ガールズ&パンツァー ――The silliest story――   作:滝村亜華音

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Siblings are just strangers(兄弟は他人の始まり)

 ――姉、かく語りき。

 

「戦車ってのは漢字では『戦う車』と書いてて、一見物騒に見えるわよね。事実、二次大戦までは刀や銃器と同じ、れっきとした武器としていろんな国で運用されてたんだから」

 

 中学時代、当時は高校生であった姉から電話越しに聞いた話だ。

 

「だけど車って言う分には、人が乗って操作しなくちゃいけない。そこがまた面白いのよ。どんなに強そうな見てくれの戦車だって、中に乗ってる人が初心者だったら、ただの鉄の置物も同然。逆もまた然りね。例え豆戦車であっても、百戦錬磨の大将軍が乗ってるって言うなら、敵を一網打尽にすることも夢じゃない。色んな人が乗るのよね」

 

 当時の姉は戦車そのものと言うよりかは、戦車に集まって来る様々な人間に対して興味を持っていたらしい。

 

「パワーとスピードを武器に真正面からドンパチやり合うのが得意な奴も居れば、機動性と身軽さを武器にのらりくらりと狡猾に立ち回っての闇討ちが得意な奴も居る。紅茶を啜りながらやたらと意味深長な雰囲気でことわざや偉人の格言を引用してくる奴も居るし、ノリと勢いで全てを乗り切るような度胸と根性とカリスマ性だけは一人前の奴だって居る。他人の会話を盗み聞きしてさも自分が勘の鋭い人間であるかのように振る舞う奴も居たりするし、気に入らない敵や思うような働きをしなかった仲間に対しても粛清するワガママな暴君みたいな奴も居る。戦闘中にもかかわらずケーキを頬張る危機感ゼロに見える奴も居るだろうし、何も考えずに『特攻』と言う名の体当たり攻撃ばかりかましてくる捨て身精神に置いては引けを取らない奴だって居る。邪教に従う信者かってぐらいに自分の隊長に心酔している奴だってきっと居るし、家や故郷さえ捨てて『自由』と言うよく分かんない曖昧なモノを追い駆けている奴も居るかもね。色んな戦車乗りが居るモンなのよ」

 

 ほんの少しばかり興奮気味に話した後、姉は一呼吸おいてからまた続けた。

 

「その中で一人、妙に異様な雰囲気を醸し出す奴が居る。別に異彩を放っている訳でも無いし、ずば抜けた能力や技術がある訳でも無い。だけどそいつは、何処か異様なのよ。まるで『趣味は人間観察です』って言ってるみたいな奴が。だけどそいつは、言っちゃえばタダの変人なの。確かにそいつは異様。でもよーく見てみるとタダの変人。そしてそいつが、アタシだ!」

 

 この時の私には全く持って、何を言っているのか分からなかった。無理も無い。この時から、姉と私には色んな意味で天と地ほどの差があったのであろうから。

 

 

――

 

 その昔から、私にはよく理解できないようなことを口走っていた姉であったが、行動にもそれはよく表れていた。良い言い方をすれば奇想天外、悪い言い方をすれば自由奔放、兎に角その発言や行動の意図が読み取れない人間であったのだ。

 

 ボコのぬいぐるみを幾つも上に積んだり横に並べたりして、『ボコ組体操』なる遊びに興じていた時くらいしか許容範囲は無かったであろう。私はよく覚えていないが、その時のボコにはきっと、通常と比べて絆創膏と眼帯と包帯と青痣が増えていたと思われる。後日、私が従妹にその話を聞かせた時、従妹は目を光らせたかと思うと「私もやる‼」とボコ組体操の模倣を始めた。教えた張本人である私もその遊びに付き合わされたことは、今となっては数少ない思い出である。

 

 ――それ程にまで先の読めないことを平然とやってのける姉であるが、戦車道の試合でも例外ではない。だって、今こうしてそれが巻き起こっているのだから。

 

 

――

 

