性転換して魔法少女になったけど、いつの間にか淫魔と戦うドスケベ魔法少女の仲間にされていた   作:名護十字郎

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二回ほど大きな方針転換していたら遅れました…


3話 未知の敵(エッチなやつ)と新たな魔法少女(エッチなやつ)

「……はい、試験は以上となります。

スコアを評価しますのでしばらくお待ちくださいね」

 

無事試験用の擬似デザイアを討伐した私に監査官さんはそう言うと、今の戦闘データを始め様々な記録が入力されているであろうタブレットと睨めっこを始める。

私といえばようやく緊張の糸が解けてふぅ、と一息付いてから改めて検査場に備え付けてある鏡を覗き込んだ。

……私の、魔法少女としての姿が映る。

赤いオーブが付いた黒いドレスのようなコスチューム、手にした直剣が無ければパーティ会場にいるお嬢様がするような絢爛な衣装だ。

 

「……うぅ」

 

思わず鏡から顔を逸らす。

あれだけグイグイ来るマキナはまだしも、まさか魔法少女の自分自身すら直視できないとは思わなかった。

お姉ちゃんとマキナ以外に仲の良い女の子が居なかったとは言え、流石に自分相手に照れてしまうのはちょっと恥ずかしい。

 

「リオンー?終わりましたか?」

 

擬似デザイアとの戦闘試験が終わり入室が許可されたのかマキナが階段を駆け下りながら向かってくる。

そして私の目の前に立つと、

 

「……はーっ。

あーもう駄目駄目駄目です可愛すぎます反則ですよリオン。

大体なんですか破廉恥ですよこんなに肩を露出させて」

 

そのまま私に覆い被さるように抱きついてホールドし、そのまま肩を指でくすぐり出した。

マキナの言う通り肩は全くの無防備で、マキナの指は何にも阻まれることなく私の両肩を撫で回し、その度に全身にゾワゾワした感触が走る。

 

「ひゃっ、ひゃひひひっ!

ま、マキナくすぐったいよ!」

 

必死に抗議してもマキナの指は止まらない。

マキナの指一本一本が私の肩を這う度に背筋にゾクゾクした感覚が走って、力、抜ける……。

 

「マ……マキナ……やっ、め……」

 

「ほれほれここが弱いんですかぁ?

正義の魔法少女がくすぐりなんかで負けてたら駄目ですよリオン〜?」

 

「いひゃあっ!?」

 

そのまま指がどんどん肩の上を登って行って、首筋に触れる。

その瞬間、自分でも思いがけないほどの声が出て身体も飛び跳ねた。

首……弱いみたい。

 

「……あ、その……ごめんなさいリオン。

やりすぎちゃいましたね……」

 

マキナも私の過剰反応にびっくりしたのか、先ほどまでの距離感は何処へやら。

慌てて両手を引っ込めて、そのまま俯いてしまった。

 

「き、気にしないでマキナ。

ちょっとビックリしただけだから」

 

「そうですか……良かった」

 

マキナは大袈裟なほどに大きく胸を撫で下ろす。

……首筋がくすぐったいのがそんなに大変なのかな?

いまいちマキナのテンションの意味を掴みかねていると、遠くからコツコツと靴音が響く。

どうやらチェックを終えた監査官さんがこちらに向かってきたみたいだ。

 

「これにて適性検査は終了となります、お疲れ様でした。

こちら認定カードになります」

 

監査官さんから貰ったカードには私の写真と魔法少女名『スーサレッド・アトラナクター』の名前、それからBとCというアルファベットが大きく二つ。

確か一つ目は魔法少女のタイプ区分で、近接戦向きのアサルトのA、速度に長けるブリッツのB、遠距離戦のカノンのC、特殊な魔法を使うディファレンスのDの略だったはずなので私は速度重視のブリッツのB。

二つ目は単に私の強さランクで可も不可もないCランク。

私にカードを渡し終えた監査官さんはそれから、と話を区切りマキナに向かって言う。

 

「真藤さん、魔法少女の呼称には気をつけてくださいね。

ここは私達しか居ないので問題ありませんが、変身した魔法少女を本名で呼ぶのは基本御法度です」

 

監査官さんの注意を受けたマキナはバツが悪そうに顔を顰めながらごめんなさい、と軽く頭を下げる。

そう言われてみれば、マキナがここに来た時には「アトラナクター」ではなく「リオン」と呼んでいたが、どうやら良くなかったらしい。

 

「……さて、これで本日の予定は全て終了となります。

後日の研修を以て晴れて管理局に正式登録となりますので、それまでは何かあっても介入は控えて下さいね。

それでは、お疲れ様でした」

 

そう言うと監査官さんは扉まで見送りしてくれた後に踵を返して検査場の奥に消えて行く。

とりあえず今日やる事は全部済んだらしいので、私も差し出されたマキナの手を取りつつ管理局を後にするのだった。

 

「リオン、これからは変身した時なんて呼びましょう?」

 

「変身した時の呼び方かぁ……普通にアトラナクターからアトラで良いんじゃない?

