弱キャラ友崎くんとサンドバッグ相原くん 作:mosumosu
友崎の家に遊びに行った翌週。
今週は特になんのイベントというイベントもなくただただすぎて金曜日。
今日も放課後に俺と中村、あとはクラスでアタファミ好きの何人かが旧校舎の校長室を使って絶賛アタファミ中だ。
さっきまでは泉もいたんだが、中村と一悶着あって帰っていってしまった。
泉は中村の手助けをしたかったようで中村と少しアタファミの対戦をしたのだが、その動きはほとんど素人で中村に邪魔だと追い出されてしまった。
トボトボと部屋から出ていく泉がちょっとかわいそうに思えた。
中村は付きまとうなとか言っちゃってたし容赦なさすぎるだろ、こえー。
その後も俺達はアタファミを続けていたのだが、俺のスマホが震えたので中身を確認してみると友崎からLINEでメッセージが送られて来ていた。
『相原、まだ学校にいるか?相談したい、というか助けて欲しいことが……』
ふむ、友崎から連絡をしてくるなんてなんか珍しいな。
まだ学校に入るので正直に返信をする
『まだ学校でゆっくりしてる。どした?』
『いま学校の玄関にいるんだけど来れる?』
急だなおい。
でも学校の玄関か、歩いても1〜2分くらいの距離だな。
せっかく頼られたんだし、困ってると言うなら助けてやるのが友達ってもんかぁ!
『わかった、向かうわ。数分待っててくれー』
とりあえず返信はこれでOK、中村に適当に言って向かうとするか。
俺以外にも対戦相手はいるし問題ないだろう。
「中村、悪い。ちょっと用事できたから今日は帰るわ」
「はーん、わかった。じゃーな」
「おう。んじゃな、お先ー」
よし、問題なかったようだ。
ちょっと早足で玄関へと向かう。
玄関に着くと、そこには友崎と泉が待っていた。
友崎は呼び出した本人だからそりゃいるけど、なんで泉?
珍しい組み合わせだな。
いや、クラスでは友崎と泉の席は隣同士だし最近はたまに話しをしていたか?
とりあえず友崎達に話しかける。
「よ、おまたせ。で、コレどういう集まり?」
「あ、相原」
「おう。さっきぶり」
「あーっと、どこから話せばいいかな……」
友崎は今の状況の説明をし始める。
要点をまとめると、こういうことらしい。
泉は前まで中村とよろしくやっていたのに、最近はアタファミばかりで仲良くしてくれなくなった。
それならと、対戦を申し出るもさっきのひどい試合だったわけだ。
それでも諦めない泉が、たまたま話しかけてきた友崎にアタファミの指導をお願いした。
でも指導にはどこかでアタファミができる場所が必要で、友崎の家はバド部の妹がいるし、泉の家に友崎だけで上がるのも抵抗があった、と。
そっか、泉もバドミントン部だから友崎の妹と同じ部なのか。
うーん、それでなんで俺よんだの?
いやまぁ何を望んでいるかはわかったけどさァ。
「把握したわ。俺の家でアタファミやる?別に泉の家でもいいけど。あぁ、てか俺もいて二人きりでもなければ友崎の家でもいいのかな」
「わ、私の家は無理!あ、相原の家で……」
まぁそうなるよね。
「へいへい、俺はそれでいいわ。友崎もいいのか?」
「ああ。助かった、サンキュ」
「おう、困ったときはお互い様だろ?ま、貸しにしといてやるよ」
「せ、先週は俺の家を使っただろ?」
「そりゃそうだけど、この件に関しては関係ない俺がわざわざ間を取り持ったうえで家まで提供するなんて、流石に釣り合ってないんじゃないのー?」
「む……」
ということで俺の家で泉のアタファミ特訓をやることになった。
今回は俺は完全に体よく使われてるからなぁ、さっきも言ったけど貸しだからな?
「相原と友崎ってそんなに仲良かったんだ。なんか意外!というか、びっくり?」
「おう、俺達マブダチなんだぜ、なぁ友崎!」
泉がそんな事を口にするので、俺は友崎の背を軽く叩きながら答えた。
コイツ、アタファミは最強だし結構乗りもイイんだぜ!
