見える子ちゃんと見えない夫くん   作:yu-ki.S

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他の作者が描いた作品が凄いUA、お気に入り、評価を貰ってるのを見て、思わず嫉妬の悪魔へと転生しそうになってしまう。
……何だろう。こういうメンタルだからダメなのかな?呪いは廻るってこういう事なのかなぁ。心に愛がなければ、スーパーヒーローじゃ無いのかなぁ?


もしかしたら、かなり面倒な奴に巻き込まれているのかもしれない

 とある田舎の屋敷。庭に生えた桜の木を一望出来る和室にて、四つのケーキがテーブルの上に並んでいた。

 

「うーん、美味い!やっぱりケーキは、イチゴのショートケーキに限るわね〜」

 

 ひとつはシンプルなショートケーキ。

 スポンジはふわふわ、クリームはほどよい甘さで、口の中で溶けるようになくなる。そして要のイチゴは、王道の酸味と甘みを兼ね備えた逸品。

 シンプルな作りだからこそ、その素材の良さが存分に伝わる、そんな一品。

 

「このチーズケーキも、最高でありますね! 流石梨子さん、良いお店を知っているであります!」

 

 ふたつ目は純白と赤紫で彩られたレアチーズケーキ。

 しっとりした舌触りで、滑らかな口当たりが素晴らしい。ブルーベリーソースとの相性も抜群で、甘さは控えめながらも満足感がある一品だ。

 

「これくらい大した事ありません。それよりタケダ氏、お口に合いましたか?」

 

 みっつ目はモンブラン。

 粉砂糖が雪の様に降り積もったマロンクリームの濃厚な味わい深さに、上に乗っかった栗の渋皮煮の柔らかな甘さが絶妙にマッチしている。そのうえ中に入ったクリームも主張し過ぎず、上品な味わいを楽しませてくれる。土台のタルトもサクサクで、食感も楽しめる一品である。

 

「あぁ、悪く無いね。あとワシのことはミツエと呼んでくれないか?」

 

 最後にチョコレートケーキ。

 ほろりと崩れるスポンジのなめらかな舌触りに、チョコレートの濃厚な味わいがたまらない一品。しかし甘さは控えめで、上にかかったチョコソースのほろ苦さが、味を引き締めている。

 

「しっかしアレね、最初にケーキを考えた人ってホント偉大よね?」

 

「そういえば前に知り合いから聞いた話でありますが、ショートケーキって日本発祥のケーキだと聞いた事があるであります」

 

「正確には、ショートケーキ自体はイギリスで作られたものがルーツとされています……が、元々はビスケット状の生地にクリームなどを挟めたものを指していたらしく。名前の由来も、サクサク砕けやすい事を表す“short”だったり、短時間で作るという意味の“short”が語源とされているそうです。タケダ氏はどう思いますか?」

 

「……へぇ、随分詳しいじゃないか。流石だね。あとミツエがいいね」

 

 フォークでケーキを突き、湯呑みを傾けながら、そんなたわいもない会話を繰り広げる四人の女性達。そんな彼女達の空間に割って入る、男性の「失礼いたします」という声。

 ショートケーキを食べていた赤茶髪ベリーショートの女性…見円茜がその声に反応し、どうぞの一声と共に襖が開かれた。

 

「鈴華さん、梨子さん。例の件について、今お時間よろしいですか?」

 

「……わかりました。直ぐに向かいます」

「了解であります」

 

 入ってきた白髪と黒縁メガネが特徴的な初老の男性は、穏やかな笑みを浮かべて二人の名を呼んだ。名を呼ばれた其々チーズケーキとモンブランを食べていた女性二人……根本鈴華と須藤梨子の両者は、その男性に向き直ってそれぞれ肯定の返事を返す。

 

「では茜さん、ワタクシ達は此処で席を外させていただくであります」

 

「それでは、タケダ氏もごゆっくりどうぞ」

 

「アンタも頑なだね」

 

 ケーキを一口で平らげた二人は、同時に立ち上がり男性の後に続いた。襖が閉まり、残された二名の空間は暫し静寂に包まれる。

 

「さてと……それじゃあ、本題に入ろうかね」

 

 その静寂を先に破ったのは、チョコレートケーキを食べ終え、湯呑みに入ったお茶を一口飲み、ふぅと一息ついた初老の女性……霊能力者“下町のゴッドマザー”ことタケダミツエだった。

 茜もフォークを置いて湯呑みを手にし、ミツエに向き直る。

 

