弱キャラ友崎くんとサンドバッグ相原くん   作:mosumosu

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学校に来て教室に入ったら友崎がマスクをしているのが目に入った。

でも風邪を引いたり花粉症だったならマスクも不思議でもないか。

俺なら風邪っぽければ休むけど。

 

そんなことを思いながら、俺は近くの中村たちと他愛のない会話をする。

 

俺はサッカー部で付き合いのある中村と竹井、そこに中村と話の合う水沢を加えた3人とつるんでいる事が多い。

まぁ俺は結構気まぐれだから、その時々で面白そうならふらっとそこに行ったりもするので固定でグループに溶け込んでいるってわけでもないが。

 

昨日見たテレビがとか、ツイッターがとか、そんな会話をしているとちょうど俺の位置から友崎が女子にティッシュを借りているのが見えた。

マスクはしてるのに、ティッシュは忘れたのかね。

 

てか、正面から見られてるのに鼻かむ際に顔をさらさないとか、よくわからんが笑顔だったり何やってんだアイツ?

ティッシュをくれた女子、菊池さんと話せてニヤけていた。

そんな感じに見てたら俺は水沢から話を振られる。

 

「相原は何を見てるんだ?向こうは、友崎だっけ。そういえばお前最近アイツと仲いいよな」

 

やべ、この流れ。

水沢は詳しく把握してないはずだが、中村と友崎の一件は記憶に新しい。

風化するには時間が足りていない。

 

「あー、アイツはゲームが上手くてな。俺もゲーム好きだからそれで話ししてたわ」

「友崎?はっ、あんなやつどうでもいいだろ」

 

ほら、中村の機嫌が悪くなったじゃん。

水沢はこれ、若干わかってて言った節あるよな?

何を考えているんだか。

 

でも水沢はいろいろと空気読んだり原因を解決したりするのは上手い。

最近中村が苛ついている原因でも探っているのかもしれん。

 

「ま、そうだな。今日は風邪?みたいだからゆっくりさせてやろう」

「ふーん、そっか。あ、そういえば修二はさ、例の先輩とはどうなんだ?」

「あー、もううっせーな。この間振られたよ!なんなんだよ。年下は頼りない〜だとさ」

 

なんて馬鹿な話をしているうちにホームルームの時間になったので各自の席にもどるのだった。

 

***

 

いつも通りに午前の授業を受け、次は4限の家庭科の授業。

家庭科の授業は移動教室なので家庭科室まで移動だ。

俺はさっさと移動する派なのでとりあえず教科書類をまとめてパパっと家庭科室に向かう。

 

家庭科室につき自分の席につき荷物を置いて、ちらっと隣の島の席を見る。

そこには他にも移動が早いやつの1人、七海みなみがノートを開き予習をしているようだった。

 

この学校で成績優秀、容姿端麗、スポーツ万能の女子、といえば真っ先に名前が上がるのは日南葵だが、日南の影に隠れてそのすべてで日南葵の1つした、2位の位置にいるのがこの七海みなみだ。

 

名前が「な」と「み」だけで構成されているので、『ななな』とか『みみみ』と呼ばれている。

俺も『みみみ』と呼んでいるんだが、そしたら俺は『はらみー』と呼ばれるようになってしまった。

まぁ、俺自身がニックネームとかゲームの名前とかで困ったらはらみって使っているし、そこは別にいいんだけど。

 

ちなみに影に隠れてと言ったが、みみみはその持ち前の明るさで目立っているという意味では全く隠れていない。

ただ、目立って入るんだが体力テストや定期テストなんかでも2位なのに、″圧倒的な1位″のせいであんまり気づいている人は居ない。

もしも日南がいなかったらもっと目立っていたんだろうな。

 

どうして俺がそんなことまで知っているかといえば、まぁ、端的に言えば、なんとなくみみみの事が気になってしまっているからだ。

ちなみに、なんで?と言われても別に気になるような特別なにかがあったとかそういうわけでもない。

 

