弱キャラ友崎くんとサンドバッグ相原くん   作:mosumosu

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「はい、本日はご足労いただき誠にありがとうございます。ほんとに、はい」

「そういうのいいから」

 

ジトーっとした視線を送りながらたまちゃんはそう答える。

俺は今カフェへと来ていた。

そして、目の前にはたまが座っている。

 

「というか、なんで私に相談ってなるの?もっと、誰かいるんじゃない?葵とか」

「いや、みみみのことならたまちゃんしかいないでしょ。日南は、ちょっとタイマンで話すのは苦手というか……って、あーいや別に嫌いとかじゃないんだ」

 

みみみと言い合いになった後、その日のうちにたまに連絡を入れた。

みみみとケンカになってしまったので仲直りする方法を教えてくださいと。

 

「もしかして相原って、自分よりできる人間が苦手?」

 

おぉ切れ味の鋭い質問だ。

けどそれはちょっと違うな。

だって周りは俺よりできるやつだらけだもん。

 

「それで言ったらほとんどが苦手になっちゃうよ」

 

日南は、なんていうのかな?

……俺は人の真似みたいな事が得意で、喋り方みたいなとことかはみみみの真似したり、他にも中村とか水沢とかを見て、おぉいいじゃんそれ!みたいに思ったことはコソッとパクらせてもらってたりしてるんだけど。

 

日南に関しては真似ができる気がしないと言うか、真似するにもそれなりに相手はこう考えてこういう意味での行動なんだろうな、とか想像をして真似をするんだけど、日南相手にはそれがよくわからないというかなんというか。

 

まぁうまく説明ができないんだけど、理屈がわからないというか、日南を推し量れないというか、そんな感じでタイマンだとちょっと苦手意識は、正直ある。

 

「なんて言ったらいいんだろ。底が見えな過ぎて萎縮しちゃう?感じ?」

 

そうだな、底がしれない。

とりあえず口を開いてでた言葉だけど自分で納得した。

器が違うんだろうなぁ。

 

「なるほど。葵のことよく知らなきゃ、そう思うのもちょっと分かるかも」

「お、おう。いやでもごめん、陰口みたいになっちゃったかも。そんな事を言いたいんじゃなくて、昨日の件!相談に乗ってほしくて」

 

正直なところこんなことを誰かに改めて相談するのもなんというか、なけなしのプライドと言うか、そういうもので気が引ける思いはあったのだが、どうせ友崎にも聞かれていたしと開き直ったのだ。

 

「うん。それで、なんでみんみとケンカなんてことになったの?」

 

たまは不満ありげな顔でそう言って来る。

その表情は、あれだ。

ケンカしたことに対してと言うよりは、とっとと内容を話せというような顔だ。

 

なんだかんだ教室での席も隣だし1年から同じクラスなので表情とニュアンスで何が言いたいか何となく把握できるようになった気がする。

しかしこれ、報告した結果俺が悪いと判断したらスパッと言葉で切り捨てられそう。

 

「まぁ、正直言うとよくわからなくて……俺が悪かったの?っていう気持ちもあって。だからみみみとのやりとりを可能な限りありのままに話すから、何が悪かったのか教えてほしい、いえ、教えてください」

「うん、わかった。あと、取ってつけたように口調変えようとしなくていいから」

 

そう言うとまたジトーっとしたような目で見てくる。

うぅむ、最近たまが俺に対しての扱いがぞんざいになってきてない?

仲良くなった証拠だね、うんうん俺も嬉しいよ。はは。

 

そんなことを思いながらも昨日の一部始終をたまちゃんに話した。

 

 

「………ってところ。そしてちょうど電車が来て、みみみに今日は一人で帰るねって言われてその電車を見送ったかな」

 

昨日のあらましを説明したところで俺はふぅー、と一息つきカフェに入ってから頼んでおいたアイスコーヒーに手をつけながらたまの反応を待つ。

うーん、苦い。

 

「うん、説明ありがと。それで、相原はどうしたいの?」

「え、うーんと……?」

 

何が悪かったのかを教えてもらおうかと思っていたんだけど……。

 

「どうしたいかって大事なことだとおもうよ。人に聞かなきゃ決められないの?」

 

おぉう、斬れ味マシマシ。

今日はたまはキレキレだな。

そして俺はキリキリ舞い。

……実はみみみと喧嘩して、泣かせてしまったこと怒っているのかも。

 

「……その言葉、超かっこいいな。今度パクらせて」

「茶化さない!」

 

ビシッと指を差しながらそういうたま。

結構本気なんだけどな。

けどたしかに回答にはなってないしこれは怒られるのも仕方ないか。

 

