弱キャラ友崎くんとサンドバッグ相原くん   作:mosumosu

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原作3巻
34


夏休みに入る数日前のこと。

放課後の教室で、水沢の提案をもとに夏休みのキャンプ計画を立てていた。

今日は部活もない日なので、みんな時間を持て余し気味だ。

 

そしてこの計画、表向きは遊べるのは2年生の時までなので今年くらい遊び尽くそうという名目で計画されたものだが……。

 

「実際は、アイツラくっつけたいってのが本音なんだって?」

「そーゆーこと。ほら、アイツラってお互い好きなくせにバカじゃん?誰かが背中押してやんないと、何も進まねーからさ」

「たしかに、どっちもバレバレなのにねぇ」

「はは、わかる。つーか中村の鈍感さにはビックリだわ」

「優鈴もあれで隠してるつもりみたいだからねー!」

 

くだけた笑い声が教室に響く。

机を囲むのは俺、水沢、日南、そしてみみみの4人だ。水沢と日南はひそひそと盛り上がり、みみみも笑顔で会話に加わっている。

 

「ところでキャンプのことなんだけど、もう一人呼んでもいい?」

「もう1人、というと?」

「友崎くんなんだけど。みんなとも仲が良いと思うし、どうかなって」

「おお、友崎!それに作戦を考えるのは得意そうだし!」

 

日南が提案して、水沢が聞くと出てきた名前。

みみみ的にはありらしい。

 

「いいんじゃないか?でも男女比が結構差が出たな」

 

特に意味もなくポツリと言った俺に、みみみが笑って返す。

 

「あはは!それ、そんなに気にすることー?」

「いやいや、気にするのもわかるぜ?女子は多ければ多いほどいい!」

「さすがタカヒロ、考えがチャラーい」

「はは、まぁな!で、誰か宛はあんのかよ?言い出しっぺの相原」

 

宛て……か。

ふと思い浮かんだ顔。

教室を見渡し、まだ席に残っていることを確認する。

渋い顔されるかもだけど、言うだけなら。

 

「たまちゃんとかは?みみみや日南とも仲いいじゃん。それもめちゃくちゃ」

「おー、それに最近はお前とか友崎とかとも仲いいもんな。俺はいいと思うぞ、本人がいいなら」

「うーん、たまは、ねぇ……」

 

水沢は二つ返事でオーケー。

しかしみみみは少し言葉を濁し、日南もなんとも言えない表情を浮かべているように見えた。

まぁ、言いたいことはわかる。

中村達と微妙な雰囲気なんだよな。

 

でも俺はむしろそれを払拭するいい機会なんじゃないかと思った。

俺と、あと友崎も居れば男子側でのフォローも出来るし、女子側は言わずもがな。

 

三人の様子から、全員問題は把握した上でOKだったり悩んでいるのがわかる。

なら取るべき方法は1つだ。

 

「んじゃあ、本人に直接聞いてみようか。たまちゃんはNOならNOと言えるし。そういうとこ、きら……いいと思うしな」

「きら?なに?」

 

俺の言葉ににやにやしながらも突っついてくるみみみ。

クソが。

『嫌いじゃない』。

この単語を使い過ぎなのを気にし始めたのがバレてーらぁ。

 

「おーおー、仲のいいこった。すぐそこにいるんだから2人で聞いてこい」

「行ってらっしゃ〜い」

「あはは、じゃあ行ってきますか、はらみー!」

 

まぁ……いいか!