「えぇ……それにしても、ミツエさんがワタシに会おうだなんて珍しいわね?最後に会ったのいつだったかしら」

 

「アンタが仕事ついでに、産まれた子供の自慢をしに来た時以来だね。それよりも……」

 

 そこで言葉を切り、ミツエは懐から取り出した一枚の『なにがみえる?』と書かれた紙を机の上に置いて、茜に見せる。

 

「……コレは、写真?どんな心霊写真が写ったの?」

 

「あぁ……一度見てみな。ワシがアンタに会いに来た理由も、自ずと解るはずだ」

 

 言われるがまま、茜はその写真を受け取り、見つめる。

 それはSNSから持ってきたのか、下の部分には42のRTと666のいいねが付いており。視界を上昇させると、キャラクタースタンプで顔を隠した四人の男女が写っていた。

 だが彼女はその写真を見て、先までの余裕が嘘のように、表情を強張らせる。

 その原因は写真に写った四人……ではなく、その背後でナニカを喰らっている巨大な怪異の姿を目にしたからであった。

 

「それだけじゃない。猿の絵で顔を隠したこの子……アンタの息子だろ」

 

 瞬間、茜の体から赤く燃え上がる焔が噴き荒れ、彼女の動揺を代弁する。

 その姿にミツエは反射的に目を細め、それと共に発せられた威圧感に舌を巻きながら。机に置いた湯呑みを手に持ち、お茶を啜って喉を潤す。

 

「……茜、オーラが漏れ出てるよ」

 

「………えぇ、ごめんなさい。それにしても、まさかとは思うけど……」

 

「あぁ。恐らく、()()()()に目を付けられちまってるね」

 

「………………はぁ。マジかぁ」

 

 溢れ出たオーラを抑えた茜は深いため息をつき、天井を仰ぐ。その表情は一瞬数年老けたかのように見え、そのまま脱力するように机に突っ伏し。改めて写真を視界に収めた。

 写真に写る四人のうち、一人はミツエの言うように茜の息子、見円洋太であり。その証拠に、彼の身体からはコレでもかと光が放たれていた。

 残りの三人に関しても、高校生時代の自分よりも多い生命オーラを放つウサギ少女と、首の辺りから黒と白が混ざった蚕蛾の触角が見えているカブトムシの少年には見覚えがあった。ていうか事故った息子の見舞いへ行った時に会って、かなり印象に残っていた二人であった。

 そして一つ目キャラのスタンプが押された少女の方も、誰なのか何となく辺りが付いていた。

 

「それと、そこの娘についてだが……全く、アンタの息子がいるとはいえ、強かな娘だよ」

 

「そう……みこちゃん、昔はそんな素振り見せてなかったのに……つい最近目覚めたタイプかしら」

 

 ミツエの話にズキッと痛み始めた頭を押さえ、茜はそう呟いた。

 これはかなり厄介な事になったと、内心に焦りを募らせながら。

 

「……それで?ワタシは何をすればいい?山の神サマを祓えばいいのかしら?」

 

「いや、あっちはワシが何とかする。アンタはこの子らを見てて欲しい」

 

 ミツエのその発言に、茜は訝しげな表情を見せる。

 確かにあの怪異は、彼女にとって因縁のある存在だと聞いている。けれどアレは曲がりなりにも“神”の部類に属しているモノで、結界内に引き篭もっていなければ力を維持出来ないタイプとはいえ──否、()()()()()()()()()()こそ、そう安易に祓えるような相手では無いはずだ。

 

「……アンタの言いたい事は分かる。この間まで、パワーもすっかり衰えてたからねぇ」

 

「そう言う割には、あの時よりもパワーを感じるけど……」

 

「まあね。それは兎も角、アンタの様な小娘に心配されるほど、ワシもヤワな婆さんじゃないよ。だから仕事の合間にでも良いから、あの子らを見てやって欲しい。準備してる間に何かあったら、目覚めが悪いからねぇ」

 

 ミツエの申し出に、茜は暫し考え込んだ後、頷いて了承した。

 正直、不安や心配がないわけでは無いが……老齢とはいえ、彼女は数いる霊能力者の中でも指折りの実力者だ。少なくとも、無意味に逝く事はないだろうと思い、彼女の提案を呑むことにしたのだ。

 

「その代わり、少しでも手に負えないと思ったら声をかけて頂戴。ワタシも、知り合いに何かあったら目覚めが悪いし……何より、息子とその友達に変な苦労や心配はさせたくないもの」

