弱キャラ友崎くんとサンドバッグ相原くん   作:mosumosu

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日南と短距離で勝負してから2日後の木曜日。

朝のHR前に自席でボーっとしていたところ、友崎に声をかけられた。

最近、結構友崎から声かけてくるようになったよな。

なんだかんだ話しかけられるとちょっと嬉しく感じてしまう。

俺ってチョロかったのかもしれない。

攻略難度☆1つだね、間違いない。

 

「なぁ相原。ちょっと聞きたいんだけど、みみみの中学の時の事って何か知ってたりする?」

「中学?ん〜、高校からの仲だからそれより前は知らないなぁ」

「それは、そうだよなぁ」

 

どうやら予想はしていてダメ元だったようだが、少し項垂れる友崎。

まぁまぁ、俺の隣にもう一人適任がいるじゃねぇか。

 

「たまちゃん、話聞いてた?」

「うん。この距離だから。みんみの中学の時のこと?」

「うん、そう。なにか知ってる?」

 

俺が隣の席のたまちゃんに聞いてみる。

話は聞こえていたようで、友崎が話を促す。

 

「といっても、バスケ部だったらしいけどそれ以外のことは知らないよ?」

「そっか……。あ、だったら同じ中学だった人知ってる?できれば部活も同じだといいんだけど」

「いたかなぁ?同じ中学の人はたしか、……」

 

そう言って同じ中学の生徒何名かを上げるたまちゃん。

おお、よく知ってるな。

この前俺の下の名前を何だったか悩んだ人間とは思えない。

 

……俺ってもしかして影薄いのか?

嫌われてる?というよりも無関心?

ソッチのほうが傷つくなぁ。

 

「ありがと、同じ部活だった人がいるかは自分で聞いてみるよ」

 

たまちゃんにそうお礼を述べる友崎。

みみみと同じ中学かぁ。

なんか最近そんな話をどこかで聞いた気がするんだけど、どこだったかな。

あ、思い出した、選挙活動の時だ。

 

「あ、俺1人知ってるかも。中学でみみみと同じ部活だった人」

「え、ほんとか?だれ?」

「1年で今陸上部の子にいたはず。ちょっと待って、みみみの推薦人の保険にかけられてた……そうそう、山下さん」

「山下さん……?」

 

さすがに友崎は1年生のことは覚えていないようで首を傾げる。

 

「生徒会選挙の時にみみみに紹介された。みみみの舎弟みたいな感じだったな。なんか話が聞きたいんだろ?俺は顔とクラス知ってるし、後で行ってみるか?向こうが俺の顔を覚えてるかはしらんけど」

「じゃあ頼めるか?なんかすまんな。いや、サンキューな」

「おう、いいってことよ!」

 

こう、感謝されるとちょっとやる気になってくるから言葉って不思議だよな!

 

それにしても、みみみかぁ。

なんか最近お疲れ気味に見えるんだよなぁ。

寝不足気味みたいだけど、しっかり寝ないと筋肉はつかないというのに。

まぁ俺から何か言うのも余計なお世話だろう。

 

 

そして放課後、友崎を引き連れて1年生の教室の前へ。

直接教室に入るのはちょっとアレだから廊下にいる生徒にお願いをして……。

あれ、友崎の妹ちゃんじゃん。

そういえば山下さんと同じクラスだよな、声もかけやすいしお願いしてみよ。

とりあえず挨拶。

 

「あ、友崎の妹ちゃん、ヤッホ」

「え?あ!相原さん!こんにちは!……げ、お兄ちゃんもいる」

 

元気に挨拶を返してくれたが横の友崎兄を見て露骨に嫌そうな顔をする妹ちゃん。

兄妹ってどこもこういうものなのかね。

一人っ子だから良くわかんないや。

 

「ははは…。妹ちゃんってここのクラスだよね?ちょっと山下さんに聞きたいことがあって、問題なければ呼んでもらえない?」

「山下さん?はい、わかりました!あ、じゃあついでにこちらも1つお願いしてもいいですか?」

「ん?まぁいいけど」

 

なんて話をして、山下さんを呼んでもらった。

お願いされたこともまぁ、大したものではないのでサクッと解決はしている。

 

「相原さん!おつかれっす!選挙の演説、わたし感動しました!」

「山下さん、おつかれさま。いやーでも演説の話はやめてー、あれ結構恥ずかしいこと言ったなって後で思ったから」

「そんなこと無いですよ!わたし、みみみ先輩のことを理解してくれてる人がいるってことがうれしかったっす!」

「はは、そっか。ありがと」

 

挨拶とともに選挙の演説の話をしてくる山下さん。

いじりとかではなく純粋にそう思っているということが態度から伺える。

なので、俺も本音を言いつつも明るい口調で答えた。

 

「それでこっちの友崎なんだけど、実は選挙の時に一緒にみみみの協力者とかやっててさ。なんか今、みみみのことで聞きたいことがあるらしくて」

「ど、ども」

「よろしくっす。みみみ先輩の事ですか、何でも聞いてくださいっす!」

 

とりあえず挨拶は済んだので、後は俺は話を聞くだけにしよう。

あ、まさか「後は帰っていいよ?」とか言わないよね?

