性転換して魔法少女になったけど、いつの間にか淫魔と戦うドスケベ魔法少女の仲間にされていた   作:名護十字郎

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旧2話3話から余分な部分を削除して統合した内容です


2話 魔法少女登録と、初めての実戦?

「さて、じゃそろそろ行きましょうか。魔法少女登録」

 

「魔法少女、登録?」

 

「この町、半斗浦では魔法少女になったら魔法管理局に届け出るんですよ。

まぁそんな時間はかかりませんし、ちゃちゃっと終わらせちゃいましょう」

 

そう言ってマキナは外出の支度を始める。

真似して準備しようとするがそもそも自分の部屋じゃないから何処に何があるか分からない事に気付き、大人しくマキナの支度を待つこと数分。

 

「そうだ、私のお古ですけど外出る時はこれ着てくださいね」

 

と外出用に衣服を借りられたのは良かったが、

 

「ま、マキナ……これから着替えようかなーって」

 

「構わん、続けてください」

 

「え、えぇ……」

 

……着替えるところめっちゃ見られた。

何度かスマホをこっちに向けてたけど、流石に自制心が勝ってくれたみたい。

 

そうしてマキナ宅を後にして徒歩数分。

半斗浦はそこまでの田舎ではないものの所詮地方都市止まり、首都圏や大都会ほど栄えてる場所でもない。

つまり……交通の便が微妙に行き渡っていない。

そのため、今はマキナと二人で管理局前行きのバスを待っているところだ。

 

「魔法少女登録って何するの?」

 

「すぐ終わりますよ。申請書書いて少し適性を見て、少し研修受ければもう終わりです」

 

「研修?」

 

「魔法少女として活動するための基礎知識とかですね。例えば管理局の成立とか魔法少女の起源、それから魔法少女の主なお仕事とか」

 

そう言ってマキナは指折りしながらこれからの事を教えてくれる。

魔法少女は小学生くらいの頃に覚醒する子も少なくないだけあって、あまり難しいものはないみたいだ。

 

「あっそうだ、バス来るまで暇だしちょっと予習していきましょう。

リオン、魔法少女は何と戦うか分かりますか?」

 

「デザイア、だよね?」

 

「その通り、正解です。

魔法少女の主な仕事は街に現れるモンスター、デザイアを討伐することですね」

 

この街に魔法少女が現れたと同時に、この街にはずっとデザイアというモンスターが出没するようになった。

危険度はまちまちで即時避難が徹底される時もあれば、普通に野次馬が魔法少女との戦いを見物する余裕がある時もある。

その分頻度は非常に高く、魔法少女になる前の私でも両手の指で数えられないくらいには見た事があるほど。

 

「では、デザイアとは何か分かりますか?」

 

「えーっと……確か人間の願望に、なんとか……?」

 

「人の願いの歪な集合体、それがデザイアです。

願いを力の源にしてるのは魔法少女と一緒ですね」

 

「ただ、デザイアを作る願いの大半は持ち主が忘れた事にも気付かないほど些細なものばっかですけどね。

あれが食べたいとかちょっとサボりたいとか。

リオンも、朝起きてちょっとズル休みしたいって思っても丸一日そうは考え続けないでしょ?」

 

「うーん……そうかも」

 

「持ち主も忘れるくらいの願いは、普通ならそこで消えておしまいです。

ですがこの街に溢れてる魔法の力……魔力は、そんな些細な願いすら見捨てないんですよ。

魔力と結合した微弱な願いは持ち主の外でちょっとだけ長生きして、似た願いがあるとくっ付くんです」

 

まだマキナと遊んでいた頃、人々が捨てた粗大ゴミがコンピュータに束ねられて巨大なロボットになって街を襲う映画をマキナと私、それからユクモお姉ちゃんと三人で見たのを思い出す。

皆が捨てた物の集合体、デザイアはそれに近いのかもしれない。

……そういえばあの時マキナは「これはマジカルウォッシュだ」とちょっと怒っていたのを思い出す。

なんでも元々あの映画は粗大ゴミロボットと主人公のロボットが戦う話だったらしいけど、半斗浦で見たのは粗大ゴミロボットと魔法少女が戦うお話だった。

古い作品を魔法少女風にリメイクするのは当時のブームで、大抵元の作品よりは面白くならなかったとか。

 

「つまり、みんなが捨てた小さい願いが沢山集まってデザイアになるの?」

 

「ご名答。

大体100人分くらいの願いが集まったらデザイアとして実体化して、願いを叶えるために暴れるんですね。

一番弱いのがハンドレッド、そこから元の願いの数が増えてく度にサウザンド、テンサウザンド……って形に強くなっていくんです。

……っとバス来ましたね、乗りますよ」

 