 

 まぁ今直ぐにとはいかないけど……と忌まわしげに独言る茜。その姿にミツエは苦笑しながら、茶を一口啜る。

 ふと湯呑みから口を離し、「ところで…」と声を掛けられた彼女は茜の目を見据える。

 

「何でウチの息子が、この子だって分かったの?確か一度も会わせた事無かったのに」

 

「あぁ……前にあの子らがワシの店に来た時、お前の息子がみこって娘に紅乃一族の数珠を渡してるのを見てね。それに顔立ちと髪色もアンタに似てた──」

 

「──まって、待って。ミツエさん、今なんてった?」

 

「顔立ちと髪色もアンタに似てた『そこじゃなくて、その前』……お前の息子がみこって娘に紅乃一族の数珠を渡してるのを見て『イヤなんでよォォォ!?』……そんなにかい?」

 

 そう、茜がミツエの言葉を遮って怒りと嘆きを含めた絶叫を上げ。ミツエは何故そこまで騒ぐのか分からず、首を傾げる。

 

「いや心配なのは解るが、あの子は別に式神が居なくても並大抵の奴らなら問題ないと思うし……何より“見えていない”んじゃあ、御守り位にしかならんよ」

 

「そう、御守りとして渡した……そこが重要なのよ。ミツエさんだってわかるでしょ?

 あの子は──持ってる力が()()()()。だから渡した」

 

「……成る程。あの数珠は、あの子が放つ光を抑える役割を担ってたのか」

 

 茜の言わんとする事を察したミツエは、合点がいったとばかりに頷く。

 あの紅乃一族の駆使する紅い数珠の力は本来、術者が修行の末に緻密で繊細なオーラ操作を行える様になって初めて効果を発揮する代物であり。まだまだ未熟な子供が持つには、少々手に余る代物だと言えるだろう。

 だが洋太が身につけていた数珠は、その逆の役割……力を放出する為ではなく、力を取り込む為のものとして使わせていたのだ。

 

 そもそも、指輪を着ける際に左右10本それぞれ違う意味があるのと同じく。数珠やパワーストーンのブレスレットを着ける手の位置にも、全く違う意味が与えられている。

 

 例えば右手は、積極性や行動力を表す、或いは不浄の世界である現世を指す手だと云われており。力を放つ意味でも、邪気を抜く意味でも、エネルギーの出口でもある右手は正に『攻め手』を象徴していると言えるだろう。

 一方左手はその逆で、エネルギーの入り口であるが故に力を取り込む役割を持ち、同様に仏様といった存在が住む清浄な世界である極楽浄土等を表す手であると云われ。エネルギーを吸収する事で、気の流れを整える……簡単に言えば己の精神的な変化を司る『受け手』を象徴する手なのだ。

 

 そこで思い返せば、茜を始めとした紅乃一族が式神を召喚する際には必ず『右手』に数珠を着けていた。それは式神を使役するべく己の力を注ぎ込む為にも、召喚した式神をコントロールする為にも、エネルギーを放出する右手に数珠を装着する必要があるからに他ならない。

 だが洋太が着けていたのは『左手』。つまり彼の装着していた数珠ブレスレットには、式神召喚する役割もコントロールする権限もハナから持ち合わせておらず。代わりに、その身体から放出される“光”を吸収する役割を与えられていた……彼の数珠が、幼馴染である四谷みこの右手に渡るまでは。

 

「とは言っても……最初の頃ならまだしも、今となっては放たれる光が強過ぎて、光を数珠に吸収しきれなくなってはいたんだけどね……」

 

「確かに、あの子が数珠を外す前と外した後を比べても、全く輝きが変わってなかったね」

 

「それでも、“着ける”のと“着けない”のとでは、目のつけられやすさに大きく差が出るから……もしかしたら、最悪のパターンを想定するべきかしらね……ハァ……」

 

 深くため息をつく茜に、ミツエは気になっていた事についての解消の為に向き直って問い掛けた。

 

「それでアンタらは、あの光について……“中に居る存在”については把握してるのか?」

 

「そっちに関しては、“御先祖”にある程度『聴かされている』わ」

 

 茜はミツエのその問いに首を横に振り、そう言って。湯呑みに残ったお茶を一気に飲み干し、皿にあるホイップクリームがついたイチゴにフォークを突き刺して一口頬張る。

 やがて彼女は徐に顔を上げ、真剣な眼差しでミツエと視線を合わせる。

 

 

