弱キャラ友崎くんとサンドバッグ相原くん   作:mosumosu

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月曜日の朝、実に1週間振りの会議が始まった。

 

「さて、会議に入る前に確認しておきたいんだけど」

「おう」

 

そう話を切り出した日南の表情は、なんというか輝いていた。

あれだ、たまにゲームの話をするときのような楽しそうな顔だ。

 

「あの演説のときのナビは全部仕組んでいたってことでいいのよね?」

 

内容はゲームの話ではなかった。

しかし選挙の話をこんなキラキラした顔で話すということは、こいつも選挙をゲームのように楽しんでいたのかもしれない。

 

「あぁ、アラームからナビの回答まで台本通り」

「やっぱり!」

「アレで持っていくつもりだったんだけど、結局ダメだったな」

 

差は割合的に6:4。

割合で見ると一見近いように聞こえるが、相原もブツブツ言っていたように1.5倍差もある。

あれだけやった結果がこれだと、絶対的な差を感じてしまうな。

 

「結果的にはそうだったけど、あれにはビックリした!うん、楽しかった!」

「お、おう」

 

なんか普段がダメ出しばかりされているイメージだからこうなんか、素直な感想をぶつけられると、アレだ。

負けてしまいそうになる。

何にかは知らんけど。

 

「あれぞnanashiって感じがした。さすが、アタファミをコンボゲーに価値観をひっくり返した伝説は伊達じゃなかったってところね!」

 

この妙なハイテンションで絶賛されると照れてしまう。

しかしアタファミに関しては価値観をコンボゲーにひっくり返した、というには全員がそうというわけでもないし。

 

流行りのスタイルの一端にはなったかもしれないが、未だに単発火力のゴリ押しで俺に挑みかかり、メキメキと上達している脳筋(あいはら)みたいなやつもいるわけで。

可能性を示せたがひっくり返したとまでは思っていないな。

けどアタファミはそういういろいろなプレイで勝てる奥深さがあるから楽しくてやめられないんだけど。

 

っとと、考えがそれてしまったかもしれない。

 

「けど、お前だってえげつなかっただろ?」

「あら?何のこと?」

「こっちの作戦を全部つぶすような真似しやがって」

「ふふっ」

 

俺が文句を言うと、してやったりみたいな感じで笑みを浮かべる日南。

 

「だってあなたたちがやる気満々だったんだもの。それならこっちも本気で迎え撃たないと失礼でしょ?だから、表集めに効率の良さそうなものから総当たりで潰したの」

「え、えぐい。限度があるわ!」

 

まるで子供のように無邪気な顔でそういう日南。

 

「でも、正直もっと票差がつく想定だったんだけどね。終わってみるとそれほどでもなかったわね。見積もりが甘かったのかしら」

 

日南にとってはあれでもまだまだ納得はいかないらしい。

一体どこまで自分に厳しいのか……。

 

しかし、日南の想定外の部分。

さっきの話を聞いて、なんとなくだけど思い当たる節はある。

日南の計算にはほとんどnanashi()しか頭に入っていない感じに聞こえた。

たぶんそこなんだろう。

 

「そのズレは、もしかしたら相原かもな」

「相原?」

 

キョトンと、それはもう不思議そうな顔をして繰り返す日南。

あれ、そんなに意外だったか?

 

「あぁ。俺のアイディアで手っ取り早く票を集める活動はしていたけど、その合間に行けそうな人に1人1人個別に交渉しているようだったから。しかも2年生を避けて1年や3年を中心に……俺の妹や、それをダシに横の友好関係まで拾ってみみみに投票する約束をつけてたな」

「へえー……。たしかに口約束だとしても取り付けてしまえば、無記名投票とは言え心情的に反故にしづらいし……なるほど、それならたしかに計算外だったかも」

 

そう言いながらも表情は楽しそうにしたままの日南。

まるでゲームのリザルトの画面から詳細を見て答え合わせをしているような雰囲気だ。

確かにリザルト画面を見てあー、ここだったかぁ!みたいなのを見るのって楽しいよな。

わかる。

 

「まぁでも!今回は私が勝ったけど可能性は感じた!私もすっごく楽しかった!だからこれからも『人生』、しっかりと精進していくこと!わかった?」

「あぁ、言われなくてもそのつもりだよ」

 

明らかにいつもよりもテンションの高い日南に押されながらも、俺は当然だとそう答えた。

 

「それじゃあ今日からやっていくことだけど……」

 

こうしてまた、前のような鍛錬の日々へと戻ってきた。

懐かしいやら大変やら。

 

そうして出された課題は『誰かを笑わせること』らしい。

いきなり難易度高くないっすか……?

