弱キャラ友崎くんとサンドバッグ相原くん   作:mosumosu

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日曜日の午前9時頃、俺は北与野駅まで来ていた。

LINEで友崎にはこのくらいの時間に行くと連絡はしていたし、さっきもついたぞーっと送ったから程なく来るだろう。

 

ちなみに、片手には紙袋を持っている。

中身は母親に渡されたお菓子だ。

高校の友達の家に行く事を話したのだが、初めての来訪だと知ると手土産を持てと渡されたのだ。

こういうの必要かねぇ?と思いながらも用意のいい母に感謝をする。

 

待つこと数分、程なくして友崎が駅に到着。

軽く挨拶をする。

 

「よぉー友崎、お出迎えご苦労!」

「呼び出しておいて酷い言い様だな!」

 

おお、ナイスツッコミ友崎。

 

「はは、すまんすまん冗談だ」

「まぁ俺も悪いかった、またせた」

 

結構急に駅からの案内を頼んだのに謝るとか人間が出来てるな。

 

「いやいや、わざわざでてきてもらって助かるわ。地図の位置とか住所だけ渡されるとかだと俺たどり着ける自信ないからさ」

 

たまにいるんだよな、家はここだから!って言って住所だけ渡すやつとか。

いや、たぶん出来る奴はそれで問題ないんだろうけど。

でも俺は正直、家を間違えたときとかを考えると怖くて困るんだわ。

 

そこから、適当な会話をしながら友崎の案内で家へと向かう。

 

「ってか友崎髪切った?なんかさっぱりしていい感じになったな」

「あ、あぁ、昨日美容院に行ってきたから」

「へぇ〜、やっぱここから近いし大宮とかか?」

「そんなとこ、かな」

 

なるほどね、美容院か。

昔の友崎とかは知らないけど、この前までと比べてかなり変わったように見える。

もちろん、いい方向に。

でもう〜ん、本当に髪型だけかな?

 

てか、友崎の服装もなかなか決まってるな。

もっとこう、なんだろ。

チェック柄の服とか着てそうなイメージだった(偏見)。

 

でも友崎の服装はモノトーン風でシンプルに纏まっている。

白い無地のTシャツに黒いアウター、ズボンはグレーのチノパン。

これだけなんだが、オシャレとはいわないかもだけど変なところも一切なく、いい意味で″無難″といった感じで似合っている。

シンプルイズベスト、というのを体現してる感じだ。

な、なかなかやるじゃないか、友崎め。

 

「友崎って結構センスいいんだな。服装、シンプルだけどなんかそれがカッコいいって感じになってるじゃん」

「そ、そうか……?」

 

わざわざ本人に言うか悩んだが、なんとなく素直に思ったことを口にした。

褒められて怒るやつもそういないし。

褒め得だよな、褒め得。

あー、なんか思ったことを口にするのは最近の友崎の影響とかかもな。

 

友崎は若干照れながら嬉しそうにしている。

素直だな、おい。

けど分からなくもない。

俺のことも褒めてもいいんだぞ?

 

そうこうしているうちに友崎の家に到着した。

 

「到着だ。まぁ入ってくれ」

「おう、おじゃましまーす」

 

次は一人でも来れるように覚えておこっと。

いい家だな。

 

「お兄ちゃん、外にでていったと思ったらもう帰ってきたんだ。って、お兄ちゃんが友達連れてきてる!?」

「あ、友崎の、いや文也の友達の相原です。おじゃましまーす」

 

友崎って妹がいたのか。

ってか、どっかで見たことある気がする。

んん……?

あぁ、わかった。

 

「もしかして文也と同じで関友高校の生徒?」

「は、はい!そちらはもしかして、サッカー部の方ですか!?」

 

おおすげぇ、俺のことわかるんだ。

よく知ってたな、ひと学年違うとなかなか顔も覚えられないと思うのに。

 

「よく知ってるね。俺ってあんまり目立つ方じゃないのに」

「泉先輩や中村先輩と一緒にいるのを見たことがあります!」

「はは、たしかに、中村達は目立つからね。あ、そうそうこれよかったらお母さんに渡してもらってもいいかな。数は少ないんだけどお菓子持ってきたから。はい」

 

そう言って、母親から渡されていた紙袋を妹ちゃんにわたす。

 

「えぇっ!ありがとうございます!おかあさーん!!」

 

妹ちゃんは受け取ると母を呼びながら奥へと戻って行った。

素直ないい妹ちゃんだな、友……文也にも見習わせたいぜ。

 

「お母さん!大変、お兄ちゃんが友達連れてきた!?丁寧に手土産まで持ってきてくれたよ!?」

「えっ!?文也にお、お友達!?どういうこと!?」

「わかんない!?しかも運動部の爽やか系なんだけど」

「おかあさんもあいさつしておいたほうがいいかな!?」

 

