弱キャラ友崎くんとサンドバッグ相原くん   作:mosumosu

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日南の案内のもと歩くこと数分、キャンプ場へと無事に到着。

一息ついてからキャンプ場の時計をみれば、まさに昼という時間帯だ。

 

施設もいくつかに分かれているなか、とりあえずは飯だ、と言う話になり川原エリアに向かっている。

川原というだけあり脇には浅めの川が流れており、水もきれいなため水遊びもできるらしい。

 

「このあたり良さそうだね」

「おぉ、いいねぇ。水の音が聞こえると、気持ち涼しく感じるな」

「わかる!ふーりゅーだよね!」

 

そしてちょうど良さそうな場所を確保したら、各々が荷物を降ろして一息つく。

約2時間ほどの移動だ、さすがに疲れるな。

 

「んじゃ、さっそくバーベキューにするか」

「おー!やるっしょー!」

「そうだな、腹減ったわ」

 

そんな中村の一言で、さっそくバーベキューの準備へと取り掛かる。

男子陣でバーベキュー用のレンタルキットを借りてきて、その間に女子陣が荷物から必要な物などを用意する。 

 

レンタルする荷物も結構多いのな、キャンプ用のコンロに炭に、火バサミやまな板包丁など、まぁ結構重かった……。

でもこれらを持ち込むんじゃなくて借りられるっていうのは便利でいいね。

 

「それでは、作業の分担をしまーす!」

「お願いしまーっす!」

 

そんな芝居がかった日南の言葉に竹井が元気のいい返事をする。

 

「それじゃあ食材の下準備だけど優鈴と修二にお願いしようかな」

「え、え?」「ウース」

 

「あー、でも9人分の食材ってなると結構の量があるし、花火と相原にもお願いしようかな」

「りょーかい」「うん、わかった」

 

さすが日南、作戦通りだ。

それも2回に分けて呼ぶことで自然と男女のペアを作りやすくまでしている。

 

「あとは、バーベキュー用のテントやテーブルの設営はタカヒロと竹井、あとはみみみも手伝ったほうがいいかな」

「はいよ」「うぃーす!」「オッケーイ」

 

「あとは、余った私と友崎くんが火起こしってことになるかな。それではそんな感じでお願いしまーす」

 

ということで日南に役割分担を決めてもらい、各々の作業へと取り掛かる。

 

そうしてまずは手を洗ってきてから、たまと一緒に食材を確認しながらまな板と包丁の準備をする。

 

「しかし、日南が言った通り結構食材があるな」

「まぁ9人分だもんね」

 

肉に野菜、エビとかイカとか魚介類もあるな。

食材がどっさりだ。

隣では中村と泉も準備をしている。

 

「よーし、中村。どっちが丁寧かつ早く準備できるか勝負しようぜ!俺とたまちゃん、中村と泉ペアで」

「はぁ?ガキかよ」

「いいじゃんいいじゃん、俺はソッチのほうがやる気でるのー。お?それとも実は包丁使えないとか?」

「はぁ?なめんな。いいぜ、やってやるよ。優鈴!」

「え、えぇ!」

 

ということで作戦通りペア組みに成功。

中村乗せやすくて助かるー。

そして、あるだけの食材を大体半分ずつに分けて俺と中村に配分する。

これを先に調理すれば勝ちということだ。

 

ということで食材の下準備、だが。

小声でたまちゃんに聞く。

 

「……で、バーベキュー用の下ごしらえってなにするんだっけ?」

「それ今更聞くの!?」

 

いや、そんなビックリするなよ。

逆に俺がビックリしちゃうだろ。

ため息を一つついて説明してくれるたま。

 

「今回は串もあるし、この串に刺して焼くからそれに合わせて一口サイズに切ればいいと思う」

「なるほどねぇ!よーし、まかせろー」

「……」

 

そんな顔すんなって!

