弱キャラ友崎くんとサンドバッグ相原くん 作:mosumosu
友崎の家でアタファミの対戦をした結果は、まぁ散々だったわけだ。
「クソ、これで勝ったと思うなよ!」
「相原、勝負事になると口悪くなるよなぁ……」
「熱くなると素が出るんだよ」
「そっちが素なのかよ」
まぁ口が悪くなるのは御愛嬌ということで。
家だと気にせず声出ちゃうからなぁ。
てか運動部の人間って割とそういうもんだろ?
試合中相手がミスれば煽るし、バスケなんてフリースローになるとブーイングが飛び交うヤバい文化があるじゃん。
「俺の動きが悪くなってきたから対戦はここまでにするか」
「あぁ、わかった」
「あ、そうだ。友崎はまだ元気だったらせっかくだしレート対戦見せてくれよ。環境トッププレイヤーの対戦っての見てみたいね。疲れたなら別にいいんだが」
「まあそれでいいならいいけど」
そう言って友崎はレーティング対戦を開始する。
nanashi レート: 2613
相変わらずやべぇレート……
てか2500どころか2600あるじゃん、高すぎんだろ。
すぐに対戦相手は見つかり、対戦が開始される。
ははぁ……これがトップレベル同士の対決かぁ。
友崎もうまいが流石に相手も上手いな。
互いにかなりやり込んでるのがわかる動きをしている。
だが友崎はそんな相手でも危なげなくと言った感じで2ストック残して見事に勝利。
フッ……相手もよくやったが、レートトップ帯と言っても結局俺とおんなじ結果だったわけだ。
俺もトップ帯と言っても過言ではないな!
「流石友崎、やるぅ〜」
「なんだよそれ」
「いやいや、素直に思ったこと言っただけ。お、次の対戦相手見つかったぞ。相手もファウンドか、多いなぁ。ミラーじゃん」
そんな感じで友崎の対戦を観戦した。
ビックリすることに友崎も負けるときは負けるんだな。
いやまぁそりゃそうなんだろうけど、俺の中では無敵のイメージが出来上がってたわ。
でも今日の総合結果としてレートが下がってないのは流石だな。
ふと時計をみるともうそろそろお昼を回ろうとしていた。
「いつの間にか結構な時間になったな、今日はそろそろおいとましようかね」
「ああ、本当だ。もう12時になりそうだな」
あ、そういえば、北与野は前にみみみが美味いラーメン屋があるって言ってたな、名前なんだったっけ。
えっと、たしか、検索検索……。
お、ここだな?
「友崎ー、このラーメン屋知ってる?」
そういいながらスマホに店の画像を出して友崎に渡す。
「ん?あぁ、このあたりに住んでたらたぶんみんな知ってると思うぞ。何度か行ったことあるな」
「お、マジか。ならラーメン食いに行こうぜ。前にみみみがここのラーメン美味いって言ってたから気になってたんだよね」
ラーメンいいよな、昼と言ったらラーメンだ。
後でみみみにお前の言ってたラーメン屋に食いに行ったぞって伝えてみよう。
「あー、わかった。ちょっと母さんに昼を食べてくると伝えるから待っててくれ」
「おう。あ、あのかわいい妹ちゃんなら一緒でもいいぞー、なんてな」
「おいおい、あの妹が一緒に来るわけ無いだろ」
「はは、そうかい」
そう言って友崎は下に降りていった。
「母さん、言うの遅くて悪いんだけど今日はラーメン食べてくるからお昼は大丈夫」
「まぁ!文也が友達とご飯だなんて!?」
「え!お、お母さん今日は赤飯炊く!?」
「炊いたほうがいいかしら!?」
「炊かなくていいわ!行ってくる」
「あ、文也、はいお金。これで食べてきなさい」
「あ、あぁ、ありがと」
…………。
「わるい待たせた。じゃあ行くか」
「おぅ。……なんか、やっぱり友崎の家って面白いな、いい母さんじゃん」
そういうと部屋を出ようとしていた友崎の背がビクッとはねた。
「もしかして聞こえてた?」
「バッチリ」
右手でサムズアップしながら笑顔で答える。
「あぁもう、いいから行くぞ」
「おう、道案内頼むぜジモティーよ」
「何だよジモティーって……」
そういいながら友崎は部屋を出たので俺もそれについていく。
玄関に行くと友崎の母さんが立っていた。
「あら、あなたが文也の友達ね、出来の悪い息子と遊んでくれてありがとうね、名前はなんていうのかしら?」
「母さん!?」
ホント友崎のうちって面白いな。
俺もしっかり挨拶しとかないと。
「いえ、こちらこそ友…文也くんとは仲良くさせてもらってます。同じクラスの相原みなとです」
「あら、文也と違って礼儀正しいのね。またいつでも遊びに来てね」
「母さん!」
友…、文也もたじたじだな、面白すぎるだろ。
「はい、また今度遊びに来ます!お邪魔しました」
「ええ、気を付けてね」
「ったく!俺も、行ってきます!」
「文也も、気を付けていってくるのよ」
いやほんといい母さんだな、面白いし。
あんまり友崎をイジるのもかわいそうだし程々にしておくか。
