弱キャラ友崎くんとサンドバッグ相原くん 作:mosumosu
水沢と友崎提案の飯でも食いに行くか計画について、無事にみみみを誘えたことを水沢と友崎に報告した。
たまの方はダメだったということを伝えるとやっぱりなーってことにはなったが、まだ日程すら決めていないわけだし、とりあえず日南を誘わないとという話になった。
とりあえず日南、ってのはそうだろうな。
これで日南がNOだったらみみみも、あれ?ってなっちまうよ。
それに、あと一人誰かを誘うにしても日南もいるよ!というところを切り出せば誘いやすくもなるというものだ。
日南には水沢から言うっぽいのでとりあえずは後のことを水沢にお任せでいいな。
そう思っていたら、なんか翌日くらいに友崎が、あと一人は自分が声かけてみるなんて言うので任せることに。
オーケーオーケー、やる気満々だな。
当てにしてるぜ。(セシル)
そう思って任せていたら、どうやら飯を食いに行く話は泉の中村への誕生日プレゼント選びに変わったらしい。
たぶん飯は飯で食うと思うけど。
友崎が泉を誘って、なんかこういうことになったらしい。
俺としては問題なしなんだが、急に変わってちょっとびっくりした。
まぁクラスメイトほぼ全員が泉の好意には気づいているわけだし、水沢・日南・みみみの3人もコイツラ早くくっつけよとか思ってそうなところがあったから、それもありかーって感じになったんだろう。
……え、友崎も中村にプレゼント買うの?
仲直り?面白いやつだな、いいと思う。
しかし中村はいつの間にこんな愛され系キャラになっていたんだか。
ってなわけで、泉と友崎のプレゼント大作戦が予定されることになった。
あと、なぜか日南はこの件にノリノリのようで今回の幹事を引き受けてくれたらしい。
日南のこういう所は助かるぜ、本人の能力の高さも有ってまず失敗しないからな。
日南は泉と仲がいいから、失敗させたくないとかそんな所なのかな?
それとなんか、日南ってやっぱり友崎とも怪しいよなぁ?
でも日南は水沢と付き合っているなんて噂もあるんだっけ?
いつからこんなに人間関係が複雑になっちまったのか、泉と中村の関係位が分かりやすくていいよ。
ともあれ夜には日南によってLINEグループが作成された。
しばらくのやり取りの結果、今週の土曜日に買い物に行くこととなった。
***
それから翌日の水曜日。
朝のホームルームにて担任の川村先生から1つお知らせがあった。
3年生が受験に専念するにあたり、来月の頭から生徒会長が3年生から2年生に交代になるそうだ。
それに当たり生徒会選挙活動が来週からスタートされるらしい。
まぁ俺にはあまり関係のないイベントだな。
俺は生徒会長なんて柄じゃないわけだし。
立候補者は先生から用紙を受け取ってから、推薦人を立てて来週の月曜日までに提出が必要とのこと。
多分だけど、日南あたりがやるんだろう。
ホームルームが終わって1限までの小休憩の時間。
川村先生の方をそのままみていたら、やはりというか日南が用紙を受け取っているようだった。
ふーん、推薦人は誰がやんのかね。
そんなふうに考えながら自席に戻る日南見ていたら、横から元気な声で話しかけられた。
「いよっす!はらみー!」
「んお!あぁ、みみみか」
ちょっとびっくりしてビクッとなってしまったがまぁ気にしない気にしない。
俺の死角を突くなんてやるじゃないかみみみ。
「どーしたのー?葵の方見つめちゃって。も、もしかしてはらみーも、葵狙い……!」
「ちがうから。やっぱ日南は生徒会長に立候補するんだなーって」
つーか日南狙いの倍率はクソ高そうだよな。
サッカー部の背番号10をつけてるだけで自称エース名乗っちゃってるクソ天パもこの前告白して振られてたらしいし。
ザマァーってんだ、はっは!!
