霞ヶ原公園に変死体――その110番通報が入ったのは、まだ残暑の厳しい9月2日の、お昼12時50分だった。
通常、こういった事件を対応するのは、捜査一課である。捜査一課は、殺人、強盗、暴行事件などの捜査を行う課だ。
その捜査一課から、私たち特状課に協力要請が来たのは、通報から約1時間後、13時45分だった。
警視庁・特殊状況下事件捜査課。文字通り、通常ではあり得ない特殊な状況下で起こった事件を専門に扱う、そのまんまの部署である――。
☆
霞ヶ原公園は、都心の住宅街にある公園にしてはかなり大きいものだ。関東ドーム4個分の大きさの敷地内には、遊具や芝生や噴水などがある『憩いの場』と呼ばれるエリアの他に、野球、サッカー、テニス、バスケットボールなどを行える『スポーツエリア』の2つに分かれている。変死体が発見されたのは、ふたつのエリアを行き来するための細い並木道の、ちょうど真ん中あたりだ。
現場にはすでに一課の捜査官たちが現場検証を始めていた。殺害現場から半径100メートルほどが立ち入り禁止となり、黄色いテープで規制線が張られている。その外には近隣の住人と思われる野次馬と、どこからか情報を嗅ぎ付けたマスコミの人たちが集まり、中の様子を伺っていた。私は規制線の側で立ち番をしている制服警官に警察手帳を見せ、中に入った。
「おやおや、オカルト同好会の若きエース・
憎まれ口で出迎えてくれたのは、捜査一課の
「追田警部補、お疲れ様ですさっそくで申し訳ありませんが、詳しい状況をご説明願えますか?」私は警部補に敬礼する。通報後わずか1時間程度で特状課に協力要請があったくらいだから、かなり特殊な事件に違いない。
「口で言うより、実際見た方が早い」追田警部補は顎を上げ、地面に敷かれたブルーシートを指し示した。真ん中が小さく膨らんでいる。あの下に、被害者いるのだろう。
「では、失礼します」私はしゃがみ、まず被害者に手を合わせ、そして、シートをめくった。
私も刑事になってもう何年も経つから、多くの殺害現場で遺体を見てきたが、それでも思わず目を背けたくなるほど、今回の遺体は酷い有様だった。
傷は背中の1ヶ所のみで、それが死因と見てほぼ間違いないだろう。だがその傷は、刃物で刺されたとか切りつけられたとか、そんな生易しいものではなかった。背中の肉の大部分が、削り取られているのである。それは、人間が凶器を使って殺害したというよりは、クマやライオンにでも襲われて死亡したかのような姿だった。
「見ての通り、大型の獣でも現れたかのような殺され方だ」後ろから、追田警部補が言った。「詳しい鑑定はこれからだが、鑑識の初見では、死亡から数時間ほどらしい。死亡推定時刻は昼の12時頃だろうな。今の所目撃者はいない。日曜昼間の住宅街だから人通りは少なくないから、街中にクマやライオンが現れたらたちまち大騒ぎになるだろう。だが、そんな情報は入っていない」
そこで、我々特状課の出番となったわけか。まあ、妥当な所だろう。
私の所属する特状課が捜査する『通常ではありえない特殊な状況下で起こった事件』とは、例えば、死んだはずの人間がよみがえった、とか、UFOが人をさらっていった、とか、そんなオカルトじみた事件が中心である。さきほど追田警部補が私のことを「オカルト同好会」と呼んだのはそのためだ。所属しているのは私を含めて全5名。その中で現場の捜査員は2人と、非常に小さな課である。しかし、最近どういうわけか特状課が扱う事件の数が増えてきていて、非常に忙しくなっている。
追田警部補は続ける。「所持していた運転免許証によると、被害者は山田一郎、35歳。公園のすぐそばに住んでいる会社員だ。お金、クレジットカード、その他金品等に手が付けられた様子はないから、物取りの犯行ではないだろう。今の所、分かってるのはそれくらいだ」