 

「野菜は皮があるのは剥いてカット。肉も焼きやすいサイズに切って、魚介類は殻を剥いたり下処理したりって感じかな?」

「オッケー!一口サイズにして串に刺せば完成だな」

「本当に大丈夫……?」

 

たまに呆れられながらも作業に取り掛かる。

じゃあまず時間のかかりそうな魚介類の下処理からするか。

なに、やることさえわかってれば問題ない。

母さんの料理をちょくちょく手伝ってるから包丁の使い方や下処理の方法も一応知っている。

 

「あ、殻とか種とか捨てる用の袋ある?」

「そこに置いてあるやつ使っていいって」

 

手際よくエビの殻を剥いてボールへ。

全部殻をとったらボールに移したものから串を使って背からワタを引っ張り出す。

 

「あ、本当に調理できるんだ?さっきのやりとりで絶対にできないと思った」

「やるっしょ?母に躾けられた」

「へぇー、お母さん苦労したんだね」

「どうしてその結論に至ったのかな?」

 

そんな風に軽口を叩きながらも作業をこなす。

周囲の音は賑やかで、テントやテーブルを立ててる喧騒やら、炭火を起こす音やらが聞こえてくる。

みんな頑張ってるなぁ。

 

たまも隣で野菜を切っている。

あ、速度はや。

そして俺よりも丁寧だわ。

やだ、かっこいい。

ちょっとキュンってしそうになった。

料理得意な女子ってなんかもうそれだけでちょっと来るものあるよね……と、いかんいかん。

 

「え、何その手際のよさ。たまちゃん料理得意だったの?」

「得意というか、お菓子作りと合わせて自然と」

「あぁ、そういえば洋菓子屋の娘さんだった。くそ、ドヤろうと思ってたのに」

「相原もそこそこ手際いいと思うよ」

 

と軽い笑みを浮かべながらそんな一言。

その表情からは嫌味もなく思った通りの言葉だとわかる、が。

くそっ、なんだこの謎の敗北感は……。

 

ちらっと中村と泉の方を見れば、向こうはそこまで手際がよくなさそうだが、なかなか盛り上がりながら食材を切っているな。

中村はともかく、泉は……。

 

ふっ、あっちには勝ったな。

まぁ中村も泉も楽しそうで何よりだ。

 

「よし、これで調理するものは全部完了だな!」

「そうだね、お疲れ!」

 

というわけでこちらは諸々の食材の下ごしらえが終わったのであとはカットした食材を串に刺していく作業に入る。

 

「これ食材切るより大変じゃないか?」

「たしかに、野菜を真っ直ぐ指すの難しいし、串に刺すにはお肉が結構硬い……」

 

食材はそこそこキレイに切れてるはずなのに仕上がりだけ若干、こう、斜めだな。

まぁこれくらいいいだろ、素人が頑張って作りました感が出てむしろ乙だ。

 

 

「よーし。中村ぁー、泉!こっちは完成じゃー、どーだ!」

「ちっ、こっちはもう少しだ」

「よーし、じゃあ俺達の勝ちー」

「はぁ?そっちがちょっと早かっただけで丁寧さも評価の基準だろ」

 

ぬ、それは一理ある。

 

「その串とかめっちゃ曲がってるじゃん、ちゃんと焼けるのかよ」

 

俺の刺したやつを指差す。

 

「いやいや、不器用ながら頑張ったような手作り感があって気持ちは伝わるさ。そっちこそ、なんだそのデカい野菜は。火ぃ通るのかよ?」

「ほら優鈴、やっぱお前の野菜デカすぎだってよ」

「って泉のかよ。実は料理苦手…?」

「ひ、人並みだし!!」

「お前こそ、それの大半がたまのカットしたものなんじゃねーの?」

 

ぬぅ……。

 

「そうでもないよ?ちゃんと相原も、そこそこ働いてた」

「へぇ、そこそこってどれくらいだよ?」

 

中村のギロッとした目がたまちゃんの方を向く。

あ、やべ、確執あるんだったこの2人……。

とあせったが、たまちゃんは普通に中村に言葉を返す。

 

「んー、7対3で3の方?」

「大半じゃねぇか!」

「たまちゃん!もうちょっとがんばってたよね、俺!オマケして!」

「じゃあオマケして6対4くらい」

「譲歩してもらってんじゃねぇよ!」

 

と、そこまで言ったところで、全員がははは!なんて笑い出す。

なぁんだ、確執も気にする必要なんてなかったな。

 

「ま、楽しんだもの勝ちってことでいいか。ってか中村も包丁けっこう使えたんだな、ドヤりたかったのに」

「家は親がうるさくて昔最低限の使えるようにさせられた」

「ほえぇ〜……」

 

教育ママさんだと聞いたことはあるが、家事まで仕込まれてたのかよ。

 

