「すっげーー!これがミセドのお化け屋敷かぁ〜!」
「えぇ。今ここで奥にあるスタンプを押したらドーナツ20個プレゼントと言う、成金ブルジョアがやる様な太っ腹通り越してデカっ腹なイベントを行なっているみたいですね」
「楽しみやね〜」
「……もしかしてそれ、コナン映画の少年探偵団のモノマネ?」
「大丈夫?後で春の爆発祭りになったりしない?いま秋だけど」
放課後の時間。いつもの如く赤字覚悟のイベントを行なっているミセスドーナッツの横に建てられた、『ミセド 秋のキャンペーン ホラー屋敷』という看板が建てられた黒いテントを前にしてアホみたいな会話を繰り広げているのは、とある男子校の高校生…上から洋太、巻衣、天匙、錦吾、徹の五名であった。
「てか大丈夫かよこの店……この間も50%セールやってたけど……
あと今更だけど、何で学級委員コンビとドブカス眼鏡も此処に居んだよ」
徹が呆れた表情でそう呟きつつ、ドーナツを食べに来た洋太以外にも自分と一緒に行列へ並んでいる、学級委員の二人とドブカス眼鏡もとい天匙に視線を向けた。
「俺と巻衣は、今度の文化祭でお化けの女装をする事になってるから、実際に使われるお化け屋敷の衣装がどういったものなのかを視察しに来た」
「右に同じく。あとドーナツが食べられると聞いたので」
「ウチは驚かせに来たお化け従業員供に対してうっすいリアクションを取って、困惑で肩透かしを食らう様子を見る為やで〜」
「随分歪んだ楽しみ方だね」
天匙の此処へ来た理由を聞いた洋太は、その歪んだ楽しみ方に思わずツッコミを入れた。
そんなやり取りをしている内にも列は進み、洋太達の歩みがお化け屋敷入り口前まで近付いて行く。
「ほんでどないする?このままイッキに五人入るか、それとも2組に分かれて入るか?」
「あー。確かに2組に分かれて入った方が、ドーナツ貰える数2倍にはなるけど……大丈夫かよそれ?お店の利益的に」
「ちなみに僕は、あの反省を促してきそうなお兄さんの首に巻いてあるドーナツの装備品が気になります」
「うん、それはクソどうでもいいです」
お化け屋敷に入る直前、天匙が2組に分かれて入るかどうか切り出した。徹は出口でカボチャの被り物を着けた案内人からドーナツボックスを受け取る客を見ながら呟く。洋太の疑問はスルーした。
「二人はどう思……んえ?どしたの委員長。錦吾くんにしがみついて」
「………見円くん達は先に行ってて。僕らは後で入るから」
「それは良いけど……足がビックリするくらいに震えてるよ?」
「む、武者震いですけど、ななななにか?」
真剣な表情でそう語る巻衣はお化け屋敷の入り口で立ち竦み、錦吾の腕にしがみつきながらガクガクと震えていた。ついでに徹は「産まれたての子鹿かな?」と心内で呟き、天匙はゲラゲラとゲス顔を晒しながら巻衣を指差していた。
「だっはっはっはっは!巻衣ちゃんビビり過ぎやろ!ちょいと独り立ち早かったんとちゃいますか?はよお母ちゃんのおっぱいを吸いにお家に戻ったらどうや?」
「……ご心配無く!委員長たる者、お化けの一体や二体でビビりまくるだなんて、そのような事が有ろう筈が御座いませんから!それはそうとドーナツが多く貰えるなら、後から僕と錦吾くんとで追加分を貰ってくるのも、吝かではないですが?」
「そういうわけだから、はよ行ってくれ。俺らもすぐ追い付くから」
「りょーかい。ほんじゃあ行ってくるね」
「次の方ドゾー」
煽られて顔を真っ赤に染めた巻衣はそう反論すると、錦吾にしがみつきつつ3歩後ろへ下がって、お先にどうぞとばかりにしばし待機する。
そんな姿を見た洋太は徹と一緒に、巻衣を揶揄ってやろうと悪どい笑みを浮かべていた天匙の襟を掴んでズルズルと引き摺り。案内人から貰ったスタンプカードを手にして、お化け屋敷へ入っていった。
「うわぁ……思ってたより本格的じゃんか。これ絶対予算掛かってるよな?ちゃんと利益出てる?」
「確カニ……お、見てよあの辺の小道具、完成度たっけーなオイ」
「ほーん、ドーナツ屋にしちゃあクオリティ高いやんけ」
お化け屋敷に入った三人は、薄暗い通路をゆっくりと進みながらそんな感想を漏らす。徹はセットの作り込み具合を見て、洋太は天井からキイキイぶら下がってる人形や包丁がブッ刺さった髑髏等の装飾を見て、天匙は予想以上の内装のクオリティの高さに感心しながら、ゆっくりとした足取りで進んでいく。
そしてある程度進んだ所で、オーバーオール衣装で首回りに血糊がついた紙袋のお化けに扮した従業員が三人の前へ、石付きがある鉈包丁を手に驚かせに来た。