そして数分歩いてラーメン屋に着く。
友崎の家から近くていいねぇ。
ここから駅もそう遠くはなさそうだし。
お昼時で混んでるかなとも思ったが、ギリギリ並ばないで座れるくらいだったからちょうどよかったかもしれない。
メニューは俺も友崎も、おすすめのメニューでデカデカと書かれていたとんこつラーメンを注文した。
ちなみに俺はセットで焼き飯も。
運動部は腹が減る生き物なのだ、たとえ今日は何も運動をしていなくても、な。
「そういえば友崎、髪はイメチェンかなんかか?いや、そう言うほど昔を知ってるわけじゃないだけど、最近はなんかクラスでも話すのを見るようになった気がするしさ」
「!、あぁ、まぁそんなところかな」
なんか嬉しそうにする友崎。
なんにせよ前に向かって進むことはいいことよね、努力する人間は応援したいよ、俺。
「あぁそうだ、髪は何も付けないのか?なんかいい感じの髪型にもなったし服装もビシッとしてるのにちょっと惜しい気がするな」
「髪に何か?何かってなんだ?あぁ、あの髪を固めるやつ?」
お、おう。
そう、その髪を固めるやつのことだよ。
「ワックスな。女性はいろいろつけるものもあるらしいが、俺も男がつけるのはワックス以外はよく知らん」
「正直に言うと使ったことがないから付け方とかわからないんだけど……相原もそういうの使ってるのか?」
たしかに、初めてはよくわからんよな。
やり方だけわかっても後ろ側がよく見えなくてうまく出来なかったりな。
あるあるだ。
「あぁ、俺サッカー部だから動きの邪魔にならないように短めにしてて、ほれ横の部分とかごっそりないだろ?ツーブロックにしてんの。んで、そうすると髪の上の方はふわっとさせたいから軽めにワックスつかってるんだよ」
「なるほど……。初めて使うとしたらどうすればいいんだ?」
食いついてくるじゃん。
真面目に聞いてきてるし俺もちゃんと答えないとだめだよな。
「うーん、初めてかぁ。まずワックス選びからになるんだけどな。大抵ソフトからハードで10段階に分かれているんだわ。で、これって髪質によってどれがいいかとか変わるから一概におすすめとかって難しいんだよね。一応、髪が細い人や髪がちょっと長めの人は数字が小さいソフトのもの。髪の癖などが強い人や髪が短い人は数字が大きいハードなものが基本かな」
「へぇ……なるほど。じゃあどうやって自分にあったものを見つければいいんだ?」
そこ見つけるのが難しいんだよね。
というか正直俺じゃ判断できん。
「そうだなぁ、自分の髪が細いとか癖が強いとか把握してたら5を基準に感覚で選んで色々試すのがいい、らしい。あと、ソフトなタイプは長持ちしないからその場合はスプレーも使うといいな、これは意外と安いぞ。俺じゃ人の髪は判断できんが、あー、一応失敗しない方法とかはあるな」
「失敗しない方法?詳しく教えてくれよ。ええっと、ケーダブリューエスケー」
なんだよケーダブリューエスケーって。
ん、kwsk……?
詳しく、ね。わかりニクッ!
「ケーダブリューエスケーって、分かりにくい言い方すんなよ。昨日美容院行ったんだろ、そん時最後に言われなかったか?『なにか付けますか?』って」
「あ、言われたわ。そうか、その時に……」
「そういうこと。その時に聞いてみるのが1番失敗のしない方法ってわけ。向こうはプロだからな。髪質とか判断して選んでくれるし、聞けばスタイリング方法まで詳しく教えてくれると思うぞ。ちなみに俺も美容院でワックスの付け方を教えてもらった」
「スタイリング……?」
おい。
「髪のセットの仕方のことな。あと、美容院ってワックスとかも一緒に売ってるから、もし付けてもらって気に入ったなら会計前に付けてもらったワックス売ってますか?と聞いてみると売ってくれるとおもうぞ。覚えとくといい。つっても昨日切ったなら次に美容院に行くのなんて2ヶ月後くらいかね」
まぁ美容院で買うとワックスもちょっと高かったりはするんだけどな。
あんまりしらんけどいい品質のものでも使っているのかね。
「へぇ〜、いろいろわかったわ、サンキュ」
「なに、気にすんなよ。思いの外真面目に聞かれたから俺も真面目に答えちまった」
そこまで話をしていたところで俺と友崎のラーメンが届いた。
ナイスタイミングぅ!
お、そうだ写真撮るか。
「友崎ちょっといいか?写真取らせてくれよ」
「え、写真?なんで?」
なんでだと思う?
「この店、みみみが美味いって言ってたからな、せっかくだし食いに行ったぞって送ってやろうかと思って。それなら、ついでに友崎も収めておこうかなって」
「なんだそれ、よくわからん『カシャッ』おわっ!まだいいと言ってないんだけど!?」
「いえーい、ナイスショット!」
友崎がなんかごちゃごちゃ言っていたのでその間にシャッター切っちゃった!
