スランプですね。
御目汚ししてスイマセン。
「ば、ばかな…こんな事が…」
竜騎衆が一人、ボラホーンが総毛立つ。
彼らはその役割故か多くのドラゴンを見て触れてきた。
しかし目の前の存在は明らかに常軌を逸していた。
そう呼ばれる呪文が存在するが、明らかに異なる変身だ。
そもそも敵は呪文を唱えていなかった。
彼らが騎乗してきたドラゴン達は既に戦意喪失、怯えた表情で震えていた。
竜騎衆の前に存在するのは威風堂々とした巨躯を誇る一頭のドラゴンだった。
城壁の様な巨体を覆う金色の鱗は淡く光を放っており、強すぎる程の生命力が三人の肌に伝わってくる。
炎、氷、雷の三種の属性を司る竜。
その名を【トライゴン】
「…くっ!?皆避けろっ!」
ラーハルトはそう叫びながら目の前のドラゴンに向かって前転飛び。
ボラホーンは自身のドラゴンの身体の影に隠れるように伏せる。
ガルダンディーは凄まじい速さで羽ばたく。
「く、
いきなりの事だった。
トライゴンはその巨大な顎から咆哮と共に凄まじいまでのエネルギーの奔流を吐き出した。
それはあらゆる属性何れかにも分類されない無属性の力【ドラゴンブレス】
ドラゴンの生命エネルギーそのものを反映し威力となす超高エネルギー波だ。
ドラゴンブレスはラーハルトの背中を焼きながら、その背後の湖を蒸発させて山を貫いた。
ボラホーンはドラゴンを盾にしたことで即死は免れたが、エネルギー波の余波で体中に傷を負いながら吹き飛ばされる。
ガルダンディーは、咄嗟に空に逃げた為、無傷で済んだ。
「な、なんという威力だ…」
いつの間にか鎧を装着したラーハルトが穴が開いた山を見て冷や汗をかいた。
「大丈夫か?ボラホーン…」
「あ、ああ…この程度でくたばるほどワシは軟ではない」
「くっ!お前たち!散開しろ!」
ラーハルトの檄が飛ぶ。
陸戦騎は既に駈け出しており、トライゴンの側面を奔っていた。
戦士の行動で他の竜騎衆も動き出す。
ラーハルトの行動を全力でサポート。それが他の二人の使命。
ガルダンディーとボラホーンは命を賭して上空と地上からトライゴンに肉薄した。
「こいつはこの場で仕留めなければならんっ!分かっているな!」
「おうっ!バラン様の為に!」
残像を残すほどの凄まじい速さでラーハルトはトライゴンの死角へと移動。
巨体のドラゴンとしては有り得ない程の速さを持つとはいえ、それは直線の動きのみ。
流石に小回りは人間の動きには及ばない。
ラーハルトの魔槍がトライゴンの腹を、ボラホーンのイカリが足を、ガルダンディーのフェザースラッシュが眼を狙う。
トライゴンは竜騎衆の連携に翻弄されていく。
「ちぃっ!やっぱりな…っ!」
「俺たちの攻撃が全く効いてねえっ」
竜騎衆達はトライゴン相手に一歩も引かず善戦している。
しかし、やはり決定打には欠ける。
攻撃が通らないのだ。
いや唯一ラーハルトの攻撃だけは、かすかな掠り傷を残している。
しかしトライゴンの巨体にはあまり意味がないように思える。
もしも致命的なダメージを与えるには、急所に最大の技を叩き込む以外にない。
ここで三人の心は一つになった。
ラーハルトが最高の攻撃を叩き込む為の隙を作るため、命を捨てる覚悟を。
その為に必要な事は何か?
竜騎衆は眼で合図をするとトライゴンから距離をとり固まった。
そうなるとトライゴンの行動は、
「来るぞ!ブレスだ!」
「悪いがお前たちの命、貰うぞっ!」
「勘違いするなよ!お前の為じゃねぇっ!バラン様とディーノ様の為だからな!」
「最高の攻撃を放つ瞬間、最大の隙が生じる…狙いはそこだ。しくじるなよっ!」
そして放たれるファイヤーブレス。
煉獄の奔流は周囲を薙ぎ払い焼き払いながら竜騎士達に殺到する。
ボラホーンとガルダンディーは敢えて避けようとしなかった。
ラーハルトはボラホーンのその剛腕を踏み台として、
「行くぞっ!」
「この技は趣味じゃねぇが…、俺の残りの力、受け取りやがれ!」
ガルダンディーがフェザースラッシュをラーハルトに放つ。
これは攻撃の為ではない。
その逆、自らのエネルギーを活力として仲間に分け与える空戦騎らしからぬ技だ。
ガルダンディーの力を受け取りラーハルトの力が漲る。
既にラーハルト以外はブレスの攻撃範囲内。
回避は不可能、しかし勝利を確信してか、死の間際にして二人の表情は明るい。
「受けろっ!我ら竜騎衆最強の一撃をっ!!」
ラーハルトは頭上で魔槍を高速回転させて闘気を高める。
そして繰り出される最強の奥義っ!!!
その名は、
ハーケンディストールッッ!!!!
「悪いけど受けてやらん」
その圧倒的な一閃が繰り出される瞬間、
トライゴンの姿がその場から消えた。
ハーケンディストール…、
ラーハルトの放った闘気の斬撃は空を引き裂き虚しく大地を両断した。
そこにはトライゴンではなく、青い髪の青年が無傷で佇んでいた。
「ば、馬鹿な…」
何のことはない。
リュウがハーケンディストールを回避した手段は変身解除だった。
ドラゴンの巨体だと直撃は免れない。
しかもブレスを放った直後で無防備だった為、このままだと流石に大きなダメージを受けてしまう。
その為リュウは急遽もとの姿に戻る事によって攻撃を回避したのだった。
「凄い技だ…、その礼をしてやるよ」
リュウは空高く跳躍すると己の剣を凄まじい速さで回転させていく。
「…っ、ばか…なっ、そんな、まさか…っ」
有り得ない。
認めたくない事実がラーハルトの心臓の鼓動を早鐘の如く高まっていく。
「見様見真似っ!ハーケンディストールッ!!!」
「ば、ばかなぁぁぁぁっ!!!」
なんとリュウは陸戦騎の秘技を武器こそ異なるが再現して見せたのだった。
即席の為、技の錬度こそ劣るものリュウ自身の凄まじい性能もあってかその威力は本人のそれを凌駕した。
そして、
「うおおおおおおおおっ!!?」
―バラン様、申し訳ありません-
ラーハルトの魔鎧が砕け散った。
吹き飛ばされて山に空いた穴を通って飛んでいくラーハルトを背に着地する。
もう戦える竜騎衆は存在しない。
リュウは辺りを見回して溜め息をついた。
「これって俺の方が悪人っぽくね?」
ラーハルトの最後の呻きにリュウは何とも云えない気持ちになった。
続く?
本日のラーニング
ハーケンディストール
消費AP15
必殺 必中 防御無視 素早さによって威力増加 スタン
ドラクエ風リュウのステータス
リュウ
まほうせんし
レベル80
HP:675
MP:492
ちから:323
すばやさ:312
たいりょく:331
かしこさ:188
うんのよさ:44
こうげきりょく:453(ドラゴンブレイド装備)
ぼうぎょりょく:301(ドラゴン装備)
なんかリュウの方が悪役っぽい話でしたw
力を与えるフェザースラッシュはオリジナルです。
原作には有りません。
ラーハルトのファンの方々、申し訳ないです。
死んでないので許してください。