性転換して魔法少女になったけど、いつの間にか淫魔と戦うドスケベ魔法少女の仲間にされていた   作:名護十字郎

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1話 あさおま〜朝目が覚めたら女の子になったし魔法少女にもなった〜

「……て、……きて。

……もう、起きてください!」

 

「う、うぅん……」

 

少女の叫び声に数拍遅れて呻き声を上げながら「私」は目を覚ます。

そして、奇異の目で周囲を見渡した。

普段の生活にあったものが無く、ないものが有る。

いつもの部屋じゃない、そう思った直後に「私」の視界はまた閉ざされる。

そして全身に押し付けられる圧迫感と温もり、背中に回された手。

 

「よかった!やっと目を覚ました!

……どこか痛いところはないですか?自分の名前、ちゃんと言えます?」

 

「……や、矢口 武網(タケミ)……!

く、苦しい……離れ……」

 

「あっ……ごめんなさい、つい……。

はぁあー、よかった、ほんとによかった……」

 

そう言って「私」から……武網から離れた少女は、緊張の糸が切れたように一気に力が抜けて、ベッドに顔を埋めた。

 

「……あ、そうだ。

こういうのは早い方がいいですね。

タケくん?ちょっとお身体に触りますよ」

 

いうや否や少女の手が「私」の体に伸びる。

一直線に、胸元に。

 

「い、いきなり何を……ひぁ……っ」

 

そこを触られた途端、「私」が思っていた以上に高い声が出た。

そのまま少女のもう片方の手が「私」の手を掴み、自身の胸元へ寄せられる。

 

「自分でも触ってみてください」

 

言われるがままに開いた手を閉じてみる、途中で指同士がくっつく前に柔らかいものを掴んだ。

恐る恐る視界を少女の顔から自分の身体へと落とすと……。

 

「……というわけで、タケくんは女の子に、魔法少女になったんですよ」

 

そう言って渡される手鏡の中を覗き込む。

少なくとも肩までは伸びる暗い緑の長髪と対照的にやや黄を帯びた赤い瞳。

そんな、見覚えのない自分の顔。

 

「……ぇ、え?えええええ!?」

 

「私」の……幼い少女の叫び声が二人きりの部屋に響き渡った。

 

――――――――――

 

寝起き絶叫から落ち着くまで10分ほど。

ようやく事態を受け入れられた私はベッドに腰掛けながら隣の少女の言葉を耳を傾けていた。

 

「それで、私のことは覚えてますか?

ほら、2年くらい前はよく一緒に遊んであげた」

 

そう不安げにこちらの顔を覗き込む少女は見覚えのある人物だ。

最後に会ったのは本人も言う通り大体2年くらい前になるから多少記憶とは齟齬があるが、綺麗な濃い黄の髪とムシの触覚のような一対の跳ねっ毛は相変わらずで、すぐに誰か思い当たる。

 

「えっと……真藤マキナ、さん?」

 

「……そ、そうですけど……

マキナ、さん……!?」

 

私の返答に隣の少女……マキナさんは絶望に満ちた表情を見せる。

当たり前だが、名前を呼んだだけでこんなに嫌そうな表情をされる覚えはない。

何か悪いこと言ったかなと不安がりつつ、

 

「えっ!?あ、あの、失礼でしたか……?」

 

と聞いてみたら。

 

「前みたいにマキナお姉ちゃんとは呼んでくれないんですか……?」

 

「うぇっ!?」

 

涙まで見せながらなんか凄い要求をされた。

……確かにこの人と出会った直後はそう呼んでたような……?

そうは思いつつも、流石にもう親族でもない人をお姉ちゃん呼びするような歳ではない。

 

「あ、マキねぇでも良いですよ。

お姉様はちょっと距離感じちゃうからNGで、マキナ姉さんまでは許可しましょう」

 

さあ、さあさあさあ!とぐいぐい顔を近付けてくるマキナさん。

さん付けは嫌みたいだが、かと言ってお姉ちゃん呼びしてしまうとなんかもっと要求がエスカレートする気がする。

従って、

 

「ま、マキ、ナ……?」

 

「ん〜〜なるほど呼び捨てですか。

これはこれで良いですね、合格!」

 

これが譲歩できる限界だったが、なんとかマキナは納得してくれたようだ。

その次の瞬間また抱き寄せられて視界がマキナで埋め尽くされる。

……なんか頭頂部に変な吐息の音聞こえるけど、これ匂い嗅がれてる……?