ほれほれ、いい感じにラーメンと友崎両方取れたろ?
背景の店の名前もわかるベストショットだな!
「まぁ、たしかにうまく取れてるな」
「だろ?ついでにLINEで送ってやるよ。あ、写真撮らせてもらってサンキュー、もう食ってもいいぞ」
「お、おう。撮らせてもらってってか、お前が勝手に撮ったんだけどな?」
なんか言われたがしーらねっと。
とりあえず取った写真を友崎に送りつつ、次にみみみにもLINEを送る。
『みみみの言ってた北与野のラーメン屋に来たぞ。with友崎!(画像の添付)』
よしっと。
さぁ麺が伸びる前に俺も食べますか!
どれどれ、まずはレンゲで一口……
おお、これはたしかに、旨い!
「なぁ相原」
「ん?」
ラーメンを味わっていると友崎が俺になにか言ってくる。
「や、やっぱり相原ってみみみのことが好きなんじゃないか?」
「!?、ん、んんッ! あぶねー、咳き込むところだった!」
いきなり何を言ってるんだコイツは。
ラーメンのスープを吹きかけられたいのかオイ。
「急に何を言い出すんだお前は、っつかその話2度目じゃねーか」
「いや、なんかLINEで写真まで送るったりって、あんまりしなくないか?」
「しなくなくはねーよ。普通だっての」
「そう、なのか?」
そう、普通だっての。
俺が女子の中で1番連絡を送るのはみみみだけど、写真くらいつけるのは普通だ。
友崎をみると腑に落ちてない顔をしている。
……あー、もうわかったよ。
「はぁー、わかった、負けたよ。俺の負け!そうだな、好きかどうかはわかんねぇけど、気にはなってるよ。まず俺が女子の中で一番仲がいいのはみみみだ。向こうはわかんねぇけどさ。ほれ、これでいいか?」
「お、おう」
くぅ、友崎にいじられるとは不覚!
やるようになったな、コイツ。
なら俺もお返しといこうか。
話は終わったと思ってラーメンをすすりだした友崎を見て、俺は問いかける。
「そういう友崎こそ、最近は日南と怪しい関係なんじゃないのぉ?」
「!?、ごほっ!……おま、ごほ……」
はっは、声になってないぞ友崎。
「ほれ、先週なんて日南について一緒に下校したり、なんか色んなグループの会話に混ざったりしていなかったか?怪しいねぇ?」
「お、俺なんかと日南がなにかあるわけ無いだろ!」
「ほんとうかあ〜?なんてな、ははは!まぁそういうことにしといてやろう」
これでやられた分はやり返したかな?
このくらいで勘弁しておいてやろう。
そうして俺はラーメンと焼き飯を食べ終えた。
はぁー、やっぱ昼はラーメンだな。
カロリーは……昨日部活を頑張ったからいいだろ。
食べ終わったのでスマホをみると、みみみからLINEの通知が来ている。
『北与野なのに私を誘ってくれないなんて酷い!
はらみーはいつからそんなに冷たくなったの!?
っていうか友崎と仲良かったんだ、ちょっと意外な組み合わせ?』
いや急にラーメンに誘われたらビビるだろ。
あれ、ビビらない?本当?
とりあえず適当に返しておくか。
『いや急にラーメンだけ誘われても、?ってなるだろ。
でもここの店美味かったな、みみみが言うだけある。
あと俺と友崎はマブダチだからな、ラーメンくらい食いにいくぜ!』
よし、と。
「友崎、俺達ってマブダチだよな?」
「え?いや、そう……なのか?てか話すようになったのも結構最近じゃないか?」
そうかー?
それもそうかも。
あーでも。
「友情に時間なんて関係ない、そうだろ!気になっている女子まで聞きあった仲だ!ほれ」
そう言いながらさっきみみみに送信したLINEの画面を友崎に見せる。
「ん?え、どうしてこんな返信を……?」
「さぁ、なんとなく?ノリと勢いで生きてるからなぁ。ま、気にするなよ親友!」
「んー、いややっぱそこまで仲良くなった気はしてないかも」
「つれなー!」
またスマホが震えたので確認する。
『へぇー!たしかに最近なんか仲いいよね。
今度北与野で食べるときは私にも教えるのだぞ!
行くかはわからないけど?』
『おういいね、美味い店知ってたらまた教えてくれよ。
誘うかはわからないけど?』
『そこは誘えー!!』
……よし。
返信はこんなんでいいか。
俺と友崎はラーメンを食べ終わってから会計を済ませて店を出た。
「いや美味かったな!そんじゃ俺は帰るわ。友崎、また今度アタファミやろうぜ。次は勝つから」
そういいながら腕を組み、右手で人差し指と中指をくっつけたまま立てて顔の前に出す。
「おう。望むところだ。てかなんだそのサインは」
「ベジータの別れのポーズ」
「結構ダサいからやめたほうがいいと思うぞ」
「ひどい!」
そんな別れの挨拶を済ませ、俺は駅へと向かい友崎も帰路へと着く。
今日は楽しめたが、リベンジは失敗だ。
次回こそ勝つ……。