空に転生した転生者がテイワットを冒険した話 作:you are not
ある時、俺は転生したことを理解した。純然たるその事実のみが確かに、確実に俺の中にあった。
俺がどんな世界に転生してきたのか、なんとなく理解した。
俺が誰なのかも理解した。
なにせ、見たこともない人?や両親に囲まれながらも双子の妹の名前を聞いた時から、新しい自分の名前が付けられた時点で察することができた。
『自分は原神の主人公に転生したんだと――』
…………
そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。はい、片割れの方でした。いやーよく考えてれば分かるよねー俺の方が先に目覚めてる時点でねー気づけよって話ですよ。妹が先に天理の調停者とか言う奴に捕まるかなって高を括ってたらですね、真っ先に捕まりましたとさ!愚かすぎて穴あらば入りたし……あっ!すでに捕まってるから実質身を隠せてるね!アッハッハッ!……はぁ、退屈すぎて死にそう。どうゆう状況かって言うと鍵のかかったロッカーとかの中に目隠しされた状態で閉じ込められてずっと放置されたような感じ……被虐癖の方々でも早々経験することない状況ですな、というか、余計わかりずらくなってるような……まぁ、誰に説明するわけでもないしいいか。
そんな風に、今日も今日とて思考に海に沈んでいたある時、突如暗闇の中から強い光が視界いっぱいにひろがりを見せた。
「なんっ、この光……眩しっ!?」
慣れた色のない暗闇の世界から慣れない色彩豊かな世界への変化に俺は思わず目を力の限り瞼を閉じるのだった。途中からきずいたことだったが手足は動かすことはできなかった。
「目を覚ましたか異邦人よ」
段々と光に目が慣れてきたのかぼやけていた視界は焦点が定まってゆき、声の主の姿をはっきりと捉える。
「天理の調停者っ……」
正体は俺もよくわからない。考察勢があーだこーだ言っていたのは覚えているが、正直わけわからなんかった……よってこいつはワルイ奴!ってことだけ覚えている。
「何のつもりだ?妹は無事なんだろうな?」
手足がこいつの謎物質で固められていて一切動かせないがそれでもあえて喧嘩腰な態度をとる。俺にとって目下の問題は妹『蛍』の無事である。この空が最も好きな事のひとつは 自分で強いと思ってるやつに『NO』と断ってやることだ…
「安心しろ。お前の旅はもう少しだけ続くこととなった。事情が変わったのだ」
「はぁ?おめぇさんの事情で俺の行動決められてたまるかっての、俺は俺の意思で行動す……」
「アビスの因子を持つもの達の魂をここ天空の島にて集めてくるがいい。そうしたら妹と再会させてやろう」
って、聞いてねぇし……さてはこいつ友達いねぇだろ。間違いない、こんなにマイペースな奴そうそういねぇ明らかに対人経験が薄い証拠だ!
「では、テイワットを旅せよ」
そう言って天理の調停者は俺の手足の拘束を解除した。
「へ?」
脚元を見るとジャングルのように木々が生い茂っているのが見える。わぁ、自然豊かな場所が下には待ってた……
――☆――☆――☆――
「おい、起きろ空。こんなところで油売っていては日が暮れてしまうぞ」
そう言われ金髪の三つ編みの少年空は目を覚まし、気だるげにその上半身を起き上がらせる。
「あーもうそんな時間かぁ、うぅーん正直全然疲れが抜けてないよ……」
体を伸ばしながら、ストレッチを行い寝ぼけた身体を無理矢理起こす空、悪い悪夢とでも言うべき夢を見た影響かそんな弱気な言葉が口から洩れてくる。
「気持ちはわかるが、俺たちには目的があるんだ。長時間昼寝している暇はない」
同じように十分な休息が取れていないのかダインはだるそうな雰囲気を纏わせながら黒ずんだ灰となった木の枝たちを足蹴にして煙をかき消す。
「わかってる、わかってるよ、俺たちは七神を探して、『カーンルイア崩壊の理由』と『アビスも因子』の二つについて聞きだす。……だろ?」
ダインは俺の言葉を聞ききながら強く頷く。
「そうだ。七神ならば俺にかかった呪いやお前の探している『アビスの因子』とやらについて詳細に知っているはずだ。そのためにここから近場にあるモンドに向かうわけだ」
「モンドの神様って言えば風神だったっけ?」
俺は前世の霞んだ記憶をたどりながらダインの言葉に答える。
「そうだ。モンドの神風神バルバトス。カーンルイアの崩壊時にも奴の姿があったまともに答えるとは思えないが、その時はどうする空?」
「勿論、抵抗するで拳で」
ダインは疑問符を頭に浮かべる
「……?お前は剣を使うだろ?なぜ拳を使う?」
どうやら、ダインには伝わらなかったようである。まぁ、考えてみれば当たり前か……
「いや、何でもない。速く行こうか」
「?あぁそうだな」
俺たちは食料、着替え、寝袋etx.etc.諸々の荷物をまとめて装甲車に詰め込み、ダインの操縦で木々をかき分けて森を抜けてゆく。
次回はダインと空が再会するところを挟んでからモンド編です。