「本当にそれは姉さんの戦車か⁉」

 

「えーっと…、旗は…あるか。間違い無いですね」

 

 私がどれくらいの時間が経ったのか数える前に、その憎たらしい声は返ってきた。この声が耳に入って来る度に、私の背には鳥肌が立つ。私の眉間にはシワが寄せられる。私の精神には悪い刺激を与える。一つの動作で私にこれだけの被害を与えるのならば、被害届や逮捕状や訴訟状の一つだって提出したって罰は当たらない筈だ。法の神テミスだって、それに関しては許してくれるだろう。

 

「何故そんなに序盤で出てくるのだ? こういうのは、中盤辺りからチラッとにおわせるのが相場ではないのか」

 

「あなたがそれを言っちゃうと、いよいよ収集つかなくなりますよ」

 

 ヴィットーリオに正論を叩きつけられると言う事象が、私の自信と自尊心と自己肯定感をどれ程無残な状態にまでズタズタにするのかは想像していた。しかし、今のセリフによる衝撃は想像以上であった。

 

 しかし、今は試合中だ。ここで私一人のプライドがどうとか、そんな話に割く時間は無い筈なのだ。『試合に勝てるならばその場の勝負に負けてもいいと考えられる程度にはプライドを捨てろ』と言うのが私の39ある座右の銘の中の一つなのだが、今回の事例にだってきっと当てはまる時が来るはずだ。故に、今は私個人のプライドなどよりも、チームが勝利を手にすることの方が何億倍も大事ではないか。

 

「種類は特定出来るか?」

 

 種類によっては、私達の編成など一網打尽も容易だ。この試合はソ連製戦車の縛りで行っているが、油断など当然のことながら出来ない。特にIS級を姉に乗り回されてしまえば、ここら一帯はとうに更地へと姿を変えている。その威力は、かの『西住家』をバックに付けた史上最強の戦車道高校――黒森峰女学院には遠く及ばないであろうが、それでも姉の力は侮ってはならない。

 

 因みに、西住家や黒森峰女学院についてはまた後でその詳細を記述するつもりであるため、話の軸がブレて主題を見失ってしまうことを防ぐためにもここではその説明を割愛させていただこう。もし未来の私が覚えていたら、そしてもし説明するべきその時までこの手記が続いていたら、もしかしたらきっと多分書くかもしれないという話があったなんて噂を微妙に聞いたっぽい日があったような気がするから安心しても構わない予定の筈だと思うかな?

 

「んー、あまり強い種類のものではなさそうですねぇ。T-34あたりでしょうか」

 

 ――さて、私はヴィットーリオが放つ78:22くらいの割合で入り混じるホントとウソを掻き分けながら地図を頭の中に描く。それは市街地の造り、道路の入り組み方、ヴィットーリオの情報共有によって考えられる相手の残党の動きなど多岐に渡る。

 

「本隊にそれは伝えているのか?」

 

「ええ、そちらは完了しています。市街地の方はどうかと思いあなたの方へ通信を繋ぎ、こうなっていると言う訳なんですがね」

 

「そう言った側面では仕事が早いんだな」

 

「どれだけ上手く機転を利かせながら、その中で楽しむかです」

 

 それっぽい理屈を並べながらヴィットーリオは笑う。そうだった。こいつはいつもこうだ。

 意地汚い性格をしているし、人の機嫌を損ねさせる能力に長けているし、いつだって自分本位な考えで押し通そうとするし、平気で私の日常を脅かそうとする。しかし、彼女は仕事だけは早く、また機転を利かせる能力にも長けているためサークル内の人間にはそれなりに気に入られている。そして姉もまた、ヴィットーリオを気に入っている人間の一人である。何故だ。何故なのだ。姉までもこんな性悪女に騙くらかされてしまったというのか。クソッ、本当に世の中は正直者がバカを見る。

 

「あなたもこれくらい器用に生きましょう」

 

「うるさい!」

 