あったとしても、初対面の時に

『相原くんの名前は「みなと」なんだ、私は「ななみ」だからなんかちょっとにてるね!』

とか、ちょっと部活が厳しい時にサボろうか悩んで廊下を歩いていたら、

『お、はらみーもこれから部活?私もこれから陸上部に向かうよ、じゃ、頑張るんだぞぉ〜』

なんて声かけられてちょっと頑張ろうかな、なんて思えた事があったくらいだ。

 

それからなんとなくだけど話しはするようになっていき、陸上部とサッカー部はグラウンドもそう離れてはいないためよく目にもする。

 

で、それだけ?とか思うかもしれないが、まぁそれだけだ。

でも、みんなそんなもんだろ?

可愛い女子に明るく声かけられたり、ちょっとキツイ時に応援なんてされたら、気になっちまうよな?

そんなもんなんだ、きっと。

 

授業に備えてノートを適当に開きつつ、みみみとか周りをチラチラとみていたらみみみの隣の席の男子、友崎が珍しく早く移動教室にやってきた。

 

いつもは割とギリギリの気がするが、なんか珍しいな。

チラチラとみみみの方を見ることあるから隣の席の友崎が遅いのも知っているんだぞ?

 

そう思ってみていたら、友崎はみみみから話しかけられてキョドっていた。

なんかいいなぁ、場所代わってほしいわ。

 

「どうした、友崎くん!早いね!」

「あ、いや……なんとなく」

「あ、まぁそんなもんだよね!」

 

そんな感じで会話が終わる。

かも思ったが、友崎が口を開く。

 

「い、いやー、でもすごいよね!」

「ん?なにが?」

 

みみみが聞き返す。

 

「いやー、なんとなく、とかさ。実りのない返事をしたのにさ」

「うん?」

「だよね!って返せるなんてさ、最近の若い子の共感能力ってすごいな!と思って」

「………」

「………」

 

いやなにいってんだおまえ?

その、「だめだったか……?」みたいな顔とか『間』も含めてちょっと面白い。

 

「あ、いやごめ」

「あははははは!」

 

みみみにはめっちゃ受けていた。

たしかに今のはそこそこ面白かったよな。

でも笑いすぎだろ。

 

「何いってんの友崎くんおじさんかよ!あはははは!」

「え、いや、俺はただ最近の若い子女の子の……」

「いや、友崎くんも若いから!あはは!」

「え、いや、俺はただ……」

「なになに?ただ?」

「ほら、最近の女子高生はヤバイって言葉を色んな今まで使うでしょ?……それみたいにやっぱり共感っていうのが若い子のテーマに」

「あはは!やめて、ワイドショーの人みたいなこと言うのやめて!あはははは!」

 

もうみみみは腹を抱えて大爆笑をしていた。

席が近いし俺も入れてもらおう。

 

「おいおい友崎、またそれ言ってんの?お前の持ちネタかよ」

「あはは!はらみーも聞いてたんだ、ヤバイよ友崎くん面白すぎ!」

「俺もこの前友崎に話しかけたらさ『最近の若者って用がなくても話しかけるのか、すごいな』みたいなこと言い出してな」

「あははは!若者って、友崎くん何歳なの!同い年でしょ!」

「い、いや、俺はただ、話には聞いていたけど実感が伴わかなかったから、やっぱり生で見ると迫力あるなって……」

 

いや、話には聞いていたってなんだよ、だれに?

 

「あははは!迫力ってなに!」

「貴重なサンプルと思っただけで……」

 

だからサンプルってなんだよ、研究でもしてんのかよ。

 

「だからおじさんかよって!周りにいくらでもサンプルいるだろ!あはは!」

 

友崎は絶好調のようだ。

しかもどう見てもこれを素で言っているしなんで笑われているかもわからないようだからこそおかしさが増している。

この空気、狙ってできるものじゃないぞ。

 

「みんみ〜、どうしたの?」

 

隣から出てきてみみみに話しかけたのは、いつもみみみと仲良しの夏林花火だ。

大体の人は『たま』と呼んでいる。

花火だからたーまやーで『たま』らしい。

 

