弱キャラ友崎くんとサンドバッグ相原くん   作:mosumosu

36 / 102
19

泉はワックス、友崎はコントローラとそれぞれプレゼントを買ったわけだし、買い物はこれで終わりかな?

時計を見ると時間は11時半を過ぎ、分針は9を指しているところだった。

 

お昼には少し早いけど、早すぎるわけでもない時間帯だな。

せっかくだし昼飯を食わないか提案することにするか。

というか、俺がなにか食いてぇ。

たぶん水沢あたりも乗ってくれるだろう。

チラッとそちらの方を確認しながら提案をする。

 

「なぁ、二人の目的は達成したし、昼時にはちょい早いけど飯食っていかないか?」

「お、そうするか、俺も何か食べたかった所」

「うん、私もオッケーだよ!」

 

そんな感じで特に反対もなく了承が得られた。

 

「それでどこ行くよ?」

「サイゼ行く?近くにあるよね」

「あ、ちょっと待って。もともと飯の話もあったからさ、昼に入れそうな所ないか調べておいた」

「おお!さすがはらみー、抜かりがない!」

 

俺はスマホを操作して店のサイトを開く。

あ、LINEで送ったほうが早いか、URLをペッと貼り付けて送信っと。

 

「今LINEのグループチャットに貼ったんだけど、ここどう?夜は居酒屋みたいなんだけど、昼は定食屋をしてて1000円くらいで食べられるみたいだから、まぁ高すぎもしないと思う、さすがにサイゼのほうが安いかもだけど。あと、席が広めでちゃんとしているらしいから窮屈ではなさそうだし、元が夜には居酒屋兼業の店だからちょっとうるさくしても怒られないっぽいよ」

「へぇー、いいじゃん、メニューもうまそう」

「ちょっとうるさくしても大丈夫なのは嬉しいかも!」

「あはは、たしかに!」

「うん、私もいいと思う。ちょっとお昼には早いけど、その分いい席にも座れそうだし!」

 

おお、これも特に反対はなさそうだな。

けっていけってーい。

 

「よし決定だな!実は1回居酒屋みたいなところはいってみたかったんだよね、はは」

「それが理由かよ」

「いいじゃないの、ご飯も美味しそうだろ?」

 

選ぶ基準なんてそんなもんだよ。

ちなみに俺の中での第二候補は外国人が経営しているなんか怪しい雰囲気のあるカレー屋だ。

雰囲気が怪しいだけで店自体はたぶん怪しくはない、なんかどこの街にも1店舗くらいあるけど入るのに少し勇気のいる感じのやつ。

でも、カレーだと匂いとか突発的に行くにはどうなんだろうと思って自重した。

……女子メンバーがいなかったらそっちにしてたかも。

 

「え!居酒屋って、私たちちゃんと入れるんだよね?補導されたりしない?」

「あはは、優鈴心配し過ぎ〜。大丈夫だよね、はらみー?」

「あぁ。結局昼はただの定食屋なんだから大丈夫だよ。……たぶん」

「たぶん!?いま小さくたぶんっていった!?」

「冗談冗談、ダイジョブだから」

「心配になってきた……」

 

そんな感じに話をしながら定食屋へと向かう。

距離的にも、もといた電気屋から近くなのでそう時間もかからないで着いた。

 

まだ12時前ということもあり、6名分の席も問題なく空いていた。

おおっ、評判通り結構座るスペースが広い。

なんか少し段差があって、そこの上が畳になってる感じで長方形のテーブルが置かれ、座布団が並べられている。

うーん、説明に語彙力が足りない。

 

ちなみに席には男子3人女子3人が向かい合う感じに並んだ。

それぞれ、水沢と日南、友崎と泉、俺とみみみが向かい合うように座っている。

 

「メニューはどうする?えっと、これがメニュー表か」

「俺は入口で見た日替わりAにしようかな。他のメニューよりちょっと安くてよさそうだったし。あ、大盛りもできそうだからご飯は大盛りにしよう」

 

スポーツマンはカロリーの消費が激しいのだ。

まあ、今日は運動していないけど明日は部活があるから先取り、ということで。

 