こうしてマキナの予習はお開きになり、バスに乗って管理局に向かうのだった。

ただ……。

 

「……なんで?」

 

「重くないですよ、平気です」

 

「いやそうじゃなくて……」

 

……何故かマキナの膝の上に座ることになった。

隣の席、空いてたんだけどなぁ……。

 

――――――――

 

そうして到着した管理局。

魔法少女や魔法災害など非日常的な事を取り扱う部署なだけあって、さぞ外観も内装も凄い場所なんだろうと思った人は必ず裏切られるという。

かく言う私もその一人だ。

 

「すごく……普通のお役所だね」

 

「建物がしょぼい管理局、はこの町屈指のジョークですからねー。

特撮作品で管理局を破壊するシーン撮る時に模型が作りやすくて助かる、なんて一部では歓迎されてたりしますけど」

 

中に入っても至って普通で、受付番号を貰ってソファーで待って、呼び出されたら登録情報書いた紙を渡すだけ。

なんだろう……勝手に天井には綺麗な球体とか幾何学的な立方体とかがくるくる回ってそうなイメージがあったけど、普通に電灯だった。

 

「はい、お願いします」

 

「矢口リオンさん、13歳。性別は……転換事例ですね。

はい、ありがとうございました、受付致しましたので適性検査までお進みください」

 

そうして一から十まで普通のお役所みたいな感じで、魔法少女登録の一歩は終わった。

……そういえば。

 

「……ねぇマキナ、本名じゃなくてリオンで書いちゃったけど平気かな?」

 

「平気ですよ、男の人が性転換して魔法少女になるケースって半年に2、3回はあるみたいで、第二の名前の手続きも手慣れてました」

 

……結構あるんだ。

そんな事を思いながら受付があった2階から降りて、さらに地下へ。

 

「じゃあこの辺で待ってるので適性検査頑張ってくださいね」

 

そう言ったマキナと一旦別れ、検査場へと進む。

流石にここから先は魔法少女の超常的な力を直に発揮する場所だからか、上の普通のお役所とは全く違った構造になっていた。

率直な感想を言えば体育館とジムと健康診断を一纏めにしたような施設、と言った印象だ。

だが、もう一つの区画だけは私のこれまでの生活とは全く無縁のものだった。

民家やビルのような建物を模した施設で、シューティングゲームのチュートリアルに置いてあるような人が描いてある板が並んでいる。

……多分あれはキルハウス、という現実の軍隊が訓練に使う施設に近い構造なのだろう。

市街地で「戦う」事を想定した訓練施設、そう考えるとこの場のプレッシャーが一気に増した気がした。

 

「お待ちしてました、新しい魔法少女さん。

私、審査官と魔法管理局は貴方を歓迎します」

 

「お、お願いします」

 

地下検査場で私を出迎えて自らを審査官と名乗ったのはこれまでのようなスーツ姿の人ではなく、ふわふわしたコスチュームに身を纏って大きな剣を携えた女の人だ。

多分この人も私と同じ魔法少女なのだろう。

 

「ではまず変身してください」

 

「はいっ……。え、えっと、どうやるんだっけ」

 

そう言われて、変身をやった事がない事に気付く。

マキナの話では昨日変身したらしいがその記憶はないし、当然どうやったかも分からない。

えっと……と悩んでいると、突如手のひらが黒く輝いた。

 

「これは……」

 

手のひらを見やると、そこには6つの黒い小さなキューブ。

……これが何なのか、どう使うのか。

さながら蜘蛛が誰に教わるでもなく巣を張れるように、直感で分かった。

そのキューブ同士を強く握ると、磁石のようにキューブ同士がくっ付いてある形を作る。

サイコロのような6面の立方体を展開した図、と言えばイメージしやすいけどこう言った方が適切かもしれない。

「十字架の形」と。

それを……躊躇なく握り潰す。

握力に自信があるわけではなかったが、それは容易に壊れて内から魔力が噴き出した。

 

「……『リザレクション』」

 

魔法少女に変身する時のキーワードも、自然と口から溢れていた。

それも同時にキューブから現れた魔力は全身を覆い、今の衣服を上書きするように魔法少女のコスチュームへと魔力が形を変えていき。

魔力が収まった時には私は魔法少女としてその場に立っていた。

肩を大きく露出した赤黒いドレスのような衣装に、胸の少し下あたりには真っ赤なオーブが嵌められてる。

近くにガラス窓があるのを見つけて、くるりと身を回したら背中にも大きなオーブがふたつ。

頭にはクワガタみたいにギザギザの顎……鋏角が伸びていてその少し前にはドレスに付いていたのと同じオーブ。

私自身の目の色と合わせて、まるで8個の目が付いているみたい。

 