正直何をどうすればいいのか思いつかないが、俺も少しは学習してきた事がある。

こういう時は情報集めから入る。

ダメ元で聞ける様な相手からな。

 

 

***

 

 

そして放課後。

ひとまず課題は最低限、クリアできたとは思う。

移動教室の前に菊池さんと会話し、その、で、デートの約束を立て付ける事と共に笑顔を貰う事が出来た。

デートの約束とは、渋谷でやっているアンディ作品の映画のリバイバル上映を観に行く約束だ。

 

今日の目標としては若干弱い気がしなくはないが……もっと大きな目標の方を進展させたんだから、これくらいでも許されるだろう。たぶん。

菊池さんの笑顔にはそれだけの価値があったはず。

一応日南からも、今日は大目に見てOKってもらったし……。

 

俺はそんなことを考えながらも、菊池さんとのデートに向けてアンディ作品をもう一冊くらい読み進めようかと思い、図書館で本を読んでいた。

 

菊池さんが薦めるだけあってこの人の本、本当に面白い。

読みかけだったとは言え1冊を読み切り、気がつけば3時間近く経っている。

もう19時か……。

 

一区切りついたのでさすがにそろそろ帰らないとと校舎を出てなんとなくグラウンドをみる。

この時間だしさすがにどこの部活も練習は終わって帰宅済みかと思ったが、グラウンドの上には2つの影が。

 

驚きながらも目を凝らしてみると、その正体は日南とみみみだった。

さすがに練習自体は終わりのようで道具の片付けやグラウンドの整備、レーキがけ?って奴をやっているようだった。

 

みみみは部活でも勉強でも負けたくないと言っていた。

それは嘘偽りない本気だったんだろう。

……俺もゲーマーだからその気持ちはわかる。

そりゃ負けっぱなしではいられないよな。

 

心のなかでみみみを応援することにして俺は帰ろうとしたところで、グラウンド脇の道から相原がやってきた。

驚いた、相原もこんな時間まで残っていたのか。

 

「よぉ友崎。こんな時間に学校にいるのは珍しいな。もしかしてまた図書館か?」

「おぉ、相原。まぁそんなとこ。そっちは、部活終わりか?」

 

こちらに気づいた相原に声をかけられるも、俺もいつの間にか自然と挨拶を返せるようにまで成長している。

相原もこの時間まで部活をしていたのかと思ったら、どうやらそうでもなく中村とアタファミをしていたらしい。

 

相原とはその場で少し話してから、そのまま一緒に帰ることになった。

まぁうん、こういうところで経験値稼ぎもしておかないとな。

 

 

***

 

 

「ええ、みみみがあの時間まで練習していたのは初めてね」

 

俺は翌日の朝、日南に昨日の練習のことを聞いてみた。

 

「やっぱりそうなのか。相原も、珍しいって言ってたし」

「最後の最後まで残っているのはわたしだけっていうのがここ最近のことだったから」

「はは……」

 

これを普通に口にできるところが恐ろしい。

 

「ちなみに今日の朝練はわたしより早く来てたわね」

「え」

 

日南はいままで朝練の後ここに来ていたのかよ……。

しかし、みみみはやっぱり選挙を期に力を入れ始めたってことなんだろうな。

 

「……一つ聞きたいんだけど」

「なんだ?」

 

日南にしては珍しくこちらを伺うような態度に少し身構えてしまう。

 

「目標を定めて、現状を分析して、たりないものを試行錯誤で補う。そうやって前に進むことを努力って呼ぶわけじゃない?」

「まぁ、そうだな」

 

そこまで明確に努力の定義を考えたことはないけど。

 

「努力を繰り返して一切妥協せず前へ前へ進んでいくことは悪いことだと思う?」

 

どういう意味の質問だ?