じゃなくて……。
「だよね、葵なら立候補するよね。はらみーはしないの?」
「え?俺がするわけ無いだろ。どう考えても向いてねーっての」
「あっはっは、だよねー!聞いてみただけ!」
「しばくぞ、お前……」
こわーい、なんていいながら自分の身を抱きしめるみみみ。
うーん、胸が強調されて、じゃなくて……!
舐めやがって、なら初めから聞くなっつの。
「むしろ、誰が日南の推薦人やるのかのほうが気になるな。日南ってだいたいなんでも完璧にこなすから落ちることはないだろうけど、自分のサポートを一体誰に任せるのかね。本人は何でも1人で済ませるイメージだし、そもそもついていけるやつなんているのかって」
「……そう、何でも完璧にこなしちゃう子なんだよ、葵は」
うん?
なんか含みのある言い方だなぁ。
「もしかしてみみみが推薦人にでもなるのか?」
「えっ、私?んー、考えてなかったね」
そうなのか、てっきりそんな事を考えているのかと思った。
同じ陸上部だし、仲良さそうだし、みみみは声もよく通る。
演説とかやるんだっけ、ピッタシじゃん。
「はらみーは、推薦人の方はどうなの?やらないの?そっちなら向いてるんじゃない?」
「やらないやらない。面倒だし、大変そうな割に俺にメリットなんてないだろ?てか、俺が向いてるって……日南ならもっと妥当な人選にするさ。むしろポイント稼ぎたい奴らに群がられるんじゃないのかね?」
「ふぅーん。あ、先生来た!じゃね!」
そう言うやいなや、みみみは自席へと戻っていった。
なんだったんだ、ありゃ?
この、なんだったんだ?という疑問は放課後に解消されることとなった。
俺はいつも通りに部活はあるのだが、中村にホームルームから部活開始までの時間でアタファミの相手になれと言われていたので旧校長室へと向かっていた。
旧校長室の位置的には職員室が通り道にあるのだが、そこを通りかかった時にちょうどプリントを持ったみみみが職員室からでてきた。
「お?みみみ?先生に呼び出されたのか?一体何をしたんだ悪い奴めー」
「あっ、はらみー!私が呼び出しだなんて何を言っているのかな?実は私がすごい優等生であることを知らないの〜?」
知ってるさ。
「冗談冗談。それ、もしかして生徒会選挙の?」
「あはは、見られちゃったかぁ。まぁ隠すわけでもないし。そう、実は私も生徒会長に立候補しようと思うのです!」
マジで?
なんで急に?
いや本人からしたら急ではないのかな、ずっと考えてたのかもしれん。
でもやっぱ驚きだ。
「みみみは生徒会長になりたかったのか、全然知らなかった」
「まぁね!内申点を稼いでおくのもいいかなって思いまして!」
「へぇ、内申点ねぇ。まぁ頑張れよ、応援してるわ」
「ほんと?私と葵どっちに投票しくれる?」
え?それ聞くのなんかずるくない?
まぁいいけど。
「みみみに投票するに決まってんだろ」
俺はいつでも無謀なチャレンジャーを応援するぞ。
「あっはは!嘘っぽーい」
「嘘じゃねーって、ほんとほんと」
「じゃあそういうことにしておいてあげる。投票の時は本当に私に入れるんだぞー!」
そう言いながらみみみは別れ際に手を軽く振ってから教室の方へと早足で歩いていった。
本当なのに嘘みたいに扱われて少しショック……。
まぁそれはいいか、みみみは元気なやつだな、ほんと。
って、やばい。
ちょっと話して時間使った、中村が待ってるかもしれねぇ。
旧校長室いかないと。
旧校長室につくなり中村からは遅いと怒られてしまったが、そこまで大幅に遅くなったわけでもなかったので軽口の応酬位のレベルで済んだ。
***
そしてその翌日。
なんとなくみみみが生徒会長に立候補するのが気になっていたのでこそっとたまに、みみみは昔からそんな事考えてたのかって聞いてみることにした。
ちなみに、たまは俺の席の左隣なのだ。
朝のホームルーム前も意外と早くから居るので、俺は荷物を置くとともにそれとなく会話をしてみる。
「たまちゃんおはよー」
「相原、おはよう。何か用?」
おう、何か用だぞ。
「ああ。昨日の放課後にさ、職員室前でみみみとすれ違ったんだけど、生徒会選挙の立候補用の用紙貰ってたみたいだぞ。みみみって昔から生徒会長やりたがってたのか?」
「え、みんみが?」
たまは少し驚いていた。
もしかしてらたまもみみみが立候補することを知らなかったのかもしれない。
あー、そういえばみみみとたまと日南で仲良し3人組って所はあるもんな。
……あ、ミスったか俺?