確かに、物取りの犯行ならこんな特殊な殺害方法でなくてもいいだろう。
「ところで、相方の不思議ちゃんはどうした? 一緒じゃないのか?」追田警部補はからかうような口調で言った。
「さあ? さすがにいつも一緒ってワケではないですから」遺体を調べながら答える。「まあ、事件発生の連絡は行ってるはずですから、さすがにもうすぐ来ると思いますけど」
「来たら、ちゃんと見張ってろよ。放っておいたら、また何をするか分からんからな」
「私はあの人の子守り役ではないんですけどね」
ため息とともに言うと、警部補は小さく笑った。
「警部補、少しよろしいでしょうか?」制服警官がやって来て、警部補に声をかけた。「野次馬の1人が、中に入れろと騒いでいるようです」
「なんだ? それくらい、お前たちで処理しろ」
「それが、その騒いでいる野次馬、どう見ても高校生か大学生くらいの女性なのですが、警察の人間だと言っておりまして……」
それを聞いて、私は顔を上げた。警部補を見ると、なんとかしろ、という目で、私を見ていた。
やれやれ。また今回も、面倒なことになりそうだな。私はもう1度ため息をつき、騒いでいる野次馬の元へ向かった。
「――でも、入れてもらわないと、あたしも困るんです」
「何度も言ってますが、現在は関係者以外立ち入り禁止です」
「ですから、あたしは関係者なんですってば」
「とにかく、中に入れるわけにはいきません。あまりしつこいと、公務執行妨害で逮捕しますよ」
規制線の所に行くと、立ち番の制服警官が若い女性と言い争いになっていた。私は苦笑いと共に近づいて行った。
「ああ! 泊巡査!」女性は私に気付くと、大きく手を振る。「この人が、イジワルをして、中に入れてくれないのです」
いや、イジワルで中に入れてくれないんじゃないと思うけどな。
「申し訳ないです。その人は、入れてあげて大丈夫です」私は制服警官に言った。
制服警官は、驚いて目を丸くする。「――と、言うことは、まさか、ホントに警察の方なのですか?」
「だから、何度もそう言ってるじゃないですか」女性は頬を膨らませる。
「これは、大変失礼しました」制服警官は敬礼して道を譲った。
女性はテープをくぐり、中に入った。「はあ! やっと入れてもらえた。泊巡査、ありがとうございます」
「まったく。そんな恰好で来るから、警官だと思われないんですよ」女性の服装を見ながら言う。スーツ姿ならまだ警官と信じてもらえたかもしれないのに、なんと、青い花柄のミニスカートワンピースにサンダルという、休日にちょっとお出かけでもしようかという格好である。
「勤務時の服装は決められていないのですから、別にいいじゃないですか」平然とした顔で言う。確かに特状課に服装の規定はないが、こんな格好で勤務する人は、この人くらいのものである。
「それに、警官だと信じてもらえなければ、警察手帳を見せればいいだけのことでしょう。まさか、警察手帳、持ってきてないのですか?」
「それが、確かにここに入れたはずなんですが、見つからないのです」女性は肩から下げたバッグの中を探りながら言った。「あれ、あった。おかしいな。さっきここを見た時は、無かったのに」
女性は警察手帳を取りだし、てへぺろという感じで笑った。
「まったく……無くしたら大問題ですからね。注意してください」
「分かってます。それより、現場に案内してください」
ホントに分かってるのかな? まあ、これ以上この人に言ってもムダだろう。私はまたまたため息をつくと、殺害現場まで案内した。
「この美しい女性は、詩島霧子巡査。泊巡査の相棒で、鋭い観察眼と的確な推理力を兼ね備え、数々の難事件を解決してきた、警視庁特状課きってのエリート刑事である」