努力繰り返し進む。

そこに悪いことなんてあるのか?

 

「ちなみに私は悪いことだとは思わない」

「おい、答えでてんじゃねーかよ。俺も思わねーよ」

 

なんで聞いたんだよ。

 

「けどほら、それを悪く言う人もいるでしょ?紺野エリカみたいに努力をダサいってレッテル張りをする人もいる」

「そんなのただのやっかみだろ。俺は頑張っている方を支持する」

 

頑張ってる人がいたら応援したくなる。

それが仁義ってヤツだ。

相原がそんなこと言ってた気がする。

よくわからんけど手を縦に振るようなポーズをしながら。

 

「おれも最近わかって来たことだけど、努力っていうかさ、挑戦をすることって実は結構楽しいんだよ。それに、何かに挑戦をする奴ってこうギラギラしてると言うか、輝いてて、俺はやっぱりそれが悪いことだなんて思えーよ」

「まぁそうね。けど、そんな単純なことでは片付かないことも『人生』で努力を重ねていると起こるってこと。私の経験上ね。まぁあまり深く考えないで。わたしも基本的にあなたに同意だから」

 

日南の経験上、ねぇ。

話の流れからだとみみみのことだとは思うんだけど、深く考えるなとも言われたので一旦置いておこう。

 

「関係ない話が長引いたわね。それじゃあ今日の課題を発表するわ」

 

そして話は俺の課題へと移っていった。

今度は『ふふっ』どころではなくしっかりと誰かを笑わせろということらしい。

笑ってくれそうな相手を見繕うか……。

 

 

本日の朝の会議は終了してからは普通に授業を受け、昼休み。

笑わせる為にはといろいろ考えていたが策というものは特に浮かばないし、とりあえず昼食をとることにする。

 

購買でパンを買いにいくことにして教室を出る。

そして歩きながらに、笑わせやすい人物は誰かと考える。

やはり相原とかみみみあたりだろうか……。

 

「おっす、ブレーン!」

「うおっ、みっみみ、みみみ!」

「わぁ、みがいっぱいだね」

 

購買に向かい歩いていたところを後ろからみみみに肩に手を置かれつつ声をかけられる。

ビックリしたこともありカミカミだ……。

 

「あはは、何か考え事?もしかして告白?相手は……葵?応援はするよ、チャレンジャーには!」

「ちげーよ!」

「照れるな照れるなー」

 

そもそもなんで日南が出てくるんだよ。

しかもまるでフラれる前提のような言い方。

いや、たとえ告白なんてしようものなら100%フラれるだろうがな。

そもそもそんな気もサラサラないわけだが。

 

「あーもう……。そういえば、みみみって最近部活に力入れてるんだって?部活遅くまでやってたり、朝練に早く来たり」

「ん?そうそう、頑張ってるよ。こないだ言ったみたいに部活も勉強もね。いやぁ私って努力家!」

「そっか。俺も応援してる。1ゲーマーとして」

 

みみみとの会話も慣れてきたので俺も結構本音で言えるようになってきたよな。

 

「なにそれー!まぁありがと、ゲーマー友崎。でも誰から聞いたの、そんな話し」

「ん〜、相原とか日南かな」

「葵も?へぇ〜……なんか意外!」

「意外?」

「うん。どんなふうに言ってた?」

 

これは、日南のことだよな?

どんなふうにって言われると……。

『今日の朝練は私より早く来ていたわね』

 

えらく淡白だったんだが、どうしよ。

いやそう言えばいいか。

 

「まぁなんだろ、普通って感じに。『私より早く来ていたわね』みたいな事を言っていたかな」

「あ、ほんと?ふんふんなるほど。まあそっか」

 

首をコクコクと振って納得するみみみ。

何がふんふんなるほど、なんだろう。

 

「それじゃ私は学食に行くね。あ、友崎は今日は学食?」

「今日は……」

 

購買、と言いかけで頭の中でピコーンと電球が浮かぶ。

これ勘違いじゃなければ誘われたやつ?かもしれない……可能性がある。

このようなやりとりは前に相原とやった気がする。

 

なら課題もあるし、な。

 