 

「あぁ、それじゃあさ、中学の時にみみみと日南ってどんな感じだったのか知りたくて」

「えっと、それはどういう?」

「ん?ああいや、特に理由とかはないんだけど……」

 

そう言って言葉を濁す友崎。

おいおい大丈夫かそれで。

 

そして、山下さんは友崎と俺の顔を見てなんかはっ!としたような表情をしてからニシシと笑いだす。

おぉ、なんかその雰囲気みみみに似てるな。

後輩への影響力も抜群じゃないか、みみみは。

 

「なるほど、そういうことですね!お二方ともみみみ先輩を手伝っていたんすもんね!任せてください、バスケ部時代のことは私が一番詳しいですから!」

「え、あ、そうなの?うん、助かるよ」

 

うん。

うん?

うーん……。

これは、いやまぁ……いいか!

山下さんがなんか変な勘違いをしていそうな事に気づいたが、話をしてくれるなら話の端を折るのもちょっとね。

 

首を傾げている友崎と違って俺は鈍感ではないが、野暮でもないのだ。

 

「えー、みみみ先輩と日南先輩の話ですね!……」

 

そうして山下さんはいろいろと話をしてくれた。

 

みみみは1年の頃からバスケ部でスタメンになっていたらしく、チームを県大会に連れて行くほどの実力だったとのこと。

ただ、その実みみみと周りで努力の差が明確だったらしく、チーム内で浮いてしまっていたらしい。

 

それも、聞いてる限りそこそこ溝が深かったようで、マネージャーをしていたという山下さんも『あいつ空気読めなくない?』『私らへの当てつけ?』みたいな話をよく耳にしていたらしい。

ということは当然、みみみ本人の耳にも入っていたんだろうな……。

 

そんな中、3年最後の大会で日南たちのチームと県大会で当たったそうだ。

そして試合はどちらもワンマンチームだったらしく、みみみと日南のエース対決。

しかし実力の差は結構あったらしくそこそこの点差でみみみは負けてしまった、と。

 

「みみみ先輩、負けたことすごく悔しがっていたんですけど、それよりも……。みみみ先輩が悔しがってる中で他のメンバーはみんな『よくやったよ』とか『ベストは尽くせた』みたいに言っていて。そこにすごい温度差があったことを覚えているっす」

 

ああ、なるほど……。

そうして、みみみはチームメイトに『まだ県大会じゃん、全然良くないよ!』みたいなことをいったが、返ってきたのは「県大会だってすごいよ」とか「十分いい結果だよ」とかだったらしい。

 

「みみみ先輩はそれを聞いたらもうどうでもよくなってしまったらしくて、『うん、そーだね。よかった』って適当に合わせたらしいんです」

 

みみみはそこで折れて、もう期待することをやめると言っていたらしい。

けど、そこから高校にはいると日南に出会った、と。

 

「そっか……。うん、ありがとう。参考になったよ」

 

山下さんの目を見ながらお礼を言う友崎。

 

「照れるんでそんなに見ないでください!ご清聴ありがとうございました!」

「俺からも、ありがとう。貴重な話を聞けたよ」

 

みみみも中学の時は苦労していたんだなぁとか思いながら山下さんにお礼を言う。

 

「いえいえ!あっ、相原さん少しいいですか?」

「ん?」

 

ちょっと手招きされたので山下さんの方に近づくと友崎には聞こえないくらいの小声で言う。

 

「私は相原さんのことを応援しているっす!みみみ先輩のこと、よろしくお願いします!」

 

愛嬌のある笑みを浮かべながらそう言ってくる山下さん。

おいおい、あのなぁ……。

どう対応するか一瞬悩んだ後、俺は山下さんに「ふんッ!」と言いながら軽くチョップをした。

「イタッ」なんて言ってたが痛くないだろ、ほぼ寸止めしてるんだから。

 

「もー、髪が崩れちゃうじゃないっすかー!」

「あ、それはごめん。っといってもみみみにはいつももっともしゃもしゃにされてるじゃないの」

「え、なんで知ってるんすか!」

「俺サッカー部だから陸上部とは同じグラウンドよ。よくじゃれてるの見えるから」

「は、恥ずかしくなってきたっす……」

 

そんなやりとりをしてから山下さんと別れ、俺と友崎は1年生の教室前から去る。

 

「聞きたいことは聞けたのか?」

「あぁ、助かった」

 

どうやら満足のいく内容は聞けたらしい。

 

「そっか、そりゃ何より。んじゃ俺は部活行ってくるわ」

「おう。改めてサンキューな」

「あいあい」

 

そういって俺はグラウンドへと向かった。

友崎は、図書館か?

本好きだねぇ。

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