「うぉお!?」
「んん? あ、ども」
「いい仕事してんねー、お疲れ様でーす」
反応は三者三様。ある者は普通に驚いて後ろへ下がり、ある者は呑気に笑顔で手を振って挨拶をし、ある者は笑いながら労いの言葉を従業員へ掛けた。
それを見た従業員は(予定通りの反応をした一人は兎も角として)残りの二人から予想外な反応が返ってきて面食らった。しかしすぐに気を取り直し、彼らへ向けて模造包丁をぬんっと振り下ろして奥の方へと移動させる。
「………うっすいリアクションを取って楽しんでるドブカス眼鏡は別にいいとして。洋太、お前なんか反応薄くない?」
一方その場を小走りで移動する徹は、同じ様に横で走る親友へそう問い掛けた。
「うーん、小さい頃にこういう所へ来た時は笑いながら走り回ってたから、今回もそんな感じで楽しもうとしたんだけど……なんていうか、面白いよりも先に『あ、ふーん。こんなもんかぁ』って気持ちが先に来ちゃったっていうか……」
「なんだその『小さい頃は脂っこいものも食べれたけど、年を重ねる毎に胃が受け付けなくなって来た』みたいな奴と似たパターンは」
お化け役の人達からしたら、ある意味誰よりも迷惑な客だろうなコイツら……なんて考えながら足の速度を緩める徹。そんな彼の目の前で、腹部から伸びた糸を用いて天井から降って来た蜘蛛が、細かい毛が生えた8本の節足を見せつける。
「うぎゃああああああああああああああ!!??」
「あ、蜘蛛だ」
一瞬思考を停止させ、0.1秒後には蜘蛛の仕掛けに腰を抜かして絶叫し、その横で洋太がのんびりと呟く。天匙は「さっきのよりもデカい声やったな」と呟きつつ、情けない叫び声を上げた徹を見てゲラゲラと笑った。
「でーじょうぶかぁ?ほな早よ行こうや。ドーナツが自分らを待ってんやなかったか?」
「て、テメェ……こっちの気も知らねぇで他人事みたいに……」
「せやかて他人事やし」
「ハイハイ、喧嘩はあとでやるとして。二人とも早く進も?そろそろお腹すいてきたし……」モグモグ
「それバナナ食いながらいう台詞じゃねぇだろ。あと此処で食うな」
蜘蛛の仕掛けに腰を抜かした徹を起こしながら、洋太は言い争いする二人を制しつつバナナを食べながら先へと進んだ。
それからも三人は、チェーンソーを構えた奴やフランケンシュタイン、オオカミ男、死神、etc、etc…といった姿へ仮装した仕掛け人に(徹だけが)驚かされながら進んでいき……
「いやテメェら少しは驚いて差し上げろや!俺ばっか驚いてばかりで、馬鹿みてぇじゃねぇか!?」
他のセットと比べて急に雑になったスタンプ台の前で、膝をついて床を叩く徹の魂の叫びが、お化け屋敷の中に響き渡った。
「そうは言うても、ここお化け屋敷なんだからお化けが出てくるのは当たり前なわけで、驚くもんも驚かんよ」
「だとしてもさぁ!もっと他に取るべきリアクションあるだろ!!ピエロが出てきた時なんか、『ハァーイ、ジョージィ……調子いい?』って何だよ⁉︎ なんでそこでペニーワイズが出てきてんだよ!あのピエロの人も見るからに困惑してたぞ!」
斧を持ったピエロが思わず「え、あ、ハイ」と返事をしていたのを思い返しながら、此処まで驚かしに来たお化け役の仕掛け人達へ普段通りの対応を行なっていた洋太と、想定外のリアクションで仮装用のマスクの下で困惑の表情を浮かべているであろう従業員の反応を見て楽しそうにしていた天匙へツッコミをかます。
「でもさ、徹も仮面ライダーで再生怪人が出て来たのを見たら『あ、これ直ぐにかませられる奴だな』ってなるし、照井刑事が死にそうになっても『はいはいどうせ終盤で包帯巻いてコーヒー飲んでるでしょ』ってなるでしょ?」
「そんな“結果は分かってるんだから驚く事ないだろ”みたいなこと言われても……あと今回の問題はそう言うことじゃなくて、その場に適したリアクションを取れって事だから。お前らロッチ中岡や鈴木奈々を見習って?あの人達ダマされた大賞でも毎回いい反応してくれるから」
「うーぬ、じゃあ次出て来たらこんな感じで叫んでみる?」
カードにスタンプを押印しながらそう呟くと、誰もいない所へ顔を向けると思い切り息を吸い込み、誰もいない空間へ向けて……叫んだ。
「ナントカカントカ・パトローナムッ!!」
「うおっ⁈ イヤ声クソデケェなオイ!!あとそれボーボボの奴じゃねーか⁉︎」
「ブフッ!」
