弱キャラ友崎くんとサンドバッグ相原くん 作:mosumosu
泉や友崎に触発されて、土日は結構の時間をアタファミへと費やしてしまった。
この前まではレート2000で喜んでいたが、今ではそこからさらに上がり2100ほどになっている。
これはマジで環境トップレベルと言ってもいいんじゃないかという数字だ。
レート2000で上位1%以下、2100はさらにその半分の0.5%以下って噂を聞いた気がする。
アタファミは1000万の売上を超えてるらしいからその0.5%なら、5万位……?
いや待てよ、1000万は日本の予想売上だが全員がレーティング対戦してるわけでもないだろうしもっと上がるか?
家族で楽しむゲームでもあるしレーティング対戦をしているのは2割くらいとして俺は今1万位ってことにしておこう。
こういう計算、全く数字に根拠はないし絶対にあっていないんだろうなとは思いつつも、なんとなく明確な数字を意識するとやる気が出てくるもんだ。
無駄な計算と思うかも知れないが、その無駄が楽しいんじゃないか。
推定1万位、かぁ。
じゃあレートあとちょっと上げたら日本の中でランキング4桁になるわけだ。
なんかすごくない?
そろそろキャラ別レートランキングになら名前も乗れるんじゃねーか?
そう考えていくと地力は上がってきているのを実感するな。
また今度友崎と対戦して今度こそぶちのめしてやろう。
たぶんそろそろ対策を練って、それがうまくハマればワンチャン勝ちを拾える所まで来ていると思うんだよな。
対策がバレない初回、つまり奇襲を仕掛けて1割あるかもってところか。
分の悪いかけは、嫌いじゃない。
と、そんな感じにアタファミの事ばかり考えていたら食堂に行くのが遅れてしまった……。
食堂はいつでも満席というわけではないんだが、今日はたまたま人が多いみたいで空いているテーブルがほとんどない。
今日の4限は移動教室だったし、考え事しながらゆっくり移動してたらこうもなるか。
食堂は2階建てだが1階は全滅、2階も同じようなものであった。
グループでテーブルを取って隅が空いているテーブルとか、全席6人掛けのテーブルなので個人がバラバラに四角とって真ん中が空くテーブルなどはチラホラあるくらいである。
そういう空き席のどこかを使わせてもらうしかないか。
ふらっと相席としてお邪魔できるのは1人の利点だよな。
キョロキョロと周り見渡すが、スッと入れそうな見知った顔のグループはきちっとテーブルが埋まっているようだから本当に適当にお邪魔するしかなさそうだ。
とりあえず入りやすそうな隅のテーブルで……と端のテーブルをみたところみみみとたまが対面で座っているところが目に入った。
真ん中のところは空いていそうだし、そこお借りしようかな、と思い近づいていく。
「や、みみみとたまちゃん、ここ空いてる?下も上も席が埋まってて、問題なければ使わせて欲しいんだけど」
「お、はらみー!それはついてなかったね、どうぞどうぞ。いいよね、たま?」
「ん、問題ないよ」
よかったよかった、これで飯にありつける。
「サンキュー、二人きりの中を邪魔して悪いね、食ったらすぐ出ていくさ」
「別に邪魔じゃないからゆっくりでもいいよ?」
「そーそー、たまもこう言っているしゆっくりしていきなよ」
「あ、そう?じゃお言葉に甘えて」
気の良い二人でよかった。
俺は席につくと手を合わせていただきますと挨拶をし、食べ始める。
ゆっくりしていってねというのだから、ゆっくり食べさせてもらおう。
食事はしっかり噛んで食べたほうが、消化しやすく健康にいいらしいからなぁ。
「そういえば、はらみーさー」
「ん?」
みみみはたまと話していたが、その合間に俺へと声をかけてきた。
「先週の金曜日、北与野駅に来てなかった?駅の待合室あたり」
はて、金曜日に北与野?
なんのことだろう、と思ったがそういえば行ったなぁ。
友崎と合流待ちで北与野駅の待合室にいたわ。
「あー、行った行った。なんだ、もしかして見かけたのか?声かけてくれればよかったのに」
そうすれば俺だって泉の愚痴みたいなのを聞かされ続けなくて済んだのに。
って、ん?
泉と二人でいたのを見られていたのか?
「だ、誰かと一緒にいなかった?」
おぅ……。
泉に変な噂たつと迷惑かけるよな、これ。
いやまて、ってか迷惑をかけられてるのは俺じゃん?
まぁそのとおりに説明すりゃいいか。
「あー、泉と一緒にいたな。でもとも「やっぱり!」」
いや遮んなし。
「ま、まさか、はらみーとユズが、そ、そんな関係だったなんて!!」
はぁ!?
いやちげーよ!
そもそもがあいつが中村のことをすきなのなんて周りからみてもバレバレだろーが!
「いや、話を「いったいいつから!なにがきっかけ!?」いやおい、たまちゃん、みみみ止めてくれよ!」
がああっ!パ、パワーが違いすぎる!
