらが好ましいですわよ、しかし?本当に触りごこちが良いですわ」
「はあ・・・・え、今度はこっち?」
俺は戸惑ってると見せかけてマユに背中を向け、お互いの表情を見えないようにした。何やら俺の手を指でリズムを付けてトントンしている。
これは、視覚も聴覚も障害を持っている人との会話の手段の一つだな。まあ、そういうのも見たんだろう。
『ごめんなさい』
『どうか・・・・』
目で訴えてるのも含めてわかった。軽く頷いて、了承の意を示した。
(『偽物のフリ』に付き合いますよ『ラクス・クライン』)
―-――-―。
そして、アスランは査問委員会にクルーゼと共に出頭すべくプラント本国へ向かっていた。奪取したイージスを始めとしたXナンバーは本国の中には持ち込まずに、宇宙要塞ボアズ辺りで降ろして解析をする事となった。どう足掻いてもキラの説得以前の問題として歯噛みする一方で、肝心な事を幾つも中途半端にしか考えられてないと気付かなかった。
『他の三名がどうしているか』
『あの白と紫の機体、そのパイロットに言われた事』
そして、査問委員会自体はクルーゼからの報告事態は奪取したXナンバー、PS装甲以外はXナンバー以上とすべき未知の機体、何よりも『ブリッツの記録映像』を提出した結果、如何に新手に慌ててしまったにしてもコロニー内で主砲を使ってシャフトを破壊した地球軍側にある事を受け入れられた。
そして、父パトリック・ザラがユニウス・7の悲劇を忘れない事を強調しつつ述べた事。
『戦い等望んでいない、我等の誰が戦争を求めている?』
『平和に、穏やかに、幸せに暮らしていきたい、我々の願いはそれだけだったハズです』
『我々は我々を守る為に戦う、戦わねば守れないのなら戦うしかないのです』
これ等に意を唱えられる者等はいない、自分もユニウス7がキッカケでザフトに入った。
しかし、アスランは気付かなかった。
その主張に対して、現議長であるシーゲル・クラインがどこか冷めているようで仕方無さを内心で先走らせた事に。
そして、休暇が出た際に父が面会を求めてくれたのを内心喜んだアスランだったが?
「ラクスが?」
「ああ、お前の婚約者はな?『自分の影武者』が追悼慰霊の『下見』に行ってしまった結果、行方不明になった事を気に病んで塞ぎ込んでしまったのだ。周りには影武者の事は伏せていたがな」
「し、しかし何故、影武者等と?」
「シーゲル・・・・いや、現議長は、私より早くに妻を亡くした事とジョージ・グレン暗殺の件で自分なりに娘を気に掛けてしまっているせいだろうな、妻の件はプライベートだから全て把握しているわけではないが?私もシーゲル同様にジョージ・グレンの不詳の弟子である存在だ。アイツがそこまでやる気持ちくらいはわからんでもないさ」
言葉を挟めない、血のヴァレンタインで死んだ母を思い浮かべてしまうからだ。
「アスラン、ボサッとしてないで訪ねてやるだけはしたらどうだ?会えるかは知らんが、婚約者関係無しに自分なりに顔見知りを気遣うくらいはやらんでどうする?」
「は、はいっ!」
パトリックの言った事は一見尤もな事だが、息子の後ろ姿を見送るパトリックの目に冷たい光が宿っていた事には気付かなかった。
そして、自分なりにおめかしをして手土産の花を持ってラクスの滞在する場を訪ねたアスランであるが?中に入れて貰えずに。玄関でドア越しに声だけを聞かせてもらった。
『アスラン・・・・ですか?』
「は、はい!」
『お話しは聞いたようですわね、アスラン?わたくしは、自分の影武者でありますが・・・・それ以上に『お友達』を亡くしてしまいました』
アスランは『お友達』と言う言葉にショックを受けた。キラの事が頭から離れないアスランは何も言えない。
『お気遣いは感謝します。ですが、その・・・・申し訳ありませんが、今はそっとしておいて下さい。貴方も、今は時間を欲しがっているだけの女より、自分のお友達を・・・・大事に思ってあげるべきです』
向き合えずに帰るしかなかった。何気無く出された言葉がアスランの『一番』を示す内容だったからだ。
尤も、同期の赤服であるニコルがアスランと良い友人とすべき仲であると聞かされていたから出た言葉である。
―-――-――-―。
「わ、私は・・・・どうすれば?」
聞かされていなかった。突然、ラクスの婚約者であるアスラン・ザラが訪ねて来る等と。目の下に隈が出来た少女、ミーア・キャンベルは全身から冷や汗をかいていた。
『状況が全然理解出来ないからだ』
そもそも、ミーアはプラント内で売れない歌手の一人であるが、技術不足と歌の方向性でそれだけとしか思われてないが声がラクス・クラインに似ていると一部で知られていた。それだけの女だと自分でも思っていた。
但し、それなりにファンはいる。
『あの【アンドリュー・バルトフェルド】のように、本物のラクスですら自分の歌が真に届いて欲しいと思える者が彼女のファンになっている』
ある日、ラクスの影武者を勤めて欲しいと持ち掛けられて整形手術を受けて間も無く、ラクス本人がミーアに会いに来た。
ラクスはミーアに自分の歌を羨ましいと思っていると言った。プロパガンダとして歌う自分には歌えない、本物の歌だからと言ってくれたラクスと友人になれたのはミーアには嬉しかったのだ。
そして、ユニウス7の追悼慰霊団に向かう自分の留守を任されて間も無く、ラクスが消息を断ったことにショックを受けたが、周りには下見に行った自分が死んだと報じられたと聞いたのだ。
更に、ワケがわからないままにシーゲル・クラインが自分に会いに来て告げた。
『今日から、君がラクスになるのだ』
そう告げたシーゲルの目は、ラクスの父とは思えない程に酷薄なものだった。
大人達の意図を知れないまま、ミーアは?
『友人を失って気落ちする姫君としてのラクスとなった』
次回。そろそろ、キラ側の出番?
今回の要点は、ラクス偽物計画を自分なりに弄った結果な回。
何が起きてるかはまだ続きでに加えて。
偽物のフリした本物がアークエンジェルにて自分なりに動く。
本物のフリした偽物はプラント内で、友人の死に塞ぎ込んでる。
流れた情報が場によって、全然違う。
特にシーゲルやパトリックの意図は一体?な一方で原作からして?
【ユニウス7が開戦原因というのが実は大間違い】
あくまでもユニウス7が開戦原因とするなら設定や外伝出さなけりゃ良かったし、血のヴァレンタインを綿密にやるべきだった。
尤も、どこから持ち出した?な核を一発だけ撃ち込んだ時点で怪しい。
私作のラクスはそのせいで早期にラクス出撃?な流れになる。
実は、届いて欲しいと数えるべき人には自分の歌は届いてたミーア。
そこを踏まえた原作への掘り下げも私流で開始です。