「あー怖い怖い。そんなんだから、中学の時もフラれたんじゃないんですか?」

 

「黙れ!」

 

 不本意にも通信機越しの口喧嘩に勤しむこととなったが、私の耳は別の声も捉えていた。眼下から聞こえた二人分の声である。誰の声か。同じ戦車内から聞こえているのだ。考えなくても分かる。AとBだ。何処か人をバカにしたようなその声の調子は、ヴィットーリオに引けを足らぬものと思われた。

 

「またやってるよ…」

 

「よくやるよねー、ホント」

 

 ――読者の皆様には誤解の無いように再三記述しておこう。先程ヴィットーリオが口にした、私の中学時代の失恋経験の事だ。いつの日かの試合後の打ち上げの席で、私が彼女に話したものだ。

 

 あれは別に、決して間違いなく確実にフラれたという訳では無い。その時の男子生徒が狭量な人間であったというだけだ。人と面と向かって話すのが苦手だった私がこれ以上ない程の勇気を振り絞り、実行に移したその一世一代の告白を、彼はあろうことか「お前、女に見えないんだよ」などと言うデリカシーに一層欠ける一言で、私の繊細な心をいとも簡単にズタズタにしやがったのだ。

 

 その時点で万死に値することは明白であるが、そんな理由で手を上げる程私も腐っていない。

 

 その時の私が寛大な心を持っていなければ、そいつはエレファントやヤークトパンターあたりの餌食になっていたと見られるが、私の技量と豊かな精神性によって九死に一生を得たのだ。感謝されたって良い。私が許してやったお陰であいつは塵芥と化すことも無く、今後の人生を平穏に過ごせるのだ。ある観点から言えば、私は人知れず彼を救ったと言えよう。

 

 これ程の偉業を成しているにもかかわらず、私はこの大学生活において人生ハードモードを余儀なくされている。どういうことだ。この世界の物理法則はどうなっている。善い行いをした者には善い報いがあるのではなかったか。神とはどこまで性格が悪いのだ。

 

「……」

 

「おい、ヴィットーリオ。おい!」

 

 ――言い争っている間に通信は一方的に切られた。何なんだあいつは。

 

「うるさい、静かにしてよ」

 

 Aが私を軽く野次り、戦車内は再び言い表しようにも言い表せない、むしろ言い表したくない沈黙で満たされることとなった。

 

 

――

 

 居心地の悪い沈黙の空間は、同じ隊の別の戦車からによっていとも簡単に打ち砕かれる事となった。この時の私とAとBはどんな顔をしていただろうか。さぞ滑稽であったと思うが、今はそうなってしまった原因の方が重要である。

 

「うう~…、やられてしまいましたわ…」

 

 声と口調から察するに、通信機の向こうに居るのはシャルルアンリであろう。通信機からの声が切れたのとほぼ同時に、実況席からの声が試合会場に響き渡る。突然の爆音に私の心臓が飛び出さんばかりに反応したことは言うまでもない。

 

「一、四年チーム、T-40、1両、戦闘不能」

 

 ――シャルルアンリがやられた。唐突かつあっけない幕切れである。

 

「何があった⁉」

 

「……」

 

 通信機の向こう側に事の説明を求めるも、答えは返ってこない。無視を決め込まれ透明人間のように扱われる事については、私にとっては日常そのものである。そして、戦車がやられた際の通信機が不通になるのもまたよくあることだ。だが今回の場合、状況が状況であるため、色々と変わって来る。

 

 このことはAとBの耳にも届いていたようだ。私がそれに気付くことが出来たのも、あからさまに二人の声が震えていたからである。

 

「やばい、T-40って確か…」

 

「シャルルアンリさんが乗ってた筈だよね?」

 

 二人は何処か彼女の身を案じる様子さえ見せた。成程AとBもまた、シャルルアンリのハッタリに騙されてしまった哀れな子羊の中の二人であったのか。

 

 

――

 

