弱キャラ友崎くんとサンドバッグ相原くん   作:mosumosu

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相原の提案で入ったカフェ。

泉がはじめに注文をして場所とっておくね、とすぐに出ていった。

そしたらなんだか日南と水沢、相原とみみみで話しているようで妙な疎外感を覚えた俺は泉を追うようにササッと移動して確保してくれていた席へと移動した。

一応、一人だけ待たせたら悪いから、なんていう理由を付けて移動だ。

 

しかし、リア充の買い物というやつは考えることが多い。

買い物に会話にプレゼントの選択、あとは日南から出されている課題の提案。

他にもみみみの選挙の推薦人の件もある。

俺は溜息つき、つい独り言をこぼしてしまった。

 

「難しいな……」

 

俺の独り言をプレゼント選びの内容と解釈した泉がそれに同意するように口を開いた。

 

「そうだよねぇ。友崎はもう決まった?」

 

物思いにふけっていて出た独り言を拾われたため少し慌てはしたが、状況を理解して落ち着いて返答をする。

 

「いや、俺はまだ。泉は?」

「うーん、さっきヒロに聞いたんだけど、あ、ヒロって水沢ね!最近ニキビに悩んでるらしいからその薬とか言われた。そんなん渡したら絶対に怒られるよ〜」

「はははは」

 

ニキビの薬をもらった中村を想像して笑ってしまう。

そりゃ無理だよな。

 

「あとは、相原はハンカチとかって言ってたけど、たしかに候補としてはありかもなんだけど、コレじゃない感があるっていうかぁー、なんだか形式的に渡しました感が……」

「あー、そういうものなのかな?まぁでもたしかに無難すぎる印象はあるかも」

 

俺の中でのイメージではあるけど。

 

「でもさっきの水沢の提案じゃないけど、やっぱり本人がもともと欲しがっていそうなものっていうのはありだよな。ニキビの薬はさすがに怒らせそうだけど」

「そうだよね。でもうーん、それがわかんないんだよね。友崎はなんか知ら……ないよねぇ」

「おい!聞く前に諦めるな!」

 

泉のイジりに対してツッコミを入れる。

日南に散々Disまがいのことを言われすぎて、少しだけ慣れてきてしまったな。

 

「あはは!でも知らないでしょ?」

「う〜ん……」

 

視界の端で、飲み物を持って談笑しながら近づいてくる日南と水沢が目に入る。

二人共相変わらず楽しそうにしている。

 

「俺が知っていること……アタファミ好きで、あと強そう、イケメンで髪型リア充で……」

「ん、それ……」

「ん?髪型リア充?……あ!」

 

俺もピンときた。

たしかにリア充といえば髪型。

俺も、最近ちょっと気にはなっていたがまだ手を出せていないもの。

俺と泉はお互い向き合っていながら同時に口を開く。

 

「「ワックス!」」

 

そしてお互いにはははと笑い合う。

 

「うん、いいじゃん!ワックスとかよくない?」

「あぁ、いいと思う。それに水沢って美容師希望なんだよな?そういうの選ぶの得意そうじゃないか?」

 

そういえば、ついでに髪のセットの仕方とか教えてくれるって話もしてたっけ。

そう言っている間に日南と水沢が俺達の取っている席に到着した。

 

「盛り上がってるな。ところで今俺の名前呼んだ?」

「呼んだよ、ナイスタイミング、ヒロ!修二のプレゼントにワックスとかどう?」

「おお、いいじゃんそれ!アイツ結構いろいろ集めてるし!」

「あ、それじゃあ今持ってるやつと被っちゃうかなぁ」

「いや、たぶんアイツが持ってなさそうなの俺わかる」

「えっ、ほんと?さっすがヒロ!」

「だろ?東口の方にいい店あるから次はそこ行ってみるか」

 

リア充同士で会話がどんどん進んでいく。

俺、さっきの泉との会話で結構会話のスキルが上がってきていたと思ったが、泉のスキルが高いだけでまだまだだったことを改めて実感した。

 

「なになに〜?なんか盛り上がってる?」

 

みみみと相原も着いたようだ。

水沢がいま来た2人にも状況を説明する。

 

話はまとまったようで、11時頃まで休憩を入れたら東口にあるハンズまで行くことになった。

11時までは、あと20分弱というところか。

 

先ほどみみみと相原も着て全員揃ったというところで改めて会話が始まった。

これも練習だと思い、俺も何か言わないと暗記した話題の中から引っ張り出そうとしたところで一つ思いついた。

 

生徒会選挙の話をするにはもってこいなのではないだろうか?

課題として立候補するだろうみみみの推薦人を相原につかせなければならない。

月曜日には締切なので時間として今日しかないからどこかで切り出したいと思っていた。

やるなら今しかないな。

 

「そ、そういえば来週からは生徒会選挙が始まるんだっけ?」

「あ、そうだよね!葵は立候補するんだよね?応援してるから頑張ってね!」

「ふふ、任せなさい!」

 

そう話題をだしたら、全員が話に乗ってきたので話題を出した俺が置いてけぼり状態になってしまった。

だめだ、5人のスピードについていけない……。

 

そんな中で驚くべき情報が出る。

日南の推薦人はどうやら水沢がやることになっていたらしい。

一昨日の段階では日南が俺に推薦人をやらせる案を考えていたといっていたよな……?