最早騒音レベルのシャウトがお化け屋敷内に響き渡り、遅れて徹のツッコミもお化け屋敷内に響き渡る。何故か急に吹き出した天匙を余所に、二人の声が響き渡った数十秒後、今まで驚かせに来たお化け役の人達がゾロゾロとやって来た。
「どあぁぁあああ!?モンスターオールスターが練り歩いて来たぁぁぁ!」
「くふふ……馬鹿どもの叫びに誘われて凄い数のお化け達が集まって来とる……やっとらしくなって来たな」
「びっくりするほどユートピア!びっくりするほどユートピア!」
「おい待て、なんでそのチョイスにした」
お化け達から逃げるべく、出口へ向けてランナウェイする男三人。道中、何かリアクションを取ろうと思考を巡らせた洋太が両手でケツを叩きながらハイトーンでそう叫んでいた。お化け役の人達も困惑したと思うよ、目の前で走る青年がいきなりケツを手で叩きながら叫び出したんだからね。
「はい到着ゥゥーーーッ!あ、これスタンプです」
「ゴールオメデトー。はいありがと、景品のドーナツ20個ドウゾー」
それからお化け屋敷の出口を目指して必死の逃走劇を繰り広げていた彼らは、勢いよく黒い暖簾カーテンから飛び出し、真っ先に外へ出た洋太がカボチャ頭の案内人に気付いてスタンプを押したカードを手渡す。
彼からドーナツの入った箱を受け取った洋太は、その中身を確認してヨダレを垂らしながら歓喜の声を漏らしていた。
「おほー!さいっこうだね、お化け屋敷を楽しむだけでドーナツ貰えるなんて!」
「まぁ、そのかわり結構の恐怖を味わう事になるって考えれば……いや、やっぱ出費と利益釣り合わなくね?」
箱から香るほんのりと温かいドーナツの匂いを嗅ぎながら喜ぶ中、そんな親友の横で徹が疲労した顔でそう呟いている。背伸びをして骨を鳴らす天匙がそんな彼らをじっと一瞥していると、彼のスマホから着信音が聞こえて来た。
天匙はスマホを耳に当て、電話に出る。
「ほいほい、なんやおっちゃん……おう、おう、おーわかった。ほんでな」
「んぇ?どしたの、家族と何かあったん?」
「……んあー、ちょいと用事が出来たって話や。ほなウチはここいらでお暇させて貰うで〜」
「え?ドーナツは?食べないの?」
「あぁ、エエわ。ウチ、そもそも甘いの嫌いやし」
そう聞いてドーナツの入った箱を突き付けられた天匙は、そう言って洋太の手を退けた後。「ほんでな〜」と言い残して立ち去って行った彼の後ろ姿を二人は呆然としながら見送った。
「勿体無いなー、せっかく貰ったのに」
「まぁそのかわり、アイツが食う分のドーナツが浮いたと思っとけ」
「おーい、洋太くん!徹くん!」
そんな会話をする二人に、ハナの此方を呼ぶ声が届いて来た。
視線を向けると、若干涙目のハナがみことユリアと一緒に列に並んでいるのが見え、ユリアは二つのメロンを顔に押し付けられて苦しそうにしていた。
「二人もドーナツ20個貰ったの?さっきどっかに行っちゃった人は友達?」
「いや、ただのクラスメイト。なんか用事が出来たみてーで、俺らと別れてどっか行っちまった」
「それであともう二人いるんだけど……多分いまお化け屋敷の中にいるんかな?」
「そういうこった。……でもハナさん、こう言うの苦手じゃなかったけ?よかったら俺らが貰った奴食べる?」
「ダメだよ!それは徹くん達が命をかけて得たドーナツでしょ!?それに自分の分は自分の手で手に入れなきゃだし!」
「いや別に命までは賭けてないですけど」
オカルトやホラー系の類に苦手意識を持つハナを気遣って、洋太が持ってるドーナツの箱を指しながらそう問い掛けるも、彼女は自分の手で手に入れると言って頑なにそれを断った。
それでも「マジで大丈夫か…?」と心配そうな表情を浮かべる徹。そんな彼に、洋太が「心配しすぎだって〜」と笑いながらそう言った。
「それにここのお化け屋敷だって、僕からしたら(割とワンパターンだから)そんなに怖い奴じゃなかったし、まぁ問題ないと思うよ?」
「ほ、ホントに?じゃ、じゃあ大丈夫……だよねみこ?」
「あー……洋太のホラー耐性異様に強いから、あまりアテにしないほうがいいと思う」
みこの忠告を聞いて、先に入った洋太へ「え、本当に問題ないんだよね⁉︎」と不安そうな目を向けるハナ。一方のユリアは更に強く抱き締められて、危うく落とされそうになった。
「まぁともかく、俺らはミセドの中でちょっと時間潰してるから、終わったら連絡して」
「うぅ……わかった……逝ってくるね……!」
「いや待ってハナちゃん。いま聞き捨てならない言葉が聞こえたんだけど」
