弱キャラ友崎くんとサンドバッグ相原くん   作:mosumosu

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「んー、こんなものか?」

「うん、だいたい方針は固まったね!」

 

俺の家で合宿の打ち合わせ。

昨日、急遽日南に言われて合宿に参加することになったと思ったらもうこの会議。

まるで息継ぎする暇もないようなイベントラッシュだな。

 

なんて考えている間にも話し合いは進み、だんだんと作戦は決まってきたところで水沢は体を伸ばしながらつぶやく。

 

「はは、けどあれだよな」

「んー、どうした少年?」

 

ポツリとつぶやいた水沢の言葉をみみみがおどけた調子で聞き返す。

 

「なんつーの、俺等も3年になったら受験なんだよなぁ」

「うぐぅ!そ、それは言わないお約束……」

「いや、じゃなくてさぁ」

 

頭をポリポリかきながら言い淀む水沢の言葉を、日南が拾って言葉を発する。

 

「もう好きに遊べる時間は少ないから、この合宿でくっつけてやりたい、ってことでしょ?」

「まぁそんな感じ」

 

水沢は日南の言葉に同意しつつも、視線は日南とは別の方を向いていた。

あ、これって……。

よし、チャンスだ。

練習していた通りのトーンで……

 

「水沢、さては照れてる?」

 

それを聞いたみみみはブッと吹き出す。

 

「だよねだよね!私もいま思った!タカヒロ照れたっしょ!このこの〜!」

「はは、だろ?俺はな、いいやつなんだよ」

 

おお、なるほど。こういう返しもあるのか。

まぁでも実際のところいい奴だよな。

付き合いがそんなに長くない俺でもそう思うくらいには。

 

この中村と泉のくっつけ作戦もそうだけど、たぶん相原とみみみの関係に変化があったことをなんとなく察して探るように相原に話を振っている節がある。

 

……そういえば相原がみみみに告白して振られたのを知らないのは、この中では水沢だけなのか。

 

「ははは、自分で言うと胡散臭くなるぞ」

「おっと、それは相原の実体験か?」

「ぬっ、そんなことは……。それに俺は胡散臭いんじゃない、 ちょっと謎めいた男なんだ」

「「ぷふっ」」

「みみみ!たまも!なんで今笑った!?」

 

件の相原はこんな感じだし……、最近気づいてきたけど相原も結構ポンコツだ。

まぁそれでも相原は今笑った2人と仲良さそうにしているのを見ると、そんなふうに自分がアホと思わせてるところも少なからずあるのかも知れないけど。

 

とりあえず、これで日南から出されていた『水沢を3回いじる』という課題はクリアでいいだろう!

1回目は火起こしの下り。

2回目は食材カットの分担の下り。

そして、さっきので3回だ。

 

ふぅーよかった、対戦ありがとうございました。

これでもう気にすることはないな。

あとは気楽にいられるし、会話に混ざれるよう努力でもしてみるか。

 

「でもさー、私もタカヒロの気持ちわかるよ!だって絶対両思いなんだもん!わたしにはわかる!」

「誰が見てもわかるっての。なぁ文也?」

 

急に話を振られる俺。

そこで俺に振るのはおれが色恋沙汰は詳しくないだろという意味でも……?

と思ったが水沢の言葉や表情にはそういった嫌味な感じはなかった。

やっぱすげぇな。

 

「あぁ、さすがに俺でもわかる」

 

会話に混ざる機会を伺っていたこともあり、俺もスラスラと回答をすることができた。

こういうところで自身の進歩を感じる。

 

「ええっ!?うそぉ!」

「気付いてなかった奴がいるとしたら、相原くらいなんじゃねーの?」

「失礼な。気づかないわけがないだろ?つか、泉があれで好意を隠した気になっていることや、中村が泉の好意に気づいていないことにびっくりしてるくらいだ」

「あはは、たしかに!優鈴はあれで隠した気になっているのかな?」

 

自信満々に『わたしにはわかる』なんて言ったみみみだったが、全員の共通認識だったことに驚ている。

俺としてはその反応にびっくりする。

 

「だけどやっぱりもったいないよね!青春は……いつか終わっちゃうから……うぅっ……」

 

そんなわざとらしく泣いたような演技をしながらみみみは言う。

 

「そーだな。だからあいつらにはさっさとくっついてもらわなきゃ」

「ふぅーん」

「な、なんだよ…」

 