「変身を確認しました。それではお名前をお聞かせください」

 

「や、矢口リオンです」

 

そう答えると、審査官さんは小さく笑ってから。

 

「ふふっ申し訳ありません、貴方のお名前ではなく……魔法少女としての名前、です」

 

「な、名前なんてまだ決めて……っ」

 

そう言いかけた途端、先ほどと同じ感覚が私を襲った。

知っている。

私は私の名前を、まるで天啓のように唱える事ができた。

 

「……アトラナクター。

私は……スーサレッド・アトラナクター」

 

万物を繋ぎ寄せる赤い糸。

それが、私の魔法少女の名前、私の願いだ。

 

――――――――

 

「跳躍力、評価B。

短距離走評価Bで長距離はD。

筋力はC、動体視力はA、瞬発力A。

空間把握能力A、聴力B、体幹D……」

 

適性検査のうち最初は魔法少女としての基礎的なスペックを確認する。

健康診断でやるような視力聴力検査からシャトルラン、高跳びなどだ。

先ほどから試験官が呟いている評価だが、A〜Eの5段階で評価され、Eなら魔法少女ではない同年代の平均と同等でそこを超えるほどAに近付いていく。

私の場合、直接的な身体能力はそこまででもない代わりに反応速度や瞬発力に長けているみたいだ。

 

「……さて、では実践形式に移りましょう。

まず武器を出してください」

 

「武器?」

 

「魔法少女と武器は不可分の存在です。

魔法少女の力の源は願い、願いとは世界を変えるということ。

つまり魔法少女にとって武器とは自分の願いのために世界と戦う決意を具現化させた物になるんです」

 

そう説明を受けながら武器をイメージする。

この人みたいな大きな剣……逆に振り回されそう。

ゆ、弓とかは……引けそうにない。

小さくて軽いナイフなんかは……それで戦える気がしない。

 

「ぶ、武器……武器……えっと……うわ!」

 

イメージが固まらずあれこれ考えていると、時間切れとでも言わんばかりに手のひらに鉄くずみたいな武器が落ちてきた。

それにびっくりして掴むどころか全部落としてしまう。

 

「投げ刃、ですか?」

 

そうして地面に落ちたものは、薄い刃の群れだった。

手裏剣みたいな形はしていないものの直接持って斬り付けるのは到底できそうになく、審査官の人が言う通り投げて使うしかないようなものだ。

 

「ご、ごめんなさいすぐ拾います……」

 

慌てて拾い上げる。

うっかり手を切ったりはしなかったが、余計にナマクラ感があって戦える気がしない。

 

「……次の試験は擬似デザイアとの実戦なのですが、それを両手に抱えて戦うつもりですか?」

 

「そ、そんなこと言われても……」

 

言われても武器と言われてこれが出てきてしまったのだからどうしようもない。

チェンジができるならしたいけど、そんなリセマラは出来ないと魔法少女の直感はよく教えてくれる。

 

「そうですか……では」

 

審査官が消えた。

その一瞬の後、検査室に暴風が吹き荒れる。

それと同時に右手に重い痺れ。

 

「……なるほど、そういう事でしたか」

 

審査官が先ほどよりずっと近く、目と鼻の先で笑う。

ここまで来てようやく、審査官が持っていた剣で斬りかかってきた事に気がつく。

……そして、それに鍔迫り合いで対抗できている事にも。

 

「先ほどの刃の数々は全てその剣の一部だった、ということですね」

 

そう言われて初めて自分が握っているものを見た。

先程までバラバラだった刃は何かに束ねられてあるように均等に並んで長剣を形作り、審査官の重い剣戟を難なく受け止めている。

勿論手加減はしてくれてるのだろう。

それでも、あの速度に対して武器の結合を含めて無意識で完璧に対応できた事がまだ信じられない。

 

「さて、武器も持てたようですし早速擬似デザイアを解放します。

健闘をお祈りいたします」

 

審査官はそう言うと剣を納めて後ろに引いた。

それと同時に、彼女が立っていた方向の床から大きなコンテナがせり上がり、開く。

そこから現れたのは、

 

「grrrrrr……!」

 

「ひ、ひっ……!」

 