「まだ言うのかそれ。マブダチってわけじゃないけど、最近はそこそこ話すかなぁ」
「ふふ、やっぱりなんか気安い感じで仲良さそうだね」
「まぁな!」
「……まぁ、そこそこな」
お、友崎照れてるのかぁ?
でも友崎らしいっちゃらしいかもな。
「そんじゃ日が暮れる前に行くか。このまま俺の家に直行でいいか?」
「あ、いや待ってくれ。俺はいったん家に行って荷物取ってくるよ。泉さんはアタファミのソフト持ってないらしいから俺の予備を貸せるかも。ついでにちょっと準備を」
泉にアタファミを貸す?
察するに、そもそもアタファミ持ってなかったんかい。
よくそれで中村に挑んだな、無謀すぎるだろ。
……嫌いじゃないぞ、そういうの。
てかもう友崎の家でいいじゃん。
泉が嫌がってるっぽいけど。
「ってことは、どうすんだ?もう友崎の家でいいじゃん」
「う、それは……ザッキーに聞かれたらなんて答えればいいか……」
面倒くせぇなぁおい。
別に隠すことでもないじゃねーか。
「そのまま話せばいいだろ、中村を振り向かせるための作戦会議ですって。何を今更」
「は、はぁー!?べべべつに中村をふりむかせるためとかそんなんじゃないし!?相原キモいッ!」
俺がキモい!?
俺はキモクナーイ!!
ってかどうみてもバレバレじゃねーか。
じゃあ何でアタファミの練習しようとしてるんだよ。
隣で友崎も軽く引いてるぞ。
「はぁ、わかったわかった。幸い俺と友崎は最寄り駅が隣だから、一旦北与野に行って友崎は荷物を取りに行き、俺と泉は駅の待合室で友崎を待つ。その後合流したら与野本町にいく。これでいいか?」
「う、うん、それなら」
「ああ、俺もそれでいいよ」
よし、とりあえず方針は決まった。
としたら、もういい時間なので急ぐべきだろう。
日が暮れる前に帰りてぇ。
てかこんなところでたむろってて水沢とか竹井とか、中村と仲のいい奴らに見られたら面倒くさいことになりそうだ。
そうして俺達は一旦北与野駅へと向かった。
向かったのだが……。
「失敗したな。与野本町通り越して北与野に来ても待合室て時間潰すとか無駄だらけじゃん。はじめから与野本町の待合室使えばよかった」
「あはは……気が回ってなかったね。」
なんで俺達は無駄に北与野に来ちゃったのか。
俺は投げやりになってて、泉は若干アホで、友崎はアタファミのことばかり考えてたな?
もう来ちゃったもんはしかたない、どうせ待つことになるんだしどこでも変わんないか。
とりあえず泉と話でもして時間を潰す。
「それにしても、今日の中村は結構きつい言い方だったな」
「ホントだよね!ちょっと前までは放課後とか私にも付き合ってくれてたのに、最近はアタファミばっかりでさ!急に付きまとうなとか言ってきたり、意味わかんない!」
おぉう、鬱憤が溜まっていらっしゃる。
すごい勢いだ。
話しかける内容違えたかな。
なんか、なんか話題ないかな……無いなぁ……。
「あー……うん。ま、でも中村の目標見つけたら止まらないで走り続けるところは、こうなんて言うの、中村っぽいじゃん。アイツのあのひたむきさってやつはすげぇと思うよな、俺は」
「うん、そうだよね!修二ってそういう所あるよね!やると決めたらもうそれについては絶対に手を抜かない感じ!そういうところがさ、……」
お、よかったよかった、なんとか愚痴っぽい話からポジティブな会話になったかも。
中村、お前の株上げてやったと思うからこれは貸しな?
でも、これはこれで会話のパワーが強すぎる。
泉は青春してるなぁ。
そんな感じで中村だったり、最近中村に告白した泉とも仲の良い紺野のはなしだったりを泉から聞いて、俺はウンウン、ワカルワカル、と適当な相槌をうちながら友崎の到着を待った。
ちなみに、相槌は適当だけどちゃんと話は聞いている。
意外と面白いというか、だれが何をしたとか色々知れるし、泉からしたらどう見えているのかとか考えながら聞くとそこそこ楽しめる。
泉の話をそんな感じに聞いていると友崎が戻ってきた。
二十分くらいかかったか?