安直すぎるかな?」

 

「いえ?呼びやすいしそれで良いと思いますよ。

……そうだ、名前と言えば武器の名前とか決まりました?

やっぱり名前あった方が絶対愛着湧くと思いますよ」

 

「名前ももう浮かんでるんだ、ヴァルーシアって言うんだけど」

 

「えー私に任せてくれればもっとカッコいいの付けますよ?」

 

そんな話をしながら。

……これからどんな危険に遭うか、どんな失態をしでかすかなんて全く考えずに。

 

――――――――

 

「やっぱり半斗浦東部近くは本数多くて良いですねー、うちの近くももっと増やしてくれたら良いのに」

 

管理局からの帰路でも相変わらず、マキナの膝の上に乗せられながらバスに揺られていく。

背中に思い切りマキナの……その、胸の感触は感じるし、マキナの両手も私の胸のところで組まれてて、その、当たるし……凄く恥ずかしい。

恥ずかしさから気を紛らわすために窓の外を見ると、いつの間にか見覚えのある景色になっていた。

マキナの膝の上で羞恥心に晒されていた時間は思いの外長かったようだ。

藁をも掴んだ気持ちで頭頂部に顎を乗せてるマキナに声をかけてみる。

 

「ね、ねぇマキナ?私の家この辺なんだけど……」

 

「ええ、知ってますよ」

 

マキナはそう言いながらも私を離す気はないようで、むしろベルを押せないように私を抱きしめる力を少し強める。

そうしている間にも自宅の最寄りがどんどん近付いていく。

それでもマキナは私を膝の上に捕まえたまま動く気配はない。

 

「あの、そろそろ降ろして欲しいなーって……」

 

「駄目です」

 

「え、えぇ……?」

 

マキナの膝から降りようと軽く身体を揺すってもまるで意味はなく、さっきまで近かった家が今度はどんどん遠ざかって行った。

後ろ髪を引かれる思いで通り過ぎる自宅を眺めていると、マキナが口を開く。

 

「……リオン、よく考えてください。

今リオンのお家には誰がいますか?」

 

「?家にはお姉ちゃんが……あっ」

 

そうだ、私の家にはお父さんもお母さんもいない。

お姉ちゃんとの二人暮らしだったけど……そのお姉ちゃんは失踪中だ。

 

「……ね?リオンくらいの子がお家で一人だなんて駄目。

ユクモが戻ってくるまでずっと帰るなとは言いませんけど、しばらくは私の家に泊まって下さい」

 

マキナは先ほどから少しだけ優しげな声色でそう切り出す。

くすぐったり膝の上に置いて匂い嗅いだり、ちょっと変なこともするけど……心配してくれてるんだ。

 

「ま、マキナは大丈夫なの……?

その、お母さんとかは?」

 

そう、いくら心配してくれてるとは言え、真藤家にそのまま上がり込む気にもなれない。

そう伝えると、マキナは笑ってこう返す。

 

「ん?あぁ私一人暮らししてるので平気ですよ」

 

「……ッ」

 

……私が覚えてる限り、マキナにはもうお父さんはいない。

5年前の怪人事変で亡くなった、と寂しそうに昔のマキナが言っていたのを思い出した。

最後にマキナに会ったのは2年前……そこからお母さんに不幸があったとしても、おかしくはない。

私、なんて酷いことを聞いちゃったんだろう……。

 

「……ご、ごめんなさいマキナ……」

 

声が震えていたかもしれない、それでもマキナに謝る。

もしかしたら辛い事を思い出させちゃったかもしれないから。

しかしマキナはそれに対して。

 

「いえ毎日夜中までずっとゲームしてたらうるさいってママに追い出されました。

もう高校生なんだから一人暮らししなさいって」

 

「……えぇ……」

 

……ちょっとだけ、ごめんなさいの気持ちを返して欲しかった。

 

――――――――

 

