弱キャラ友崎くんとサンドバッグ相原くん 作:mosumosu
「た、食べすぎたかも……」
「かも、じゃなくて食べ過ぎ」
「だっておいしかったんだもん!」
バーベキューを終えたあと、各自食後の休憩を楽しんでいる。
中村と泉もまぁまぁ楽しそうにしてるし、進展というほどではないかも知れないがいい雰囲気になっている。
そこから少し休んだら分担して後片付けを始める。
炭の片付け、網やらコンロやらの洗浄、テントの解体、やることはそこそこある。
借りたものは借りた時よりもキレイにして返すのが俺の信条だ。
少なくても調理関係の器具やコンロなどは俺が使ったからな、キッチリやらねばな
包丁やまな板などを洗い終え、手についた水を軽く払う。
次にコンロの片付けへと取り掛かると、ふと隣でテントを解体していたみみみがこちらに来て覗き込んだ。
「おー、はらみー働き者だね!」
「たまには頼りになることを示しておかないとな。あ、もっと褒めてもいいぞ?」
「珍しく頼りになる!」
「珍しく!?」
「あはは、冗談!いつも頼りにしてるって。竹井なんてさっきTwitter開いてサボってたからね」
冗談って本当かよ?
竹井については、まぁノーコメント。
と、そんなやり取りをしつつ、みんなで手を動かし続ける。
調理器具が終われば、日南に指示を仰いでまだ片付け中のテントやテーブル解体に返却のための運び出しを手伝う。
まぁ、水沢や竹井はともかくみみみとかに運ばせるのもちょっとあれだったからな。
そして、気づけばそれらもあらかたの片付けが終わっていた。
しかし……。
「あー、アッツ……。結構汗かいたな」
「あれだけ動けばそうもなるだろ」
「そういう友崎も汗だくじゃん」
「これは、体力がないだけだから……」
片付けが終わり、しばしの休憩をと片付けをした近くの川辺で石の上に座って休んでいる。
近くで同じように休憩している友崎と話しながら、他のメンバーが戻ってくるのを待つ。
このあとはどうするんだっけね。
そのまま待っていると、最後のレンタル品を返しに行っていた水沢と日南が戻ってきた。
それも、なぜか水沢は水着姿で。
「その格好は……」
「決まってるだろ、川辺で遊ぶんだよ」
「おー!タカヒロやる気満々だね!それじゃあ私も!」
みみみがTシャツを脱ぎ始め、俺は思わずそちらに視線が行く。
その下から現れたのは、青いビキニ。
目をそらすべきか、そのまま見ていいのか、迷う。
視線を上げると、みみみがニヤリと笑っていた。
こいつは……。
と思ったところに横から声が。
「友崎何その顔、やらし〜」
「べ、別に……」
と、泉から話を振られる友崎。
お前もか。
まぁそりゃそうだよな、わかるわかる。
……俺の方はバレてないな、セーッフ!
「相原もマジマジと見てたよね」
「ななな、なんのことかなぁ!」
アウトだったか!?
と思ってそっちを見れば、たまも水着姿へとなっていた。
タンクトップビキニってやつ?で、胸元はしっかりと隠しているが腰やヘソは空いており、どことなくスポーティな姿は普段のたまのイメージとマッチして似合っている。
「た、たまも着てきてたのか!おおそれ、めっちゃ似合ってる、と思う」
「でしょー!たまの水着は私が選んだんだよ!」
そう声をかけたところでみみみがたまに近づいていき、たまと肩を組むように捕まえる。
「へ、へぇ〜、そりゃ似合うわけだ」
「そして、私の水着もたまが選んでくれたやつ!どうどう?似合う!?」
そういってたまから手を離し、一歩前にでてから俺に向かってポーズを取るみみみ。
距離が近い……いや、近すぎるって!
視線がどうしても胸元に向かい、胸が高鳴る。
でも、どう?と言われてるから観ていいんだよな。
トップは青いビキニ、そしてボトムの方はそれに合ったパレオってやつ?を着てそれがよく似合っている。
それに、細いウエスト、更には豊満な体をしていて……。
たぶん俺の顔はバーベキューのとき同様赤くなってるだろう。
「あ、あぁ!みみみっぽさが出てていいんじゃないか……?に、似合ってる!」
「へへっ、でしょー!」
しかしよく見ればアレだな。
陸上部で鍛えているだけあって無駄のない体つきだ。
特に足回り、相当走り込まなきゃこんなに引き締まらないだろう。
それに下半身のトレーニングってのは、きついものが多い。
筋トレ好きにも上半身ばかり鍛えて下半身をおろそかにする人も多くて、そんな奴はチキンレッグなんてバカにされたりするもんだ。
そんな中で……。
「足腰の筋肉のつき方、無駄がない肉付きをしてるな。足って一朝一夕で身になる部分じゃないし、真面目に努力を積み重ねているのがわかるっていうか。相当走り込んでたんじゃないか?」
「肉付きって……そ、それにそんなマジマジと見られたら照れるでしょ、もー!は、はらみーのえっち!」
そう言いながら一歩下がるみみみ。
あ、マズったか。
「あ、いや!そういう意味では……」
「ほら、たまもなんか言ってやって!」
「みんみ、照れたからって私で隠れない!」
「た、たまは私の味方じゃないの!?」
はは……、まぁ仲よさげでよきかなよきかな。
そんなやり取りをしている間にも他の女子陣も水着姿へと変わっていた。
「他のみんなは水着持ってきてないの?持参って言っておけばよかったね」
「いやー、関係ねぇっ!遊ぶっしょ!」
日南がそう言うが、竹井はズボンの裾をまくり始める。
その服のまま川に入るのか。
着替え大丈夫か?
