弱キャラ友崎くんとサンドバッグ相原くん   作:mosumosu

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「じゃ、とりあえず今日は公約と、来週から始まる活動の方針を決めちまおうぜ。先にサクッと終わりそうな公約からかな、あとは友崎が用意してくれたここに書く内容を決めて打ち込んじゃえばいいだけだし」

「そうだね。でも、うーん。公約どうしよっか。とりあえず去年の内容丸パクリしてから肉付けする?」

 

公約を考えるのって結構難しいな、どうやって決めればいいんだろう。

とりあえず必要なのは見た時に、お、ええやん!となって票を入れたくなる内容なんだが、ここにかいてあることは真面目な生徒がとりあえずそれっぽいこと書いたような内容にしか見えないわけだ。

 

「難しいな、みみみはここにかいてある内容を見てこの人に投票しよう!って思うか?」

「あー。たしかに弱いよね」

「そう、票をもらうには弱いんだよ。ここに書く内容って見た人に、いいじゃん!って思わせないといけないんだよな。でも、だからってみた瞬間に無理だろコレ…ってなる絵空事でもダメで、実現が可能そうなものじゃないと呆れられて終わっちまうよ。だから、結構難しいなって……」

 

そう悩んでいると、今度は友崎が口を開き改めてさっきの話をみみみに尋ねた。

 

「みみみはさ、日南に勝つのが目的ってことは学校をこうしたい!とかそういうのはないってことか?」

「あ、うん。そういうのは正直ない!……マズかった?」

「はは、なんというか、ビックリだ。でも逆にやりやすいかもな。つまりは公約とか選挙活動は自由なやり方でやってもいいってことだろ?」

「といいますと、何か考えが!?」

「あぁ、公約の書き方がわかったかも」

 

 

***

 

 

「よし、これで公約の内容は書けたな」

「いやぁー、媚びまくったものが出来上がったねぇ」

「ヤバい、笑いすぎて腹痛い……。いいのかこれ?」

 

出来上がった公約はこうだ。

1.購買部・食堂の商品拡大を図ります。

2.髪型・服装に関する校則を緩和することで、

 生徒達の生活力、自主性の向上を促進します。

3.昼休み限定での屋上の開放を目指します。

4.文化祭にゲストとして芸能人を呼ぶことで、

 盛り上がり、活気の向上を目指します。

 

みみみのいったとおり媚びに媚びたとんでもない公約となった。

それも、内容は全部実現ができそうなこと、また、先生に見られた時に生徒のやる気、向上心を上げるものとギリギリ言い訳ができるものを揃えている。

 

「友崎って、意外と悪いよねぇ〜?」

「いいや、正々堂々と戦ってるだけだぞ」

「これが正々堂々ならバックアタックも正々堂々だな」

 

公約は生徒中心に配るものだ。

そのため、挨拶運動など生徒受けしないものはすべて取っ払った。

それどころか、もういっそ生徒にのみ配ることを想定して公約の内容を決めた。

そのうえで先程の通りギリギリ言い訳ができる内容となっている。

 

詳細な内容こそ3人で話し合って決めはしたものの、これらの方針を決めたのは友崎だ。

なんというか、nanashiらしくなってきたな。

 

でもこれなら間違いなく目を引くだろう。

半分ネタとして受け取られそうだが……インパクトを残せるのならそれだけで意味はある。

 

あ、念の為写真撮っておくか。

パソコンの画面を直撮りだとブレるというかモヤモヤ〜って感じになるけど、読めればいいよな。

俺の顔、反射して写ってねぇよな……。

いや、読めればいい読めればいい。

 

「とりあえず、公約の作成はこれで完了だな。次を考えていこう」

「私は今、友崎が予想よりちゃんとブレーンをしていて驚いています!」

「正直な意見をありがとう」

「おい友崎、さすがにさっきからコイツ失礼すぎるから頭の一発でも叩いておいたほうがいいぞ」

「わぁー!ごめんなさい!」

 

そう言いながら頭を押さえて小さくなるみみみ。

何がわぁーだ舐めてんのか!

かわいいから俺は許した。

 

そうして公約は終わったので次の話へと移る。

 

「朝と夕方には選挙活動として校内で演説っていうか挨拶みたいなことはするけど、それはまぁ俺とみみみ個人で内容考えておけばいいよな」

「うん、私はそれでいいよ。それよりも、他に何をするかを考えないとかなぁ?」

「そうだな……演説本番で得られる票は当てにしないほうがいい。それまでの間にどれだけ支持者を集められるかが大事だと思う」

 

友崎がみみみの言葉を肯定する。

演説本番は週末の金曜日にあり、その演説の後に投票が行われる。

この日までに大きな差をつけられてしまったら、例え演説で多少優位に立ったとしてもそれまでの差で負けてしまう。

 

そして相手はあの日南葵。

選挙活動が行われる火曜から金曜までの4日間も確実に成果を積み重ねてくるだろう。

だからこそこちらも何かしらの策で手堅い票を集める必要がある、はずだ。

 

「なぁ相原。もしも圧倒的なステータスによる蹂躙をしてくるようなラスボスがいたとして、それを倒すためにはどうするべきだと思う?」

 

お、なんだゲームの話か?