結局私たちがバスから降りたのは、私の家でもマキナの家の近くでもない所だった。

バスから降りた後に足が痺れて動けないと言い出すマキナ(自業自得だと思う)をなんとかバス停のベンチに座らせて回復を待つ事数分。

ようやく回復したマキナはベンチから復帰すると、私の手を取った。

 

「リオン、帰る前に買い物に行きますよ。

日用品とか揃えなきゃいけませんし」

 

そのままマキナに手を引かれて、近くのお店へ。

入った場所は所謂百均で、品揃えはなんでも広く浅く。

二人で店内を回りながら必要そうなものを見つけてはカゴに入れていく。

 

「お箸と歯ブラシに……お皿とかコップは割れるから入れるの最後かな」

 

「あっリオンリオン、『さくパン』新しいの出てますよ」

 

「お菓子よりも、帰ったらもうお夕飯にしようよ……」

 

ご飯前におやつ……さくさくカンパンのさくパンを買おうとするマキナをやんわり止めつつも、これから必要そうなものとマキナが必要だと主張するものを詰め合わせていくとカゴはどんどん埋もれて行った。

 

「い、一杯になったね……」

 

半分以上はマキナが入れたものだけど、それでも結構な量だ。

個々は小さいし安いけどこれだけ嵩張ると……と考えたところで、財布を家に置きっぱなしなのに気が付いた。

定期に残高残ってたかな……?

 

「お金なら私が払いますよ、その分は後でユクモに出してもらいますから気にしないでください」

 

マキナはそう言うけど、回り回ってお姉ちゃんのお金を使う事になるならもっと減らしたほうがよかったかな、と思う。

……と言うか。

 

「ねぇマキナ、それマキナの私物までお姉ちゃんに請求するつもりじゃ」

 

「さてそろそろレジ行きましょうかリオン!」

 

私の疑念は、わざとらしいマキナの大声にかき消されて消えて行った。

……まぁレシートとか残すだろうし、お姉ちゃんならそれ見て気付くとは思うけど。

もしかしてこんなにあれこれ買ったのは……とカゴを見て邪推していた時、ふと違和感に気付く。

 

「ねぇマキナ、手袋こんな沢山何に使うの?」

 

カゴを見ると、商品の山に紛れてかなりの手袋が紛れ込んでいる。

掃除に使うようなゴム性、冬場に着けるような暖かそうなもの、工事現場とかで使われてそうな大きなサイズのものも。

 

「あれ?これリオンが入れたんじゃないんですか?」

 

マキナも心当たりはないと言わんばかりに首を傾げる。

二人して顔を見合わせていると……カゴの中で異変が蠢き出した。

 

「マキナ離れて!

『アトラナクター、リザレクション!』」

 

異変を察知した私はすぐさま魔法少女に変身、マキナからカゴを引ったくって宙に投げ付けた。

 

投げたカゴが地に落ちる前に魔力が籠る何かが沢山飛び出してくる。

カゴに入っていただけあって小さいけど、とにかく数が多い。

 

「て、手袋が動き出した……!?」

 

「こいつらは自分で紛れ込んでた訳ですか……!」

 

ガシャン!とカゴが床にぶつかる音が響いてもなお手袋達は這い出てくる。

それだけではない、よく見たら周囲の棚からも次々と手袋たちは集結し、あっという間に私たちを取り囲んだ。

 

「……ッ、ヴァルシーア!」

 

周囲を見渡しながら武器の蛇腹剣、ヴァルーシアを呼び出して構える。

そのまま結合を緩めて鞭のようにしならせて周囲を薙ぎ払うと手袋たちはボトボトと斬り刻まれて落ちて行ったが……。

 

「……駄目!数が多すぎます!」

 

マキナが苦しげに叫ぶ。

その言葉の通り、手袋達はまるでアリのように際限なく数を増やし、今や周囲360°どころか私たちを半円状に埋め尽くしていた。

いくらヴァルーシアが変幻自在の軌道で攻撃できるとは言っても所詮は線の攻撃、面で来られると対処が追いつかない。

 

「そうだ、仮面!

……ど、どれも仮面付けてない!?」

 

デザイアの弱点は仮面、というのはさっき管理局で習ってきたばかりだ。

例えば分身するデザイアや子機を遠隔操作するデザイアならメインの一体がいて、そいつの仮面を破ればと思ったが……どいつを見ても仮面なんてものはない。

他に何か、引っ張れるものは?飛ばせるものは?それで何体倒せる?それとも逃げる方法を考える?