「俺は水着あるけどカバンの中だから、一旦着替えられるところに行きたいな」
「それじゃあ荷物もロッカーに預けたいし、全員でセンターの方に行こっか」
と、こうして川遊びが始まった。
***
そうして俺も水着となり再び川辺へ。
ちなみに俺の格好は至ってシンプル。
トランクスタイプのパンツに、半袖で短めのシャツを1枚羽織ってるだけだ。
シンプルがベストの場合もある。きっとな。
「相原、お前。なんていうか、ムキムキだな」
「おう!みろ、この鍛え上げたボディ!」
友崎にそう言われ、気をよくした俺は肩程まで腕を上げて力こぶを作る。
運動は昔からしているし、高校からは結構志高く鍛えていると自負している。
「部活で鍛えてると言ってもサッカー部だろ?なんで腕までムキムキなんだよ」
「うむ。趣味だ!ベンチプレス楽しくてな、今は90キロまでは持ち上げられる」
「90キロ!?」
驚く友崎。
数字だけ聞くと確かにすごく感じるけど、実はそんな驚くことでもないんだけどな。
「お、筋肉自慢?はらみー、腕にぶら下がっていい?」
「俺はお父さんか!だめ!」
水着姿でそんな接触行為なんてしたら、その、前かがみになるだろ。
「えー。じゃあ触ってもいい?」
「まぁそれくらいなら」
「……じぁあ私も」
たまちゃんもかよ、予想打にしてなかった。
「おお、カッチカチ……」
「二の腕、鍛えられている……」
引き続き肩ほどまであげて力こぶを作った二の腕を左右から触ってくる2人。
……いや、くすぐったいし、なんか恥ずかしくなってきた。
「も、もういいだろ離してくれ」
「えー」「もうちょっと……」
「いやいやいや……」
そうは言われつつも前に数歩歩くことで怪我はさせないように振りほどき、離れたのを確認したら川の中へと競歩で入っていった。
この2人、近いし、なんというか、反応に困るから距離を保って欲しい。
いやでも、ほんとはちょっと嬉しいし、いやいや……ブクブクブク……。
それから川の水に冷やされ冷静になってくる。
さっきまでの片付けにロッカーまでの往復やら、女子陣の水着を見たことやらで上がっていた体温もスーッと下がっていくのを感じた。
川の水温も、今が夏真っ只中ということもあり冷たすぎるほどではなく、気持ちいいくらいだ。
登っていた血も降りてゆき、冷静にもなってきた。
川でしゃがみ、鼻くらいまで潜りながら数を数え、1分くらいなら余裕で息が持つなぁとか遊んだ後に誰もいなさそうな岸へと戻る。
……さて、どうしよ。
こう、改めて川遊びとなると何していいのかわからなくなる。
石を投げて水切り、は川に人がいるのにできるわけないし。
じぁあ座りながら石でも積み上げて遊ぶか。
10個積み上げたら次の山をたてる。
おぉ、たのしぃー……クックック……。
「相原、何やってんだ」
呼ばれてその方向を向けば友崎がいた。
どうやら同じように手持ち無沙汰でやることが見当たらなかったんだろう。
水着を持ってきていなかった、というのも理由かもしれん。
「賽の河原ごっこ」
「本当に何やってんだお前」
賽の河原ごっこ、つってんだろ!
「なんか全てを忘れて楽になれる」
「そんな闇を背負ってたのか……」
なんかこう、何も考えなくていいのがスゲー楽なんだよ。
分かれよ。
ついでに声をかけられたのを契機にいろんな音がする周りを見渡す。
水沢と日南は川の中でバシャバシャと楽しそうにしているな。
まるでカップルだ。
その近くでみみみとたまも同様。
女の子同士、実に健全で目の保養になるな。
素晴らしい。
あとは……件の中村と泉も浅いところで仲良さそうに水を掛け合っているところを見ると、くっつけ作戦も大丈夫そうだな。
うん、やっぱり俺も好きにしててよさそうだ。
「友崎も手持ち無沙汰なのか?じゃあちょっとゲームでもするか」
「ゲーム?」
突然の提案にキョトンとする友崎。
お前好きだろ、ゲーム。
「ここに俺がたてた石の山が3つある。それぞれ石が10個ずつだ」
「え、あぁうん」
「これをお互いに1〜3個ずっと取っていき、最後の石を取った方が勝ち、というゲームだ。どうだ?」
「なるほど?……いいぞ、やろう」
ほう、乗ってきたな。
「先攻と後攻、どっちがいい?」
「じゃあ先攻で」
おっ、もしかしてもう必勝法に気付いたのか?