「購買、と思ってたけど俺も学食の気分になってきたかも」

「お、じゃあ行きますか!あ、さては……私に恋の相談に乗ってほしいってことだね!」

「ちげーから」

「ハッ!ってことは、もしかして告白は私狙いだった!?」

「ちげーから!」

 

そんなバカなやりとりをしながら学食へと向かう。

そして5分後に後悔することになる。

 

「あ、はらみーになかむー!ここ空いてる?」

 

そこそこ学食も混んでいて空き席を探していたわけだが、みみみが中村と相原が一緒のテーブルに目をつけた。

 

「おー、みみみと友崎。空いてる。別にいいよな?中村」

「あー、空いてる空いてる」

「お……お邪魔しま〜す……」

 

こうして中村と同じテーブルに座って昼食を取ることとなった。

幸い、相原もいて緩衝材みたいになってはくれそうだが……。

こ、購買にしておけばよかった。

 

 

***

 

 

「あれ、たまちゃん?」

「友崎?」

「おう」

 

放課後、また図書館で昨日とは別のアンディ作品を手に取り読んでいた俺は区切りのいいところで終わりにして休日に戻ると、この間のようにたまちゃんがいた。

 

「とーしたの、今日は?」

「図書館で本を読んでて」

「図書館?友崎って本好きなんだ」

「まぁ、たまたま面白い作品を知って……」

「ふぅん?」

 

少しぼかして答える俺。

そりゃ、『菊池さんと映画を見るために読んでるんだよね』なんて言えるわけがない。

 

「たまちゃんは、なんでこんな時間に教室に?」

「部活終わりなんだけど忘れ物取りに来て、ついでにちょっとあっちを見てた」

 

そう言って窓の方、グラウンドの方を見るたまちゃん。

俺も窓に近づきグラウンドを見る。

グラウンドには日南としてもみみみが練習をしている。

……あれ、なんか隅に相原もいるじゃん。

 

「みみみ、頑張ってるな。朝練も日南より早く来ていたらしいし」

「え!そうなんだ……」

 

驚きとともに難しい顔をするたまちゃん。

あ、ヤバい話題が切れた。

次の弾を用意しないと。

関連する話題……。

そして俺ほ視線の先でボールを蹴っている相原を見つける。

 

「なんか今日は練習してるグラウンドに相原もいるね。他にサッカー部員は見当たらない気がするけど」

「みたいだね。……朝みんみが『一緒に残って練習する?』みたいな事を聞いてたから、もしかしたらそれかも。冗談のやり取りだったと思ったんだけど」

 

そんな会話をしていたのか。

ってかそもそも部活違うじゃん。

そりゃそんな話しをしてても冗談だと思うよ。

 

「あの2人仲いいよなぁ。そういえば相原もたまちゃんもみみみと仲良くなったのが去年の二学期くらいなんだっけ?」

「うん、私はそうだね。相原はよくわかんない。私みたいにみんみに絡まれてるのはあまり見た記憶がないんだけど、気付けばみんみとよく話すようになってたし、みんみと一緒にいた私と三学期くらいにはそこそこ話すようになってたかなぁ」

「へえぇ……」

 

なんとなく相原の努力が目に浮かぶな。

俺も今の自分を変えようと努力をはじめたからか、ちょっとした共感意識みたいなものを感じる。

 

「……実は、私がみんみと仲良くなる前に葵がね。みんみに相談を受けてたんだって」

「え?日南?」

 

みみみが日南に相談?

何の話だろう。

 

「うん。みんみから、『クラスに馴染めていない子がいるんだけどどうすればいいと思う?』って感じのことを」

「ほぅ……?」

 

それはたまちゃんのこと、だよな。

相原の方はどうだったんだろう。

 

「はじめは、『輪に入りたくないのかもしれないよ』って答えたらしいんだけど、みんみはそれは違うと思うって折れなかったらしくてね」

「おぉ、そう言うみみみは想像できるかも」

 

逆に日南がそう言ったところはそれ以上に想像がつくけど。

あいつは助けを求められたら全力で応じてくれるけど、困ってるだけの人間は自分に影響がない限り放置しそうだ。

 

「それで葵は『毎日ちょっとずつ話しかけたらいいと思う』って言ったんだって」

「あぁ、もしかしてそれで前言っていた」

「そう!毎日私のところに来てほっぺたをツンツンだよ!やり方がおかしい!」

 