「たまはちっちゃくてかわいいねー」

「そういうのいらない!質問に答える!」

「あのね、友崎くんがおじさんっていうか、なんていうの?んー、パス!」

「ん!?」

 

話はそれたな、って感じで油断をしていた友崎がみみみから指をさされて困惑する。

 

「あ、えぇーっと…」

「みみみと花火と相原と…友崎?何盛り上がってんだ?」

 

友崎が口を開き何から説明しようかと悩んだところで、みみみ達の後ろから中村・竹井・水沢の三人がやってきて声をかける。

しかも、なんとなく中村は不機嫌そうな雰囲気を醸し出している。

 

「お、なかむー、きいてよ。友崎くんが面白くてさぁ!」

「へぇ、友崎が?」

「お。なになに?」

「説明してよ、友崎」

 

まさに蛇に睨まれた友崎。

しかも指名を受けた友崎自身が説明するしかない状況になっていた。

 

「えっと、みみみが友崎来るの早いねどした?って言われたから、何となくって答えて……」

 

友崎はしどろもどろになりながら、先ほどのみみみと友崎のやり取りを簡潔にして説明した。

 

「…って感じで七海さんが笑い出して。」

 

説明を聞いている3人は「?」という感じであった。ってか、この空気に俺は笑いそうになっている。

友崎くん、自分のネタを自分で解説させられている芸人じゃん。

 

「あはは!そうそう!」

「え、終わり?」

「そうだけど…」

「全然面白くないじゃん」「こりゃないわ」「はっはっは」

 

周りからそんなやり取りを一歩引いてみていた俺は声に出して笑ってしまう。

 

「はっはっは!やめろよお前ら、ボケた本人にネタ解説させるとかイジメかって!ははは!」

「いや、別にボケたわけではないんだが…」

 

友崎は困惑した感じで言う。

 

「素か?天然か?ははは!」

「おぉ、はらみーはわかってくれるか!」

「おい、相原もなに笑ってんだよ、お前ら笑いのツボおかしいんじゃないのか?」

「なにぃ?わたしがおかしいだと?ひどい!おかしいのはなかむーだよ!」

「おい、わたし『たち』にしろよ。なに自分だけ否定してるんだ」

 

そんな会話で友崎とたま以外がけらけらと笑う。

 

「じゃ、多数決とるか?」

「む、出来レースのにおいがプンプンするなぁ?」

みみみが笑いながら言う。

そして、中村がそのまま多数決を始める。

「んじゃ、みみみと相原がおかしいと思う人?」

 

そして手を挙げる中村と竹井と水沢。

三票だ。

 

「こっちは三票だな?」

「過半数はわらなかったか」

「まだ投票破棄もあるからわかんないっしょ」

 

投票破棄、そんなのもあるのか。

手を挙げなくてもよし、ってことか。

俺はあげるけどね?

 

「そんじゃ、俺がおかしかったと思う人?」

「はーい!はいはいはいはーい!」

 

みみみが元気よく手を挙げた。

そして、俺も手を挙げる。

これで二票。

たまは中村達が来てからだんまりを保っており、それを横目で見てか友崎は手を挙げなかった。

 

「……はーい、わたしも一票!」

 

3対2で決まるかと思ったところで、日南がやってきて手を挙げた。

 

「おい、葵には聞いてねぇんだけど?」

「えー、私も後ろで聞いてたんだからいーじゃん!」

 

中村が面倒くさそうにあっちいけと手をひらひらさせるが日南は更に続け、

 

「ってか修二、友崎くんにアタファミで負けたくせにぃー、こんなことで絡むなんて小さいぞ?」

 

いきなり爆弾を投げ込んだ。

空気が凍るのを感じる。

俺も冷や汗が……

それでもさらに日南は続ける。

 

「そんなんだから島野先輩に振られんの。年下はやっぱり頼りがいがないわねぇ…って」

 

普通アタファミで負けたこといじった後に、更に先輩に振られたことまでいじるか!?