もしかして日南とみみみどっちを応援するか悩ませないために隠していた?
いやいや落ち着け、どうせ来週ふたりとも立候補すればその衝突は起きるんだから今言ったところで特に意味はなく、俺に落ち度はない。
うん、ない。
「そうそう、なんかちょっと意外だったからさ。前から生徒会長になる!なんて野望を抱いていたのかなーって気になって」
「ううん、私はみんみが生徒会長やりたかったなんて聞いたことはなかったよ。みんみ、立候補するんだ」
たまはなんとも言えない顔をしている。
あれかな、やっぱり。
どっちを応援すればいいんだって間に挟まれた葛藤とかに悩まされてるのかな。
「あ、悪い、まだ用紙をもらっただけみたいだし来週提出するまではまだ本決まりでもないからわからないっしょ」
「んーん、みんみはたぶん一度決めたらやるよ。だから、もし紙をもらいに行っていたのなら立候補すると思う。相原もみんみがそういう人なんだってわかるでしょ?」
……いやまぁ、わかるけどね。
みみみはたぶん提出するんだろうな。
立候補する理由はわからないけど、みみみはやると決めたら妥協せずにストイックにこなす人間だから。
用紙を受け取ったってことは、昨日の放課後にはもう決めていたんだろう。
「ぁーまぁそうだな。でも相手は日南だぞ?何を考えているんだろうな。いや、正直想像できるのは数パターンしか思い浮かばなくて、正気なのかなぁって」
「うん、みんみは勝てなくても負けないから、葵とはぶつかってほしくない」
勝てなくても負けない……哲学的だなたまちゃんは。
でも、たぶん言わんとしてることはわかる。
頑張りすぎると言うか、できるまでやろうとする人間がみみみだ。
「ところでたまちゃんは推薦人になったりはしないの?」
ちょっと空気を変えたくて、そんな質問をたまにする。
「んー、私はそういうの向いてないと思うから。いろんなクラスに宣伝したり推薦演説したりするんだよね?私は自信がないかな」
「あー、演説は覚えていたけどそっか、宣伝とかもあるのか。というか、そりゃそうか」
推薦演説くらいしかイメージになかった。
たしかに去年もなんか玄関あたりで、よろしくお願いしまーす。とかいいながら挨拶してるのを見た記憶があるな。
「相原は、もしみんみに頼まれたら力になってあげてね。相原はそういうの向いてると思うから」
みみみも言ってたが、俺が向いてる?
たぶん最低限の仕事はできると思うけど向いてはいないと思うぞ。
「お、じゃあ頼まれたら微力ながら力は貸すさ。その時はたまちゃんにも貸し1つだからな?」
「わかった。じゃあ頼られたら全力で頑張ってね?」
あれ、わかられちゃった。
なんか早まったかな?
「は、は……。でもみみみは人気者だから推薦人みたいな重要な役は誰かやるだろ。まぁなにか頼まれたら全力で取り組むさ。俺としても、ぜひ日南を倒してみてほしいしな」
分の悪い賭けは、嫌いじゃない。
あと、劣勢を強いられてる方を応援したくなるのよ、俺ってね。
「相原。ポイント稼ぐなら今だと思うよ?」
は?あ、いや?え?
な、な何を言ってるんだ?
というかポイント稼ぎって言い回し、昨日の俺の言い方と同じじゃねぇか。
さては昨日のみみみとの会話を横で聞いてたな?
ってことは俺が推薦人に向いてる発言も昨日の会話からだろ。
と、とりあえず落ち着け俺。
「……何を言ってるんだっての」
俺は冷静を装いつつそう答えた。