そう言ってビシッと指をさすたまちゃん。

けど楽しそうな表情だ。

 

「ははは、みみみっぽいな。勢い任せなところが」

「でもおかげでね、私にもだんだんと友達ができて教室にも居やすくなったの」

「へぇ、なるほど」

 

なんかこう、いい話だなあ。

 

「だから、人と仲良くなる人ってすごいなぁーって。私とかまで巻き込んじゃうんだなぁって憧れて。みんみも、相原もさ」

「相原も?」

「うん。去年はあんまり気付いていなかったんだけど、相原は私と違って自分の力で周りを変えたんだと思うんだ。きっかけは、みんみが私にしたように何かあったのかもしれないけど」

 

ああ、そうか。

男女で違えば、そりゃあたまちゃんにしたみたいにほっぺたツンツンなんてやり方が出来るわけないだろうしな。

けどみみみが声をかけたのがきっかけなんだっけ。

 

「あ、みんみたちもクールダウンしてる。さすがにそろそろ終わるのかも」

「そっか、じぁあ俺たちもそろそろ帰った方がいいかな。あ、もしかしてみみみたちに声かけていくの?」

「もちろん」

「はは、じゃあいこっか」

 

 

そしてたまちゃんと共にグラウンドまで移動したが……。

 

「相原、お前なんでそんなに汗だくなんだ?いや、練習?はしてたみたいだけど」

「練習というか、リフティング、楽しくて、熱中してしまった……」

 

リフティングってボール落とさないで蹴るやつだよな?

グラウンドの隅で何かやってると思っていたがずっとリフティングしてたってことか?

 

「お、おう。リフティングってあれだよな、ボールを落とさないで蹴り続けるやつ。何回くらいできるんだ?」

「回数だけでいえば1000は余裕でいける、はず。端的にいえば飽きるか体力なくなるまでいくらでも。ほら、これだけだし」

 

足元のボールを蹴り上げると右と左で交互にボールを蹴る相原。

 

「で、これだけなら簡単だからって、インステップ、インサイド、アウトサイド、もも、胸、頭といろいろ挟んで……」

 

相原はそう言いながらいろんなこと蹴り方でボールをタップする。

すげぇ、もしかしてサッカー部ってみんなこんなことできるのか?

 

「気付いたら30分くらいやり続けて汗が……」

「すごいけど、なんだろう。いや、なんだろ」

 

たまに抜けてると言うか、なんかアホだなぁって思うことあるよな相原って。

そんなことを考えているのを察したのか相原が口を開く。

 

「ほら、アレだって。友崎だって例えばゲームでコンボの練習中にちょっと失敗したりさ、新しいコンボルートの閃きとかでたらさ、時間忘れていろいろやっちゃうだろ?」

「それは……そうかも」

 

ゲームに例えるのはズルいって。

 

「あれ、はらみーまだいたんだ。というかそれ上手いね!」

 

クールダウンを終えたのかグラウンド整備のために隅の方までやってきたみみみ。

後ろには日南もいる。

 

「あぁ、最後に軽く遊んでから帰るつもりが熱中してさ……。うまいもんだろ、ほれ、アラウンドザワールド」

 

そう言うと相原はボールを蹴り上げるとともにボールの周りで円を描くように足を一回転させる。

さらに落ちる前に再度蹴り上げてから、前かがみになり、首でボールをキャッチした。

 

「おおー!すごーいっ!」

 

パチパチと拍手をして歓声を上げるみみみ。

後ろで見ていた日南もこれは称賛するような視線でパチパチと拍手している。

 

「だろ?得意分野だ。友達いないやつほど上手いのがリフティングなのよ。一人でいくらでもできるから……」

 

体を傾け、首から腕へとボールを転がして右手でボールを取りつつそんな事を言う相原。

すごいけど、そんな悲しい報告は聞きたくはなかったかな……。

 

その後、相原は汗の処理と帰り支度をすると部室へと戻り、日南とみみみはグラウンド整備を開始した。

俺とたまちゃんもせっかくだからとグラウンド整備を手伝い、終わってから5人で帰ることとなった。

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