マーブル色の鮮やかな人影、と言うべき怪物……デザイアだ。

概ね全長は2mほど、全身の色彩は絶えず形を変え、さながら縄張りの奪い合いをしているようだ。

骨格はおおよそ人間と同等で、どちらかと言えば女性的な身体つき。

そして人間なら顔がある場所は大きな仮面を付けて、何もない顔面を覆い隠している。

 

「適性検査の最終試験は擬似デザイアとの戦闘訓練を以て終了とします。

……大丈夫、このデザイアはハンドレッド級、先ほどの貴方のステータスなら何も問題ありませんよ」

 

ハンドレッド級というのはデザイアの区分、と確かマキナが言っていた。

確かハンドレッドはデザイアが実体化する下限ギリギリの数字で、階級として一番下。

……でも、いくら弱い相手とは言え私は誰かと戦ったことなんてない。

マキナが言うには昨日デザイアを倒したらしいけど、全く身に覚えがない以上役に立たない実績だ。

 

「grrrrrrrrrrrr!!!」

 

デザイアはどんな願いを果たすためか、私を見るや否や一直線に疾走を始めた。

その右の拳が固く握られてる意味なんて考えるまでもない。

確かにこのデザイアの動きは先ほどの審査官とは比べ物にならないほど遅い。

だが、不意打ちを無意識で受けた先ほどとは違い今回は相手の動きを、つまり殴る構えを鮮明に認識してしまう。

デザイアは人ではない、生き物ですらない。

だが、その動きは人間そっくりだ。

人に殴られる感覚……人に悪意を向けられる感覚。

それに、足がすくんでしまう。

 

「な、何をしているのですか!避けなさい!」

 

審査官の怒号でようやく我に返り、デザイアから離れようとする、が遅い。

間に合わな……!

 

「g……grrr……!」

 

覚悟していた衝撃がいつまでも来ない、そう思って固く瞑った目を開けると、デザイアの腕から一本の光が見えた。

……違う、光そのものじゃない。

それは光を反射している一本の「糸」だ。

 

「こ、これは……?」

 

「g……grrr!grrrrrr!!!!?」

 

この場にいる全員……恐らくデザイア含め、誰もが何が起きたかをすぐには理解できなかったのだろう。

けど……私は、だんだん分かってきた。

 

「……あっち行って!」

 

「grr!?rrrrr!!!」

 

私が一言叫ぶと同時に、デザイアはまるで嵐に吹かれたかのように吹き飛ばされ、右腕を吊り下げられたように宙に浮かんだ。

やっぱり……。

 

「あの一瞬で、デザイアの動きを封じた……というの?」

 

「gr!grr!rrrr!!」

 

しかしデザイアは諦めるということを知らない。

大きく暴れて、放った糸から右腕を千切って再び床に降り立った。

主人を失った拳が力無く落ちて、溶けるように消えて行く。

右手があった場所から極彩色の液体を垂らしながら、今度は左の拳を握りしめてこちらに駆けてくる。

 

「……行って!」

 

その掛け声と共に、私の背後から高速でデザイアに突っ込んでいくものがある。

折り畳まれていたパイプ椅子だ。

やっぱり、思った通り。

私の魔法は、思い通りの場所から糸を飛ばして、掴んだものを引っ張る魔法だ。

 

「grrrr!?」

 

椅子の先端に巻き付いた糸は電灯を反射してキラリと光り、ゴムが縮むように椅子を射出。

椅子はデザイアの腹部に深くめり込み、デザイアは衝撃で大きく吹き飛び壁に叩きつけられた。

 

「これで、終わり!」

 

そう言って右手に持ったままだった剣を大きく振る。

勿論私は最初から一歩も動いていないしデザイアは吹き飛ばされたまま、普通なら届くはずがない。

だが私の剣は一振りで、10メートルは離れたデザイアの仮面を正確に叩き割った。

 

「g……grr……」

 

と言葉にならない断末魔を上げて消滅するデザイア。

次の瞬間、ガキン!と金属音が響き私の手元に剣が戻ってきた。

 

「その剣が分割されて生み出されたのは貴方の魔法に合わせてリーチを変えて刃を遠くまで届かせるため……ということですか」

 

監査官が感心したような口ぶりでそう言う。

 

そう、私の剣は振った時に「伸びた」。

投げ刃と思っていた剣の刃一つ一つが私の糸に束ねられながら蛇のように大きくうねり、獲物を斬り裂いたのだ。 

 

こうして私の、アトラナクターの初金星は幕を閉じた。

R-18版に需要はありますか?(本編ifの敗北シーンや舞台裏のシーンがメイン)

  • 需要はある
  • 本編ifの敗北シーンのみ需要はある
  • 舞台裏のシーンのみ需要はある
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