弱キャラ友崎くんとサンドバッグ相原くん   作:mosumosu

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原作2巻
15


中村と友崎がアタファミで対戦をした事件から数日がたった。

あの時はどうなるものかと思ったが、なるようになるもんだ。

 

アタファミで勝負すること自体はクラスのだいたいの人間が知っており、今回は証人になる人も多かったためその内容はすぐに浸透していった。

ただ、そこで中村には負けたことに対してのマイナスなイメージなんかは特段なく、まぁゲームだし中村よりうまい奴もいるんだなぁとかそんな感じだった。

 

実際のところは日南がそうなるように火消し、鎮火作業をしていたような気がする。

なんか露骨に『修二がそんなにハマるって、すごいゲームなんだね!』みたいなこと言っているのも見た。

なんとなく確証はないんだけどさ、日南、お前も実はアタファミ好きだろ?

 

しかしちょっとだけ不思議ではあったかな。

日南って誰かに助けを求められたときなんかは放っておかないけど、自分からなんかしてくれって言わない人間には厳しいタイプだと思っていたんだよね。

そういう意味では中村は誰かに助けを乞うタイプでもないから、フォローに入っているのはなんか珍しいなって思ったり。

まぁグループで仲いいクラスメイトだったらフォローしても不思議ではない、か?

 

俺も俺で友崎と紺野が言い争いになった時に割って入ったからどうなるかと思ったものだが、紺野から特に目の敵にされることもなかったっぽい。

まぁ紺野の心の中までは知らないが、少なくとも表面上はそうだ。

 

俺の隣の席が紺野と仲のいい神前だから、あの事件の翌日に紺野はなんか怒ってなかったかと直接聞いてみたし。

たしか……

 

「神前。昨日の放課後のやつさ、実は神前たちが帰った後いろいろあったんだけど紺野は怒ったりしてなかった?」

「えー、まじ?そういえば今日は結構機嫌悪そうだったけど、何があったの?」

「紺野が友崎に勝てない中村を煽って、友崎が人の努力を馬鹿にすんなってキレて紺野に啖呵切った」

「あの友崎が?あっはっは!なにそれ、やば!めっちゃ面白いことになってるじゃん!」

 

「目の前で繰り広げられてた俺は全然面白くなかったんだよなぁー。まぁ、あいつのそういうところって俺は嫌いじゃないんだけどさ。けどそこで俺が、今日はこのくらいに……って割って入ったからさぁ、紺野は俺に対しても怒ってないかなぁって」

 

「うーん、それだけならたぶん相原は大丈夫だと思うよ?でも、友崎のほうは、啖呵きったってマジ?絶対エリカ怒ってるやつじゃん。先に帰ってよかったー。あ、あの時はアシストありがとね、中村めっちゃ機嫌悪かったじゃん?自分が負けてるからって私らにあたるなっての!」

 

「いやぁそこはなぁ、まぁ10:0くらいで中村わるいんだけどさ、アイツ熱くなるとああいうところあるからねぇ。悪いんだけど今回は大目に見てやってよ。中村も言い過ぎたと思ってるっぽかったからさぁ」

 

ってな感じだったと思う。

神前って話してみると結構話しやすいんだよね。

なんつーか、あの紺野と仲良くやっているだけある?って感じ。

 

そういうことで俺からしたらあの出来事も、全ては過去、終わったことだ!

とはいえ中村と友崎はそうもいかず、紺野達のグループとぎくしゃくしていたり、友崎なんかは遠巻きに紺野達から陰口を言われていたりしている。

神前もしっかり入っているあたり紺野には逆らえない、というか事なかれ主義って感じだな。

 

でも紺野達も本人が聞こえるところで言うあたり、意外と嫌いじゃない。

狡い連中は陰でだれかわからないように隠れながらやるからな、あの正面からの……正面か?まぁ見える位置からの攻撃ってことの一点においては評価したい。

姑息だけど、卑怯者でもない感じがする。

いや、でもやっぱ卑怯か?