敬礼のポーズで破釜沈船するが如く覚悟を示すハナへツッコミを入れる洋太。
そこへ案内人から呼びかけがかかり、いよいよ彼女達がお化け屋敷へ足を踏み入れる事となった。
「まぁいいや。ほんじゃみこちゃんも楽しんで来てね」
「う、うん……じゃあまた後でね」
スタンプカードを受け取ったみこに手を振り、三人はお化け屋敷の中へと入って行った。彼女達を見送った男子二人はミセド店内へと入ろうと店の入り口へ足を向けたした時、ふと肝心な事を思い出した。
「そういえば委員長達、全然出てこないけど……ホントにお化け屋敷に入ったのかな? もしかして先に帰っちゃった?」
「いや、アイツらそういうタマじゃないし、多分まだ中に入ってんじゃねぇかと思うが……んあ?」
自分達の後に知らない人達が出てきたのを思い出しつつ、遅れて中へと入ったであろう学級委員コンビが全く出てきていない事実に違和感を感じていた二人の耳にスマホの着信音が届いた。
徹のスマホから聞こえたその着信に、所持者は送り主が誰なのかを確認する。そしてその内容を見て目を見開いた。
「………『腰を抜かして半分精神崩壊した巻衣がぐずって、その場から動けなくなった。スタッフには訳を話したけど、来るの遅れると思うから先に帰っても良いぞ』……だってさ」
「……とりま二人が来るまで待ってよ」
バッグから取り出したバナナを一口齧り付きながら洋太は、巻衣の介抱をする錦吾を案じながら徹と一緒に店内へ入って行き、学級委員の二人を待つ事にした。
なお、巻衣の名誉の為に記しておくが……普段の彼はかなり真面目で聞き分けの良い方なので、今回の件は例外中の例外である事を覚えておいてほしい。
卍 卍 卍
ここいらで視点は、みこちゃんズへと切り替わる。
洋太達がミセド店内でドーナツを選んでいる間、お化け屋敷に入って行った彼女達はどうなっているかというと……
「いやああああああ!?」
「きゃーっ!誰かぁぁ!(そっか、いいんだ……叫んでいいんだ!)」
(わ、笑ってる……⁉︎)
ハナが襲い掛かるお化け達に恐怖の叫び声を上げ、その横ではみこが今まで絶叫する事はおろか反応するも出来なかった日々のストレスと鬱憤を晴らすかの様に、お化けの驚かせに対して思い切り反応し、大声で楽しそうに叫んでいた。
欧米系の物理的なホラーに対する耐性は持ち合わせていなかったユリアは、心の底から笑顔になって叫ぶみこへ戦慄の眼差しを向けていた。
「──すみませーん……」
元はメンタル強化の為に入ったが、図らずもストレス発散の機会を得たみこ。
そんな彼女の前に、今度は白い毛で覆われた巨体と頭部から背中にかけて何本も生やした氷柱状の角が特徴的な、雪の結晶を彷彿させる六角形の物体を顔に張り付けた……おそらく雪男をモチーフにしたと思われるお化けが出現した。
お化けというより怪獣と呼んだ方がしっくりくる姿をしているのが気になりつつも、屈託の無い笑みのまま大声で悲鳴をあげようと一息吸い込み……
「あ、あの……どうしたんですか?」
(………え、ハナ?なんで普通に話しかけてるの?一応お化けなんだよ?えっ、どうゆうこと?……も、もしかして……仮装しなくて“コレ”?)
白い毛に覆われた胴体からは白煙が噴き出され、顔面の中央にある六角結晶体を電子発光の様に点滅させる雪男のお化け…と思っていたナニカへ、ハナが涙を拭いながら普通に話している光景に、みこは思わず心の中でツッコんだ。
「実はツレが軽く精神崩壊を起こして、此処から動けなくなって……すみませんが、気にせず進んで下さい……」
(しかも従業員ですら無かった⁉︎ 確かによく見たら、下半身から学校の制服みたいなのが見えているけど……!てかなんで上半身だけそんな姿なの!?)
そう語る雪男の姿をした何者かの背後からは、別の誰かのブツブツ声が三人の耳に届いた。まさかの事態に混乱しながら、みこが声の聞こえた方向に目を向けると……
「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏……」
『じゅえるっぷ』
(………お経を唱えてる子が、なんかに包まれてる)
壁際で死んだ目のまま南無阿弥陀仏和を唱えていた制服姿の少年を、水色の粘液状物体が……RPGに出てくる様なスライムみたいなのが包み込んでいた。
そのスライムの頭頂部に当たると思われる上の辺りにはクリオネの様な角が飛び出ており、中で膝を抱えながら震えている少年の上には赤い球体がぷかぷか浮かんでいるのが確認できる。
