リュウのラーニング大冒険   作:トッシー

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短めですが連続投稿です。


ラーニング4

カール王国で騎士団達を弔ったリュウは、クロスに別れを告げてヒュンケルの後を追った。

幸いにもクロスから礼に路銀を幾らか貰ったリュウは無一文を脱出することが出来た。

ヒュンケルが立ち去った方角から向かう先は、

 

「テランかベンガーナか…」

 

リュウは地図を見ながら目的地を予想する。

ギルドメイン大陸最大の都市にして最も安全な商業国ベンガーナ。

そのベンガーナの北に位置する隣国。自然を愛するあまり繁栄を捨てた小国テラン。

 

「魔王軍が襲うなら間違いなくベンガーナだよなぁ…」

 

侵略価値もなく人口の少ないテランを魔王軍が積極的に襲うとは考えにくい。

リュウは次の目的地をベンガーナに決めるのだった。

その選択が誤りである事に気がつかないまま…。

 

 

 

「またこのパターンか…」

 

ベンガーナに到着したリュウが目にしたのはカール王国の時と同じだった。

眼前に映ったのは破壊されつくした街並みだった。

焼け焦げた地面と鋭い爪痕が刻まれた建物。

カールを襲った超竜軍団のドラゴン達だろう。

軍備、商業ともに世界一とまで呼ばれた国が見る影もなかった。

既に自体は収まっており、街の復興が始まっている。

人々の話では、やはり襲ってきたのはドラゴンの群れであったらしい。

そしてドラゴンの群れを倒したのは年端もいかない黒髪の少年だったらしい。

戦鬼の様な強さで瞬く間に竜の群れを倒してしまったというのだ。

ドラゴンは並のモンスターとは訳が違う。

その鱗は鋼よりも硬く、生命力あふれる巨体は並の攻撃ではビクともしないのだ。

吐き出される炎のブレスはベギラマに匹敵するともいわれている。

そんなドラゴンの群れを倒した少年、

 

「もしかしたらあの小僧の方が怪物かもな…」

 

心無い住人の言葉にリュウの心がチクリと痛んだ。

自分が人間ではないと知れば、この街の住人はどう思うだろう。

それにドラゴンの群れを退けて街を救った少年は、どんな気持ちでこの街を去ったのか?

 

「……お前なのか?ダイ…」

 

この街にはダイは居ない。

立ち去った後と考えるのが妥当だろう。

なら次の目的地は…。

 

「隣のテランか…可能性は低いけど行ってみよう」

 

「キャアアアア!!」

 

リュウがベンガーナから去ろうとしたその時だった。

女性の悲鳴が上がったかと思うと、上空から強い殺気が放たれた。

足元に見えるのは巨大な蛇の様な影。

強い熱気を感じ取ったリュウは高く跳躍してその身を宙へと躍らせた。

ドラゴンライダー、竜騎士、竜使い…。

どう表現するのがいいだろうか。大蛇の如き巨大なスカイドラゴンを駆る鳥人が獰猛な眼で街を見下ろしていた。

スカイドラゴンが激しい炎を吐きだした。

このままでは復興中の街が再び焼かれてしまう。

それだけではない。下には多くの人々がいる。

リュウは自らスカイドラゴンのブレスに突っ込んだ。

 

「馬鹿か!こいつ自分からルードの炎に突っ込みやがった!自殺志願者かよぉ!」

 

鳥人が高笑いしながら手綱を握り締めた。

しかし突如として鳥人の笑みが凍りついた。

炎の中からリュウが飛び出してきたのだ。全くの無傷で。

衣服も燃えていなければ、火傷一つ負っていない。

 

「ば、ばかな…っ!?」

 

「ちょいと失礼」

 

リュウはスカイドラゴンへ飛び乗ると鳥人へと不敵に笑って見せるのだった。

 

 

「て、てめえ!俺のドラゴンから降りやがれ!!」

 

「おっとっとっ」

 

鳥人は怒りの形相で手綱を操り、リュウを振り落とそうとする。

リュウはウネウネと動く巨体の上でバランスをとりながら、

 

「暴れるなよっと!」

 

ギャアアアアアアアアッ!!!

 

スカイドラゴンに剣を突き立てた。

 

「ル、ルードォォッ!?」

 

鳥人が狼狽し、スカイドラゴンが激痛の悲鳴を上げる。

竜の鱗は鋼以上の強度を誇る。

それにここはスカイドラゴンの身体。

足場が安定せずに攻撃の威力など乗らない筈。

目の前の人間はそんな状況で剣で相棒の鱗に深々と突き立てたのだ。

人間如きが有り得ない。

鳥人は愛竜を傷付けられた恨みと見下している人間の思わぬ抵抗に激しく怒りの漲らせるのだった。

 

「人間如きがよくも俺のルードを!!」

 

レイピアを抜き放ち凄まじい速さでラッシュしてくる。

しかしリュウにとってその攻撃は、速さは大したものだがそれだけだ。

リュウは何度か刺突を回避し、なんと素手でレイピアを受け止めた!

 

「な、なんだと!?」

 

唯でさえバランスの悪い足場だというのに…。

鳥人はここで漸く目の前の人間が別の生き物のように思えてきたのだ。

人の様な姿でありながらこの圧倒的な強さと纏う空気。

鳥人の脳裏に自身が敬服する将の姿がリュウと重なった。

 

「そ、そんなバカな事が…」

 

鳥人はその考えを無理やり振り払うと再び手綱を繰り叫んだ。

 

「あって、たまるかぁーーっ!!」

 

瞬間、リュウの足元の感触が消えた。

スカイドラゴンが鳥人の意を組むように上空へと舞い上がったのだ。

リュウは突き立てた剣の柄を握り締めて落下を防ぐ。

 

「そっか、自分で飛べばいいんだ」

 

GAAAAAAAA!!?

 

リュウはスカイドラゴンから剣を引き抜いて呪文を唱えた。

 

飛翔呪文( トベルーラ)

 

リュウの身体が舞い上がり、街を襲ったドラゴンライダーに相対する様に眼前でとまる。

スカイドラゴンは血飛沫を巻きながらも主を乗せて宙に浮いていた。

「こ、この野郎…ルード、大丈夫か…」

 

ぐるるる

 

スカイドラゴンは力なく鳴く。その視線はリュウを捉えているが、その眼の色からは恐怖が宿っていた。スカイドラゴンのルードは同じというにはおこがましい程の竜族としての格の次元の違いを感じ取っていた。

 

鳥人はスカイドラゴンの気持ちを汲み取って愕然とした。

 

「嘘、だろ?お前が戦意を喪失するなんて…」

 

鳥人は逡巡の後、自らの翼を広げるとスカイドラゴンの背中から離れた。

竜使いとしての経験がこれ以上は無理だとはんだんしたのだろう。

鳥人はスカイドラゴンを後退させるのだった。

そして殺意、敵意、憤怒、様々な負の感情がリュウに叩きつけられた。

 

「てめえ…、どこの誰だか知らねえが楽には殺さん。ハラワタぶちまいてぶっ殺してやるぅっ!!」

 

こうしてリュウと魔王軍の初めての戦いが幕を開けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く?

 

 

 

 

 

 




竜騎衆のかませガルダンディーさんです。
登場早々、ベンガーナを襲う鳥さんです。
そこに彼にとっては運悪く居合せたリュウさんと鉢合わせ。
どうなることやらですね。
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