空に転生した転生者がテイワットを冒険した話   作:you are not

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一週間ぶりです。一話一話書くのに時間がかかるんじゃぁ……それでも読んでくれる方は気長にお付き合いください。


出会い

 

拝啓 陽春の候、春の日差しが暖かいこの頃、いかがお過ごしでしょうか。

 

さて、白雪姫の如く囚われのお姫様となっております妹よ。今、お兄ちゃんは――

 

「ニュートンもビックリな自由落下の真っ最中でございまぁーすぅぅぅ!」

 

ニュートンはリンゴとキスをした。対して俺は地面とキスをする。そこに何の違いもねぇだろうが!

 

「違うのだぁぁぁ!」

 

脳内でおふざけ会議を終わらせて、走馬灯が流れながらも風の翼があったらなぁと思いながら、脳内の宣言通り近づいてくる地面へと接吻を果たすのだった。

 

 

――☆――☆――☆――

 

 

「いやぁ、生きてるって素晴らしいね」

 

前言撤回である。木の枝や葉っぱなどに引っ掛かってぶら下がっている状態で空はどこか悟った気分になりながら青空を見上げる。見上げた青空には先ほどまで自身がいた天空島が静かにその場その場から少しずつ動いているのがわかる。

 

「森で何とかなったのかな?」

 

当たりを見渡し自分が森の中の一本の木を枕として寝そべっていることを理解する。

 

「まぁ怪我もないみたいだし、生きてるならOKです!」

 

使い方が間違ってるって?……私は一向に構わんッ!!!!

 

「俺、誰に話しかけてるんだろ?」

 

いかんいかん、体感数百年ボッチだったせいでネットミームの多用と第四の壁に話しかけてしまう癖がある。まだ脳内だけであるから人との会話変人扱いされることは無いと思われる……不安になってきたな、今の内からどうにかして直しておかなきゃ(震え声)

 

閑話休題

 

「とりま俺は今森にいると」

 

状況と思考を整理整頓する意味も込めて左側を見ながらが光があまり刺さないような森の中にいることを口に出してみる。

 

「……誰か居ないかな?森のど真ん中だしないか」

 

落胆するようにため息を吐く。空は身をよじるなどして木の上から地面に降りようと何とかもがく……やがて、面倒になったのか空は腰の剣を抜いて自分にまとわりついていた枝や葉等を全て切り捨ててしまう。

 

「ふぅ、これで脱出成功」

 

綺麗に一回転しながら地面に着地したと思ったその時……

 

「ゑ?」

 

ゴロゴロと複数の石ころが転がる音がしたと同時に――空の足元が崩れていった。詰まる所落石である。空は咄嗟のことに素っ頓狂な声だけあげて穴倉へと落ちて行ったのだった。

 

 

――☆――☆――☆――

 

 

「いやぁ、生きてるって素晴らしいね」

 

本日二回目の発言である。今回は先ほどのように身動きが取れないような状況ではなかった。が、今度は暗闇の中に閉じ込められてしまった。

 

「まったく一人なのは変わらないなぁ……」

 

暗闇の中、一人文句をたれながら暗闇の中を進んでいく。最初こそ天理の調停者に捕まっていた時のように光一つ刺さない最悪な場所かと思われていたが、やがて眼が慣れてきたのか空は周辺の状況をはっきりと認識することが出来てしまったのだ。

 

「……墓?」

 

空の前方にあったのは墓、それも無数にあり共同墓地となっていた。十字架をよく観察すると材質はよくある花崗岩ではなく木製の十字架であり、二本の木材を細く伸ばした木の皮のようなもので結んであった。一個一個丁寧に作りこまれており、何らかの念がこもっているしか思わざるを得なかった。

 

 

「しかもこれだけたくさん……もはや執念だね」

 

 

この共同墓地を作った人物に対して思いをはせながら、空は十字架と十字架の間をかき分けるように進んでいく。気が付けば墓地を抜けていたと気が付いた時、目に映る光景を持ってここがどこなのかはっきりと分かった。崩れている建物、がれきの中にまとわりつく植物たち、今は亡き偽りの夜空の残骸たち――

 

「…………カーンルイア」

 