みみみが暴走を始めてしまった。
話を聞いてくれないし、たま助けてくれ……。
「ほら、みんみストップ!」
たまはそう言うとみみみの頭にチョップをかました。
おお、容赦ねぇな。
みみみも大げさに「んぎゃ」なんて言っている。
「ううぅ〜、たまの愛が痛い……」
「相原もこまってる。こういうのは順番に聞かなきゃ。ほら、まずはいつからか、を聞かなきゃね」
「おいたま、お前もか」
そういって目を細めてシラーっとたまを見据える。
「だから、なんか早とちりしてるだろ。待合室には俺と泉が一緒にいたけど、それは人を待ってたの。そもそも泉の本当に好きな奴なんてはっきりしてるだろ」
「む、そう言われるとそこはそうだね」
特に、泉や中村たちともよく話すみみみはすぐにピンときたようだ。
「え、誰のこと?」
「あマジか。しょっちゅう絡んでるだろあいつら」
「まー、たまはこういう所あるからね。でもそんなたまもかわいいよー」
そう言いながらみみみは両手を自分の頬に当ててにへらっと笑う。
駄目だこりゃ。
「泉の好きなやつっていえば中村だよ中村。で、その中村が最近アタファミばっかりやってかまってくれないんだとさ」
「あー、そういえば放課後に空き教室で何人か集まってアタファミやってるらしいね」
「ふぅーん、そうなんだ」
自分から聞いてきた割にあまり興味なさそうな反応だなおい。
ぁー、まぁ中村とは確執があるからかね。
「そ、で、付き合いの悪くなった中村に、だったら自分もアタファミやるって言って中村と泉が対戦してさ、泉のボロ負け。中村からは邪魔だからでていけって追い出されて、今度はじゃあ上手くなる!って言って俺と友崎に教えを乞いてきたの」
正確には俺には乞うてないけどまぁ大体合ってるからいいだろう。
「なるほど。あ、じゃあ駅の待合室で人を待っていたってのは友崎のこと?そういえば北与野駅だったよね」
おー、友崎の最寄り駅よく覚えてんな。
まぁ?一緒に帰ってたもんな???はぁ。
「そーゆーこと。ときにたまちゃん。友崎の下の名前知ってる?」
「え、急に何?えっと、なんだっけ?おぼえてない」
だよね、そんな気がした。
「友崎文也な。いやなんか、ふと思ったけどたまちゃん他人に興味なさすぎないか?いや別に悪いって言うわけじゃないんだけど……え、あ、俺の下の名前は知ってるよな?もちろん」
「え?えーっと、相原、はらみー、はらみ、み……みなと、だよね?」
おい嘘だろ、思い出すのにあだ名から連想して考えなきゃでてこないのか?
今のちょっと傷ついた……。
「たまちゃん、俺たち友達だと思ってたの悩まなきゃ名前すらでてこないなんて……」
「え、え?ごめん!でも合ってたよね!」
「ごめんだって、振られちゃったねぇ〜、残念でした!たまの愛は私だけのものだよ」
「そういう意味じゃないから!あと、別にみんみを愛しているわけじゃないよ?」
「た、たまぁ〜……」
俺とみみみはたまに振られてしまったらしい。
1年の頃から同じクラスだと言うのに酷い!
というか、なんか微妙な危うさを感じてしまった。
でもわざわざ本人に言うのも説教臭くてあれかな……。
いや、たまならいっか、サバサバしてるし。
「たまちゃんもクラスメイトの名前くらいは……いや違うな。もうちょっと他人に興味を持ってもいいと思うぞ。嫌でも周りと合わせなきゃいけないときとかってあるからなぁ。そういうとき、例えば相手の名前とか入ってる部活とか趣味とか知ってたらなんとかなるから」
「んー、興味がないってつもりではなかったんだけど、言われてみるとそうかも。覚えとくね」
たまはこういうとき本当に関係ないと思ったら頷かずにNOと言うやつだから、少しくらいは俺の言ったことに納得もしてくれたようだ。
直前に名前をうろ覚えだったことに引け目があったのかもしれんが。
「は、はらみー、やけにたまの事を気にかけてない?さてはたまのこと……!私のたまは譲らないよ!?」
「そういうのもういいから……」
「私はみんみのじゃないよ?」
その後も割と適当な会話をし、昼食を食べ終わって一息ついたら教室へと戻った。
***
そして翌日、火曜日の放課後。
俺は部活終わりに旧校舎で中村と軽くアタファミをしていた。
中村も結構強くなっており、もう俺以外には1ストックも落とされずに勝つことがチラホラでてきている。
かなり上手くなっていると言ってもいいだろう。
まぁ友崎に勝てるか?と言われたらもちろんNOなんだろうけどさ。
しかし、中村の機嫌が妙に悪いんだが。
俺なんかしたか?