「へぇ〜、日替わりってどんな内容?」

「あそこに書かれてるやつじゃない?えぇと、Aがチーズインささみカツ定食、かな?Bは、タルタルチキン南蛮定食?」

「チーズイン!美味しそう!」

「葵はほんとチーズ好きだよな」

 

たしかに、日南ってチーズ好きよね。

俺含めて周りほとんどが知ってそうな辺り、相当なもんだとおもう。

 

全員がメニューを決めたらしいので店員を呼ぶために呼び出しボタンを押す。

なんか、最近の注文は電子端末に入力だったり食券だったりだから店員を呼ぶ店も減ってきたけど、ここは店員を呼んでメニューを頼むのか。

 

「えーと、日替わりA定食4つで2人大盛り。あとは?」

「はいはい!わたしと友崎が日替わりBなので、日替わりB定食を2つお願いします!」

 

店員さんに近かった俺とみみみで注文を伝える。

大盛りの1つは俺だが、もう1つは水沢だ。

水沢って結構食べるんだよな。

コイツ、別に運動部には入ってなかったはずだが……。

てか帰宅部のはず、なのになんでか妙に運動神経はいいし身体も鍛えられているし、絶対に学校外でなんかやってるよな。

たしかバイトやってるって言ってたな。

肉体労働系のバイトか……?

 

「それにしてもチーズの入ったささみカツってどうやってチーズを入れているんだろうね」

 

注文は完了したので料理が来るまで会話が再開される。

こういう時に真っ先に口を開くのがみみみで、流石はクラスのムードメーカーだなって思う。

 

「ここの店がどうやっているかはわからないけど、観音開きって切り方で薄く平たくしてからチーズを巻くのが普通なんじゃないかな?観音開きはこう、包丁で左右に切れ目を入れて……アルファベットのNみたいな形にするんだよね。あと、一応手抜きでササミを半分に切ってから、ササミ、スライスチーズ、ササミって順番に重ねても簡単にできるけど。カツみたいに油で揚げるのが面倒なら照り焼きとかピカタにしても美味しい」

「あれ、はらみーってもしかして料理できるの!?急に饒舌じゃん!」

 

あ、つい……。

鶏肉は筋肉をつけるのに最適だからって母さんによく食べたいとお願いしてたら、何度も言うものだからか自分で作れと言われてしまい、ちょくちょく夕食の手伝いをしている。

あれ、俺が母さんを手伝っているのかな、母さんが俺を手伝ってくれているのかな?

どっちでもいいか。

 

「ま、まぁな。鶏肉にはちょーっとうるさいよ、俺。アレはタンパク質の塊だからな、運動とはセットなのよ。まぁ料理自体は、たぶん調理実習で足を引っ張らないくらいだと思う」

「へぇ〜、なんか意外かも!男子って料理は作れないイメージがあったし……。あ、でもヒロは料理も出来そうかも」

 

おいおい、男子が料理できないなんていうのは古いぞ、いつの時代に生きているんだ。

運動部男子は運動したら食べ物が必要なのだ、いつの間にか最低限はこなせるようになるのさ。

得意料理がチャーハンとか野菜炒めとか、炒めるだけのものになってしまうところまでがセットな。

 

「まぁねー、俺くらいになると簡単な料理くらいはできちゃうよ」

「うわぁ。自分で言い出すと急に胡散臭くなったね」

「葵うるさいぞ。なんなら俺、料理だけでなくカクテルとかよく作るから」

「か、カクテルって俺たちまだ未成年だよな?」

「あー、ノンアルコールカクテルってやつも結構あるみたいだから、高校生でもカクテル作りが趣味の人がいてもおかしくはない?のかも?」

「あはは!タカヒロがバーテンダーみたいなことやってるのは想像できるかも!」

「たしかにー!似合いそう!」

 

そんな感じで会話が続いているうちに料理が届いた。

結構早い、しかもうまそう。

よし、手を合わせて、いただきます。

 

「そういえば、前から気になっていたんだけど最近ははらみーと友崎ってなんか仲いいよね」

「あ、俺もそれ思ってた。なにかきっかけとかあったのか?」

 

みみみがそう言い、水沢も話に乗ってくる。

全員分の料理が来ても会話が続く。

うーん、きっかけ……きっかけかぁ。

 

「アタファミがきっかけかな?友崎はアタファミめちゃくちゃ上手いし俺もまぁ、地元最強レベルだと思ってたから。なぁ、友崎!」

「あ、あぁ。てか相原は地元最強って表現好きだよな」

「あはは!さっきの電気屋での対戦も熱中というか、集中してたよね!」

 

俺のボロ負けだったけどな!