……。

あー、うん。

 

「友崎、お前のうちっておもしろいな」

「あーもう。母さんは出てこなくていいから!」

 

そう言いながら友崎はおそらく自分の部屋に向かうのでついていく。

そして階段を上がり二階の部屋に入る。

 

「ここが友崎の部屋か、キレイにしてるんだな。よーし物色物色!」

「あ、おい!あっちこっちさわんなよ!」

 

いやいや、人の部屋についたらやることはこれでしょ。

漫画とかなにがあるのかな。

む、この箱はなんだ、怪しいね、どれどれ。

……わぁお。

 

「友崎、このコントローラの山はなんだ?」

「それは、アタファミやってるとスティックとかよくヘタれるだろ?そういうの捨てるに捨てられなくてな」

 

え、いやたしかにスティックは消耗品かもだけどこの中に5、6個はあるぞ。

コレ全部スティックダメにしたのかよ。

なるほど、こりゃ俺じゃ勝てんわけだ。

 

ちなみに俺のコントローラはゲーム機本体を発売日に買ったやつがこの前まで現役だったぞ?

最近、流石に寿命を迎えたのかスティックが勝手に左に入るようになってしまったから泣く泣く買い替えたのだが。

 

純正のPROコントローラはクソ高いんだからな、あれだけで7000円とかするし。

頻繁に買い替えられるかってんだよ。

てかこの箱の中身見てたら早くアタファミやりたくなってきた。

 

「よし、アタファミ対戦しようぜ。今日は勝つ。つかボッコボコにする。耳の穴から手突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたるわ」

「こっわ。まぁいいや、対戦するか」

 

そうしてアタファミの対戦を始める。

いつも通りTIMEは無限、ストックは4、ステージは敗者が選択(ちなみに初回の選択は俺)。

友崎はファウンドを選び、俺はグラスバイオを選択する。

 

「そういえばグラスバイオ使う人って結構珍しいよな、なんでそのキャラなんだ?」

 

まぁたしかに使う人は少ないキャラかも知れないな。

レーティング対戦していてもあんまりいないし。

 

「あー、ね。性能だけでみると下位の中の上位くらいだしあんまり使用者っていないのかね。でも俺ってパワー系好きだし。ロボットだってリアル系よりスーパー系の方が好みだし。アーマー付きの攻撃多数とかまさにスーパーって感じだろ?」

 

不屈の心、鋼の魂、男っていうのはそういうものに憧れるもんだ。

パワー・重量系で耐えて耐えて、必殺の一撃をぶちかます。

ロマンがあるじゃないか。

 

「そんな理由なのか。けどたしかに好きなキャラを使うのが1番楽しいか」

「そうそう、そんな理由よ。てかどちらかと言うと、そもそもがエンジョイ勢だからな、俺は。ロマンを求めているのよ」

 

話をしながらお互い準備ができたので試合を開始する。

ステージは俺の選択なのでもちろん平坦なステージ。

 

そして、対策も立ててきた。

友崎のファウンドは実のところ、コンボ始動は投げからの場合が多い。

差し込みからのコンボもあるっちゃあるが、そういうのは%が溜まってからの場合が多いのだ。

ならば俺がするのは、露骨な投げ拒否だ。

 

掴みを入れる流れとして、だいたいが以下の2つのパターンだ。

1つ、敵の攻撃をガードしてからカウンターに掴み。

2つ、相手に小技などでガードを固めたところを掴み。

 

他にも回避読みとか透かし掴みとか、色々とあるけどそんなのはそう多くないから一旦はおいておく。

俺の対策としてはこれら2つを徹底的に拒否する作戦だ。

 

その対策方法というのもまぁ単純なもの。

ガードされても掴まれない、かつ一方的に固められないくらいに差し込み性能の高い技を中心に攻める。

これだけだ。

 

とはいえ単純ながらも対戦で驚くほど有効で、グラスバイオは当たり判定の大きさ故に投げ始動即死コンボを決めやすく、露骨に投げ狙いをされることも少なくない。

そういった時にはこちらも露骨に投げ対策技を擦ってやると意外とハマる。

つまり、呆れるほどに有効な戦術だぜ、ってわけだ。

 

具体的に言うと、地上にのみリーチの長い下Bをガンガン振っていく!

下Bは地面を叩いて衝撃波を発生させる技で、地面を叩いた瞬間に地上にのみ当たり判定が発生する。

これを擦るために足場もすべて撤去した平坦ステージ!

クソ即死コンボにはクソ技擦り返し、じゃい!