「曰く──洋太の魂には、()()の神が混ざっている……らしい」

 

 

「待て、なんだって……三体、だと……?」

 

 彼女が口にした予想外の答と数に、ミツエは驚愕し、頭を抱えた。

 洋太の様子を視れば、もしかしたらこの世に神が人の姿と成って降り立った『現代神』の類いだと、そうでなくとも先祖返りだったり、神に近い力を与えられた存在だと考察していた。

 しかしその話が真であれば、彼の魂には“神”が一体だけならず、三体も混ざり合っている事になる訳だが、その話を聞いて納得がいった。

 あれ程凄まじい力を放っている理由が、あの時見た『ナニカの手』は“三体居る神の内一体”のモノ…つまりは『思業式神』ではなく『悪行罰示神』によって召喚された存在である事を。

 

「それにしても、みこちゃんがあの数珠を着けてたなんて……いや、あの時は暗かったし、冷静じゃなかったけれど。だとしても、何故気付かなかったワタシ……」

 

「アンタ、たまに迂闊なとこあるからね。誰に似たんだか……じゃあワシはそろそろ行くよ」

 

 ミツエは洋太の魂に何が混じっているか理解した所で、横に置いといた荷物を背負い、席を立ち上がって襖を開き。そのまま部屋の外へと歩き出す。

 残された茜は湯呑みに残ったお茶を飲み干して片付けると、ミツエと共に部屋を出る。

 

「じゃあワタシは、クソ親父にこの事を話次第色々と対策進めるけど、無茶はしないでね?」

 

「……アンタ程じゃないけど、ワシもそれなりにタフだよ」

 

 玄関を出て去り際にそんなやりとりを交わし、ミツエの後ろ姿を見送った後。茜も目的地…父親のいる『紅乃神社』へ足を運ぶべく、屋敷を後にした。

 

「それにしても、あの写真……文字の癖からして、多分ロムくんが寄越した奴よね? 一体何を考えてるのやら……」

 

 

 卍 卍 卍

 

 

「なぁ洋太。今度の土曜日ヒマか?」

 

 とある男子校にある一年G組の教室。クラスメイトから退院祝いにと貰ったバナナやお菓子を食べていたお昼の時間、突然徹がそんな質問をしてきた。

 それに対し洋太は、僅かに驚いたものの、すぐに大丈夫と答え。再びバナナを頬張り始める。

 

「そんにしても、土曜は何する予定なん?」

 

「イヤな?実は母さんが仕事の関係だか何だかで、スイーツバイキングの割引クーポンを二枚程貰ってな」

 

「二枚……?みこちゃん達と行くには足りなくない?」

 

「いや、久し振りにお前と俺だけで行くつもりだったんだが……ホラ、ここ最近は女子と一緒にいることが多かったから、偶に男だけで遊びに行くのも悪くないと思ってな」

 

 そう語る親友に「確かに、たまには良いかもね」と返して、洋太は最後のバナナを飲み込み。御馳走様でしたと両手を合わせた後に弁当箱をカバンにしまう。

 徹もまた同じように手を合わせ、紅生姜が入った瓶とマイ箸を仕舞って焼きそばのパックに輪ゴムを括り付け、ゴミ箱へ捨てるべく席を立って足を運ぶ。

 

(それにしても、スイーツビュッフェかぁ……去年の誕生日はケーキバイキングで祝ったけど、母さんイチゴ系のケーキばかり食べてたな)

 

 イチゴをふんだんに使ったケーキや苺のムース、アイスなどを美味しそうに食べていた母の姿を思い出した洋太は思わず笑みを浮かべ。バナナ系のスイーツはあるかどうか、いつかは幼馴染とも行ってみたいなと、そんな事を考えていた。

 

 

 卍 卍 卍

 

 

「二人とも、今度の土曜日予定ある?」

 

「土曜日?特にはないけど、みこは?」

 

 とある女子校の中庭にて。みこ達がベンチに座ってお昼を取っていると、ふとユリアがそんな事を言い始め。みこは食べてた惣菜パンを膝の上に置いてから「私も無いけど、どうしたの?」と聞き返す。

 するとユリアはスマホの画面をみことハナに見せながら、懐から三枚のチケットを取り出した。

 

「実は家族から、日帰り旅行券を三枚貰ったの。それで今度の土曜日が、丁度その期限でね? だから……もし良かったら、タマには女子三人でどうかな〜って」

 