 

「んぐぐ……そ、それでなんで私がマキナさ、マキナの部屋にいるの!?」

 

少なくとも私のよりは有る胸に顔を押し付けられるのを何とか跳ね除けてマキナに質問する。

少なくともマキナに会ったのは2年越しだし、それまで連絡を取った覚えもない。

まさかこの人も2年越しにいきなり誘拐したりはしないだろうし……多分。

 

「なんでって……昨日のこと、覚えてませんか?」

 

「昨日?昨日の……ッッッ!!!!」

 

そう言われて……昨日のことを思い出した。

そうだ、マキナが自称するものとは別に、私にはちゃんと血の繋がった姉がいた。

その「元々の」姉、矢口ユクモの失踪。

それを聞いたマキナが2年越しに家に転がり込んで来て、二人で必死に夜の街を走り回って……。

それと……何かに襲われて……?

 

「あぐぐぎぎ……頭、痛……っ!」

 

そこで頭痛が記憶にヴェールをかけてしまう。

キリキリとした痛みは、まるで暗雲のように記憶の先を見えなくしてしまった。

 

「いきなり全部思い出さなくてもいいです。

二人で探しに行って、怪物に……デザイアに襲われて、貴方が助けてくれた。

今はそれで十分ですよ」

 

マキナが言うには、捜索途中にデザイア……この街に蔓延る一種の「怪物」に襲われたところで私がいきなり魔法少女になって助けた、らしい。

……全く記憶にない。

記憶にないけど、何かに襲われたところまでは覚えているし二人とも無事ということはきっとマキナの言う通りだったのだろう。

そこから、しばらくマキナは何も言わず何も聞かなかった。

ただ、傷んだ頭をゆっくりと撫でてくれた。

……何故だろうか、私には優しい姉がいたはずなのにとても新鮮な感じがした。

 

 

「……それから、名前を考えなきゃですね。

女の子になってもタケミ、は少し不自然ですし」

 

しばらくして、マキナはそう切り出した。

確かに、女の子の名前にしてはタケミというのは少し似合わないかもしれない。

これからしばらく、あるいはずっとの生活のためにはこの身体に合った名前が必要かもしれない。

 

「それなら……武網の網からアミ、とか?」

 

とりあえず思いついたものを言うとマキナは血相を変えて叫ぶ。

 

「駄目です!それだけは絶対に駄目!

あ……安直すぎますから!」

 

「そ、そうは言われても……」

 

これから名乗る名前に安直さという指針を持ち出されても正直困る。

……多分マキナはゲームのキャラクリで凄い凝った名前を付けるタイプなんだろうなぁ。

 

「例えば……リオン、でどうですか?」

 

「リオン?どうして?」

 

そう問い返すと、マキナはもう一度手鏡を持たせてきた。

そして私の顔を写しながら、鏡越しに目のところに指を持っていく。

 

「朱色(ヴァーミリオン)からです。

ほら、見てください……貴方のその目、とっても綺麗な朱色だから」

 

その言葉を聞いて、じっと鏡の自分を覗き込む。

確かに……ナルシストみたいに聞こえるかもだけど、その赤い瞳はつい手に取ってしまいそうな程に綺麗な色相いで、マキナが言うことも頷ける。

 

「リオン……リオン。

……決めた、私はこれから矢口リオン。

マキナから貰った名前、大切にするね」

 

こうして、私こと矢口武網は「矢口リオン」として、新しい道を歩み始めるのだった。

 

「気に入ってもらえて何よりですリオン。

けど、もしかしたらすぐにその名前も変わっちゃうかもしれませんよ?

例えば……真藤リオンとかですね!」

 

「あ、あはは……」

R-18版に需要はありますか?(本編ifの敗北シーンや舞台裏のシーンがメイン)

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