 

「そうだなぁ。デバフや状態異常を与えるとか?ルカニとラリホーマが最強よ、耐性を通せればな。他ならバフを積むとか敵の攻撃の耐性を突くとか、時間をかけてレベル上げと装備を鍛えるとか、一撃必殺のアイテムを効かないか試す、とか?」

「おお、結構でてくるな。思ったよりもゲームやるんだな」

「俺の部屋ちゃんとみなかったか?部屋の棚にはレトロゲームがゴロゴロ入ってたろ」

 

レトロゲーム集めは昔からの趣味なんだよ。

中学のときとか、むしろそれ以前から100円〜500円くらいの中古ゲーム漁ってやりまくったな。

 

知ってるか?

少し田舎のホビーオフとかに行くとカラーボックスに積み込まれたジャンクゲームがゴロゴロ置かれていてたまに掘り出し物とかが……。

いやまぁこの話はいい。

 

「まぁなんとなく言いたいことは察した。日南を倒すには搦め手しかないよな、たしかに。レベル上げてる時間なんてねぇ。むしろこっちがレベル上げてる間に向こうもレベル上がるシステムだろこれ」

「そう、圧倒的な戦闘力を持っている相手を想定した搦め手。勝つためにはそれしかないと思う」

「え、えっと、つまりどういうこと?」

 

俺と友崎がちょっとゲーム風の話で盛り上がっているが、そういう分野には疎いみみみが首をかしげる。

やべやべ、キモがられなかったかな。

 

「つまり、同じことしてても勝てないから常識を取っ払って奇策を練ろうって話しだよ、たぶん。当たり前だけど挨拶活動や演説は俺たちだけでなく日南たちだってやるだろ?そこで競ってもよくて五分五分、むしろ、正直なところ俺が演説で水沢に勝てる自信はないから五分以下だ。だからアイツラの手つかずのところをごっそり10:0で全取りしちまおうって話。だよな、友崎?」

「あぁ、そんなところかな」

「なるほど?うーん、言いたいことはなんとなくわかったんだけど結局のところはどういう事をするの?」

 

あまりうまく伝えられなかったかも。

残念。

まぁいいか、みみみの言う通り結局のところ何をするのか、それを決めないといけないんだから。

 

友崎はまたもや何か考えがあるのか、俺やみみみに部活についての様々な情報を聞かれた。

各部の困りごとだとか人間関係だとかそんな感じのことを。

 

そうして思いついたのが、ボールの電動空気入れを購入して運動部の票をいただくことだ。

友崎ほんとによく思いつくな、すげぇよ。

 

「なるほどね!これで運動部の空気入れを使える……バスケとバレーとサッカーとソフトの票を貰おうってことだね!友崎は本当に悪よのぅ、このこの!」

「いて、痛いって!だからこれは俺からしたら正攻法だよ」

 

いや搦め手って言ってたじゃねぇか。

まぁそんな野暮なツッコミはいいか。

 

「これでもしも交渉がうまくいけば、各部が25人としても100人で、その8割位は貰えるんじゃないか?」

 

8割かぁ。

いや、部員の人数はそんなもんだと思うけど8割も貰えるかな?

だって結局必要なのって……。

 

「待ってくれ、計算甘くないか?案としてはいいと思うけどよくて5割くらいだと思うぞ?」

「え、そうなの?私も友崎の意見寄りなんだけど」

「なんでそうなるんだ?部としては全員が欲しがるものじゃないのか?」

 

あー、なるほど、友崎は帰宅部だしみみみは運動系でも球技ではないからピンとこないのかも。

……あれ?

みみみ、お前中学ではバスケ部って言ってなかったっけ?

 

「じゃあ問題。空気入れを使ってボールに空気を入れるのは誰でしょう」

「ん?その部の部員でしょ?」

 

俺の出した問題に対してそれが当たり前だというようにみみみが答える。

うん、陸上部、というか日南やみみみがいる部活ではこれだけではピンとこないのかも。

2人がいい奴過ぎて。

 

「30点くらいの回答だな。さっき友崎が言ってたよな、各部に25人としてって。25人全員で空気入れると思うか?少くてもサッカー部ではそんなことしてないよ」

「あ、そういうことか!」

 

友崎はわかったらしい。

俺は友崎に手を向けて回答を催促する。

 

「うむ、では友崎くん、答えを」

「雑用をする係。つまりマネージャーや1年生が中心ってことだよな?」

「よくできました。サッカー部ではさすがにマネージャーにそこまでさせるかってことで1年生がやってるな」

 

そう、結局ボールの空気入れっていう雑用は下級生に押し付けられるわけだ。

そりゃまぁ俺も目にみえて空気がなくなってるボールを見かけたら自分で空気入れ使って入れたりはするけど、基本はそうならないように1年生がちょくちょく空気を入れている。

 

「つまりボールの電動空気入れでは効果があっても1年生の票しか集められないってこと?」

「あー、キャプテンとかになると部の全体をみてるかもしれないから一概には1年だけとは言えないけど、まぁ欲しがるメインは1年生でしょ。2年生以降は嬉しいかと言われると、別に1年のやることだからどーでもいい、って言っちゃうだろうね」