まぁ大きな問題はなさそうだからいいか。

 

そういえば、少し前にネット記事で見たが日本人ってのはスパイト行動ってやつが大好きらしいな。

他人が得しているのを見ると多少自分が損をしてでもそれを阻止しようとするらしい。

 

例えば、小学校のPTA役員が面倒な見回りをしていたのをやめる計画が進んでいたのに、『私たちは昔から苦労していたのに今更無くして楽するなんて許せない!』みたいなので撤回させるそうだ。

他にもおかわり無料の店で、おかわりしたやつとしてない俺が同じ値段なんておかしい!とかいうクレームが入ったなんて話もあるらしい。

うーん、日本大丈夫か?

まぁ例が極端すぎるしちょっとニュアンスが違うかもしれんけど、紺野はそういった部類の人間に思う。

 

一応?日本人はこのスパイト行動が好きっていうのが特に強い故に、他国からは日本人の結束は強い!って認識になっているらしいね。

てか足の引っ張りあいで生まれる結束ってなんだろね。

いや思考が関係ない方向に行ったな、もとに戻そう。

 

それで、あとは中村だな。

アイツが今一番どうしてこうなった感がある。

というと、今はクラスのほぼ全員が泉の中村への好意に気づいており、そのためにアタファミを練習しているのは誰がみてもわかる状態だ。

最近関わりのあった俺とか友崎だけではなく、クラスメイト全員知ってるだろうって感じ。

 

しかもそれなのに、中村は友崎にコテンパンにされたのが相当気に障ったのか、ことあるごとにアタファミアタファミと学校の昼休みや小休憩ですら練習をしているっぽく、そっちに夢中すぎてか泉の好意に気付いていない。

クラスメイトからは既にすげぇ鈍感な人間、鈍感といえば中村だ、という雰囲気がある。

中村、お前それでいいんか?

 

とまぁそんなレベルで済んでいるので、クラスでカースト上位に君臨していた中村は依然健在。

何か大きく変わったことっていうのは本当に何もなかった。

でも小さい変化はあったかな?

 

 

家庭科で移動教室だった4限が終わった時、水沢と友崎から話しかけられた。

何とも奇妙というか、珍しい組み合わせで若干警戒してしまう。

 

「よー相原、ちょっといい?」

「おー、まぁ昼飯をくいっぱぐれないくらいにならな。今日は食堂行こうと思ってたから」

 

そういうと、水沢が本題に入る。

 

「すぐ済むって。この間の友崎さ、すごかったろ?」

「あぁ、紺野に啖呵切ったやつ?友崎はやっぱりやるやつだったな、誇らしいぜ」

「いや、なんでお前が誇るんだよ」

 

いい突っ込みだな友崎。

なんか、突っ込みも前より様になってきたか?

 

「で、面白い奴だなーと思ってな。今度一緒に飯でも行って話さないかって計画してたのよ。それで、そういえばお前も友崎と仲良かったようだし一緒にどうかなと思って。共通の知り合いがいると話しやすいだろ?」

「ぉー、なるほどいいね。いいよ、いこういこう。他はだれが来るんだ?」

「日南も誘おうかと思ってる。人数考えたら後は女子二人くらいほしいな」

 

いいねぇ、女子は何人いてもいいですからねぇ!

そういえばこの前友崎とラーメン食いに行ったときにみみみLine送ったら私も誘えーって言ってたっけ。

ちょうどいいか。

 

「じゃあさ、みみみとかどうだ?ちょっと前も移動教室の時に友崎の話聞いて爆笑してたじゃん。それに、たしか友崎とみみみって最寄り駅同じっぽいぞ」

「人の最寄り駅とか、ほんとよく覚えてるな。たしかに同じ北与野だけど」

「あー家庭科の時のね、あったあった!てか駅同じなのか。じゃあそれでいこう。友崎もいいよな?」

「あぁ、みみみだと話しやすくていいかも」

「あとはどうする?よくその二人と一緒にいるたまとかか?」

 

よーし、あとでみみみに話してみよう。

しかし、たまちゃんかぁ。

 

「たまちゃんは、どうだろなぁ」

「なんだ、なにか問題あったか?お前、嫌われるようなことでもしたのか?」

 

問題あるのお前(水沢)じゃい!