おっせぇぞ友崎ぃ!
次は俺の家だな。
また電車でガタゴトと移動。
隣の駅なので電車での移動はすぐに終わり俺の家へ。
駅から俺の家もまた近いものなので10分かからないで到着だ。
「おう、ここよ。上がって上がって」
「おじゃましま〜す」
「お、おれも、おじゃまします」
2人が玄関に上がるのを確認してから俺の部屋まで案内をする。
「みなと、おかえりー。あら、お友達?」
「あ、おじゃましますー」
「お、おじゃまします」
「ただいまー。ちょっとゲームすることになって、クラスメイトの友崎と泉。あ、先週家にお邪魔したのがそっちの友崎」
案内しようとしたところで、玄関を開く音を聞いてか母さんが出てきた。
一応簡単に紹介だけしておく。
友崎の家のときのようにならないよう、ササッと俺の部屋に移動だ……
「あらあら、可愛い女の子にかっこいい男の子ね!みなとと遊んでくれてありがとう!」
「いえ!こちらこそいろいろ助けてもらってます!」
「お、俺も仲良くさせてもらってます」
あ、ダメだ間に合わなかった……。
「まぁまぁ、俺ら部屋に引っ込むから。俺の部屋こっちだからほら上がって上がって」
母が後ろで手を振っているが見なかったことにして俺の部屋へと向かう。
「ほい、ここね。ちなみにお手洗いはこの部屋でて右の奥、ドア見ればわかるよ」
「へぇー、部屋は結構片付いてるね」
「まぁな。と言っても物をあまり置かない主義なだけかも」
部屋をキョロキョロと見回す泉と友崎。
床はフローリングだがいまは長座布団が1枚置かれているだけなのでクローゼットから座布団を2枚だして適当に床に置く。
「あ、小学生が使いそうな勉強机!相原はこれで勉強してるの?あはは!」
「そりゃ小学生の頃に買ってもらった机だからなぁ、まだまだ使えるんだから使うよ」
いつまで使うことになるんだろうな、この机。
小学生になる時に買ってもらったからもう十年使ってるんだよな。
でも壊れる雰囲気なんてまるでないし、耐久性だけで言うと向こう10年は余裕で持つんじゃないか……?
そう思っていたら友崎が机の前に立つ。
少し悩んだ素振りを見せてから割とゆっくりの動作で机の引き出しに手をかけた。
「よーし、物色するか」
「あ、おま、やめろ友崎ぃ!」
「お約束だろ?」
「あはは!やっぱり仲いいよね、2人共」
そんなやり取りをしてから一息ついたところで、俺はテレビの電源をつけてアタファミを起動する。
そしてコントローラを友崎に渡す。
「じゃ、後はよろしく。泉にアタファミ教えるんだろ」
「ああ」
「それで、私は何をすればいいの?」
俺の役目は終わりだな。
後は友崎に任せよう。
色々始めたようだし俺は飲み物でも取ってくるか。
俺はするりと部屋を出るとコップ3つを乗せたお盆と麦茶の入った容器を持って、部屋に戻る。
「お茶どぞー」
「ドモドモー」
「あ、ありがと」
おぉ、通じるとはやるな友崎。
「このコップ。か、かわいいキャラが描かれてるんだけど。あは、なにこれ」
「好きなゲームの一番くじで買ったやつ。いいっしょ。てかアタファミにもこのキャラでてるだろ?」
ヨンテンドー関連の作品だと一番くじまで妙に力入っているんだよね。
みてたらついつい買ってしまったのだ。
ラインナップも使えるものばかりだったしな。
「相原もこういうの買うんだな。てか普段使いまでしてるのか」
「買ったものは使わないとな。というよりも基本使えるものだけしか買わないんだけどな。コップとかマグカップならいいかと思って。キーホルダーとかアクリルスタンドとかのグッズって多いけどああいうのは邪魔になるか絶対持て余すから買ってないや」
飲み物を渡してから俺は勉強机の椅子を引き、テレビと2人が見えるよう向きを直してからそこに座って友崎の指導を見守ることにした。