「たしかに、盲点だったな」

「ちょっとちょっと!うちの学校の生徒は優しさが足りていないんじゃないの!?」

「残念ながらうちの学校に限らず人間はそういうもんだ。俺も欲しいかと言われると、もはやどうでもいい」

「うっわぁー、はらみーって友崎より黒いかも……」

 

黒くねぇよ、普通なんだって。

これに違和感を覚えるみみみが優しすぎるだけだ。

 

「むしろこれでも後輩に優しい先輩で通ってるんだぞ。ま、中村とか1部の圧が強すぎるだけの相対的評価な気もするが」

「あはは、それ自分で言う?でも、ちょっとわかるかも。今のはらみーはなんだかんだ面倒見よさそうだし!」

 

今のってなんだ、いつでも優しいわ!

とはいえ、100人のうちの50人くらいから票を貰える可能性があるんだからこの案の効果は間違いなくある。

 

「でもこの案、1年向けってことにはなるけどやる価値はあるよな。同様に2年3年をターゲットの案も考えていけばいいんだから」

「そうだな。他に票を取る方法を考えていくか」

 

そうして作戦会議は続いていき、いくつか案がでては纏めて言った。

なんだかんだでそこそこの数の案が出てきた。

とはいえ、選挙活動の期間は火曜日から金曜日の投票までだから3日と半日くらいしかない。

これらでた案の中でより有効なものを選別して効率よく行うべきだろう。

こうしてやることの方向性や計画が練られていった。

 

そうこうしているうちにさすがに3人とも考えるのに疲れてきたので、ある程度の目処がついたところで切りあげることにした。

時間は、16時を回ろうとしたところだった。

思いの外真剣に考えていたな、こんな時間になっているとは。

終わりの方はほとんど雑談に花を咲かせていたけど。

 

「気づけば結構な時間にもなってるし、俺はそろそろ帰るわ」

「そうだね、今日は終わりにしよっか」

「あぁ、わかった」

「いや〜、それにしてもなかなかの進捗なんじゃないかこれは?」

「うん、今日は二人共本当にありがとう!なんか、光が見えてきた感じ!」

「おう!」

「あぁ」

 

そんな事を言いながら俺とみみみは立ち上がった。

 

「よーし、持ち物チェック!忘れ物ないなー?」

「ブレーンのえっちなDVDを発見できなかったことが心残りではあります!」

 

見つけられなかったのか。

友崎、セーフ!

 

「また今度来た時に宝探ししよう」

「また来るのか……」

「当たり前よ、俺とお前の仲だろ?」

 

そう言いながらグッ!と親指を立てながら答える。

 

「そ、そっか……。そうだな」

「よーし、次来る時は絶対に見つけるぞ!」

「おーし、その時は俺も張り切って探すか!」

「やっぱり遠慮してもらってもいいかな?」

 

なんて言いながら友崎の部屋をあとにした。

友崎も見送りに部屋から出て3人で玄関まで行くと、どうやら足音を聞きつけた妹ちゃんも出てきた。

 

お邪魔しました〜と俺は手を挙げみみみは手を振ると、「またいつでも来てください」と返してくれた。

 

「やったぜ友崎、妹ちゃんもこう言ってるしまた来るぜ!」

「とりあえず出口はそっちな」

「塩対応!」

 

そうして友崎と妹ちゃんに見送られながら帰路へとついた。

駅方面に向かうが途中まではみみみと一緒だな。

距離的には短いけど。

 

 

「それにしても、はらみーもブレーンもすごいよね、あんなに面白い案をたくさんだして。なんか葵にも勝てる気がしてきた!」

「流石に気が早いって。むしろ勝ちの目はまだまだ薄いと思うぞ。もちろん勝ちには行くけどな。というか、そのブレーンってやつ定着したのか」

「だって本当にブレーンって感じだったじゃん!」

「はは、それはたしかに?」

 

友崎がノリノリでいろいろ案を出したのは確かだ。

 

にしてもみみみはなんかこう、あだ名をつけるのが好きだよな。

そこにはみみみなりのこだわりやらなにやらがあるんだろうか。

 

「はらみーも、本当にありがとね。今日こうやって集まってさ、色々考えが足りていなかったんだなーって実感したよ」

「おう、1人で足りてない分はどこかから補えばいいんだ。来週は頑張ろうぜ」

 

そう、足りない分は勇気とガッツで補えばいい!

……俺にはあまり当てはまらんな。

 

「うん、当てにしてるよ、はらみー!」

 

お、これは……。

 

「フッ、任せておけ!」(カイン)

「『フッ』ってなに!あはは!」

 

何笑ってやがる!

 

「うーん、台なし。気が削がれてきたから来週一人で頑張ってもらおうかな?」

「冗談だって!でも、本当に頼りにしてるからね!あ、私こっちだから、じゃーねー!」

「はいはい、じゃ、また月曜にな」

 

そうしてみみみとも別れ、俺は駅へと向かった。

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