善は急げって言うしな。

そうして2人でたまちゃんの元へ。

 

まだHRが終わったばかりで、教室には何人か残っており、たまちゃんもその中のひとりといったように自席に静かに座っていた。

もしかして、みみみでも待っていたのかね。

 

「たまちゃん。ちょっといい?」

「ん?なに、相原とみんみ?」

 

声をかければこっちを向いてなんの用かと少し首を傾けるたま。

 

「夏休みなんだけどさ。そこそこの人数でキャンプ行く予定なんだけどたまちゃんもどう?来るのは女子が……」

「私と葵と優鈴!で、男子がはらみーと、なかむーとタカヒロと竹井。ついでにこれから友崎も誘う予定、かな」

 

俺の言葉に続いて説明するみみみ。

女子3名の名前を聞いた時は特に変化は感じなかったけど、中村・水沢・竹井の名前を出した途端、なんとなくたまちゃんの表情が曇った気がした。

うぅむ、やっぱり厳しいかなぁ。

 

「あぁ、あとは……。キャンプだからそこそこお金かかる予定なんだ。水沢がお金管理するんだけど一万円は行かない、位にはかかると思うから無理にではないよ」

「……ということなんだけど、たまどうする?」

 

そして少し難しい顔をしてから、たまは答えた。

 

「うん、わかった。それじゃあわたしも参加する」

「え!?たまほんと!?」

 

たまからの了承の返事。

そしてそれに驚くみみみ。

 

「なんでみんみがそんなに驚くの、誘っておいて」

「だってぇー!ねぇ、はらみー!」

 

そこで俺に振るのかよ。まぁ、言いにくいか。

俺には関係ないからぶった切るが。

 

「ぶっちゃけ中村とか苦手じゃん?たまちゃんって」

「うん。あの3人は意地悪してくるから、ちょっと苦手」

「い、いじわる……」

 

まぁ、確執あったもんな。

思い出すのは、この前の家庭科室の時とか。

でもあれ、気付けばもう2ヶ月近くも前か。

あの時は完全に空気壊さないようにって気負ってるのがわかったもんなぁ。

 

そしてつづくようにみみみが質問する。

 

「じゃあなんでたまは今回参加してくれる気になったの?」

「うーん。最近相原とか友崎とかがさ」

「うん」

 

うーん……?

俺や友崎?

 

「自分なりに変わろうとしてたり、正面から馬鹿正直に突っ込んでいくのを見てたら、たまには私もそうしてみようかなって」

「えと、それだけ?」

「うん、そうだよ。……正直私も空気を壊すのが怖いとか、そういう事を思ってたんだけど」

 

少し低いトーンで話すたま。

だが、気持ち顔を少し上を向き明るい声で続ける。

 

「誰かさんは目の前で告白してフラれるなんてことをしてもさ、こうやって2人仲良くしてるんだし。なんかそれに比べたら私の問題って些細なものかなぁって思った、かな」

 

うおぉぉぉーーい!

俺がこ、告白してフラれたとか、関係ないやろがい!

 

それを聞き、みみみはその場でじっとたまを見つめたかと思うと、突然『たまぁ〜!』と叫ぶなり、みみみは勢いよくたまちゃんの肩に飛びついた。

 

……うーん、眼福眼福。

 

「ちょ!みんみ!くっつかない!」

 

たまの言葉に感動したのか抱きつき放さないみみみ。

突然のことにたまは驚き慌てる様子。

だけどまぁ、そんなふざけたみみみの笑顔を見てかたまもどこか嬉しそうにも見える。

仲良きは美しきかな。

 

しかしたまの参加は俺も大賛成だ、単純に女子が増えるのも嬉しいしな!

 

「たまには、か。いいんじゃないか、たまだけに!」

「それ、相原が言うの禁止!」

「なんで!?」

 

ひどい。

よくみみみが使うフレーズだったからつい口にしちゃっただけなのに。

でもとりあえずOKならさっそくさっきの2人にも伝えるか。

っと、その前に伝え忘れてることもあったな。

 

「あー、あとさ。このキャンプ、実は中村と泉をくっつけようって目的もあって。それをさっきまで日南、水沢も含めて話してたんだけどまだ時間ある?」

「うん、大丈夫」

「よーし、じゃあ葵たちのところに戻ろっか!」

 

そしてたまも加えてキャンプ兼くっつけ作戦の話をすすめていった。

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