いやまぁ水沢というよりも、正確には中村なんだけど。

お前らがたまちゃんをいじめるせいで苦手意識持たれてるんだろがい。

 

「わかっててすっとぼけてるだろ……。じゃあみみみと、一応たまちゃんには聞いてみるけどこっちはあんまり期待するなよなぁ」

「りょーかい」

「おっけー」

 

という感じで、今度一緒に飯を食べに行くことになった。

みみみとたまちゃんを誘わないとだから、これからちょうど食堂行くしそこで探してみるか。

捕まらなかったら放課後でもいいし、最悪はLINEでもいいだろ。

でもあんまりLINEだけのやり取りとかは個人的に好きじゃないから、約束を取り付けてからグループ招待って形にしたいな。

 

 

***

 

 

話していたのと移動教室であったことが重なり、少しだけ遅い時間に食堂へとついた。

とはいえ時間的にはまだお昼が始まって数分なのでテーブルもそこそこ空きがあるようだ。

毎回移動教室を考慮して少し早めに終わらせてくれる先生に感謝だな。

 

注文したトレーを受け取り席を探すが、さっきの件でみみみとたまに用があるので今日も食堂にいないか探してみる。

お、いるじゃん。

また2人なのかな、ちょっとお邪魔しよう。

 

「や、みみみとたまちゃん。ちょうどよかった、ちょっと話したいことあったんだけど、ここいいかな?」

「おぉ、はらみー!どうぞどうぞ。いいよねたま?……あれ、なんかデジャブ?」

「ん、いいよ」

 

デジャブといえば、先週もお邪魔したんだよな。

たしかに似たやり取りをしたような。

 

「サンキュー。そういえば先週もお邪魔したな、あの時は空き席がなかったから助かったわ」

「今日はあっちこっちの席が空いてますよー?そんなに私達と一緒にいたかったの〜?」

 

みみみがニシシって感じに笑いながらそんな事を言ってくる。

は、話しがあるって言ったよね?

まぁ、下心も?なくはない、かもしれないけど?

 

「えぇ、出ていけってことぉ?冷たいなぁ……。たまちゃんこんなみみみどう思う?」

「みんみ、酷いね」

「ちょっと!そんなことは言ってないよ!?たまを味方につけるなんてズルいズルい!」

 

なんて感じに若干の照れを隠しながら適当な返しをする。

たまちゃんにはめっぽう弱いからな、みみみは。

 

「それで、なにか用だったの?」

「あぁそうそう、今度俺と友崎と水沢で飯でもいかないかって話してて、あとはそこに日南も声かけるようだから、女子も日南1人よりはあと数人欲しいなって言っててさ。みみみとたまちゃんもよければいかない?あ、もちろん無理なら無理でいいんだ」

 

みみみとたまちゃんの方をみながらそんな風に切り出す。

みみみはへぇーって感じだけど、たまちゃんの方はちょっと難しそうな顔をしている。

まぁそうだよなぁ。

 

それを尻目に俺は手を合わせていただきますをする。

話は話として、ご飯が冷めちゃう前に食べないとね。

温度も味だからね、味が落ちる前に食べなきゃもったいない。

 

「友崎とタカヒロってなんか不思議な組み合わせだね。どういうつながりなの?」

「それな。俺も同じこと本人に聞いたんだけどね、この間友崎と中村がアタファミで対戦したの知ってる?」

「あー、知ってる。結構みんなその話をしてたよね。友崎が修二を返り討ちにしたんだっけ?」

 

たまの方をみても、どうやらそのことは知っているような顔をしてる。

たしかに数日間はその話が持ちきりだったと言うか、この二人は日南とも特に仲が良いから聞いているのかもな。

 

「そうそうその話。で、続きも知ってる?対戦のあとに負けた中村を紺野が煽ってさ。努力無駄だったねーみたいな感じに」

「あ、あー……それは詳しく知らなかったけど、ちょっと想像できる」

 

想像できちゃうかぁ。

 

「で、その発言に友崎の方がブチギレちゃってさ。努力してるやつを笑うんじゃねぇ、俺は努力しないで他人の努力を馬鹿にするやつがだいっきらいだ!って感じに」

「え、そんな事あったの!?あはは、友崎アッツいねぇ!」

「ほんとほんと。で、それ聞いた水沢が面白がってるようでさ。アイツは意外とそういうアッツいのは嫌いじゃないみたいだし。普段クールぶってるくせにな」

 