「えっと、1つ目の山から3つ」
気付いてなかったか。
アホめ、それは最善手ではない。
「じゃあ同じ山から3つ」
これで必勝パターンに入った。
俺の勝ち確定ー。
そして………。
「俺がここからとって残りの最後の山は8つな」
「ん?あれ、もしかして俺の負けが確定してる?」
「気づいたか。してるぞ」
「クソ、気づかなかった!どこで……これは必勝パターンがきっと……最後に4の倍数を押し付けられたら……でもそこまでには……」
間違えていたのは初手だよ。
「どうする、もういっかいやるか?」
「当然だ!今度はそっちが先攻で」
お、いいのか?
実は先攻有利なんだが。
俺はニヤニヤしながら石を再度配置してゲームをスタートする。
「じゃあ俺からだな。この山から石を2つ」
「あぁ、おれは……」
そして2試合目の結果………。
「く、これは……俺は2つとる」
「じゃあ俺は反対の山から2つとる」
残りは3と3、友崎が残りどう動いても俺の勝ちー。
「くっそ、また負けた!4の数字には持っていかれなかったのに、どこで間違えた!」
おお、悩んでる悩んでる。
4の倍数に目をつけるのは合っているがまだ足りない。
このゲームで大切なのは4で割った余りの数だ。
「答えは出そうかい?」
「ちょっと静かにしてくれ、今考えてる!」
「あ、はい」
細かいことを省くがこれはニムゲームって言って、友崎が考えている通り必勝パターンがある。
「はらみーとブレーン!石をいじって、何やってるの?」
俺と友崎が石取りゲームしているところに、みみみとたまがやってくる。
川辺で石いじりながら盛り上がってたから気になってきたようだ。
そして2人にゲームの説明してから、食いついてきたみみみ相手に勝負をし、2連勝をした。
言っちゃなんだが、みみみとは圧倒的に相性の悪いゲームだろうな。
フィーリングじゃ絶対勝てんよ。
たまは適当にやっても勝てないということを理解してか、みみみがボロボロになるのを楽しんでいる。
実は、小悪魔系?
「なんで勝てないんだぁーー!」
「はは、ゲームじゃみみみは俺にゃ勝てねーよ」
なんてやりとりをしてたら、今度は日南と水沢までやってきた。
「おー、なんか盛り上がってるな」
「何してるの?」
おいおい、たかが石取りゲームでなんでみんな来るんだよ。
と思いつつ、これで3回目の説明をする。
「なるほど……ふぅん。たしか……」
説明を聞いてからふんふんと唸る日南。
目の色が変わり、ニヤッと口角が上がった気がした。
「はらみー、もう一回!私先攻で!」
「あぁいいよ」
「みみみ、ちょっといい?」
そういってコソコソ話をする日南とみみみ。
日南の話を聞きながらうん、うん!と頷くみみみ。
どうやら作戦は決まったようだ。
「じゃあ私はこの山から2個取ります!」
「お、じゃあ俺は隣から3個」
「なるほどねー!次は……!葵、どうするんだっけ?」
おいおい。
日南も「もー、みみみ!」なんて苦笑いしながら再度耳打ち。
そしておそらく言われたとおりにゲームを進めるみみみ。
結果、最終的には俺の負けとなった。
「あはは、どーだ!ゲームじゃはらみーは私に勝てよーだ!」
「日南の力じゃねぇか」
「葵は私の味方だもん、ねー♪」
「ねー♪」
ねー♪じゃないよ。
可愛いのが逆にちょっと腹立つぜ……。
「つーか日南、必勝法わかるの早すぎない?もしかして勝ち方を知ってた?」
「んー、昔似たような問題を見たことあるから、考え方は一緒だったね。でもうん、考えるのは面白かったよ」
「さすが葵、できる女ー!このこのー!」
なんかキラキラしたいい笑顔でそう言う日南。
何気に勝負事好きだよなぁー。
そして、勝者のみみみが口を開く。
「さーて、私が勝ったから、敗者のはらみーには何をしてもらおうかなぁ?」
「おおっと、俺は先に2連勝していますねぇ!」
「それは時効!」
「早すぎる!時効になる基準は?」
「私の気分♪」
「なんて理不尽」
ジャイアンかな?
バカなやり取りをしながらも、ゲームに勝って満足してかみみみ、たま、日南、水沢はまた川へと戻っていった。
俺は友崎に勝ち方を解説中だ。
それにしても友崎お前、数学は苦手だな?
なんかそんな中で、中村と泉がハプニングで急接近したとか。
なんでも竹井が捕まえた子ガニを2人に見せたら驚いて転びそうになった泉と、それを濡れながらも受け止め助けた中村、と。
そりゃかっこいいねぇ。
解説に夢中で見てなかったわ。
けどまぁ、2人の関係が少しでも進んだのであればよかったな。
2人のくっつけ作戦は順調にいっているようだ。
あとは、残りの作戦がどうなるかね。