(なに、この二人……?洋太よりデカい方は、背筋が凍り付きそうな威圧感があるし。こっちの小さい方は……なんかネバネバしたオーラが漂ってるけど……もしかして、彼らも能力者⁉︎)
「だ、大丈夫……?ここにアンパンあるけど、よかったら食べる?」
「え、いや。流石にそこまでして貰うのは、ちょっと申し訳ない気が……」
その横で同じく彼らを見ていたユリアは、二人から感じ取った雰囲気やオーラから、みこや洋太と同じ能力者ではないかと推測していた。
だが警戒する彼女の心情など知る由もなく、壁際で座り込んでいる顔面蒼白の男子…巻衣を心配するハナはバッグから取り出したアンパンを手渡そうとするが、恐怖で喋れない彼の代わりに大型の男子…錦吾がかわりにやんわりと断っていた。
「でもこういう時は甘い物を食べて落ち着くのが一番だって、何処かの誰かが言っていたので!」
「イヤ何処かの誰かって誰?」
「………そこまでいうなら、ありがたく頂きます……おい巻衣、アンパン食えるか?」
それでも食い下がるハナの発言にみこがツッコむ中、差し出されたアンパンを受け取った錦吾はお礼を述べながら、未だに放心状態から戻って来ない巻衣にアンパンを食べさせようと一旦背を向ける。
『──オイ、見エテンダロオ前』
(……ひょわ)
瞬間、彼の巨体で隠れていたであろう、背中にあたる部位から氷柱の棘を何本も生やした目のない蛇みたいなヤバい尻尾?が鋭い歯をむき出しにしながら姿を現し、真っ白い毛に覆われた腕でアンパンを受け取っていた錦吾を見ていたみこへ話しかけてきた。
『ねたハ上ッテンダ。サッサト白状シナ』
「………よし、早く行こうか」
『オイコラ、無視スルナ』
「え? あ、うん……でもあたし達が先に行って良いのかな……?」
「あぁ、俺らの事はお構いなく。こいつが落ち着いたらすぐにでも出るから」
目前まで迫る“それ”に対してみこは咄嗟にスルースキルを発揮させ、ハナ達を連れてその場から立ち去ろうとする。一方のハナは巻衣を心配してか、先に行っていいものかと不安な表情を浮かべていた。錦吾はアンパンに齧り付く巻衣を指差しながら、気にせず先に行って欲しい事を伝えると…
「…………まって。いく」
「えっ?大丈夫かよ……無理しなくて良いんだぞ?」
咀嚼していたアンパンを飲み込んだ巻衣が立ち上がり、漸く先に進む姿勢を見せる。
しかし錦吾は内股で震えながら立ち上がった姿を見て流石に心配になり、肩に手を添えながら止める。対する巻衣は錦吾の腕を掴んで、彼の目を真っ直ぐ見つめながらこれまた震える声で口を開いた。
「だって……さっきからお客さんが通る度に、生暖かい目と可哀想な目で見られるんだよ……!?いっそのこと蔑んだり見下して貰った方が、どれだけ楽だった事か……!」
「いや、視線が気になんのは分かるけど、だから無理すんなって……」
「もう良いから早く行こうよ!もう耐えられないんだよ!ここを通る人達の視線にッ!!それに周りのお客さんに迷惑でしょ!」
「あ、迷惑かけてる自覚はあったんだな」
「……えっと、じゃあ一緒に行く?」
「……………はい、よろしくおねがいします……」
切実な口調でそう叫ぶ巻衣。涙を滝の様に流すその目からは光が消えており、悲哀と恐怖の感情に支配されているのが容易に窺えた。そんな彼を見たハナが、巻衣へ同情する形で一緒に行く事を提案して、彼は弱々しい声でその提案を受け入れた。
『オイ、コッチヲミロヨ。ナァ』
『じゅえるっぷ』
(……どうして、こんな事に……?)
……それと同時に、みこは二体の“ヤバい奴”と一緒にお化け屋敷を歩く事となり、さっきまでの何処か清々しい気持ちから一変し、そのプレッシャーから来る恐怖に顔を引き攣らせていた。
その後、無事にスタンプが設置されている場所へ辿り着いた一同だったが、此処へ来るまでに何度かお化けに脅かされて来たハナと巻衣は息絶え絶えであった。
「お、やっと着いたな」
「ここでいいんだよね?他と比べて雑だけど……」
「スタンプ押すよ!巻衣くんも限界だし!?」
「あびゃびゃびゃびゃ……」
やっと目的のスタンプ台に辿り着いたハナがカードに押印を行う中、巻衣は錦吾の足元で奇声を上げながら蹲っている。
みこがスタンプを押した親友の姿を見届けていると、彼女の前にボロボロになったジャージ姿で割れた卵みたいな顔をした幽霊が「ねぇ」と声をかけて来た。
(っ!……コレは、お化けに仮装した人?それともマジの奴……?)