そう、ここは天に反逆せし神なき人の国カーンルイアの跡地。であるならば、あの埋葬されたもの達の正体の輪郭が浮かび上がってきた……ヒルチャールにもなれなかった哀れなカーンルイアの民たちなのであろう。

 

「なら、誰が埋葬を……!?」

 

その時、どこからか土を掘り返すような乾いた音が地下空間に木霊する。それだけではない、金属同士をぶつけたような音もする。

 

「なんだなんだ。カーンルイアのお化けさんでもいるのかい?まぁ、誰でもいいか」

 

亡霊か、ヒルチャールか、はたまた……鬼が出るか蛇が出るかという思いで空は音がする方へとあえて進んでいくことにした。かつて舗装されていたであろうコンクリートのひび割れて凹凸の激しい道を踏みしめながら音源へと一歩、また一歩と進んでい行く、そして、音の発生源へとたどり着いた空。そこにいたのは予想に反した人物であった。が、空にとってはなんとなく理解できる範疇であった。

 

「ダイン……」

 

「……!…空、なの、か?生きて、いたのか」

 

久方ぶりに発声したのか掠れた声を出しながら最後の宮廷親衛隊「末光の剣」であった人物、ダインスレイヴは作業に手を止めて空の方へと向き直る。

 

「お前もな、ダイン。無事……ってわけでもなさそうだな。まぁ、お互い生きてただけでも良かった」

 

やつれたダインの表情に気おされたのか空は言葉を選びながら再会できた喜びを言葉にする

 

「……あぁ、そうだな。お前が無事であることが喜ぶべきだな」

 

寂しさを孕ませながら口角をわずかに上げるダイン。

 

「道中たくさんのお墓があった。ダイン、君が彼ら彼女らを埋葬したのかい?何のために……」

 

「お前も知っている通り俺はカーンルイアの騎士だった」

 

ダインは唐突に語りだす。

 

「カーンルイアに忠儀を尽くし、人々が幸せであってほしい。それが俺の正義であり、自由意思であり、永遠の目的だった。その為に必要な知恵はなんだって覚えた。でも、そんなものは幻想に過ぎなかった。故国は滅び、守るべき民たちは醜い化け物になるか、皆死んでいった。俺に残ったものはカーンルイアに対する薄汚れた執着だけだ。ただ、それを満たしているだけだ……だから空、お前が気にする必要はない」

 

言いたいことを言いきったのかダインは地面に向き直り、無言のまま地面を掘る作業へと戻っていった。そのわびしい背中を見ながら空は信念を曲げられぬことの憐憫の情とそう理解してもなお止まらないダインに同情と理解とを覚えて行った……やがて、空は意を決したように、

 

「ダイン、他のシャベルはないのか?」

 

聞きながらダインの予備のシャベルとツルハシを探し始める空。

 

「……?あるにはあるが、どうする気だ?」

 

ダインは不思議に思いながらも正直に答える。

 

「何って、手伝う以外に何があんだよ」

 

「……言ったはずだ。これは俺の自己満足」

 

「知らないねぇ、ダインが俺にどうして欲しくても俺は俺の思うがままに行動するんでね」

 

ダインの言葉に効く耳を持たないまま空は発掘道具を手にダインの行動に付き合う姿勢を見せた。

 

「……はぁ、勝手にしろ」

 

根負けしたダインは空の行動を止めることをやめ、一緒に埋葬作業をすることとなった。

 

「しっかし、ダインお前よくこんな単調な作業ずっとできるよな。俺だったら三日で飽きるね」

 

空はダインが指定した場所の岩をツルハシで削りながら、雑談は始める。

 

「三日坊主とはお前のためにある言葉だな」

 

ダインもその他愛もない話に乗り、軽い毒を吐く。

 

「んだと!?わざわざ手伝ってくれた親友に対する言葉かそれが!」

 

作業の手は止めず、大声で怒りをあらわにする空

 

「勝手に始めたのはお前だろうに……ありがとう

 

「ん?最後なんか言った?」

 

「いや、何もないさっさと終わらせよう。流石に俺だって飽きが回ってくる」

 

その後、ダインが空の旅の話を聞き空と同じような言葉で同行することとなったのは、別の話。

 

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