クソがっ!

 

「あと、友崎と中村が最初にアタファミで対戦した場所に俺もいたから」

「え、そうなの?」

 

泉が興味津々といった風に聞いてくる。

中村のことだもんな。

 

「そうそう。で、その時の友崎面白かったぞ。中村に対してもさ、この前の紺野にしたみたいに啖呵切ったから。アレは内心マジで笑ってた」

「お、おい相原!」

「えっ!?修二にも!?」

「あーそういえば、エリカに向かって叫んでた時に修二も前はキャラのせいにしたーとか言ってたっけ。一時期修二がすげー機嫌悪そうだったのもそういうことか」

 

水沢はよく覚えてるな。

友崎は慌てて俺を止めようとしているが、俺は止まらねぇぞ。

 

「そーそれ!対戦後に中村がキャラのせいだって言ったんだよ。そしたら友崎が、じゃあキャラを入れ替えてやるか?ってね。んで中村もキレて、それならお前なんかには負けねーよ、どうせキャラ相性のくだらないゲームだ!ってさ」

「うわぁ、修二の方は想像できる」

 

それはまぁたしかに。

でも酷かったのはここから先だったかな……。

 

「あとは売り言葉に買い言葉でさ。友崎が、それでまた言い訳されたらこまるとかって言ってさ、キャラを替え、コントローラを替え、座席も入れ替え、残機の数も倍に。何なら服まで替えるか?っていいだしたのよ。しかも、マジで服以外は全部入れ替えたあとにボッコボコにして中村にアタファミは神ゲーだと認めろって言って帰っていっちゃったわけ。あ、これ誇張とかでなくマジでありのままね」

「う、うわぁ……」

「ははは!そりゃ修二も連日苛つくわけだわ!」

「友崎、よく無事に帰れたね……」

 

水沢は面白かったのか爆笑して、他の全員はドン引きしている。

俺もまぁ、直に見ていてこいつやべぇと思ったが。

内心めっちゃ面白くて、でも笑ったら中村に殺される勢いで恨まれそうだったから耐えたけど。

 

「それで友崎は面白いやつだなぁと思って追いかけてアタファミのフレンドコード交換したわけ。あ、コイツ俺が話しかけた時なんて言ったと思う?」

「え、なにか言ったの?」

「あ、相原、もういいだろ!」

 

よくないだろ、あのときの言葉は忘れてねぇからな。

 

「『あー、さっきの中村の取り巻きの。まだなにか用?』って言ったんだよ。話しかけた俺に」

「え、ええぇ……」

「ははははは!と、取り巻きって!」

「き、キレのある言葉!あはは!」

「ふふ!さ、流石にそれは酷いんじゃないの?」

 

全員がそれぞれ反応しながら笑っていた。

 

「まぁそうして俺たちは仲良くなったってワケよ、なぁ!」

「え、いや……そ、そうだな」

「あはは!ど、どこに仲良くなる要素があったの!あはははは!」

 

振られてから反応に困った友崎がとりあえずと言ったふうに頷く。

全部正しくお前のしたことだろう。

 

「いやぁ、面白いやつだなぁと思って。それからはちょくちょくアタファミで対戦してるんだけど、俺いまだに友崎には勝ったこと一度もないのよね」

「はは、相原が弱いんじゃねーの」

「いや友崎が強すぎるんだって、俺だって世間一般からみたら絶対強い方のはずなんだけど!」

 

今は俺のレート2150あるぞ!

ここまで来たらたぶん上位5000人くらいに入ってる可能性だってある!

 

「まぁそんな感じで、な。それに友崎は中村に紺野と2回も正面から啖呵きっててさ、俺そういう所は嫌いになれないのよ、はは」

「あれ?はらみーもしかしてちょっと照れてるー?」

「は、はぁ?俺が?」

「おお、中村の取り巻きの相原が照れてるぞ!」

「そうだね、中村の取り巻きの相原が照れてるね!」

「お前らなぁ!」

「どんまい、中村の取り巻きの相原!」

 

そうしてまた全員がはははと笑った。

おい友崎、お前のせいだろーが何笑ってんだ!