唐突に声を掛けられたみこは一瞬反応しそうになったが、錦吾と巻衣の憑いてる奴の件で警戒心が上がっていた彼女は「もしかしたらマジな奴も混ざってるかも?」と内心警戒を強める。
そんな中で、みこへちょっかいをかけていた錦吾に憑いてるヤバい尻尾が近くに出現した幽霊へ反応し、霊の方へ顔を向けると大口を開けて何かをチャージし始める。
(え……?この蒼氷ってヒトの背中から生えてる奴、なにして……)
『──ヴェアオ!』
次の瞬間、ヤバい尻尾の口から白いガスが凄まじい勢いで発射された。
そのガスは幽霊を呑み込み、ガスが晴れた時には幽霊の姿はカチコチに凍りついた白い人型の彫刻へと変貌していた。
『……じゅる』
ハナ達がノーリアクションだったのを横目に、出て来た奴が恐らく“本物”だった事を察し。反応しなくて良かったという安堵と心なしか少し肌寒くなった事実に、みこが冷や汗を流しながら軽く身震いしていると、巻衣に憑いているスライムがゲルの身体を伸ばして氷漬けになった霊へ近づけて来ていた。
『ぐばぁ』
今度は何が起こるのかと思いながら視界に入れていると、スライムの頭頂部あたりが展開されて口円錐の様に六本の触手となって、その触手が霊の頭から覆い被さってそのまま体内に取り込んだ。
「…………気を取り直して戻ろう」
「うんっ!巻衣くん達も……っ⁉︎」
ぐしゃぐしゃという咀嚼音を奏でる光景を間近で見ていたみこは身体を震わせつつも、涙目のハナに肩を掴まれながらお化け屋敷から退出しようと出口へ歩き出した。
「きぁあああ!!みんなきたあああっ!?そういうのヤメてって言ったのにーっ‼︎」
「出口まで走るよハナ!」
その直後、今までのお化け達が揃い踏みとなって、彼らへ迫って来ていた。
ハナがユリアの首に抱き着きながら出口へ走り、みこも全力で走って逃げているとふと、横にも前にも居ない錦吾達がどうなっているのか気になって思わず後ろを振り向いた。
「ちょ、待てよ巻衣!そこ掴まれると走り辛いんだけど!?」
「くぁwせdrftgyふじこlp」
『すたんぴーどダ!すたんぴーどダ!!すたんぴーどダァ!!!』
そこにはお化け達の前を走る上半身白いけむくじゃら姿の錦吾に加え、そんな彼のちゃんと人間に見える足にしがみつく巻衣とバラバラになって半分溶けた霊を中に包み込んだスライムが、お化け達から逃げる様に……みこ目線だと他のお化け達と一緒に追い掛けてくるかの様に、此方へ来ていた。
「ッ!? ち……近寄らないで!!」
笑いながら叫び声をあげる尻尾を生やした白くて毛むくじゃらな“ヤバい奴”の凄まじい圧とスライムの中を漂う霊の生首が此方を見つめる光景に、みこは本能的に恐怖心を抱きながら思わず大声を上げてしまう。
今までずっと我慢してきた拒絶の言葉を、喉の奥からようやく吐き出した彼女の表情は、何処か清々しいものとなっていた。
「「お騒がせしました」」
みこ達が出口を抜けた少し後、その後に続いて脱出した巻衣と錦吾は案内人に頭を下げて謝罪の言葉を贈っていた。
ミセド店内から出て来てみこ達と合流した洋太と徹は、中で買った物を食べながら、お化け屋敷から出て来た巻衣と錦吾の様子から「あコレ何かあったな」と察しながらもそれ以上は言及しなかった。
「中で何がどうなったのか知らないけど、それはそれとしてお化け屋敷は楽しかったみこちゃん?」
「……まぁ、少しだけスッキリしたかな」
「? そっか、良かったね!」
“シカツノチェロス”という鹿の角を模したチェロスに舌鼓打つ洋太は、「楽しかった」ではなく「スッキリした」と答えたみこへ首を傾げながらも、彼女の言葉へ肯定の意を示す。
チョコチップが練り込まれたサソリ型のドーナツ“オオサソリチョコチップ”の残った尻尾部分を口に放り込みつつ、嬉し涙を垂らして「これが…命の重さね」と感動していたハナに軽いツッコミを入れていた徹は、此方へ手ぶらで戻って来た委員長コンビに気付いて声をかけた。
「おう、お疲れさん。ところでドーナツはどうしたんだ?」
「………散々迷惑かけといて、その上ドーナツ貰うほど、僕は厚かましくなれないよ……」
「そういうわけだから、ドーナツは断って来た」
巻衣と錦吾がそう語るのを聞いた徹は、(相変わらず真面目だな)と口には出さずに考えていると、それを聞いていたハナ何かを思い付いたのか彼らの元へと駆け寄って、ドーナツが入った箱を開けて巻衣達に差し出す。
「はい!巻衣くんどうぞ!錦吾くんも!」
「え……?でもさっきもアンパン貰ったし、これ以上は……」
巻衣と錦吾は顔を合わせ、困った表情を浮かべる。なにせ今ハナが差し出しているドーナツは、彼女が苦労して手に入れたであろう物。それを自分達にも譲ろうとしている事に対し困惑しつつ、すぐに遠慮する言葉を述べようとしたが……
「せっかく頑張って生き残ったんだから、コレはそのご褒美だと思って、遠慮しないで!」
「生き残ったって……もしかして俺らが知らないうちに戦争行った?」
それを聞く前にハナは箱から取り出したドーナツを二人の手元に置き、受け取った巻衣は申し訳なさと嬉しさが入り混じった複雑な表情で涙を流し、錦吾は何処か困った様な苦笑でそれを受け取った。
「お、おぉ……このドーナツから、命の重みを感じる……」
「どこの重力フェチだよ」
「ハナさんも言ってたけどそれ流行ってんの?」
そんな風に喜ぶ巻衣に対してツッコむ錦吾と徹だが、内心では彼が言いたい事はある程度理解していた。それほどまでに受け取ったドーナツの存在感が強く、質量のある物の様に感じたという事だろうと。
「ほんで何処に行く?確かBBトルズの屋上にテラスがあったはずだから、そこで食べる?」
「いや、そこだとちょっと遠いから公園でよくないか?」
「……ていうか洋太、さっきもチェロス食べてたのに、まだ食べるの?」
「徹と二人で食べるのと、みこちゃん達みんなと食べるのとでは、また違ってくるでしょ?だからまだまだドーナツは入るよ」ぐぅぅぅ!