ということは昨日か今日のうちにその約束を取り付けたということか、一体いつの間に。

いや今日だけでもそんな話ができそうな場面が何回もあったな。

 

水沢は今日見ただけでもかなりのハイスペックな人間ということがわかる。

思いつく限り最強のコンビかもしれない。

まぁ、思いつく限りといっても俺の知っている生徒自体がそう多くないんだが……。

 

「ふっふっふ……皆さん誰かのことを忘れてはいませんかね?」

 

それまで、この話では特に口を出さなかったみみみが声を上げた。

 

「実はですね……わたくし、七海みなみも生徒会選挙に立候補予定なのです!どう、おどろいた?まぁ、はらみーと友崎は知っていたかもだけどね」

 

そして俺と相原以外の全員がみみみも立候補することを知らなかったのか驚きの声を上げ、みみみの話へと移っていった。

 

っていうか日南、お前は知っていただろ。

つまりは驚いたふりってわけか。

とても演技には見えなかったあたりは流石としか言いようがない。

 

そこからみみみの推薦人は誰なのかという話になったが、やはりまだ決まってはいないようだ。

よし、このタイミングだな。

 

「じゃあさ、相原が推薦人っていうのはどうだ?そういうの結構向いてるだろ?」

 

みみみには昨日この話をしたが、改めて相原本人がいる前でもう一度提案する。

たぶんだけど、みみみから誘えていなかっただけで相原ならふたつ返事でOKなはずだ。

 

前、本人からみみみのことが気になっているなんて話も聞いたし、今日だってみみみと一緒に行動をしていることが多かった。

 

泉もいいじゃん!なんてアシストをしてみみみからも直接相原にお願いをした。

よしこれなら……。

 

「あー、本当に頼りになると思ってる……?ってか、色々断られたあとに余りものみたいにお願いされるのがちょっとな」

 

あ、こいつスネやがった!?

これは予想外だった……。

っていうか子供か!

 

「頼りになると思ってるよ!?はらみーはこういうこと面倒がって断られるかと思ったの!まぁでもそうだよね、今更お願いするのはないかぁ〜、ごめん忘れて……」

 

少しシュンとしながらそういうみみみ。

いや、これはないだろ相原。

そういう意味も込めてジロッと相原の方を見る。

たぶん、俺ではあまり迫力はないと思うが。

 

どうやら他のメンバーも同様、というか特に泉あたりがしれーっとした目で相原を見ている。

 

「じゃあみみみが、こう、手を組みながら上目遣いでお願いしてくれたら引き受けるわ」

 

みみみの反応や周りの視線に気づいたように若干慌てたようにそんな提案をし始める相原。

何言ってんだコイツ……?

 

「え、えぇー!?こう?……お・ね・が・い♡」

 

やるのかよ!?

 

「よし、引き受けた!!」

 

チョロ!?

「「チョロ!」」

 

泉と日南が声を出してハモっていた。

心の中の俺の叫びもハモっていたと思う。

そして全員がはははと笑う。

 

しかし、これでこの前の課題は達成だ。

今日やることの1つをなんとかクリア。

これで考えることが1つ減ったな。

残りは、2回提案を通すことと中村へのプレゼント選びと会話のスキルアップのための経験値稼ぎ。

……多いなぁ。

 

そう思い安心して気を緩めていたら相原から話を振られる。

推薦人にさせておいて日南につかないよな?ということらしい。

まぁもともとみみみのそばで会話スキルの特訓を考えていたのもあり、そのまま成り行きでみみみの選挙の協力者に申し出ることにした。

日南の方を見ると、こくんと頷いていたのでたぶん間違ってはいなかっただろう。

 

そんな調子で話をしていたら元々予定していた11時になったので休憩も終了し、水沢の案内で東口のハンズまで行くことになった。

 

そこで泉が中村にプレゼントするためのワックスを選ぶが、どれがいいのかの判断がつかずに水沢に頼っていた。

そしたら水沢はお試しということで俺の髪でセットショーのようなことをしながらワックスの説明をした。

 

俺の頭、今どうなってんの……?

そう思っていたが、全員に髪型が似合っていると褒められ、相原からは迷っているなら買ったほうがいいと押されたのでそのまま水沢がセットした時に使ったワックスを買ってしまった。

 

俺なんかが髪をセットしてたりしたら、調子に乗っているとか思われたりしないだろうか……?

そんな不安もあったのだが、エスカレーターに乗った際、横の壁に配置されている鏡に映る自分を見て、誰だこのイケメンは?と思ってしまった。

 

俺は自分自身に対しては勘違いなどしないように自分に厳しく見ているつもりだ。

そのうえで鏡に映る俺自身を、イケているんじゃないか?と思ってしまったのだ。

少なくとも、キモオタにはみえない。

そう思えた。

それがなんだか、すごく嬉しく感じた。

 

エスカレーターが一階まで俺を運び終え、「じゃあ次は電気屋?」「そこでいいんだよね?」なんて話をしているが上の空で生返事をしてしまっていた。

 

これまで日南に言われて実践してきたこと。

姿勢と表情、おしゃれな店のマネキンセット、美容院で整えた髪と眉。

そしてさっき美容師志望にセットしてもらった髪。

それでも、自分が変わってきたこと、成長したことの実感。

 

「友崎くんどうしたの?もしかして疲れた?」

「いや……」

 

日南は上の空だった俺に気付いて声をかけてきた。

気持ちが昂っていて俺は、日南にこの達成感と感謝を伝えたくはあったが状況的に今それをすることはできないと思い直し、一言だけ返した。

 

「俺、これからも頑張ってみるよ」

「え?」

 

そう言って、前にいる水沢たちのもとへと追いつくために早足で歩きはじめた。

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