「怒らせたなら怒らせた原因があるはずだから、それを謝りたい。……正直言うとせっかくの友人とよくわからないまま疎遠になるのが、怖い」

「うん。正直にそういえばいいんじゃない?だってみんみ、人と仲良くするのは得意だもん。たぶん考えすぎ。もっと単純な人間でしょ?みんみも、相原も」

「そっか。……よし」

 

俺はポケットからスマホを取り出す。

 

「じゃあみみみに電話するわ。いま」

「え!えらく唐突だね」

「おう、明日やろうはバカやろうなんだぜ。じゃ、電話してくる。ごめん、悪いんだけどちょっとまってて」

「明日やろうはバカやろう……。うん、とりあえずわかった」

 

そう言っていったん立ち上がり、店の外にでた。

 

 

prrrrr……prrrrr……prrrrr……

prrrrr……prrrrr……prrrrr……

 

『……はい、もしもし?どちら様です?』

 

よかった、コールは長かったけど出てくれた。

 

「もしもし、相原だけど。ってか携帯ってかかってくる時に名前表示されないか……?」

 

『うーん、偽物の可能もあるから?』

 

偽物の可能性、あるのかなぁ?

 

「残念本物でしたー。いまちょっと大丈夫?」

 

『うん、なに?』

 

「うん。まずはさ、昨日はごめん。みみみを怒らせたんだと思って、謝りたかった」

 

『……ううん大丈夫、はらみーは悪くないよ。私こそ昨日はごめん。急に怒鳴ったりして』

 

「いや、たぶん俺が怒らせること言ったんだろ。でもさ、怒らせたまま放置して、そのままギクシャクして、疎遠みたいになるのが嫌だったから。どうするか悩んで……で、もう本人に直接話すしか無いよねって思って」

 

『それで電話かけてきたの?あはは、ホントはらみーってなんていうかさ、真っ直ぐだよね……私なんかと違って

 

ん?最後なんか言ったか?

てか真っ直ぐ?

本当に真っ直ぐならこんなに悩んでねぇっての。

けど、最近の会話で少し学んできた事はある。

謙遜じゃなくて、認めることも必要なんだなって。

 

「あぁ、迷い道回り道が嫌いでな。それにまっすぐって言うなら、俺よりずっとまっすぐな人がいたから今回はそれに習っただけ。なんでも、どうしたいかが大事なんだってさ」

 

『ふ〜ん。つまりはらみーは私と仲良くしたくて仕方ないってこと?ふふっ』

 

「お、おう。なんかイニシアチブ取りに来たな……?けど、なんだ。俺にとって数少ない友人なんだから、当たり前だろ」

 

生憎と、友達は少ないんだ。

前のクラスから一緒のメンバーっていうのは、結構気心知れてて助かるしな。

 

『あはは!うん、じゃあこれからも友達だね』

 

「おう!いやぁよかったー。なんか、さっきまで悩んでたのがバカみたいに思えてきたわ。電話してよかった」

 

『え、はらみー、そんなに悩んでたの?なんか珍しいね』

 

なんだよ珍しいって。

いつも通りだろ?

俺なりにいつも悩んでんだっての。

 

「まるで俺がいつも何も考えていないような言い方を……。いつでもあれこれ悩んでるし考えてるっつーの」

 

『えー、ほんとー?だっていつも考えなしに突っ走っていくところしか見たことないよ』

 

「まずは行動。それが人生の基本ルールだからな。けど、決めるまでにはそこそこ頭をつかっているの!」

 

『へえーそうなんだー』

 

「電話越しでもわかる程に心がこもってない!なんて失礼な!」

 

そしてお互い電話越しで笑い合う。

 

「ったく、むしろいつも悩んでなさそうなのはみみみだろ」

 

『あー!それこそ失礼!私のほうがいろいろ悩んでるし考えてるんだから!』

 

「ははは。はいはい、そういうことにしとく」

『……私も悩んで、決めたよ』

 

「ん、あ、今なんか言った?ごめん聞き取れなかったかも」

 

『ううん、なんにも。電話してきたのってそれだけ?』

 

おうおう、だけだよ!悪いか!

俺にとっちゃ重要なんだよ!

