ここのところ忙しかった上に体調を崩してしまい、投稿が滞ってました。
忙しいのは去ったので投稿を再開します!投稿頻度上げる予定です。
ザリラを突き刺す前脚を抜くスカイスレイヤー。穴が空き、貫通した甲殻の隙間から血液が滴り落ちる。
耐えようとしたザリラだったが、遂に地面に膝をつく。
ギャァアォォォォォォォーーーー
スカイスレイヤーの咆哮。その表情は、苦しむ相手を見て楽しんでいるかのようだった。
岩崎隊長率いるパワードスーツ部隊は、小高い丘の上から怪獣同士の激突を見下ろしていた。
その時。赤外線カメラで街を見ていた部下が叫び声を上げた。
「隊長!怪獣たちの足元に人が…!」
彼らはそれが、ザリラを上陸させた張本人…桂木 悠たちであることを知らない。
「何っ‼︎」
岩崎はすぐさまパワードスーツを起動させる。
『コントロールシステム異常なし。』
機械音声の声を聞きながら、慣れた手つきでスイッチを入れ、発進準備を整えた。
「隊長⁉︎」
「悪い、ちょっと用事思い出したわ。」
あたふたする部下たちにそう言い残し、岩崎はパワードスーツで走りさっていった。丘を降り、怪獣たちが戦う街の方へ…。
パワードスーツはチェーンガンを抱えたまま、瓦礫の間を疾走する。「歩行」だけでなく、脚の裏のキャタピラによっての走行も可能であるため、効率よく現場へ向かえる。
空中で宙返りし、瓦礫を飛び越すパワードスーツ。コックピット内の岩崎の目には闘志が宿っていた。
「絶対に助けてみせる…!」
◇◇◇◇◇
ッッドォォーーーーーン‼︎‼︎
うつ伏せに倒れるザリラ。ダメージが大きすぎて立ち上がれない。
スカイスレイヤーがその背中に降りて来た。ザリラの背中を掴む。
スカイスレイヤーはそのまま翅を震わし……2体の怪獣の巨体が宙に浮いた。ザリラは振り払おうと暴れるが、上昇は止まらない。
どんどん高度が上がっていく。雲を抜け、眼下の街は見る見る小さくなっていく。
近くで戦いを見守っていた私、桂木 悠と友達(?)の坂井 明は、持ち上げられていくザリラを見上げることしかできない。
「何をする気…?」
「まさか…‼︎」
私は最悪のことを考えた。もしそうなれば、私たちは……!
そして、その「最悪の事態」は起こってしまった。
500メートルほどの高さになった時。スカイスレイヤーはザリラを放した。
ザリラは地上へ真っ逆さま…。
ーーーーーーーーーーーーッ‼︎‼︎
地面が揺れ、少し遅れて轟音が鳴り響く。物凄い衝撃は周囲に広がり、落下地点付近は完全に破壊され尽くした。
立ち昇る砂煙の中で動く影はない。全てが静寂に包まれた。
私の目の前で、うつ伏せでぐったりして動かないザリラ。
落下の衝撃は大怪獣に大きなダメージを与えた。骨は折れ、内臓は潰れているんだろう。
そして私も、ザリラ落下の衝撃波で吹き飛ばされ動けない。身体中打ち付けられて痛い。一緒にいた坂井くんもどこかに飛ばされてしまった。
あーあ。こんなんで死ぬのか。私は諦観の境地にあった。
ザリラを追って走って、辛い日常を少し忘れられてたんだけどな。何か自分が変われると思ったんだけどな。結局何もできなかったし、何も変えられなかった。
「お前は何もできねぇな。存在価値無いじゃん。」
かつて言われた言葉を思い出す。自分の人生ホントにそうだった。
私は耐えられなかった。目から大粒の涙が溢れ止まらない。
毎日が辛くて、「死にたい」って思ってた。でもいざ死ぬ時になって「生きたい」と思ってしまう。
坂井くんの気持ちが理解できた。私も彼と一緒だったんだ。
いいや、違う。私は坂井くんと違って誰も何も失っていない。自分を自分で責めて、1人で勝手に苦しんでいたんだ。でも、苦しまざるを得ない状況だったし、どうしようもなかった。
結局何が悪かったんだろうか。私?会社?それともこの世界そのもの…?
ギィィィィイイ………
ザリラが唸った。ほんの少しだけ、その目に光が宿っていた。ザリラは苦痛の中でも生きようとしている。
その姿に、過去の自分が重なった。辛かった頃の記憶が蘇る。
そうだ。これを覆すんだ。そのために私はここまで来たんだった。
そう思い出した途端、痛みが身体から引いていった。これなら行ける…!
気がつくと、右手に付けていた腕輪が光っていた。どうすればいいのかなんて知らない。でも私は…。
ふらふらと立ち上がると、ザリラの方に歩みを進めた。
ザリラの鼻先にそっと手を伸ばす。一旦引っ込めようかとも思ったけど、勇気を持ってそのまま触れてみた。
少し冷たい甲殻の感覚。触り心地は想像通りだった。
すると、腕輪の光が私の右手を通りザリラに流れていった。痛みとかはなかったし、驚かなかった。
私はそれを見ながら祈った。
お願い。もう一度立って、戦って…!