「いやなんでお腹鳴ってるの、消化早くない?」
そこから空気を仕切り直す様にみこ達へ声をかけた洋太と徹の提案によって、目的地を公園に定めた一同は二箱分のドーナツを手に移動を始めるのだった。
『あいつズット無視シヤガッタガ……モシヤ気ノ所為ダッタカ……?』
「……あの、百合川さん……あの二人距離近くないか?」
「あー……あの二人割とあんな感じだし、気にする事はないよ?」
「ちなみにアレで付き合ってないみたいです」
『
「そーなの⁉︎ あんなに引っ付いてるのに!?」
『じゅえるっぷ……』
「ところでさ、ユリア師匠的にはどうだったの?ミセドのお化け屋敷」
「え゛っ……ま、まぁまぁと言ったところだったわ!」
「そっか、じゃあ次はちゃんとしたお化け屋敷に行きたいね!」
「え……うん(ワタシ、試されてる……⁉︎)」
道中、みこは未だに此方へ注目する錦吾の尻尾から身を守る様に洋太の腕を組んでいたが、この辺は蛇足的話なので割愛する。
卍 卍 卍
時刻は午後の11時24分。手入れされず伸びっぱなしとなった雑草や茂みの中にいる鈴虫の鳴き声が、ほぼ廃墟と化した洋風庭園の中で寂しく響きわたる。
そんな寂れた庭園の中を、白い模造刀袋を肩からぶら下げる一人の男が気怠そうに歩いていた。
「は〜……嫌やわ〜、こんな鬱蒼とした場所歩くの。ホンマだるいわぁ」
『まぁ、そうカッカすんなや。いま白沼一家の中で動ける奴で、此処にいるのを払えんのは、オメェくれぇだってゆーとったしよ』
かつては綺麗な薔薇を咲かせていたであろう茨の庭を周回するように歩きながら、時折周囲を眺めて何かを探している素振りをする男……天匙の肩に乗った烏が、愚痴を零す彼へ愉快そうに笑いながらそう語る。
「そーはゆーてもよぉ、ウチの様なピッチピチの学生をこんな夜更けに呼び出して、何が悲しゅうてこんな仕事せぇへんとあかんねん。あ〜ヤダヤダ」
愚痴をこぼしながらも散策を続ける天匙だが、水が出なくなって乾涸びた噴水がある場所の付近で立ち止まり、さっき自分から来た道を振り返る。
『ぽきょと』
『ぽきょと』
『くいずびびぽきょと』
するとそこには、頭から一輪の黒い薔薇を咲かせた数体の霊が、鈍足な足取りで彼の元へと集まって来ていた。
『ふむ……天匙、コイツはあまり関係無い事だが……彼奴ら、寄生されとるぞ』
「ほーん、ホンマに関係無い事やね」
その霊達を見た烏がそう呟くと、天匙はどうでも良さそうな顔で腰につけていた白鞘の九寸短刀を抜きながら、ゆっくりとした足取りで霊達へと近づいて行く。
『ふぁつわすら…!』
『ふぁつわすら…!!』
『ふぁつわすらえふぁつちゃきょ…!!!』
彼の接近に反応した霊達は、相手が自分達を認識している事を認識した途端、奇声を上げながら一斉に天匙へと襲い掛かり……
「あーあー、何言ってるか全然分からんわー。日本語喋れやカス共」
次の瞬間、彼は目にも止まらぬ速度で小刀を振り抜き、肉薄して来た霊を横薙ぎに一閃する。彼の攻撃は見事に霊達の首を捉え、切り裂かれた霊達は黒い花弁となってそのまま消滅した。
『カッカッカ……!お見事だな。まぁ、ワシが力を貸してやっとんや。コレくらいやって貰わなきゃあ、困るってもんや』
「褒めると見せかけた自画自賛かいな“カミサマ”?」
その様子を少し離れた錆びたフラワーアーチの上から眺めていた烏は、拍手をするように両翼を叩きながら賞賛の言葉を贈る。それを聞いた天匙は白鞘へ刃を納めつつ、首の関節をパキポキと鳴らして一息吐きながら返す。
「ほんで?さっきの奴らを操っとた『本体』は何処におった?」
『それやったら、東屋の方から気配が……おっ、姿を現したな』
庭園の中でも特に目立つ、イバラが伝っている薄汚れた東屋に目を向ける。
雨風に晒されてすっかり美しい白さを喪ったその屋根の上に居座るナニカ……深緑のヘドロみたいな髪に黒い薔薇を咲かせる女性の悪霊は、イバラを巻き付けたボロボロのワンピースから見え隠れするヒビ割れた陶器人形みたいな脚を使い、まるでワルツを踊るかの様に舞っていた。
『ワタシ……キレイ……?』
三日月に照らされた“それ”が彼の視界に入った瞬間、油を刺し忘れた機械の様な動きで此方へ首を曲げると、ヘドロの髪から覗く大きく見開かれた虚の瞳がギロリと天匙を睨みつけていた。
『さぁて。“無駄遣い”しない様、せいぜい気張りや。カッカッカッカ……!』
彼女を見て楽しげに笑って飛び立って行く烏を見送り、天匙は背負っていた刀袋から白い鞘が収められた刀を抜き出す。
『ネェ ワタシ……キレイ……?』
