弱キャラ友崎くんとサンドバッグ相原くん   作:mosumosu

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友崎の家から走って自宅に帰ったあと。

汗を流すためにシャワーを浴びてからスマホを確認したところ、みみみからLINEが来ているのに気付いた。

 

開いてみると画像が一枚。

そこに映っているのは、戸田花火大会のポスターだ。

これ、駅の構内でも見たな。

 

開催日は8月6日か、今日は7月30日だからちょうど一週間後だ。

内容はこれだけ?本文が空だぞ。

 

一緒に行こう、という意味なのか?たぶん。

ん?もしかして二人きりで?

いや、こういうのは期待しても裏切られるだけなんだ!

あ、でも返信はしたほうがいいよな。

 

えっと。

『花火大会行きたいのか?』

いや。

なんか偉そうだな。

 

『花火大会あるんだ?一緒に行くか?』

いやいや。

いきなり過ぎるだろ。

 

と書いては消してを繰り返し、ようやく返信の内容がきまる。

つか、今さらちょっと冷静になってきたけど、たった画像1枚になんでこんな焦ってるんだか。

 

『駅にあったポスターだよな。花火大会かぁ。みみみは誰かと行くのか?』

 

送信っと。

ん?すぐに既読になった。

もしかして今本文書いてたりしたのか?

 

とりあえず返信をしたわけだし、必要なら向こうからメッセージが来るよな。

なんて思いながらスマホを机に置く。

 

……が、数分後には意味もなくLINEを開き、ポスターの画像と自分のメッセージをぼんやり眺める。

さながら、始めて友達とLINEを交換してワクワクしていたときのような。

 

「はぁ、何してんたろ」

 

なんだか無性に恥ずかしくなり、そう呟きながらスマホを机の上に戻す。

シャワーの後だし、少しストレッチでもして体をほぐすか、と床に座ろうとしたところでスマホが小気味よくブルル、ブルルと震えた。

 

「どわたぁ!」

 

意識を逸らそうとした時に来るのは辞めてくれ。

あぁ、マフティーも言っていたな「身構えている時には、死神は来ないものだ」って。

構えを解いたら来るんだ、やっぱ。

 

バカなことを考えつつも、再度スマホを手に取り確認。

 

『去年は10月くらいにたまや葵と一緒に花火大会に行ったよ〜。さっき駅でこのポスター見かけて、今年はどうするって話もしてたんだけど、たまも葵も乗り気みたいでさ。せっかくならはらみーもどう?』

 

なるほど。

しかし花火大会か。

実を言うと、まともに花火大会とか行ったことはないんだよなぁ。

地域の小さいお祭りなんかに行ったことはあるけど、似たようなものなのかな?

けどまぁ楽しそうだ。

……二人きりとか変な想像して恥ずかしくなってきちゃったわ。

 

『たぶんオッケー!その日の夕方は空けとくよ。他に誰か来るの?』

 

送信。

これにはすぐに返信が返ってきた。

 

『今は私とたまと葵に、はらみーで4人!』

 

『了解。せっかく出し、今日一緒だった友崎と水沢にも聞いてみるわ』

 

『はーい。でも、タカヒロは予定あるから無理だってー。もー、ノリ悪いよねー!遊べる夏は今年までだって言ってたのにー!』

 

そういえば、帰りが一緒だったなら水沢にもすでに声をかけているか。

じゃあ俺は友崎にだけでも連絡しておこう。

こうして、俺の夏休みの予定の中に花火大会が加わった。

 

正直スゲー楽しみ。

 

 

 

***

 

 

 

そんな会議の日から数日が経ち、ついに合宿当日となった。

 

集合は池袋だが、昨日の夜にみみみから連絡が来て池袋までは一緒の電車で行こうとのことだった。

電車の先頭車両に乗るとのことなので、それに合わせて俺も電車に乗り込む。

お、いるいる。

みみみと友崎だ。

 

「おう、おはようさん」

「おはよー!」

「ああ、おはよう」

 

無事合流できてよかった。

電車は池袋まで乗り換え無しで1本だが、30分ほどかかる。

それまでの間に適当な雑談をする。

 

「それにしても、今回の合宿どうなるかな」

「だね〜、優鈴たちはうまくいきますかねぇ?」

「うまくいかせるために作戦も立てたんだから、まぁなるようになるだろ」

 

3人で邪魔にならなそうな位置に立ちつつ、つり革を持ちながらそんな会話をする。

 

「それで、今回はなにかいい作戦ないんですか!ブレーン」

「つってもなぁ、そういうのは得意じゃないし……」

「またまたー。選挙の時とかいろいろ考えてたじゃん」

「たしかに、あの時の友崎は冴えてたな」

 

そういいながら友崎を見るが。

 

「いや、色恋沙汰とかは得意じゃないというか」

「あ、なるほど!納得!」

「おい!」

「あはははは!」

 

得意じゃないのか。

そういえば友崎のそういうことはあんまり聞かない。

まぁ日南と仲良くしてそうだけど、進展もなさそうなのでそういうことなんだろう。

 

「じゃあ、はらみーは?」

「それ、ふつう俺に聞く?」

 

お前、俺をフッたじゃん!

フッた相手からくっつけるいい方法ないかとか聞いちゃうわけ?