◇◇◇◇◇
スカイスレイヤーは、ザリラの落下地点へと降下していた。ゆっくり近づいていく。もう勝敗は決していた。スカイスレイヤー自身もそう思っていたし、誰が見ても明らかだった。
しかし。
瓦礫の山を突き破り、大怪獣がその姿を現した。ボロボロだった甲殻は綺麗に復元し、虚だった目にも闘志の炎が宿っている。
赤黒い甲殻がその姿を際立たせた。スカイスレイヤーはその姿に驚愕した。
なぜだ。あんなに痛めつけたのに。
クレーターの真ん中で、甲殻大怪獣ザリラは天に咆哮した。
その足元には、1人の人間が立っていた。ザリラに全てを託し賭けた彼女は、清々しい笑顔でザリラを見上げた。
「さぁ、思う存分暴れるんだ…ザリラ‼︎」
ザリラにすかさず飛びかかるスカイスレイヤー。しかしザリラの甲殻はその鋭利な前脚を弾く。
想定外の硬さに一瞬動きが止まるスカイスレイヤー。その隙を見逃さず……
バシュッ‼︎‼︎
目にも止まらぬ速さのパンチ…ザリラパンチが炸裂!華奢な体格のスカイスレイヤーはひとたまりもない。
吹き飛ばされ、落下するスカイスレイヤー。身体には強烈な打撃痕が残されていた。
ザリラは両手のハサミをチョキチョキさせて、これでもかとばかりに挑発する。
実際、ザリラは以前と比べ物にならないほど強くなっていた。どうやってか?それは桂木 悠の「願い」が通じたから、としか言いようがないだろう。
非科学的で非論理的、非現実的。しかし、彼女の想いは奇跡を引き起こしたのである。ザリラの復活強化が何よりの証拠だ。
低空飛行でザリラに接近するスカイスレイヤー。すれ違いざまに鋭い鉤爪でザリラを引っ掻いた。
引っ掻いただけとはいえ、音速での打撃だ。その威力は相当強い。
さしものザリラも攻撃を受けた腹部を押さえて唸る。
それを見下ろすスカイスレイヤーは第二派攻撃に移る。
再び音速で接近するスカイスレイヤー。この戦いに勝つにはヒット・アンド・アウェイ戦法しかないと悟った。
全力の一撃は、しかし、当たった感覚がなかった。
スパッ
静かな音。同時にスカイスレイヤーの前脚が斬れ落ちた。切り口から緑色の血液(?)が吹き出す。
敵の攻撃に合わせ、ザリラがハサミを振るったのだ。切れ味抜群の凶器で昆虫怪獣の脚を切り落とすのは容易かった。
自慢の「槍」を失ったスカイスレイヤーは、苦し紛れに電撃を放つ。
ジジジジッジジジ…!
しかし、今までと違い片手からしか攻撃できないため威力は半減。ザリラは片手で電撃を遮ってしまい、全く効かない!
手で電撃を遮りながら、ザリラは敵の方に一歩一歩歩みを進めた。その度に破壊される建物や車。スカイスレイヤーの電撃がそれ、周囲に着弾し炎が上がった。
燃える街並みを破壊しながら迫り来る敵に、スカイスレイヤーは恐れをなした。
未知への戸惑いや驚きは今までもあった。しかし、恐れという感情を抱いたのは初めてだった。
スカイスレイヤーはザリラの攻撃が届かない位置まで上昇。一旦離脱することにした。
しかし。ザリラの鋭い目がそれを追いかける。
ただならぬ雰囲気にスカイスレイヤーも、遠巻きに見守る国防軍隊員も息を呑む。
ジジ……ジジジジ……
ザリラの甲殻に白いスパークが走った。美しく、しかし凄まじいエネルギーが蓄えられているようだった。
大きくのけぞり、息を吸い込むような動作をするザリラ。
身体中に発生したスパークは、やがてザリラの背中の方へ流れていき、さらに首…そして頭に向かっていく。
大きく開かれた口の中から光が漏れ出した。
◇◇◇◇◇
ザリラを見送ってから、私は倒壊を免れたビルを見つけていた。その屋上からなら、ザリラとスカイスレイヤーの戦いを見れるかもしれない。運良くドアが開きっぱなしだった。
そうして登ったビルの屋上で、私は光るザリラを見た。
私にはわかった。ザリラはこの一撃で全てを決める気だ。
右手の腕輪がうっすら光っている。それをそっと握りしめた。
怪獣が光ると……!そういうことです。
次回「第8話 真実の島」(仮題)近日投稿予定!
物語が大きく進みます、ご期待ください。
前回のアンケート、締め切らせていただきました。読者の皆さんの傾向を掴むことができましたので、より楽しんで頂ける作品になるように頑張ります。
それともう一つ、新しいアンケートもぜひよろしくお願いします。