必死に策を練るけど時間が足りない、手袋たちは包囲網を崩さないように、ジワジワと距離を詰めてくる……。

その時に、私たち二人に向かって声が響いた。

 

『そこのお二人!危ないから動かないで!

……ブレイザー・ネスト!!』

 

その言葉と同時に、声のする方向から強大な魔力が放たれるのを感じる。

それを知覚した直後には魔力は私たちの周囲に炎として実体化し、瞬く間に私たちを覆い尽くした。

炎の竜巻とでもいう光景、手袋達も完全な面攻撃を受けてはどうしようもなく次々と焼却されていく。

視界が晴れた時には先ほどまでの手袋は一掃され、床に燃えカスが散らばるばかりだった。

私とマキナが安堵で胸を撫で下ろすと、声の主がこちらに手を振りながら歩いてくる。

……その格好は……?

 

「リオン見ちゃ駄目です!」

 

マキナにすぐ手で目を覆われたけど、少しだけ見えた人影は……、その、中々に強烈だった。

検査場で自分を鏡を見て恥ずかしがってたのが馬鹿みたいに感じるほどに。

 

「お二人とも、ご無事でしたか!?

……あの、なんでその子の目を隠すんです?」

 

「まず自分の胸に聞いてみたら如何ですかね。

その薄布一枚だけでかろうじて守られてる胸に」

 

……レオタードとか競泳水着みたいな面積で、ボディラインもくっきり。

肩を覆う大きなプロテクターと、それを一回り小さくしたような腰当てを腰の左右に取り付けていて四肢はそれぞれグローブと小さなガントレット、ソックスで肘と膝まで覆っている。

……手足や肩は割と守られてるのに身体だけはぴっちりスーツだけというのが逆に守られてない感を醸し出してるかもしれない。

その奇妙な衣装と最悪に噛み合っているのがそれを身に纏っている女の子の体型で、その……凄い大きくて.

多分マキナが目を塞いでくれなくても、すぐに直視できなくなってたと思う。

 

「なっ!?これは輝石の魔力を効率良く伝播させるために最適なフォルムですっ!

それにピッチリ目じゃないと中に触手が潜り込んでくるから仕方ないんですよ!」

 

「はぁ?触手?何言ってるんですか?

デザイアにも魔法少女にも触手を武器にする奴がいるなんて聞きませんけどね。

人に擬態するタイプのエイリアンとでも戦ってたんですか?私は無駄に浪漫あるロボットを開発して攻め込んでくるエイリアンの方が好きなのですが!」

 

私は勿論マキナよりも多分年上くらいのかなり大人っぽい体躯の人で、アトラナクターの私よりも純粋で雪のように白い白髪の腰まで届くストレートに灰色の瞳、左目は緑のモノクルを付けている。

両手に持っているのは背より長いような杖で、先っぽには5つの炎の模様が刻まれた黄色いオーブが嵌め込まれている。

この杖だけ見たら、立派な魔法使いみたいなんだけどなぁ……。

 

「貴方こそ何を言ってるんですか!?

サクガンの時点で右も左も触手まみれじゃないですか!

たまたまさっきの奴らの侵食が浅かっただけです!」

 

「……サクガン?

なんですかそれは」

 

目の前の不審者さんの言動を前にして、マキナの言動が止まる。

確かに二人の会話は少し噛み合っていなかった。

マキナのエイリアン観はともかくとして、触手を操るデザイアはいないとマキナは言ったのに対して返答ではデザイアのデの字もない。

その上私もマキナもその「サクガン」とやらに聞き覚えは全くないし、さっきの連中はデザイアなら必ず付けているはずの仮面も付けていなかった。

 

「……マキナ」

 

「えぇ、単なる露出狂では無いようですね。

……貴方は、何者ですか?」

 

私の声色をすぐに察してくれたマキナは改めて目の前の女の人と向かい合う。

そして素性を問うと、その人は誇らしげに宣言する。

 

「私はスタイン・ホーリーシアン!

淫魔たちの悪の組織イロージェスタ、そして奴らの操るサクガンと戦うモース公国一のエリート戦隊『スタインヘックス』ただいま参上、です!」

 

……ただの変質者さんより関わっちゃダメな人だったかも。

R-18版に需要はありますか?(本編ifの敗北シーンや舞台裏のシーンがメイン)

  • 需要はある
  • 本編ifの敗北シーンのみ需要はある
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