突然ワケの分からないことを言い始めた女性刑事に向かって、私は言う。「何を1人でぶつぶつ言ってるんですか?」
「ナレーションです」
「は? ナレーション?」
「ええ。ドラマや映画とかのオープニングで、よくありませんか? あれです」
「誰に対するナレーションですか?」
「もちろん、自分自身に対してです。あたし、捜査を始める時は、毎回『あたしはエリート刑事だ』と言い聞かせて、テンションを上げるんです。泊巡査もやってみませんか?」
「いえ、遠慮しておきます」そんなワケのわからんことをしてテンションが上がるのはこの人くらいだろう。
「そうですか。残念です」大して残念とも思ってない、そっけない口調で言った。
この、自称美しい女性は、
「何を1人でぶつぶつ言ってるんですか?」詩島巡査が不思議そうな顔で私を見る。ナレーションだよ。ほっとけ。
詩島巡査をブルーシートの所まで案内する。「お疲れ様です」と、追田警部補にあいさつする詩島巡査。追田警部補は露骨にイヤそうな顔をしたが、詩島巡査はそれに気づかなかったのか、全く気にした様子はない。
「これが、被害者ですね?」ブルーシートを見ながら言う詩島巡査。
「そうです。見てください」私はブルーシートをめくろうとした。
「いえ、大丈夫です」大袈裟な動作で両手を振って拒否する詩島巡査。
「遺体を見なくて、大丈夫ですか?」
「はい。なんとなくイヤな予感がするので、やめておきます。あたし、血がドバドバ出るスプラッター系のホラー映画とか、大の苦手でして」
「でも、一応お仕事なんですから、見ておいた方が良いと思いますが」
「泊巡査が見たのなら、それで大丈夫です。状況だけ、詳しく説明してください。あ、詳しくというのは、遺体の状況のことではなくて、遺体発見時の状況とか、ここまでの捜査で分かっていることとか、です」
……まあ、ベテランの刑事でも目を背けたくなるような遺体だから、気持ちはわからないではないけどね。でも、そんなことでは一人前の刑事にはなれないような気がするんだが。
まあ、ヘタに遺体を見て気分を悪くされても困る。私は先ほど追田警部補から聞いたことを中心に、状況を説明した。
「大型の獣に襲われたような傷、ですか……」手帳にボールペンでサラサラと書き、詩島巡査は、うーん、と唸った。
「どうしました? 何か、気になることでも?」
「あ、いえ。別に、大したことではないんですが――」詩島巡査は、言おうかどうしようか迷っているような表情。「あたし、さっき公園の入口で、体長が2メートルくらいの、大きな動物を見たんです」
「…………」
「…………」
「詩島巡査」
「はい」
「それは、ものすごく大したことだと思うのですが」
「そうなんですか? でも、事件に関係あるとは限りませんよ?」
「いや、この状況で、現場近くに体長2メートルの大きな動物がいたら、関係ないということは100%無いです」
「そうでしょうか?」
「そうです。――待ってください」
私は追田警部補を呼んだ。普段は詩島巡査の言うことには全く耳を貸さない警部補だが、さすがに今回は無視できない内容なので、真剣な表情で聞いてくれた。
「それで、どんなヤツでした?」詩島巡査を促す。
「えっと、言葉での説明は難しいので、絵に描きますね」
そう言って、詩島巡査は手帳にサラサラとペンを走らせた。
「こんなヤツです」
1分ほどで描き上げた絵を見せる詩島巡査。
「…………」
絵を見た追田警部補は、あからさまに表情をゆがめると、「後は任せた」と、目で言って、そのまま行ってしまった。
「あれ? 追田警部補は、どうしたんですか?」去っていく警部補の背中を不思議そうに見つめる詩島巡査。
「たぶん、その絵を見て呆れたんだと思いますよ?」