 

そして対戦が始まる。

開幕、友崎の舐め腐った接近をしてきたのでこちらも下Bを置いて対抗。

油断していたのかもろにヒットする。

ついでに追撃もつけるぜ、先制攻撃だザマァ!

 

空対空にはなにげに優秀な空Nと空後を混ぜて必死の抵抗、地上にいる時には徹底的な下Bで投げ拒否だ。

あとは距離を取られての飛び道具だけはこちらに有効な手段がないため、ジャンプで避けつつなんとか凌ぐ。

これもまぁ布石だ。

飛び道具に関しては一発限りの奇襲作戦、アーマー技で耐えながら接近するゴリ押しができる。

失敗すれば反確のバクチ技、パーセンテージをためてバースト確定域で当てるためにもギリギリまで耐え忍び、相手にその択を忘れさせるのだ。

 

お互いコンボは決まらないまでも小技がコツコツ積み重なりそろそろバースト圏内。

ここまで来たらこっちはどんな攻撃からでもかすればすかさずコンボでバーストされかねないので、投げ対策は一時捨てる。

下B中心から横強中心にチェンジだ。

リーチ長めの武器判定腕振り攻撃だぞオラッオラッ!

って油断させてからのジャンプ攻撃に合わせてアーマーで耐えつつの最大溜めパンチじゃ!

ッシャオラ!

初の先制バーストだぞ、どうだボケ!

 

…………

 

試合の結果として初動こそ五分、かつ先にバーストを取ったものの復活した友崎にそのまま3ストック連続で落とされ、なんとかもう1ストックは奪いはしたものの結果としてほぼ2ストックまるまる残したまま負けてしまった。

 

敗因は、友崎の対応が早かったことと、それに焦って俺が慌てだしてから操作が甘くなったことだろうか。

作戦自体は悪くなかったと思う。

どちらかと言うと俺の技術が付いてこなかった感じか。

 

「ああぁぁぁあッ…!!クソメタ対策を練ってきたのに負けだぁ!!」

「いや、かなりいい線いってたと思うぞ。下Bのあのリーチ、高台のないステージで振られるとかなり厄介なんだな、面白い……」

 

あぁ悔しいッ!

くっそ、全国1位は甘くないってことか。

まぁ、いまはいい。いつか勝つからな。

せっかくだし、感想戦と行くか。

普段の熱帯とLINEじゃそこまで長く語れなかったしな。

 

「投げ対策に徹底的に地上技を潰しにいったんだがな、何が悪かったんだろ」

「そうだな、狙いはよかったと思う。正直結構苦戦した。まぁ途中から操作や判断ミスが目立った気がしたけどな」

 

それなぁ。

操作ミスは最近戦い方をいろいろ試してるからそれが原因でもあるんだよなぁ。

そこは何をミスったのか反省しつつ対戦あるのみだな。

あとは……。

 

「強技の出し分けとかリーチを誤って技を出すのは直していかないとかね」

「そうだな、後は地上を意識しすぎて対空がおざなりだったんじゃないか。空Nがヒットしてから崩れること多かったからな」

 

そうは言われてもなぁ、空N強すぎんだろ。

 

「いやてかファウンドの空Nおかしくね?ガードしても掴み間に合わないでジャンプで逃げられるし、掴みスカされたら2回目の空N食らうんだが。どうすんだよあれ?」

「そうなるように当ててるんだよ。対策としてはよりリーチの長い技で対抗するか、ジャスガか、しっかり2回ガードしてから距離を取るとか、まぁいろいろある」

 

ふぅん……。

 

「どれがいいんだ?」

「全部できるようになれ。1つだけ出来てもその対策をされて終わりだる。常に択は最低2つ以上持てるようにしろ。ジャンケンでグーしか出せないのに気づかれたら負けるだろ?グーチョキパーすべて出せるようにしておくべきだし、最低でもアイコに持ち込める2つは必要だ」

 

メチャクチャなスパルタだな。

あーいいさ、やってやろうじゃねぇか……。

 

「けど相原も確実に前より上手くなっていると思う。それにコンボ抜けに関してはもしかしたら俺より上手いかも」

「そこは普段からレート対戦じゃボコボコにされてるからな、重量級で耐えられる分殴られることは多くて、コンボされる際のズラし関連については自信あるかも。てかむしろ、そうじゃないと即死すんだわ」

「なるほどな」

「よし……もう1戦行くぞ。精度上げてくぞ!」

「おう、かかってこい」

 

そんな感じでその後も1時間ちょいほどアタファミの対戦に没頭した。

 

とはいえ結局のところ今日も惨敗で、俺が1番押したときでも2ストック奪ってかつバーストが狙える圏内くらいまで持っていったのが最高か。

惜しいとも言えない結果だったな……。

はぁー、悔しい。

 

……悔しいッ!

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