 

「それだけ、だって?超重要なことだったんだけど!でも、それだけ!」

 

『あはは!私のこと超好きじゃん!』

 

「〜〜っ!別に何でもいいだろ、用はそれだけだからもう切るぞ!」

 

電話でよかった、顔赤くなってるかも。

やめろよ、そういう事言うの。

 

『うん……じゃあまた月曜日に学校でね』

 

「おう。あ、電話でてくれてサンキューな。そいじゃな」

 

そして電話を切った。

やべぇ、顔アッツ。

俺は手を顔に当てて熱を冷まそうとするが、そもそも7月下旬の気温だとそれも意味をなさなかった。

 

もういいや、たまのところに戻るか。

 

「悪い、待たせた」

「うん、大丈夫。話せた?」

「おう、バッチリ!助かったぜ、たまセンセ!」

「何その先生って」

 

ジトーっとした目で見てくるたま。

 

「おいおい、そんなに目を細めてばかりいると視力落ちるぞ」

「誰がそうさせているの!」

「あ、おれかぁー」

 

なんて言いながらはははと笑う。

 

「でも、本当にもう大丈夫そうだね。そんな顔してる」

「そんな顔、してるか?」

 

そう言ってまじまじと俺の顔を見てくるたま。

やだ、照れちゃう。

俺もたまの目を見てから2秒後くらい視線をそらす。

ま、負けた。

 

「?なんで顔を背けたの」

「いや、ね、照れるじゃん……」

 

俺がそう答えてから、徐々に顔を赤くしていくたま。

 

「へ、変なこと言わない!」

「いや、そっちこそ時間差で照れるなよ」

「そんなことより!もう大丈夫って、怒らせた原因はなんだったのか聞けたの?」

 

顔を赤くしたたまは誤魔化すように話を戻してくる。

あ、そういえば聞きそびれちゃったな。

 

「あ。いや、とりあえず謝りたいって言ったらみみみから悪いのはこっちだからって言われて聞きそびれちゃったな」

「なるほど。みんみも強情な所あるもんね」

「強情?ってことは原因は俺にあったのに誤魔化された?」

 

隠すようなものだったんだろうか。

俺の反応をみて1つため息をつくたま。

今日1日で呆れ過ぎじゃないっすか?

だめな生徒でごめんね……。

 

「みんみは、相原にはただ応援してほしかっただけなんじゃない?」

「応援……?でも俺は体を壊すくらいにまで無理はしてほしくはなくて」

「体を壊すくらいに無理をして頑張ってるから、応援が必要だったんじゃないの?それこそ同じように、いつも努力をしている誰かさんからの」

 

そう言ってからアイスティーをストローに口をつけるたま。

 

いつも努力している、と言われて若干うれしさを感じながらも、言われてからなるほど、と思った。

 

「たしかに頑張ってるのに無理すんな、は余計なお世話だったかなぁ。怒るのも無理ないか」

「……若干認識間違ってそうだけど、もう教えてあげない」

 

えぇ……。

 

「まぁ、とりあえず俺の相談事はもう解決だな。今日は本当に助かった。飲み物くらいは奢らせてくれ」

「どういたしまして。じゃあお言葉に甘えようかな」

「おう!あ、ついでになんか行っとく?ケーキとかデザート系」

「それは気持ちだけ。今日はそういうのはいいかな。ちょっと最近甘い物食べすぎてるから……」

 

食べすぎていたのか。

女の子は甘い物好きだもんなぁ。(偏見)

 

「へぇー、みみみに連れ回されたりでもしてたのか?」

「そうじゃなくて。あまり言ってないんだけどうちって洋菓子屋でケーキとかも作ってるから、それで試作品を食べたり自分で作ったり……」

 

自分で!?

お店の名前はなんだ!

最寄り駅は聞いたことあるし駅周辺と夏林とかで洋菓子屋探せば出るか!?

 

「すげぇ!お菓子屋ってことはシュークリームとかアップルパイとかも?」

「なんでそのチョイス……?まぁ確かにお店の商品には並んでいるし、手伝いで作ったりもするね。他にもクッキーとか」

 

俺は生クリームよりもカスタードクリームが好きなんだよ。

ケーキはケーキとして普通にそこそこ好きだけどね!

……過度な糖分は敵ではあるが。

 

「おお、よし!このあと行こう!買いに行こう!」

「……やっぱりそうなるよね。話すんじゃなかった。失敗した」

「大丈夫、人は失敗した分だけ強くなれるからな。また1つ強くなったね!」

「少なくても原因になった人の言うことじゃない!」

「ははは!」

 

問題が1つ片付いて気持ちの軽くなった俺はお昼前くらいまでそんな感じでたまと話をしていた。

 

たまの家の洋菓子屋に行くという話はしていたが、結局今日は行くのは控えた。

なんか、みみみもまだ行ったことがないようだったらしいし抜け駆けは卑怯かな?って思ったから。

いやまぁ、何が卑怯?って言われたらよくわかんないけど。

 

昼はどうするか聞いてみたところ、今日は家で食べる予定という話だったのでその場で解散した。




言いたいことは言うべきだと思ったので、わたしも。
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