邪神教団の"十二星座"。
それは、教団の中でも突出した能力を持つ者たちのことを言う。
防人達の前に現れたのはその一柱「射手座」。
果たして、この強敵にどう立ち向かうのか……。
芽吹(サジタリウス?。十二星座…これもまた、"バーテックス"のような事を…!。)
目の前の敵はこれまでにない強敵と認識した芽吹。自らが相手取る為に前に立つ。
サジタリウス「防人隊長・楠芽吹…相手にとって不足は無い。だが、自らの運命を呪うのだな。なぜなら…ここでこの哀れな信者と共に骸になるのだから!。」
ライフルを構えた途端に放たれる銃撃。速い。
芽吹は身体を逸らしてその弾丸の軌道上から逸れる。
芽吹「…ちっ…速い…!。」
横に飛び、銃剣のトリガーを引こうとするがそれよりも速くサジタリウスが迫ってくる。
サジタリウス「大赦の犬め、ここで死ぬがいい!!。」
黒いライフルが怪しく輝く、だが攻撃される前にシズクが突撃して引き剥がした。
シズク「クソ、なんだこいつ!!。メチャクチャ強ェぞ!!。」
芽吹(悔しいけど、私たちは"対人戦"には慣れてない…人を討つ事に戸惑いが無いとは言えない…しかし…!。)
地面に転がる異形となった骸を見る。その脳裏に過ぎるのは彼らの凶行により攫われた巫女達とその候補生達…そして、その悪辣な手に掴まれそうな亜耶。
そこから湧き上がるのは"怒り"。コイツらを野放しには出来ないと言う怒りが彼女を突き動かす。
芽吹「この世界にまた戦いを呼ぶことは私が許さないっ!!。お前達は…滅べェエエエエ!!。」
サジタリウス「…フン、その憤怒と行動は醜いな。貴様こそ、我々と何ら変わらんよ。憎しみのあまりに、他者を傷付ける…それが正義だとても?ククク、笑わせてくれる!。」
まるで嘲り笑うように、サジタリウスは芽吹の攻撃を捌いていく。そして、流星は芽吹の"感情"に危機を感じた。
流星「!!!。ダメだ楠先輩っ!”呑まれる"!。」
芽吹「…えっ…?。」
サジタリウス(コイツ…"何"を感じ取った…?。)
流星はその間に割って入り、トンファーを突きつける。そして、銃口部から霊力弾を放ってサジタリウスを弾き飛ばした。
流星「…この場にあるのは"邪気"だ!。楠先輩、貴女はコイツに"呑まれかけてた"!!。」
シズク「はぁ、お前何言って……!。」
芽吹(…どう言うこと…そういった力は巫女の力のはず…彼は…どうやってそれを…?。)
サジタリウス「…どうやら、"異例"と呼ばれた男は只者ではないか。計画を変更する、まずは貴様から始末させてもらおう!。」
流星の"感性"に危機を感じたサジタリウスは流星を中心に狙いを絞る。
流星(く…来る…!?。)
身構える流星。さっきは咄嗟とはいえ、流石に戦闘経験の少なすぎる彼にとってはこのリアルな命のやり取りは"恐怖"そのもの。故に、それが顔に現れてしまって。
流星「う…うわぁああああ!!。」
錯乱し、弾数に限りのある霊力弾を乱射してしまう。もちろん、そんなものが当たるはずもなくサジタリウスの銃撃をまともに受けてしまった。
「加護ゲージ」が一気に"3"も減少。"10"に対して残りが"7"。そのおかげでダメージは軽かったがあまり多用はできない。
シズク「やべぇな、あいつにゃまだ早すぎたっ!!。」
流星を助けるべく、シズクが飛び出す。
シズク「オラァ!後輩はやらせねェぞ!!。」
サジタリウス「なら守ってみせるか?出来るならな!!。」
互いに銃撃戦に入るも、実力は向こうの方が上。シズクは不利とみたのか、近接戦闘に切り替える。
シズク「その奇抜な仮面を取って素顔を見せやがれっ!。」
サジタリウス「お前に見せる顔などないよ。見せたところで死ぬだけ…無駄な事だ。それに…。」
サジタリウスの銃から剣が飛び出す。それは自分たちが持つ武器と酷似していて。
シズク「!!?。」
サジタリウス「人殺しに慣れてないお前達が敵うはずもない、どこかで戸惑いが現れてる。それが…弱さだ。」