 地図に載っている道なりは蜘蛛の巣と見間違える程の入り組みようであったが、私には今はそんなことはどうでも良かった。むしろ場合によっては好都合とも考えられる。何故か。その理由は他でもない。今、私は相手チームの戦車――T-28 中戦車――と鬼ごっこに興じていたのである。

 

 ――切っ掛けは、ほんの数分前に遡る。本来ならば人や乗用車が進む筈の道路を戦車が走る、というよくよく考えてみればちょっと変に思える光景に私が微量の疑問を感じながら市街地を進んでいた時のことである。耳に入って来る音について突然の違和感を覚えたために、一旦の停止を命じた。AとBは変わらず私に悪口を投げ掛けるばかりであったが、一応指示には従ってくれているようであった。

 

 その最中にも、耳が覚えた違和感は膨らむばかりである。ついに私にも補聴器と出会うべき時がきたのであろうか、などと考えていると…。

 

「――っ⁉」

 

 まさに耳を劈く轟音が、聴覚器官を通じて私の脳を揺らした。同時、私達を守るように建っていた建物が爆散した。私から見て右側に建っていた建物であった。市街地であったためか、目に映る景色は些か痛ましく見えた。そして、その直後に出来た小さな瓦礫の山さえ吹っ飛ばされた。咄嗟にハッチの中に身を隠したために瓦礫でケガをすることは無かったが、もっと恐ろしいことが起こった。

 

 黒煙が晴れたその先には、T-28 中戦車がどっしりと構えていた。T-28 中戦車の車長(以後、Ⅽとする)はこちらの姿を認識するが早いか、同じ戦車に乗る二人の砲手(以下D、Eとする)に対して攻撃を続行するように指示を出した。それもそうか。折角発見した獲物をみすみす逃す訳も無かろう。戦車乗りならばむしろ当然の判断である。

 

 それに反応したBが、操縦桿をひょいと動かす。するとKSP-76は左側のキャタピラのみを動かして、その車体の向きを傾けた。すると、海外の映画であるような、銃弾を首を傾けて避けるシーンの如く、私の頭のすぐ横を非殺傷弾が駆け抜ける。

 

 同時、非殺傷弾に切り裂かれた空気が、私の頭部に渾身の体当たりをかます。ここで髪の毛がなびいたりでもすれば、多少は格好のつく画が出来上がるのだろうが、生憎私の場合はそんなことにはならない。何故なら私は猫っ毛だ。髪が伸ばせない。故に短髪である。お陰で私は、生まれてから今までの19年間、毎回初対面の人間には男と間違われた。

 

 最後に、私達の後ろに建つ建物が爆散する。音がとても五月蠅い。

 

 刹那の沈黙。この世の全ての空気が硬直するような感覚。直後、状況を察した私はAにある物を渡すように言った。恥を忍んでの願い出であったため、この時の私の顔は、きっと『泣いた赤鬼』の赤鬼よりも赤かったに違いない。

 

「……」

 

 そして、Aが今にも嫌味を口にしそうなくらい不機嫌な顔で渡したある物。それは、手榴弾である。手榴弾とは言っても、所詮戦車道の試合で使われるくらいの物なので、人を殺せる程の威力など無い。気休めとして煙幕を張れる程度だ。

 

 そして今、私がAに手榴弾を渡すように求めたのも、それが理由だ。

 

「……っ!」

 

 ピンを引き抜き、投げ付ける。

 

 お礼だと言わんばかりに、私が投げ付けた手榴弾は空中で舞いながら破裂する。同時、封印が解かれた煙は、容易に私達の視界を奪う。辺りが二秒足らずで薄い灰色に染まってしまった。

 

 ――突然だが私は小学校焼時代に、学校の校庭で焼き芋を作ったことがある。その時の私は、両目に多量の煙を喰らってしまい、痛みのあまり地面を転げ回った。

 

 その時の学習として、私は手榴弾を投げたらしばらくは目を閉じたままにして行動するようにしている。問題は無い。

 

 私はBに、迅速にこの場を離れるように指示した。

 