 

 

そんなふうにいろいろな話をして昼を過ごして、本格的にやることもなくなったなということで今日はお開きとなった。

 

メシは結構美味かったな。

うーん、75点!

普通に美味いけど、まぁ一人では来ないかなって感じ。

 

そして話しながら大宮駅へと到着した。

あとは電車に乗って帰るだけか。

泉は高崎線で、他は全員埼京線だ。

 

「今日は本当にありがとね、楽しかった!じゃあねー!」

 

そう言って泉は高崎線の方へと向かっていった。

それぞれ泉に別れの挨拶を返し、俺達もまた埼京線へと向かって歩く。

うーん、たしかに楽しかった。

そして今日のことを振り返って大事なことを思い出す。

生徒会選挙の推薦人になったんだった、活動なんて来週のすぐじゃん。

 

そして隣で一緒に歩いていたみみみに少し小声で話しかけた。

ちなみに俺の隣には友崎もいるので、友崎にも聞こえているだろう、そう思いながら軽く目配せをする。

 

「みみみさ、そういえば生徒会選挙のことだけど何か決まってるの?公約とか」

「あー、いやぁ、実はまだなんにも。ほら、推薦人も決まってなかったからそれどころでもなくってさぁ」

 

そりゃそうだよなぁ。

それに月曜提出の火曜から選挙活動が開始だもん、まだ月曜日1日あるとも考えられるし。

 

「オッケ、今日か明日で公約とか活動の方針でも考えようぜ、友崎も入れて3人のLINEグループでも作ってさ。友崎も、いいよな?」

「おぉー、はらみーは本当にやる気満々だね!」

「あぁ、俺もわかった」

「よし、決まりだな。まぁそれにアイツラに勝とうっていうんだ、むしろ時間も準備も足りないくらいだっての」

 

時間も準備も足りてないけど、やる気と負けん気だけは余りあるぞ?

誰もが日南が勝つと思っているんだろうけど、その下馬評を覆してやる……。

みみみにはそれができるだけのポテンシャルが絶対にあると思う。

 

「そういえばさ、去年の立候補者の公約のプリントとかある?あれば参考になるし、なきゃ1から考えなきゃになるな」

「わたしは、たぶん探せばでてくる……かなぁ?」

「俺も、たぶんあると思う。去年のプリント類はまとめて机に入れていたと思うから」

「おぉー、やるじゃん!悪いけど探してもらえるか?それ見て参考にしようぜ!」

 

これで公約とか決められそうだな。

土日で考えて月曜日に作成してプリントアウトすれば火曜の朝には配れるな。

そんな感じに色々考え始めたところで友崎は一つの提案をしてきた。

 

「な、なぁ相原とみみみさ、このあともまだ時間あるか?もし時間があるならいっそ、このあと選挙活動の方針でも決めないか?」

 

おお、友崎もやる気満々だぞ、心強いな。

 

「俺は大丈夫、どうせ午後はやることなかったし」

「私も大丈夫だよ、今日の予定も何時までとか決めてなかったもんね!」

 

それはたしかに。

そうして友崎の提案により、このあと選挙活動の話し合いをすることになった。

 

それから駅のホームで会話しながら電車を待ち、来た電車に全員が乗る。

そこからまた数分で北与野駅へとつく。

俺とみみみと友崎が降りながら、水沢と日南に別れの挨拶をする。

 

「あれ、相原も降りるのか?」

「おう、どうせ隣駅だしな。2人きりにしたらみみみが友崎に襲われるかもしれないじゃん」

「そ、そんなわけないだろ!」

 

そこにどもったら怪しさが増すぞ、友崎。

 

「あ、私も水沢に襲われちゃうかも〜」

「襲わねーよ、俺は紳士なの」

「……はは、じゃーなー」

「葵またね~タカヒロもー」

「あ、あぁ、二人共またな」

「ちょっと、スルー!?」

 

そして扉がプシューと閉まり電車が出発していった。

じゃあ、まずどこで話をするかから決めますか。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。