その不意の攻撃に対応できず、シズクは斬り飛ばされた。
シズク「がはぁあああ!?。」
芽吹「シズクッッ!!。」
流星「あ…あ…ああ…!!。」
サジタリウス「止まってるぞ、そのまま抵抗せずに死んでゆけ!!。」
流星の喉元目掛けて突き付けられた銃剣。芽吹の援護も間に合わない。だが……流星は"諦めていなかった"。
流星「こんなところで…死ねるか!!。」
トンファーを盾に、その刃を防いでみせた。"死"への恐怖が"生存"への一歩を踏み出した瞬間だった。
サジタリウス「…何…?。」
流星「この…っ…!!。」
訓練の成果からか、流星の攻撃のキレは上達していた。突き出されたトンファーは空(くう)を切るが起点を利かせて回転し、遂にサジタリウスを捉えた。
流星「直撃!?。やったか…!?。」
立ち込める砂煙の中から立ち上がったサジタリウスは意外そうな声を出す。その様子からして…大したダメージは入っていない。
サジタリウス「…油断したよ。まさか攻撃をもらうとは…。」
流星「…お前は何者なんだ…邪神教団の何なんだよ…!!。」
その問いかけに、サジタリウスは応えた。
サジタリウス「どのみち、殺し合いとなるのだ…覚えておいて損はないか。私は邪神教団の"十二星座の使徒(ゾディアック・アポストル)"。"大司教様"に仕える12人の内の1人…その一柱である「射手座」だ。」
芽吹「…ならこれも聞かせなさい…お前達は何処で"バーテックス"の情報を得た!?。そしてどうやって人の身体にその因子を埋め込んでる!?。」
サジタリウス「やれやれ…質問が多いな。そこまでお人好しではないが…聞かれ続けるのも面倒だ。特別に答えてやる、バーテックスの幼体である"星屑"の一部を保存した"サンプル"を手に入れていてな…そこからは"企業秘密“というやつだ。答えを知りたければここを乗り切ることだな。最も…私としてはそのつもりはないが。」
芽吹(…と言うことは、2年前の"最終決戦"の事も熟知してるはず…ますます、何者なんだ…。)
流星「じゃあ、街中の街頭演説で騒ぎ立ててる奴らも知ってると言うことなのか、この悪夢のような"儀式"を!。」
サジタリウス「ああ…あれは末端中の末端だ。神を失いしこの世界において、神の信仰を掲げればすぐに喰らい付いてくる。そう言った者は乃木園子が宣言した"人の世"を受け入れられない哀れな者共だ。神樹に変わる"絶対神"を掲げると例えそれがどんな神であれ、縋ってくる。全くもって滑稽だ…どんな神かも知らずに救いと恵みを求めるために薄っぺらい信仰心を見せつけてくれるのだからな。」
それを聞いた流星は身体を震わせる。
…コイツらはどれだけの人を踏み躙れば気が済むんだ。その人達は純粋に神を信じているだけなんだ。ただ、そのやり方が過激と迷惑行為の連続、そして信仰心を押し付けてくる誤ったやり方だが、元を返せばかつてこの世界で300年間も浸透していた"神の世"の時と何も変わらない…つまり、彼らはただ"時代に取り残された人達"なのだ。
それを踏み躙り、このような悪夢の儀式を行って"バーテックス"と適合出来なければこんな惨い死に方をする。こんなの…人の死に方じゃない。それを、この邪神教団は自らが掲げる"理念"の元に利用して人の命を簡単に軽視している。
許せるはずがない、まるで"神"のように人の命を管理しているとでも言うのか…なら、やる事は一つ…流星は"成すべき事"を見出した。
流星「あんた達は…危険だ!!。」
サジタリウス「ならどうする、滅ぼすというのかな?。」
流星「違う!。あんた達を止める!!。」
流星には"恐怖心"などもう無かった。許せないからこそ、止めなければならない。滅ぼすのはただの怨念返しだ。そんなことをすれば、きっとまたこの世界は元の道筋へと戻ってしまう。そんな大きなことを止められるとは思わないが、それでも"意志"に従って武器を取る。