と思っていたら中村の一言で把握した。
「相原、お前金曜日に優鈴と一緒にいたらしいな?それに友崎もか。家にまで呼んだんだって?証言もあんだよ」
あーあー、ここでもそれかー。
泉は人気者だねぇ!
つか事の発端は中村、お前じゃねぇか!
そもそもこの話どっから漏れたんだ!?
みみみか!?
「いや、まぁそうなんだけど。いろいろあったんだよ」
「いろいろって何だよ?」
中村にめっちゃ睨まれる。
めヂカラつえーって。
泉の件、言っていいもんかな……。
いやいいか、別に止められてもいないし。
それに俺は自分の身が何よりカワイイのだ、友崎になすりつけておこう。
「金曜日はもともとここにいたけど用事あるって言って帰っただろ?アレの呼び出しが、友崎と泉だったの。泉がアタファミ強くなりたいから教えてって、強い友崎とか俺とかに頼ったんだと」
「はぁ?なんでそこでお前や友崎がでてくるんだよ。特に友崎なんて接点すらねーだろ」
俺が知るか!
けど先週くらいから友崎は泉にちょくちょく話しかけてた気がするな。
自分を変えるってやつの一環だったか?
「なんか最近あの二人たまに話してるじゃん。席がとなりだからじゃね?知らんけど。ってか、中村が泉をボコボコにしたから泉がアタファミ特訓するって言い出したんじゃないのかよ」
俺がそう言うと中村はチッと舌打ちを入れる。
とりあえず納得というか、状況を理解はしたのか、矛先は俺からは逸れたようだ。
機嫌は悪いみたいだがね。
「ハッ、友崎ねェ。まぁわかったわ」
あ、これ友崎がヤバいヤツだ。
まぁいいか、強く生きろよ友崎よ。
骨なら拾ってやるからさ。
そしてさらに翌日の放課後。
今日も中村の相手でもしようかなぁーって思ったところで中村から旧校長室に友崎を連れてきてくれと頼まれた。
結構イラついてたし、泉関連のことで鬱憤が溜まっているのは間違いないだろうな。
「で、どうする?別に全員で友崎呼びに行く意味もないだろ」
俺は目の前には水沢と竹井に聞く。
まぁいつもの中村グループって感じだ。
友崎を呼ぶように頼まれたのは俺だけでなくこの三人に、だ。
中村は先に部屋確保ってことで旧校長室に向かった。
「まぁそうだな。それじゃあ俺と相原で探しに行くか。竹井は先に旧校長室に行って場でも温めといてよ」
「オッケー!任せるっしょー!」
そういうと竹井は我先にと教室からでていった。
そして俺は水沢と一緒に友崎を呼びに行くことになる。
とりあえず友崎にLINE送ろ。
いまどこー?っと。
「で、なんで修二はあんなイラついてるわけ?相原はなんか知ってる?」
「あー知ってる知ってる。泉関連っぽいよ」
スマホでLINE送信しているため、ちょっとおざなりな返事になる。
水沢はそれを気にしたわけでもなくさらに聞いてくる。
「ふぅん。じゃあ金曜日にお前や友崎が優鈴と遊んでたって話は本当なのか?」
どこまで噂広がってんだよ、口の軽いやつは誰だ……。
俺は友崎に簡素な連絡だけ入れてからスマホをポケットに仕舞う。
そしてどちらが言うでもなく話しながら教室を出て少し早足に玄関へと向かう。
普通に考えれば放課後は帰るだけだし教室から玄関への途中にいるだろう。
「はぁー、その話だけは広まってんのね。泉がアタファミ上手くなりたいって言って巻き込まれたのよ、俺はね。つまり、中村の自業自得って感じ」
「はは、なるほどね。まぁそれはそれとしても、友崎が急に優鈴に話しかけるようになったみたいだしな」
よくみてるよなぁコイツもほんと。
もしかして竹井を先に向かわせたのも、俺からそういうこと聞くため?
別にいいけど、なんとなく魂胆が分かると利用されてんなーって思って面白くない……。
気もするが、みんなそんなもんだし俺だって似たようなことするしお互い様ってか怒るのもお門違いなのよね。
コイツは本当にそういうとこっていうか、他人が怒らないレベルで上手く回すのがうまいんだよなぁ。
俺のポケットのスマホがブブッと震える。
どうやら友崎から返信が来たらしい。
中身を確認、なるほどなるほど、はいはいポチポチっと。
「友崎は玄関に向かってる途中だってさ。玄関で止まってもらうように言ったわ」
「あー、お前友崎と仲いいんだっけ?わざわざ探すことにならなくて助かったわ」
「がはは、俺と友崎は心の友でしんゆうだぜ、ささ、行くとするか」
こうやって俺と友崎は友達ですアピールしておけば、友崎だけ敵みたいになることもない、だろう。
たぶん。
本気で自分を変えようとしてる友崎が、こんなもらい事故みたいなので中村から恨みを買ってクラスのハジキ者みたいにされるのは馬鹿げているしな。
友崎は適当に中村をボコボコにしつつ誤解でもといてくれや。