 

なんて談笑をしながら池袋まで電車に揺られていた。

そろそろ着くというとき、改めてという風にみみみが口を開く。

 

「そういえば、はらみーと友崎さ。この間の件は、本当にありがとね。なんかこう、すごい助かったっていうか」

「え、うん。ぜんぜん」

「どの件か心当たりが多すぎるけど、感謝しろよ」

 

選挙だったり、その後のゴタゴタだったり、たしかにいろいろあったな。

でも、全部片付いたのならそれはよかったってことだ。

 

「うん、思い返したら本当にいろいろしてもらったなって思ったし、ヒーローみたいだったっていうか……。えーと、あ、着いたよ!いこう!」

 

そんな、照れてるみたいな仕草を隠すようにかピューっと電車を降りて進んでいった。

俺はポリポリと頭を掻きながら思う。

ヒーローみたい、かぁ。

 

「だってさ、ヒーロー。俺等もさっさと向かうか」

「あ、あぁ。そうだなヒーローその2」

「誰がその2だ!」

 

 

***

 

 

池袋にて全員集合!

そんで、最後にやってきた竹井が「集合記念っしょ〜!」なんていいながらも写真を撮る。

まぁ、バカだなぁ〜なんて思いつつも空気を和ませるのは上手いよな。

狙ってか天然なのかはよくわからんけど。

たぶん後者。

 

そこから全員で電車に乗り込み飯能駅まで。

そうして約40分ほど揺られていたのだが、与野本町→池袋→飯能ってルートを地図で見るとめちゃくちゃ遠回りしてるんだよなぁ。

 

さいたまのアクセスの悪さがうかがえる。

だから『ださいたま』とかいろいろ言われるんだ。

もっと頑張れさいたま。

 

「あとはここからバスに乗ればキャンプ場だな」

「おぉー、いやぁ肩こったねぇ」

「あはは、みみみがおじさんっぽーい」

「なにおー!」

 

なんていいながらバス停でバスを待つ。

さて、ここからが中村と泉のくっつけ作戦のスタートだ。

待っていたところにバスが来たので順番に乗り込んでいく。

 

「ほら、タカヒロここ座るよー」

 

そういって水沢を隣に誘導する日南。

この作戦では男女がセットになって座っていき、その流れで中村と泉をペアにしようという作戦だ。

そして日南に続いてみみみが入っていき……。

 

「えっと、ブレーン友崎!私窓際でいいよね?」

 

なんだと……(絶望)

 

愕然として立ち尽くす。

友崎ぃ?

たしかに、選挙が終わったあたりからみみみと仲良さそうだったよぁ、はは。

ふーん。

 

っと、いかんいかん。

ぼっとして立ち止まってる俺の後ろで、たまちゃんが「早く入れ」というような表情をしていた。

よーし、じゃあ俺はたまちゃんのとなりー!

 

そう思ってバスに入ったところで奥から泉の声が。

 

「そしたら、えっと、しゅ……た、竹井!」

「え?」

 

中村が驚き固まる。

いや、こっちも「え?」だよ。

慌ててバスの奥へと進み確認。

 

どうする、俺が竹井を呼ぶか?

でもたまちゃんを余らせるのはな。

後部座席は、埋まっているし……。

いや、だけどその1個前、バスのタイヤの上なため独特な形になった3人用の座席があり、そこが空いているな、よし。

 

「ほ、ほら竹井、座るよ」

「お、マジ?オッケー」

「いやいや、オッケーじゃないが。さっき俺と座って写真の取り方教えるとかいってただろ。そら、そこの3人用席でいいだろ。たまちゃんも」

 

そういって竹井を押しやりながら奥の三人席へ。

 

「あれ、そんなこと言ったっけ?」

「忘れるの早いな、言ってた言ってた」

言ってないけど。

 

窓際に竹井を座らせ、真ん中に俺、通路側にたまが座る。

たまちゃんすまねぇ、付き合わせちまった。

 

前を見れば、なんとか中村と泉もペアで座れたようだ。

後ろを向いて身を乗り出していたみみみから、中村たちには見えないような位置で、ナイスッ!とでも言うようなサムズアップをされる。

……ナイスッ!じゃないが(怒)

 

けど座ってみれば竹井とバカ話をしつつ、たまも会話に入ってきていて、気まずいようなこともなく談笑が続いていた。

これはこれでよかったかな、なんて思う。

 

そしてバスは到着。

あとは歩いて5分ほどでキャンプ場らしい。

全員バスから降りて伸びをし、凝った体をほぐす。

 

「あそこに看板の地図があるな」

「おお、これが冒険の地図だな」

「キャンプ場の地図だろ」

 

水沢が指差すので俺がボケて中村に突っ込まれる。

正常運転だな。

 

「ふむふむ!よーし、じゃあ行くかー!」

「みんみ、そっちじゃないよ。逆」

「え!?」

 

これもまぁ正常運転だな。

 

「『地図が読めない女』、だな」

「なにー!今バカにした!?」

「はは、別に」

「うーん、じゃあ相原は『話しを聞かない男』?」

「なにー!今バカにしたか!?」

「あはは!」

「本のタイトルだっけ?」

 

そんな会話をしながらも進んでいき、無事にキャンプ場へと到着した。

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