サジタリウス「止める?ハハハ、自惚れるなよ、自分が"特別"だからと言って!!。」
流星「俺は"特別"なんかじゃない、"普通"だッ!!。"特別"になんかなってたまるかッ!。」
芽吹から教わった立ち回りで攻めていく流星。「恐るとも、決して足を止めるな」。その教え通りに。
芽吹("特別"じゃなくて"普通"…か。かつての私に聞かせてやりたいわね…なら…!。)
それでも、場数の違いからサジタリウスに天秤が傾くが、そこに芽吹の援護が入る。
流星「楠先輩!?。」
芽吹「この場を切り抜けるわよ!シズク、動ける!?。」
シズク「っ…ゲージがだいぶ待っていかれたが致命傷じゃねェ…後ろから援護くらいは出来る…!。」
芽吹「流石ね…!!。」
サジタリウス「…フン、数で来たところで……むっ…?。」
流星「うおおおおお!!。」
左手のトンファーから霊力弾を放ちながら突撃。右手のトンファーを振り回して打撃戦に入ろうとする。
サジタリウス「勢い付いたか!!。」
銃を構えるも、そこからシズクの狙撃が邪魔をする。舌打ちするサジタリウスの脇には芽吹が接近。
サジタリウス「いつの間に…!?。」
芽吹「連携を侮ったわね!!。元々、そう言った戦法を得意としてるのよ!!。」
芽吹の刺突を回避。しかしそれは彼女の目論見通りだった。サジタリウスは気付く、その目の前には距離を詰めてきた流星がいて。
サジタリウス(懐に潜られた、回避は難しいか…!。)
流星「そこだぁああああ!!。」
ライフルを盾にするもその一撃がとても重く、真っ二つに粉砕された後にその衝撃で殴り飛ばされた。
サジタリウス「ぐううう!!?。」
仮面にヒビが入る。そして、そこから分かるように血が滴り落ちた。
芽吹「浅い!。でも…!!。」
サジタリウス「舐めるなァアアアア!!。」
折れたライフルの銃口部分を拾い上げ、剣を展開。芽吹の斬撃を受け止めた。
芽吹「お前を拘束させてもらうわよ!!。」
サジタリウス「ちいい…ッ!。仕方がない…"奥の手"を使うか…!!。」
そう言った直後、サジタリウスの背中に陣が現れる。そしてそこから……。
芽吹「なっ……!!?。」
芽吹とシズクは目を大きく開く。そう…その陣の中から"サジタリウス・バーテックス"の一部が現れたのだから。
シズク「おいおいおい…嘘だろ…!?。」
その直後、無数の針を口から放つ。刺さればひとたまりもない…芽吹は流星を引っ張って崩れた瓦礫へと走ってその裏に回る。
まだ完全じゃないのか、岩盤を突き抜けるほどの威力が無かったおかげで瓦礫は破壊されずに済んだ。だが、その隙をついてサジタリウスは逃亡。身を乗り出した芽吹がすぐに対応するがもうその姿を見失ってしまっていた。
芽吹「ちっ……逃げられた…。」
周辺を警戒するも、殺気の一つも感じられない。戦闘の終了を確信した彼女は2人に警戒を解くように促す。
シズク「クソが…やるだけやってこれかよ…!。」
芽吹「いえ、収穫はあったわ。すぐに帰還する、そしてこの惨状を新生大赦へと報告するわよ。」
流星「わかりました。」
芽吹はサジタリウスの強さを思い返す。
芽吹("十二星座の使徒(ゾディアック・アポストル)"…最後に見せたあの"奥の手"はバーテックスの力を顕現させていた…ッ……この事件…途轍もなく大きなものとなるかもしれない……。)
…邪神教団の"十二星座の使徒"。
その実態の一部は、ただの信仰集団ではなくて独自の戦力を持っていた。そして、この四国に立ち込める暗雲は……まだまだ暗くなる。
………………………end。
…"十二星座の使徒"の一柱・サジタリウスとの戦いを終え、その実態は新生大赦に共有された。
邪神信仰集団はテロリストという枠を越え、この世界において更なる暗雲をもたらす存在となった。
……その数日後、少年の元に"宗主"がやってくる。
次回
第8話 "宗主"乃木園子。