これから光の楽しい学園生活が始まるはず・・・・・・
IS~白い閃光~第二話です!
「もらった!!」
光の意表をついて発動した『瞬時加速』、それによりまんまと自分の術中にはまった光の姿。
それを見て千冬は、勝利を確信していた。それは仕方のない事かも知れない。
彼女が今まで戦ってきた敵の中には、国家代表と言われるような強者もいたが、その強者でさえ
ここまで完璧に決まった瞬時加速からの攻撃を回避する事は、不可能に近いからだ。
ましてや、今相対している敵はIS操縦においては素人で、しかも射撃体勢に入っていたのである。
ここまでの状況を見て、回避出来ると考える方が可笑しい。
だから彼女は、快哉を叫びながら近接ブレードを振り抜いた。が、千冬の一撃が
ラファール・リヴァイブを捉える事はなかった。
忘れてはいけないのは、光は普通の人間ではなく『リンクス』という強化された人間だという事だ。彼の超人的な反射神経を持ってすれば、回避は十分可能なのだ。
光は回避に成功すると、すぐさまこちらも近接ブレードを抜いて斬りかかろうとしたが、それはできなかった。何故ならラファール・リヴァイブが、光の反応速度についていけてないからだ。
だから光は、その場から離脱しながら、ライフルを連射した。
その射撃は予想外の出来事により離脱が遅れた千冬に、連続して命中する。
しかし、それは決定打にはならず、打鉄のシールドエネルギーを削るだけにとどまった。
その事が光を苛立たせた。
◆
一方で千冬は、目の前の少年が取った行動に舌を巻いていた。
光は、国家代表レベルでも回避が不可能な攻撃を避けて見せたのだ。
しかも、回避した直後に素早く離脱し、射撃までしてきた。
いつまでも動揺している訳にもいかないので、千冬もその場から離脱したがその間に何発かのライフルの直撃を受けて、シールドエネルギーが削られた。
その事実に、千冬は戦慄する。
(何という正確な射撃だ、それに反応速度も馬鹿げている!)
千冬は体勢を立て直すともう一度接近を試みる。
それを見て、光は距離を一定に保つようにしながらライフルを射つ。
模擬戦の最初には、回避出来たそれが次々と打鉄を掠める。
光がISの操縦に慣れてきた事により射撃が正確になったからだ。
射撃戦に徹されては、勝ち目は無いと見た千冬は、瞬時加速を使い近接ブレードで斬りかかる。だが、それすらも光は回避する。
もう光は、瞬時加速が直線的な動きしか出来ない事を見抜いていた。そして自身も瞬時加速を使い打鉄に近接戦闘を仕掛けて見せた。
もしこれが通常の瞬時加速だったら、千冬は回避または迎撃する事が出来ただろう。
しかし、光は瞬時加速の途中で軌道を変えたのだ。その光景にまた千冬は困惑する。
その隙を光が見逃すはずもなく、ラファール・リヴァイブに持たせたブレードを打鉄に振り下ろす。その一撃は打鉄のシールドエネルギーを削り取るのに十分だった。
「ここまでだな」
千冬が模擬戦の終了を告げて、ISの展開を解く。
光もそれに習い、ISの展開を解いた。
「とてもISの操縦が初めてとは思えんな、どこかで訓練でもしていたのか?」
「いやいや、正真正銘ISを操縦するのは初めてですよ」
千冬からの質問に、光は当たり障りがないように答える。
それでも納得がいかないのか、千冬はまた口を開く。
「それにしては凄まじい動きだった気がするが?」
「ただ必死だっただけです、勘弁して下さい、
それよりも、寮の場所と自分の部屋を教えてくれませんか?