みみみの言葉に頷いた相原に、意味ありげな視線を向ける水沢。

……まぁ水沢は俺よりもずっと長く相原との友好関係があるんだろうし、この間のみみみの一件の結末を知らなかったらお前もさっさとしろよと思うところがあるのかもしれない。

 

 

そこからの話はもうほとんどが雑談をして解散の流れとなった。

……その雑談の中に、俺も混じることができていたが結構嬉しかったな。

少しは自分の成長を感じられて。

 

「よーし、全員忘れ物ないな?」

「おー。まぁ俺は忘れたら後日取りに来ればいいや」

 

そんな事を言いながら全員が荷物を確認して立ち上がる。

 

「ブレーンのえっちなDVDを見つけられなかったのが心残りです!」

「それまだいってるの……?」

「今どきは全部電子媒体だからものはないんじゃないの」

「お、つまりはらみーは電子媒体で集めている、と?スマホ?パソコン?」

「んが!?や、藪蛇だったか……」

 

おいおい……。

そうして全員を玄関に向かい見送る。

 

足音を聞いてかリビングから出てきた妹も顔を出しては、「ま、また遊びに来てください!」なんて言っていた。

相原や水沢から「妹ちゃんもばいばーい」、なんて言われて目がハートマークになっていたように思う……。

そして外まで見送る。

 

全員が外に出て駅に向かうかと思ったが、どうやら相原だけは別方向みたいだ。

 

「相原、そっちは駅じゃないよ?」

「あぁまぁ、どうせ俺の家は隣の駅だし走ろうかと思って」

「へぇー、健康的!」

「ケチなだけだったりしてな」

「いーや、俺はケチじゃないから。なんなら浮いた電車代でポカリを買う。走って汗流した分だけ美味くなって一石二鳥だな」

「ただのくたびれ儲けだろ……」

「つーか体力つけるためだから!」

 

相原はそう言い残して走り去っていった。

運動に関しては結構ストイックだよな、相原って。

他のメンバーも駅方面へと向かったのを見送ってから家の中へと戻る。

 

さっきまで賑やかだった玄関前も、今は静かだ。

それにしても、なんかすごいな。

今年の夏休み。

 

そんな事を思いながらリビングに入って、お茶を一杯飲む。

なんだかんだで俺も会話に混じっていて、少し喉が渇いていたので一口でコップに注いだお茶を飲みきる。

 

さて、部屋にでも戻るかと思ったところでリビングにいた妹から声をかけられる。

 

「ねぇねぇねぇ!なんであんなかっこいい先輩達とばっかり仲良くなってるの!?これが脱オタの成果!?」

 

なんというデリカシーのない質問だ。

妹よ、言っておくがお兄ちゃんはオタクをやめる気はないからな。

というか、お前か知らないだけで日南や相原も結構オタクだからな?

 

「と、ところでさ!相原先輩とか、水沢先輩とかって彼女いるのかな……?」

 

う、その質問をするのか。

水沢ははっきりしないが相原についてはなまじ知ってしまっている分いいにく……いや、相原なら別にいいか。

隠そうとしたほうが変なこと言ってしまいそうだし。

 

「水沢は、どうだろ。あまり聞かないから分かんない」

「えぇ〜……。じゃあ、相原先輩は!?」

「相原はいないと思う。この間告白してフラれたらしいし」

 

らしいと言うか、その現場にいたんだけどな。

 

「えっ!相原先輩が!?断った人は何を考えてたんだろっ!?」

 

びっくりしてる妹だが、さっきまで振った本人もこの家に来ていたんだよなぁ。

何考えてたって言うと……、まぁお前よりはいろいろ考えていたろうさ。

 

「誰に告白したのか知ってる!?」

「いや……さすがにそこまでは……」

「……そりゃそうだよね。まぁいいや、ありがと!」

「あ、あぁ」

 

さすがにそこまでは言うことはできないという意味だったが、まぁ諦めてくれたようなのでホッと一息つく。

なんか妹からお礼を言われるのがすごい久々の気がする。

そんな事を思いながら俺は部屋へと戻ることにした。

 

妹よ、先輩ってだけでなんか憧れる気になるのも分からなくもないが、ちゃんとどんな奴かは気にしたほうがいいと思うぞ。

相原は話てみると、なんだ?

結構アホだからな……。




今後は+の話減るかも
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