「そだ、みてみて!タコさんウィンナー!」

「あ、かわいい!」

「でしょー!って、たまの持ってるそれめっちゃキレイにカットされてじゃん!もしかして料理得意だったの?」

「うーん、家で手伝うこともあるから、そこそこかなぁ」

 

もはや勝負とは?という空気にもなりそんな談笑をしながら、残りの食材も調理も全員で完了させた。

 

 

 

***

 

 

「っし!写真撮れた!みんな、焼けたぞぉー!」

「肉だぁーーーー!」

 

竹井が写真を撮ってからそんな声を上げ、乗っかるようにみみみが歓声を上げる。

 

いやしかし、肉に火が通ってじゅうじゅうと焼け、野菜も玉ねぎやトウモロコシあたりが軽く焦げ目がついたところから香ばしい匂いを放っている。

これはたまらんなぁ、早く食べたい。

焼けた手頃な串を数本取る。

 

俺やたまが作った串は、いろんな種類の具材を刺して焼いており、彩りもよく食欲をそそる見た目になっている。

うむ、われながら見事だ。

 

一方で中村と泉たちが作った串は、一本に同じ食材がズラッと並んでいる。

これはこれで、食べたいものをたくさん食べるという点では優れている。

まぁどっちもどっちで良し悪しはあるだろうな。

肉だけの串は売れいきが良く、野菜は残るだろうということに目を瞑れば。

 

「竹井!お前さっきから肉食いすぎだろ。お前あとは野菜だけな」

「えぇ〜!ひでーよ、修二ぃー!ゆずっち助けて〜!」

「えっと、どんまい竹井!」

「そ、そんな〜、みみみヘルプぅ〜!」

「どんまい竹井!」

「みみみもかよ〜!」

 

竹井のイジラレ芸も板についてるな。

 

「ってか、タカヒロも野菜食べてなくない?」

「お、じゃあみみみもこのおいしそうに焼けたエビも食えよ?」

「ひぃー!ごめんなさい、エビだけはパス!」

「みみみってエビだめなのかよ、美味いのに」

「じゃあはらみーにあ・げ・る。そのかわり肉はもらう!」

 

そういって俺の取り皿の上にエビを置いていき、確保しておいた肉を持って行く。

ついでとばかりに野菜串まで置いていく。

 

「おいぃー!俺の肉ぅ!……まぁいいか」

「いいんだ!?」

「相原って好き嫌いは無いの?」

「好きならたくさんあるゾ。嫌いは、今日の食材にはないな」

「わはは、好きが多くて隙だらけだ、なーんて!」

「おお……夏なのに一瞬寒くなったな」

「なにー!」

 

そんな事を言いながら皿に残ってた肉の串を全て持っていかれる。

鬼畜の所業かな?

 

「おま、俺の皿から肉が完全に消えたんたが!」

「もー、はらみーはそんなに肉が食べたいのー?じゃあはい、あーん♪」

「は?え、いや!?」

「あっははっ!はらみー顔赤いよ!ほらほら、どーしたのかな?」

 

あ、あーんって、こここ恋人同士でやるものだろ!

い、いや、ここで下がったらバカにされかねない。

 

「な、夏の気温とコンロの炎に当てられただけだ!しっかり持ってろよ、ふぐっ!」

「ななッ!?」

 

俺は覚悟を決めて、みみみが差し出していた串の肉を食べる。

うおぉぉ味がわかん……いや普通に肉美味いわ!

みみみをみると、俺が本当に食べるとは思わなかったのか驚いたような顔をしている。

つかむしろ、見間違いでなければ俺より動揺している。

お前がやったことだろ。

 

「ははは、お二人さん仲いいねぇ」

「ほーんと、こっちまで恥ずかしくなっちゃうわね」

 

なんて、水沢と日南に茶化される。

ほ、ほっとけ!

クソ顔が暑いな……。

ええい、もうヤケだ。

 

「そ、そうだ。みみみにもお返ししなきゃな。ほら、俺もあーんしてやるよ。エビと野菜、どっちがいい?」

「え、えと……。どっちもNO!」

「遠慮すんな!」

「なんで肉がないの!」

「みみみが全部取ったからだ!」

 

そんな感じでみんなでワイワイとしながらバーベキューを楽しんだ。

バーベキューは思った以上に楽しいかった。

それに、いい経験もできたしな。

ふへへ…。

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