「アロマ企画でもないわ阿呆、鏡見てからぬかせ」
溜息を吐き出しながらそう呟くと、彼女から禍々しいオーラとドス黒い殺気が咲き乱れ。肌のヒビ割れた部分からイバラの蔓を何十本も伸ばして、彼を絞め殺そうと臨時態勢を構える。
『……ナサイ……キレイトイイナサイィィィーーーー!』
「ほんじゃあ、いきまっせ……」
刀袋と抜いた鞘を投げ捨て、そこから現れた黒く輝く刀身を見せつけながら、蔓を操る悪霊目掛けて地面を蹴り上げた。
●見円洋太
お昼に食べたご飯が足りなかったので、おやつとしてドーナツを貰いに向かった馬鹿猿。
エクスペクト・パトローナム=正のエネルギーで形作られた守護霊を司る魔法=闇の存在を追い出す魔法。よってお化けを追い出すのに適している!と考えてうろ覚えの呪文を唱えた。尚、実際に出力されたのは首領パッチが唱えた呪文であった。
スマホカバーはイマジンズが並んでいる奴を付けている。
●影杉徹
今回のイベントでミセドが赤字にならないかどうか心配をしているオタク。
お化けそのものは別に怖い訳ではないが、流石にビックリさせてくる系の奴はちょい苦手。しかしアマゾンズや昭和ライダー作品を履修したお陰で、スプラッタ系のホラーには少し耐性がある。(怖く無いと言っていない)
スマホカバーには、仮面ライダーカブトのライダーズクレストが描かれている。
●四谷みこ
並んでいる最中にお化け屋敷の中から聞こえた「ナントカカントカ・パトローナム」という大声に反応したみこちゃんズだが、その中で真っ先に幼馴染がいる事を察知した可哀想な子。
善ちゃんせんせーの悪霊の件で、少しでもメンタルを鍛えようとお化け屋敷に入って行ったは良いものの。なんかヤバいのに憑かれている幼馴染のクラスメイトの所為で、原作よりも若干疲労感が強いものとなった。
スマホカバーはメメちゃんの顔が描かれている奴を付けている。
●百合川ハナ
ドーナツを得る為ならば、苦手なお化け屋敷にも入ってゆくバイタリティを見せた腹ペコ娘。
彼女は手に入れたドーナツを命の重さと例えたが、ドーナツを実際に20個セットで買う場合は四捨五入で約4000円近くあると考えられ。「金は命より重い」と語っていた利根川のセリフからして、ドーナツ20個を手に入れた彼女の命に相当な重みを感じる。
スマホカバーにはラムダラビットが描かれている。
●二暮堂ユリア
日本タイプかと思いきや欧米タイプのお化け屋敷だった為、キングエンジン並みに心臓をバクバク鳴らしたロリっ娘。
お化け屋敷の中で会った委員長コンビの威圧感とオーラに加え、更には彼らが洋太の同級生だと知った彼女は「洋太の知り合い、能力者多すぎでしょ!?」と軽い戦慄を覚えていたとかなんとか。
彼女のスマホにはベニテングダケのスマホリングがついている。
●白沼天匙
実は、とある退魔の一家に所属している当主の息子であるドブカス眼鏡。
お化け屋敷で馬鹿猿の放ったシャウトによってジャージ姿の霊が凄い勢いでぶっ飛ばされたのを見て、笑いを堪える事が出来なかった。
スマホカバーは付けてない。金の無駄やからね。
●水野巻衣
親がメジロマックイーン(競馬)のファンらしく、それ経由で名前を付けられたショタ男子。
スライムとクリオネを合体させたようなゲル状クリーチャーの怪異に覆われており、三級程度の霊ならばバッカルコーンを行なって取り込む事が可能。
スマホカバーにはメジロマックイーン(ウマ娘)のデフォルメイラストが描かれている。
●蒼氷錦吾
猫舌で熱いのは食べられないが、冬でもアイスを食べるくらいには寒さに強い大型男子。
イエティとゼットンを組み合わせた様な姿に、戦艦レ級の蛇みたいな尻尾を彷彿させる尾を持っているウルトラ怪獣型の怪異に憑かれている。そして尻尾の方は、口から冷凍ガスみたいなのを放って霊を凍結させる事が可能で、片言ではあるが一応喋れる。
スマホにはシンプルな茶色い手帳型スマホケースをつけている。
●前回の話の補足
①男子校の文化祭で、洋太のクラスで出し物を考える際に投票された数について。
アニマルビデオ鑑賞・2、カジノ場・1、ミュージカルショー・1、お化け屋敷・10、女装喫茶・10、ライブハウス『Only ONE STAR』・10、一条みちるファンカフェ・1、シャケざんまい・1、天下一武闘会・1、鹿の子の戯れ場・1、昼寝の会・1。となっていました。なおクラスメイトがひとり休んでたので、合計人数は39人となっている。
②善ママと数珠から出て来た奴のやり取り。
「ん?なんか
「黙れ!!」ザンッ!
「ぐわー!今日はこれくらいにしてやるンゴーー!」
大体こんな感じ。