 その言葉にみことハナは顔を見合わせた後、ユリアが見せてきたスマホの画面にある旅行先についての情報を見てみる。

 それによれば、行き先は『滝夜町』と呼ばれる所らしく。高速バスで二時間程かけて行く山村地域であり、緑に囲まれながら名物の“皐月蕎麦”を堪能する事が出来るとの事だった。

 特に“皐月蕎麦”というのは、その土地で採れた新鮮な山菜や茸が豊富に盛り込まれており、それを鴨肉の入った出汁で煮込んだもので、地元の人からも愛される郷土料理なんだとか。

 

「皐月蕎麦……!なんか凄く美味しそう!」

 

「グエッ。く、苦しい……」

 

 ハナは目を輝かせてユリアを抱き締めつつ、満面の笑みを浮かべて涎を溢して。みこはその様子に少し呆れつつも微笑ましく思いながら、滝夜町のウェブサイトを探して他の情報を得ようとスマホを弄る。

 

(それにしても、三人でか……正直、洋太と一緒にいた方が色々安心出来るけど。この間の事もあるし、今回くらいはゆっくりしていて欲しいからなぁ……)

 

 やがて滝夜町に関する情報が載っているサイトを見つけたみこは、スクロールしながら情報を読んでいき。町を潤す清らかな渓流と、その周りに点在する集落が織りなす自然豊かな町だと書かれた文章を目で追いかけていた。

 そしてとある一文と写真を目にした時、みこは僅かに眉をしかめる。

 

「……我射、神社?」

 

「〜〜プハッ!あぁ、その神社?ワタシも見たけど、結構有名なパワースポットらしいわよ?」

 

「へぇ〜。パワースポットかぁ!写真の神社も、なんかすっごい厳かな感じするっ!」

 

「………パワー、スポット」

 

 ユリアの解説に、ハナはテンションを上げて目を輝かせていたが。みこは薄浅葱色の屋根が特徴的な瓦屋根の社を……

 具体的には、屋根に置かれた“巨大な骨の手”を見て、あまりに異常な光景に戦慄し。同時にその神社から、形容しがたい何かを感じるのであった。

 

「ねぇみこ、此処にも行って『行かない』あ、そう? じゃあ此処の峠に行ってみようか!此処から見る光景、かなりの絶景なんだって〜!」

 

「確かに、写真の光景も凄いわね。(何でちょっと食い気味に拒否したのかしら……?別に変なのがいる訳じゃあるまいし)」

 

 みこがその神社に感じた恐怖をハナもユリアは知る由もなく、何処へ行くかどうかについて話し合っていた。

 

(……うん、大丈夫。他の所は多分大丈夫っぽいし、きっと何か悪い事が起きるって決まった訳じゃない。それにあの神社だって、行かなければそれで済む話だし……大丈夫、なハズ)

 

 そう自分に言い聞かせながら、滝夜町のウェブサイトを閉じ、スマホの画面から視線を逸らす。

 何事も無く、幼馴染の力を借りる事も無く、無事に日帰り旅行を楽しめる。そう信じて……




●見円茜
同業者の霊能力者と色々と話をする事になったお母さん。
紅乃一族はその与えられた役割から、色んな“奴ら”から恨みを買っている。そういった理由から“奴ら”が見えない息子をその業界から遠ざける為にも、洋太を夫と義母に託して。自分はできるだけ会う機会を減らして、可能な限り“奴ら”が息子に関わらない様にしていた。
尚、一部の“奴ら”は既に馬鹿猿に目をつけていた模様。

●タケダミツエ
息子の家で農作業をしていた霊能力者のお婆ちゃん。只今引退宣言撤回中。
昔からの知り合い兼同業者である紅乃茜へ会いに行き。自分の身に何かあった時に備えて、四人の男女だけでも守れる様の保険を残しておいたらしい。
みっミツエさんは……かつて茜から息子自慢三時間コースに付き合わされた過去があるんだっ。

●我射神社
その昔、その地で起きた戦で野垂れ死んだ武者達の恨み辛みが集い、周辺の集落に祟りが降り掛かった。
集落の者達は武者達の怨みを鎮めるべく、紅き焔を纏った式神を操る陰陽師の力を借りて。彼等を祀る祠を造り、崇め奉る事にした。
それ以降、集落に災禍を齎らす事は無くなった……が、最近は謎の怪奇現象が起こりつつあるらしく。神社の周辺では、夜中に『ガチガチ…』という音が鳴り響いているとの情報が出回りつつあるとのこと。
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