無敵かな!?

中村の反応がどうなるかと思ったところで、水沢が笑い出す。

 

「あっはっはっは!似てる似てる」

「っな!お前!ッチ、うるせーよ!」

 

そしてその笑いは周りへと伝播していった。

 

「あはは!」

「はっはっはっ!」

 

竹井やみみみも同じように笑っていた。

 

「はーい、みみみと相原くんと私で3票ね、これで同点!あとは?ほら?」

 

そして、友崎とたまの方にちらっと目配せをする日南。

 

「あ、じゃあ俺もこっちに一票」

「あ、おいきたねえぞ!」

「……ん、私も」

 

そこで友崎が手を挙げ、中村が吠えるが続けてたまも手を挙げる。

 

「はい、こっちは5票!ツボがおかしかったのは修二ね!」

「チッ、多数決ならしゃーなしだな…」

「じゃ、リベンジ待ってるね?友崎くんにもアタファミでリベンジしなよ?」

「わってるわ!待ってろよ友崎!」

「お、おう、望むところだ…」

 

なんだかんだ落ち着くところに落ち着いたらしい。

日南の発言でどうなるかと思ったが、水沢がうまいこと周りを巻き込んで笑いに変えた。

アイツのこういう周りの空気を良くする所は素直にすごいとおもった。

ってか、日南はどこまで考えて発言をしたんだろう……

しかし、友崎にリベンジ、か。

それについては俺も中村と同じだな。

 

「アタファミでリベンジ、なら俺もこっち側だな。この前俺もボコられたからな、この屈辱はらさんでか!」

「お前も負けてたのかよ……」

「よーし中村、友崎をボコボコにしてやろうぜ!なんならチーム戦2対1で倒すか!」

「は?んなもんで勝っても意味ねぇだろ、タイマンでやるからお前はせいぜい見物してろ」

「俺は2対1でも、別にいいけど?それも面白そうだし」

「おい友崎、マジであんま調子のんなよ?」

「あ、はい……」

 

アタファミになると口がかるくなるんだよな、友崎。

でも調子のんなよマジで?おめーぜってー今度タイマンでボコるわ。

そんな感じで話をしていたらチャイムがなったので全員が自席へと戻っていった。

 

 

4時間目の授業が終わり、お昼休みとなった。

家庭科の教師は移動教室を考慮してか、はたまた自身の都合のためか、授業終了の5分前くらいには切り上げてくれる。

学食、購買を使う生徒にとってすごくありがたいことだ、感謝します先生。

中村たちがササッと家庭科室を出ていくのが見えた。

俺も荷物をまとめたので戻るかと思ったところでみみみとたまと日南がいちゃいちゃし始めたのでちょっと横目で見ていた。

眼福眼福……。

ついでになんか友崎がその三人に話しかけに行っていた。

やるじゃん、友崎。

俺も混ざりに行こうかな?とおもったが昼飯のために学食に行かなければと思ったので一旦荷物を置くために教室に戻ることにする。

家庭科室を出て少し歩いたところで、ちょっと早足ででてきた友崎に後ろから声をかけられた。

なんだ、もう3人との話は終わったのか。

 

「あ、相原。今日は飯どうするつもりなんだ?俺は食堂行く予定だけと…」

「おー、俺も今日は食堂の予定。」

「じゃ、じゃあ一緒にいかないか?あ、えーと、俺にアタファミリベンジするんだろ?対策とか上達のコツは教えられると思うし!」

「お前の対策をお前が教えるってなんなんだそりゃ。相変わらず面白い事言うなぁ。まぁ食堂に行くか、2席取るならちょっと急がなきゃな。」

 

友崎から飯誘われるとは思わなかった。

というか意外だったというべきか。

先週何度か一緒に飯食ってたけど、その時は俺から誘ってたしなんか自分から誘うようなやつじゃないかと思ってたわ。

まぁ飯誘われるのもなんかちょっと嬉しいね。

じゃあ、今日は昼飯を食べながらアタファミについてご教授いただくとしようか。

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