「え? 結構自信があったんですけど、ヘタでしたかね?」納得がいかないという顔の詩島巡査。
詩島巡査が描いたのは、胴が長い、ウサギのような生き物だった。ような、というのは、見た目はウサギに近いのだが、ヒゲが人間の無精髭のように顎からもみあげにかけて生えていて、足が7本あるからである。
「いや、上手いとか下手とか言う以前の問題だと思います。そもそも、これは何なんですか?」
「あたしがさっき見た、大きな動物です」
「それは分かりますが、何の動物ですか?」
「何だと思いますか?」
訊いてるのはこっちなんだがな。まあいい。私は絵を受け取り、じっくりと見た。まあ、じっくり見ようが見まいが、とりあえず見た目の第一印象はウサギなので、そう言ってみる。「えっと、ウサギですか?」
「ウサギに見えますか?」と、詩島巡査。
「ウサギのように見えますが、体長が2メートルくらいあったんですよね?」
「ウサギの体長は、大きい種でも、せいぜい70センチほどではないでしょうか?」
「70センチくらいだと思います」
「じゃあ、ウサギじゃないのかもしれません」
「ウサギじゃないんですか?」
「ウサギに見えますか?」
「ウサギのように見えますが、足が7本あります」
「ウサギの手足は、4本ではないでしょうか?」
「4本だと思います」
「じゃあ、ウサギじゃないのかもしれません」
「ウサギじゃないんですか?」
「ウサギに見えますか?」
「ウサギのように見えますが、ヒゲが顎からもみあげにかけて生えてます。これじゃあ、人間の無精ヒゲです」
「ウサギのヒゲは、鼻の横に生えているのではないでしょうか?」
「鼻の横に生えていると思います」
「じゃあ、ウサギじゃないのかもしれません」
「ウサギじゃないんですか?」
「ウサギに見えますか?」
……ダメだ。これでは堂々巡りだ。質問を変えよう。
「コイツの正体については、ひとまず置いておきましょう。それで、コイツはどこに行きました?」
「分かりません。なんだろうと思って、じっと見ていたら、突然消えたんです」
「消えたんですか?」
「はい。本当に、手品みたいに、ぱっと消えたんです」
「そんな大きな動物が、突然消えたりするものでしょうか?」
「分かりませんが、手品とかじゃ、ウサギが現れたり消えたりすることは、よくあります」
「じゃあ、やっぱりウサギなんですか?」
「ウサギに見えますか?」
「ウサギに見えますが、目の前でパッと消えたんですよね?」
「ウサギは、手品師もいないのに、目の前で突然消えるモノでしょうか?」
「消えないと思います」
「じゃあ、ウサギじゃないのかもしれません」
ふと見ると、追田警部補が「いつまでやってるんだ」という表情で睨んでいた。いかんいかん。いつの間にか、詩島巡査のペースにハマっていた。
私は、コホンと咳払いをすると。「詩島巡査。とりあえず、この動物のことは忘れましょう。もしかしたら、今回の事件には関係ないかもしれませんから」
「関係ないということは100%無い、と言ったのは、泊巡査です」
うるさいな。細かいことはいいんだよ。
という気持ちを何とか抑え、私たちは捜査を続けることにした。現場検証はまだ時間が掛かるということなので、この場は鑑識に任せ、私と詩島巡査は、公園の周辺で聞き込みをすることにした。
「では、くもりがはら公園の周辺で聞き込みを行いましょう」両手の拳を胸の前で振る詩島巡査。やる気に溢れているのは結構なのだが、くもりがはら公園? 聞いたことのない公園だな。どこの公園だろう?
「詩島巡査、くもりがはら公園とは、どこの公園ですか?」訊いてみる。
「何を言ってるんですか、泊巡査。今、あたしたちがいる、この公園ですよ」当然という顔で答える詩島巡査。
はい? この公園が、くもりがはら公園だと?