「うわっ! ひ、卑怯だよ」

 

 Ⅽは煙の中で私に抗議する。何が卑怯だ。別に逃げている訳では無い。これは戦略的撤退だ。決して相手を恐れて、尻尾を巻いて逃げる訳では無い。姉を目標としている私がそんなみっともないことをする訳が無いではないか。絶対、必ずだ。

 

 私は、勘と気配と音を頼りに見えない道を進む。背後からは汚い罵声が飛び交っていたような気もするが、気にしないことにした。

 

「こんなの、あの人じゃ絶対しないよ…」

 

「私も思ったわ、それ」

 

 あの人――きっと姉のことであろう。

 AとBが愚痴を吐くが、今はそんなことは関係無い。ここでは逃げるが勝ちだ。

 

――

 

 両者からの野次と遠い所から聞こえる爆発音に私が耐える中、また通信機から声が聞こえた。

 

「あのさ…」

 

 声を聞いた瞬間、自身の背中が氷のような冷気に支配されるのを感じた。この冷淡で無表情な声。成程、よく分かる。声の主はアレクサンドラだ。私の身体が全体を通して恐怖を示したのが良い証拠である。

 

 アレクサンドラがわざわざ私に何を伝えようというのか。彼女は副隊長、私は偵察車の車長。身分も役割もチームにおける必要とされる度合いも違う。全てにおいて私より上に立つ彼女が今度は何を唆そうと言うのだろう。

 

「ごめん…やられた……」

 

「は?」

 

 ――一体何があったというのか。考える間もなく、今度は別人の声が通信機の向こう側から聞こえた。息を呑んだ。私が誰よりも知っている、この世のどんな音声よりも聞き慣れた声だった。

 

「ハロー、聞こえる? マイシスター」

 

 姉だ。姉の声だ。姉は今、アレクサンドラの近くに居るということか。アレクサンドラはこちら側の隊長の居る本隊の中で行動している筈だった。では、アレクサンドラの先程の『やられた』と言うのは……。

 

「まさか、もう私達は…」

 

「いや、フラッグ車は倒してないよ? 人質には取ってるけど」

 

 人質に? どういうことだ。何が目的でそんなことするのだ。私は英語のテストで新出の単語を目にした時と同じくらい混乱した。状況がよく浮かんでこない。何を言っているのだ? 姉は。

 

 ――相手チームのフラッグ車を倒してしまえば終わり。それがフラッグ戦においての勝利条件だ。そのフラッグ車をどうして人質に取る必要があろう。さっさと撃破してしまえば終わることではないか。何故、そんな意味不明なことをしたがるのであろうか。姉はやはり時々考えている事が分からなくなる。

 

「何故そんなことを…」

 

「簡単よ。アンタと戦いたいから」

 

「……」

 

 余計に意味が分からない。私と戦いたい? そんな理由でフラッグ車を人質に取るなどと言う奇妙な行動を取るのか。

 

 昔からそうであったが、今でも言っている事の意味が分からない。言っている事も分からないし、やっている事も分からないし、目的が何より一番分からない。否、分からないと言うよりかは、理解が出来ないと言った方が正確だろうか。きっと私のような愚民には理解出来ない、天才にしか分からない境地なのだろう。私が人生を何回やり直したところで、決して辿り着けることの無い地点だ。

 

「成長したって言うアンタの実力を見てみたいからね…! だから、来てくれない? 場所は携帯で送ってあるから」

 

 直後、私の携帯電話が小刻みに震え出した。メールだ。嫌な予感がする。

 

 私は手榴弾を渡して来たAと同じくらい不機嫌な顔をしながら、携帯電話を開いた。嫌な予感の通り、メール一通の通知が来ていた。そのメールを開いてみると、このように書いてあった。

 

『Come to the school playground. 』

 

 そして、姉とアレクサンドラのツーショットの写真が添付されていた。

 

(寝○られ系の同人誌か!)

 

 私は心の中でツッコんだ。

 

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