むしろ普段クールな自分を作ってるから、感情的になれる人間が羨ましいのかね。

よく中村といるのもそんな感じの理由な気がする。

中村も感情的で負けず嫌いで芯に太いもん持ってるしな。

 

「まぁそんな感じで話して見るのも面白そうだなってことらしい。実際に面白いやつだよ、友崎は。結構前だけど家庭科室でみみみも友崎の話で爆笑してたじゃん」

「あー、あったね!たしかに面白かった!」

 

その時のことを思い出したのか、あっはっはと笑うみみみ。

 

「ってなわけでこの話なんだけど、ふたりともどうする?」

「ん〜、たまはどうする?」

 

そういってたまの方を見るみみみ。

そこだよなぁ。

 

「まぁ、無理はしなくてもいいよ。正直な所中村やそれに近いクラスメイトはたまちゃん苦手よね。でも今回は中村はいないし水沢だけだからどうかなとも思って」

「んー、私はやめておこうかな。ごめんね相原」

「そっか、了解。こっちこそ無理言って悪いな。次回はもっと気兼ねないメンバーで何かあったら誘うよ」

 

これは仕方ないな。

でも正直無理する前に辞めると言ってくれるのはありがたいといえばありがたい。

はっきりとNOと言える人間ってなんというか、憧れる。個人的には。

 

「で、みみみはどうする?まさか日南を1人にするのか?」

「なにその言い方!?でもたまが不参加かぁ……」

 

そうだよなぁ。

一緒に誘うときに1人が断るともう1人がYESと言いにくくなるんだよね。

気を使っちゃって。

特にみみみは人柄的にそういうところが強いし。

 

「みんみは私のこと気にしなくていいから行ってきたら?」

「そ、そう?じゃあ私は行こうかな」

「お、りょーかい、サンキュー。たまちゃんも借りができちゃったな。今度埋め合わせでも考えるから」

「借り?よくわかんないけど別に気にしなくていいよ」

 

ということで、たまの方は残念だったけどみみみは誘うことに成功した。

後で水沢と友崎に連絡しておかないとな。

もう一人は誰か誘うのかな、まぁ最悪5人でもいいっちゃいいか。

 

俺はいい人選が思い浮かばなかったから二人に任せよう。

あとは昼はゆっくり適当な会話でもするか。

 

「そういえばさぁ、なんか友崎と日南って怪しくない?たまに友崎がポロッと日南の話するし」

「あー!それ私も思ってた!最近謎の目配せとかするよね!」

「相原が葵に友崎をクラスになじめるように手伝ってとかお願いしたわけじゃないの?葵って助けを求められたら答えようとするから」

「俺が?友崎のために?ないない、そこまで他人優しくはなれないって」

 

ってことは友崎から日南に、クラスに馴染みたいみたいなことを頼み込んだってこと?

あまり想像できんな。

うーん、気になるけど考えても答えは出なさそうだ。

 

「というかさ、葵とタカヒロが付き合ってるなんて噂ない?」

「えっ、そうなのか?それは初耳なんだけど、なにその関係。もしかして俺たちはそんなトライアングルの中に呼ばれた?白黒つけます証人よろしくみたいな話!?」

「流石は葵、男子2人に取り合われるなんてモテ女よの〜」

「じゃあ俺たちは今度の飯食いに行く集まりの時は、ゆっくり3人の様子でもみさせてもらおうかね」

「そうだね。あ!じゃあー、私たちもイチャイチャ、す・る?」

 

する!

 

「はは……そうだね」

 

俺は額に片手を置きながら片目を閉じ、やれやれというような体勢でおざなりに答える。

 

「なにその反応!」

「みんみ、葵たちの関係がわかったら後で教えてね」

「たまちゃんもそこは興味津々なのかよ。ならくればいいのにー」

「うーん、それはやっぱりいや」

 

いやかぁ、いやなら仕方ない。

こうして割と楽しい昼休みを過ごした。

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