「…………」
「…………」
「詩島巡査」
「はい」
「ひょっとして、霞ヶ原公園のことですか?」
「かすみがはら公園とは、どこの公園ですか?」
「ですから、私たちがいる、この公園です」
「この公園は、くもりがはら公園でしょう?」
「…………」
「…………」
「詩島巡査」
「はい」
「『霞』は『かすみ』と読みます。『くもり』は『曇』と書くんです」
「そうなんですか?」
「そうなんです」
「それは、勉強になりました」
「…………」
「…………」
「詩島巡査」
「はい」
「特状課は、ただでさえ人手が不足している課なんです。あなたに国語から教えているヒマはないのですよ?」
「スミマセン。昔から、どうも漢字の読み書きは苦手でして」
スプラッターと漢字が苦手な人が、よく刑事になれたもんだ。
「そう言えば――」詩島巡査、何か思い出したような表情。「以前も、別の人に、全く同じことを言われたような気がします」
「そうですか。誰だか知りませんが、きっとその人も、さぞ苦労されたんでしょうね?」
「どういう意味でしょう?」
「いえ、別に。さあ、聞き込みを始めましょう」
と、いうことで、公園の外に出て聞き込みを始めようとした時。
「ああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」突然奇声を上げる詩島巡査。
「詩島巡査!? どうかしましたか!?」
訊いてみるが、詩島巡査は私のことは無視して走り出した。何だ? 何かあったのか? まあ、何かあったから、あんなに慌てているのだろう。私は後を追いかけた。詩島巡査は、公園の近くに止めてあったパトカーの無線を取った。
「特状課・詩島霧子より連絡! 身長170センチ前後、紺色のパーカーにジーンズ、黒のスニーカーを履いた20代前半の男性を、大至急手配してください! 繰り返します! 身長170センチ前後、紺色のパーカーにジーンズ、黒のスニーカーを履いた20代前半の男性を、大至急手配してください!!」
鬼気迫る表情で叫ぶ詩島巡査。こんな姿は初めて見たな。
通信を終えた詩島巡査に話しかける。「詩島巡査。その男が、今回の事件と、何か関係が?」
「はい。関係大アリです。これは、大変なことになりました……」額の汗をぬぐう詩島巡査。いつになく真剣な表情だ。詩島巡査も、こんな表情ができるんだ。少し見直す。
5分後、無線が返ってきた。《――霞ヶ原交差点にて該当の男を確保! 繰り返します霞ヶ原交差点にて、該当する男を確保しました!!》
「了解! すぐに向かいます!!」無線に応える詩島巡査。
「詩島巡査、霞ヶ原交差点なら、走った方が早いです。行きましょう」
「はい!」
2人で霞ヶ原交差点へ走って向かう。3分ほどで到着すると、詩島巡査が言った背格好と服装の男が、2人の制服警官に両腕を抱えられていた。
「ああ! 見つけた!! 良かった!!」確保した男に駆け寄る詩島巡査。どうやら手配した男に間違いないようだ。いったい何者なのだろう? 今回の事件に大きく関係している人物か? あるいは、ズバリ、犯人なのか? 期待が膨らむ。
「あの、さっき、公園の前で、あたしに道を尋ねられましたよね?」息を整え、男に言う詩島巡査。
うん? 道を尋ねた? どういうことだ?
「ええ、そうですが……」男は、オドオドした表情で応える。
「ゴメンなさい!」パン! と、手を合わせ、謝る詩島巡査。「あたし、あのとき、あの公園のことを、『くもりがはら公園』って言ったんですけど、あれ、間違いだそうで、本当は、『かすみがはら公園』と読むんだそうです! 本当に、ゴメンなさい!!」
「…………」
「…………」
「詩島巡査」
「はい」
「ひょっとして、公園の読み方の間違いを訂正するために、この人を手配したんですか?」
「そうですよ? だって、あたしのせいで、お兄さんがずっと『くもりがはら公園』って言い続けたら、申し訳ないじゃないですか。ああ、訂正できてよかった。では、泊巡査。戻って聞き込みを始めましょう」
詩島巡査は、実に満足そうな顔で、そのままスタスタと歩いて行ってしまった。
その後、私は怒る男の人に、20分ほど謝り続けたのだった。