流石に疲れたので休みたいんですが」
光は、この問答は面倒だと思い話題を変える。
千冬はそのお茶を濁す様な答えに釈然としないものを覚えるが、
一応納得して見せて光の質問に答えた。
「そうか、とりあえずお前の部屋の鍵とこの学園の地図だ、
今日はゆっくり休め、それとお前の部屋に参考書が置いてある筈だ、
これは入学前必読になっている、学園が始まるまでの間に必ず読め、いいな?」
「わかりました、それじゃ失礼します」
そう言って光はアリーナを後にした。
◆
寮にある自分の部屋にたどり着いた光は鞄を置き、荷物と一緒に入れておいたブレスレットを左手首に装着すると、荷解きを始めた。持ってきた荷物は、最低限の生活用品だけだったのですぐにそれはすんだ。
荷解きを終えた光は、改めて部屋を見た。国立と言うだけはあって、中々いい部屋だと思う。
ふと、机の上に目をやると、分厚くて大きな本が置いてある事に気づいた。
これが織斑千冬の言っていた参考書だなと当たりをつけると、表紙を開いてみる。
一目見ただけで分かる程、そこには膨大な数の文字が書かれてあったが、このくらいなら入学までには読めそうだと、光は思った。夕食まではまだ時間も有り、特にやる事もないので参考書を読む事にする。
しばらく参考書を読み進めると、面白い物を発見した。
それはIS学園特記事項というもので、全55項存在する学園の特例事項である。
その中の
『第21項 本学園における生徒はその在学中において
ありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しない。
本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする。』
という文章が光の興味を引いた。
この事項通りなら、ホワイト・グリントを使用しても大丈夫だと考えたからである。
これなら例えホワイト・グリントを使用して注目を浴び自分の不利な状況になろうとも、
最低でも三年は身の振り方を考える猶予があるという事になる。これで光は、精神的にかなり楽になった。誰しも何の対策も無しにいきなり世界から追われる身になるよりは、
ある程度の時間の中で対策を考えられた方がいいだろう。それは光も例外ではなかった。
それに光が安堵した理由がもう一つある。
それはISという兵器に対し、絶望していたからだ。
この絶望は、書店でIS関連の書物を読んだ時から始まっていた。
そして、今日ISに初めて乗り模擬戦をした事によって、より明確な物になった。
ISという兵器がネクストに比べると脆弱過ぎるのだ。
条件が揃えば、ノーマルACがネクストACを倒すという事例があるので、一概にISがネクストより脆弱とは言えないのだが、光はISが下手をしたらノーマルACより脆弱な兵器だと思った。
それは光が乗ったISが訓練機だったからというのもあるかも知れない。
しかし、明らかにISの動きが自分の意志に追いついていないのだ。
ネクストにおいては通常の動きなのだが、ISではオーバー・アクションになってしまい、
ISの駆動系が悲鳴を上げる。
これが通常の兵器ならまだいいのだが、ISはパワードスーツであり自身の体に装着して使用する。いうなれば、自分の体を兵器とするのだ。しかし、ISの駆動系が光の意志に追いつかず、ISと光の間にタイムラグが生じてしまう。これが光に自分の手足が自由に動かないと感じさせる。
この感覚はネクストに乗っていた頃にはなかったもので、光はこの感覚が歯痒くて仕方なかった。何せ光は、生前はネクストを操るリンクスとして戦場を駆る存在だったのだ。
光にとって自分の反応についてこれず、ましてや、足を引っ張るような兵器は問題外なのだ。
やはり戦場を知る存在としては、自分の意志についてくる兵器が好ましかった。
◆
ある程度まで参考書を読み終え、顔を上げて時間を見ると夕食を摂るには、丁度いい時間になっていた。織斑千冬から貰った学園の地図を見て食堂の位置を確認すると、早速向かうことにする。
しかし、ここで光は見落としていた事があった。それは自分が世にも珍しい男性のIS操縦者だという事だ。
いくら学園が始まる前だからと言っても、全寮制なので少なからず生徒はいる。
しかも此処はIS学園なのだ、学園に残っている生徒は全員女性だ。
なので、必然的に唯一の男性の光に視線が集まるのである。
その視線は、好奇心からくるもの、光を値踏みするものなど様々だ。
光にとってそれは、居心地の良いものではなかった。
(こんなのが、学園が始まるまで続くのか・・・・・・)
光は、この時学園が始まりもう一人の男性操縦者である織斑一夏が来るまでは、
最低限でしか部屋から出ない事を心に決めた。
この世界に来て何度目か分らない、大きな嘆息を吐く。
そして、周りから聞こえてくる話し声や、絡みついてくるような視線を耐えながら
重い足取りで食堂へ向かうのだった。
戦闘描写も難しいですが、日常生活の描写も難しいですね(´Д`;)
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