空に転生した転生者がテイワットを冒険した話 作:you are not
「はぁ、まったく勘がいいねぇダインは……」
とある森の中金髪の三つ編みで、子供と呼ばれていてもおかしくはない程の若い見た目の男性、空がため息を吐きながらその場にあった石に腰かける。
「……お前との付き合いはものの半年ほどしかないがそれでもわかることはある。空、貴様はいつも隠し事をする時目線を合わせずよそよそしいからな」
青年ほどの見た目で青い服装に身を包んでいる男性、ダインスレイヴが空と向かい合うように地面に腰かける。
「ほんとよく見てるなぁー」
「今はそんなことはいい、俺の考えはあっているのだろう?どうするつもりだ?」
ダインスレイヴは相変わらずひょうひょうとした態度の空の言葉を半場無視して質問を投げかける。
「うーん、そうだね。俺としてもあんまりやりたくはないんだけど『アビスの幼虫』になっちゃったからにはねぇ?」
これまで彼らは様々な地へ赴き旅をしてきた。仲間を募り、冒険者となり、そして各地で暗躍する『アビスの子』を討伐してきた。その果てに待っていたのは……
「空、お前の死だとでも言うのか……」
ダインスレイヴは顔に手を当ててうつむいてしまう。信じたくはない、受け入れがたいとでも言う風に……
「でも、これしかないというのも事実でしょ、妹にすべてを背負わせ――」
空が全て言いきることは無かった。なぜなら言い終わる前にダインスレイヴが空の胸倉をつかみ強制的に言葉を静止させたからだった。
「辛いのはお前だ!この世界とは無関係だったはずのお前が!この世界の罪を!業を!お前が背負ってしまった……」
地面に落ちる水滴によってダインスレイヴの言葉はその全てが空には聞こえはしなかった。だが、気持ちは何よりも伝わった。
「ダイン……ごめんでも決めたことなんだ。最後に真実を伝える役割を君が担ってくれないか」
空はダインスレイヴの背中をさすりながら決意を固めるように、諭すように言葉を投げかける。
「あぁ、決まっている。俺はお前の相棒だからなその仕事を請け負わせてもらおう」
ダインスレイヴは空の開いた方の手を掴み契約をここに誓うのだった。
―――
蛍はモンド城の広場そのベンチに座って空を眺めていた。蛍はテイワット全てを旅し、その末にアビスの指導者を……兄である空を倒すこととなってしまったのだ。そのことに後悔や罪悪感がないわけではなかった。それでも、テイワットで関わってきた人々やこの世界にはそれなり以上の愛着がある。その世界を壊し、尚且つパイモンを殺そうとしたお兄ちゃんを見ていられなかった。死んでしまったことの悲しみはある。だが、長い長い旅の経験からかすぐに兄の死、事態は割り切れた。でも、腑に落ちないことがあった。
『なぜ兄はアビスの指導者となったのか?なぜ私を、テイワットを裏切り世界を壊そうとしたのか?』
その疑問が頭の中をぐるぐる回り、食事も喉を通らないほどであった。そんな時――
「元気そうだな旅人」
蛍は背後から声をかけられ、その人物を探そうと背後を振り返る。
「ダイン……」
それはテイワットの旅において度々手助けをしてくれた人物にしてお兄ちゃんである空の相棒であった人物ダインだった。
「いつも連れてる妖精はいないのか?」
「パイモンのこと?それならあそこでアンバーたちと仲良くハニーソテー食べてるよ」
蛍が指さす方角にはパイモンと西風騎士団の面々が食卓を囲んで仲良く食事をしていた。
「……お前は参加しなくていいのか?」
ダインが蛍の方へと向き直り疑問を投げかける。
「私は……」
「空がお前や俺たちを裏切り、アビスの指導者となった理由がわからず考え込んでいるからか?」
「っ!!」
蛍は目を大きく見開きダインの顔を穴が開きそうなほどに見入る。
「……やはり、気になってはいたか。どうやらお前の兄はお前のことを誰よりも理解していたらしいな」
「何か知ってるの?」
蛍は心を落ち着かせるようにダインに答えを問いただそうとする。
「知っているとも。俺は相棒とある密約をしていたからな」
「密約?」
「そうだ、お前の片割れの兄、空が世界を欺きアビスの指導者となったわけ、そして俺たちの旅の全てをお前に教える。そうゆう約束だ」
そう言ってダインは仄かに緑色の光を発する装飾品に包まれた果実の種のようなものと手紙を取り出す。それはスメールの国において見覚えのある者だった。
「缶詰知識!?」
「そうだ。安心しろマハマトラにばれることは無い。ここはモンドでさらに言えばこの缶詰知識は一度使えば粉々になって壊れてしまう特別性だ」
ダインはそう言いながら私に缶詰知識を受け渡す。
「これがどうしたの?」
「この中に俺と空の半年に及ぶテイワットの旅の記憶が刻まれている。これを見れば全てがわかるだろう」
ダインのその言葉と共に私はアカーシャ端末を接続し缶詰知識を起動した。